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カテゴリー「ECM1651-1701番」の45件の記事

2007/01/07

Mnemosyne/Jan Garbarek/The Hilliard Ensemble

1700

ヤン・ガルバレクとヒリヤード・アンサンブルの、以前「オフィチウム」でやった演奏と同じような傾向での2作目。前はグレゴリオ聖歌が多かったと思うのですが、今回は曲や断片を修復したものを世界各地から集めて歌と演奏をしています。たぶんサックスはアドリブではないかと思うのですが、なかなか曲の雰囲気にマッチしていて、このアルバムも企画としては成功だったのではないかと思います。

 

Mnemosyne/Jan Garbarek(Ss, Ts)/The Hilliard Ensemble(Vo)(ECM New Series 1700/01) - Recorded April 1998. - 1. Quethua Song 2. O Lord Tallis 3. Estonian Lullaby 4. Remember Me My Dear 5. Gloria 6. Fayrfax Africanus 7. Antonie Brumel 8. Novus Novus 9. Se Je Fayz Dueil 10. O Ignis Spiritus 11. Alleluia Nativitatis 12. Delphic Paean 13. Strophe And Counter-Strophe 14. Mascarades 15. Loiterando 16. Estonian Lullaby 17. Russian Psalm 18. Eagle Dance 19. When Jesus Wept 20. Hymn To The Sun

既存の曲にサックスが絡んでいく曲と、古い断片しか残っていない曲を再現してそこにサックスを加えた曲があるそうです。当然ジャズではなくて、クラシック古典の合唱曲プラスアルファという感じです。断片から曲にしていったものが多いので、ヤン・ガルバレクの演奏などにその場限りのインプロヴィゼーションを感じさせ ます。エコーが効いた不思議なサウンド。そして非常に美しい。曲は断片を含め世界各地から集められています。(99年6月23日発売)

2007/01/06

Fantasien D 760, D934/Franz Schubert

1699

アンドラーシュ・シフが弾くシューベルトのアルバム。シフがNew Seriesに来てから、本格的にクラシックに入りこむようになってきました。これも、シューベルトの重要作を2曲演奏しています。以前は王道作品はキース・ジャレットくらいしか発表していなかったので、これは快挙だと思います。まだ、シフがこんなに多くアルバムを発表する前の話ですけどね。結局はセールスの面では王道にはかなわないということなのかもしれませんが。

 

Fantasien D 760, D934/Franz Schubert(ECM New Series 1699) - Recorded December, 1998. Andras Schiff(P), Yuuko Shiokawa(Vln) - 1. Fantasie C-Dur Fur Klavier Op. 15 D760 "Wanderer-Fantasie" 2. Fantasie C=Dur Fur Violine Und Klavier Op. Posth. 159 D934

邦題「シューベルト<<さすらい人>>幻想曲」。1曲目はシューベルトの作品の中でも特に人気の高い曲だとのことで、その名の通り幻想的(というよりはクラシックの王道)な雰囲気を味あわせてくれるピアノ曲です。暖かくドラマチックな展開。メロディも印象的。2曲目は後期の重要作だそうで、シフ婦人の塩川悠子がヴァイオリンを演奏しています。基調は明るく、印象的なメロディでさまざまに表情を変えて展開していきます。(00年8月23日発売)

2007/01/05

Prime Directive/Dave Holland Quintet

1698

デイヴ・ホランドのリーダー作。今回はクリス・ポッターが参加して(当時はまだ新人の域だった)、縁拍子が得意なメンバーだし、またバンドに張りができたような気がしています。でも、ホランドのアルバムはいつでもメンバーがすごいので、どのアルバムもけっこう聴きました。彼のバンドでドラマーはマーヴィン・”スミッティ”・スミスがいた時期がいちばん好きなのですが、ここで叩いているビリー・キルソンも負けてはいません。ECMにしては賑やかですが、これもホランドの特権ではないかと思っています。もちろん、ミキシング的なものはおまかせになってしまっているとは思いますけど。

 

Prime Directive/Dave Holland(B) Quintet(ECM 1698) - Recorded December 10-12, 1998. Robin Eubanks(Tb), Chirs Potter(Ss, As, Ts), Steve Nelson(Vib), Billy Kilson(Ds) - 1. Prime Directive 2. Looking Up 3. Make A Believe 4. A Searching Spirit 5. High Wire 6. Jugglers Parade 7. Candlelight Vigil 8. Wonders Never Cease 9. Down Time

クリス・ポッターのみ新参加。サウンドは落ち着いているようで、相変わらずトンガッています。1曲目から変拍子のノリの良い曲(6拍子?)。2曲目は管楽器のテーマが印象的。これもうまくテンポがとれないので変拍子か?渋めでゆったりとした3曲目、5拍子系のリズミックな感じの4曲目、難しそうなテーマと冴えるアドリブの5曲目、穏やかに盛り上がりを見せる9拍子系の6曲目、静かな美しい世界が広がる7曲目、ベースソロからテーマ、ソロとドラマチックな展開をみせる13分台の大作の8曲目。9曲目はトロンボーンが面白い比較的短い曲。スティーヴ・ネルソンのヴァイブラホンは冷めていて、ビリー・キルソンのドラムはビートがはっきりしていて好み。まだまだこのクインテットから目が離せません。(99年11月1日発売)

2007/01/04

In Darkness Let Me Dwell/John Dowland

1697ジョン・ダウランドの作曲したアルバム。でもただそれを再現するだけではなくて、ジャズのミュージシャンも参加させてしまう、まさにボーダーレスな演奏をしています。とは言うものの、ジャズ・ミュージシャンもクラシック寄りに演奏はしていますけれども。ヤン・ガルバレクが「オフィチウム」に参加したような成功体験をここでも持ち込んだ感じではありますね。それでもアドリブを交えても、一体感のあるサウンドは見事です。

 

In Darkness Let Me Dwell/John Dowland(ECM New Series 1697) - Recorded January, 1999. John Potter(Vo), Stephan Stubbs(Lute), John Surman(Ss, Bcl), Maya Homburger(Baroque Vln), Barry Guy(B) - 1. Weep You No More, Sad Fountains 2. In Darkness Let Me Dwell 3. Lachrimae Verae 4. From Silent Night 5. Come Again 6. The Lowest Trees Have Tops 7. Flow My Tears 8. Come Heavy Sleep 9. Fine Knacks For ladies 10. Flow My Tears 11. Now, O Now I Needs Must Part 12. Lachrimae Tristes 13. Go Crystal Tears 14. Lachrimae Amantis

邦題「暗闇にひそむ歌~ジョン・ダウランドの世界」。ジョン・ダウランドは16-17世紀のイギリスの作曲家。ジョン・ポッターのヴォーカル(テナー)とリュートやバロック・バイオリンなどとの厳かな響きの中、ジョン・サーマンやバリー・ガイらのジャズでも活躍しているミュージシャンも参加して、やはり厳かに寄り添うように演奏しています。 曲にマッチしているので気がつきませんでしたが、即興も交えて演奏されているとのこと。(00年2月23日発売)

2007/01/03

The Seasons/John Cage

1696

ジョン・ケージの作品集。実験的なのはあいも変わらずで、’91年の作品ですら、曲のスコアがなくて、単一の音符の配列を自由に始まりと終わりを決められる、ってどこまで実験音楽をやればいいのだろう、と思います。1度やったら2度とは作れないネタが多いのに。他の曲は第二次大戦直後のものばかりですが、そこでも現代音楽があって、実験があるのだから、泣かなか興味深い。確か、プリペアド・ピアノを最初に演奏した人でもありますね。

 

The Seasons/John Cage(ECM New Series 1696) - Recorded January, 1997. Margaret Leng Tan(Prepared P, Toy P), American Composers Orchestra, Dennis Russell Davies(Cond) - 1. Seventy-four (For Orchestra) Version 1 2-5. The Seasons (Ballet In One Act) 6-8. Concerto For Prepared Piano And Chamber Orchestra 9. Seventy-four (For Orchestra) Version 2 10-14. Suite For Toy Piano 15-19. Suite For Toy Piano (Orcherstration: Lou Harrison)

邦題「四季」。1、9曲目が’92年作品で、曲のスコアがなく、単一の音符の配列を演奏者が自由に始まりと終わりを決められるというもの。確かにかなりジョン・ケージは実験的。他の曲は’47-51年作曲。タイトル曲となった2-5曲目はバレエ音楽にしては難解そうな現代音楽。他にプリペアド・ピアノ(弦に細工したピアノ)やトイ・ピアノ(おもちゃのピアノ)を使用した曲があります。けっこう個性的なサウンド表現で面白い。(00年7月26日発売)

2007/01/02

Lux Aeterna/Patrick Demenga/Thomas Demenga

1695

パトリック・デメンガとトーマス・デメンガの2台のチェロによるアルバム。ここでも、現代音楽とJean Barriereという18世紀の作曲家の作品が同居しています。やはりまだこの時期、新旧取り合わせが彼のテーマなのかな、と思います。1曲目は宗教音楽のような感じで、荘厳なイメージもありますね。それにしてもそこの高音は、普通のチェリストではなかなか出ないのでは。これが22分続くので、現代音楽メインにしては落ち着いています。

 

Lux Aeterna/Patrick Demenga(Cello)/Thomas Demenga(Cello)(ECM New Series 1695)(輸入盤) - Recorded November, 1998. - Alexander Knaifel: 1. Lux Aeterna Thomas Demenga: 2. Duo? O, Du... Jean Barriere: Sonata No.10, G Major 3. Andante 4. Adagio 5. Allegro Prestissimo Roland Moser 6. Wendungen Barry Guy: 7. Redshift

(03/09/21)20世紀の作曲家Alexander Knaifelのタイトル曲の1曲目が22分台。荘厳な宗教音楽の雰囲気で、チェロにしてはかなり高い音も発しています。他に18世紀の作曲家Jean Barriereの当時らしいメロディアスで安定したメロディとサウンドの3-5曲目、自作の抽象的な雰囲気を持つ2曲目、他の20世紀の作曲家の作品など、多彩です。6-7曲目は、現代音楽的なサウンドでせまってきます。7曲目後半は急速調な部分も。

2007/01/01

String Quartets/Peter Ruzicka

1694

Peter Ruzickaの作曲のアルバム。Arditti Quartettによる演奏ですが、New Seriesで演奏するのは珍しいかもしれません。やはり難解でメロディや調性が感じられないという点で、聴く人を選ぶアルバムかもしれませんが、静寂から徐々に音が出てくるという点では、New Seriesの現代音楽らしいなあ、とも思います。ただ、このアルバム、持っている人は少ないだろうなあ、とは思いますけれども。

 

String Quartets/Peter Ruzicka(ECM New Series 1694)(輸入盤) - Recorded December 1996 and October 1997. Arditti Quartett: Irvine Arditti(Vln), Graeme Jennings(Vln), Garth Knowx(Viola), Rohan de Saram(Cello), Dietrich Fischer-Dieskau(Speaker) - 1. ...Uber Ein Verschwinden 2. Klangschatten 3-7. "...Fragment..." 8. Introspezione 9. "...Sich Verlierend"

(04/03/12)Peter Ruzickaはドイツ生まれの20世紀現代音楽家。ストリング・クァルテットの演奏。静寂の彼方から徐々に音があらわれる曲が多く、それは曲のタイトルの...でも表現されているような気がします。やはり前衛的というか難解(というよりメロディや調性が感じられない)なフレーズに終始して、静かな場面とヴォリュームのある場面がドラマチック(?)に展開されます。9曲目には淡々としたナレーションがついています。

2006/12/31

Drawn Inward/Evan Parker Electro-Acoustic Ensemble

1693

エヴァン・パーカーのリーダー作。エレクトロ・アコースティック・アンサンブルのの2作目。旋律と非旋律が入り混じり、不思議なサウンドを聴かせてくれます。これもプロデューサーはスティーヴ・レイクで、こういう硬派なアルバムにはだいたい顔を出しています。作曲者によって多少の変化はありますが、おおむねゆったりと、時に超人的なソロがあり、進んでいきます。エレクトロニクスも効果的に、自然に溶け込んで使用している感じ。

 

Drawn Inward/Evan Parker(Ss, Ts, Khene) Electro-Acoustic Ensemble(ECM 1693)(輸入盤) - Recorded December 1998. Philipp Wachsmann(Vln, Viola, Live Electronics, Sound processing), Burry Guy(B), Paul Lytton(Per, Live Electronics), Lawrence Casserley(Live Electronics, Sound Processing), Walter Prati(Live Electronics, Sound Processing), Marco Vecchi(Live Electronics, Sound Processing) - 1. The Crooner (For Johnny Hartman) 2. Serpent In Sky 3. Travel In The Homeland 4. Spouting Bowl 5. Collect Calls 6. Ala Lotan 7. Reanascreena 8. At Home In The Universe (For Stuart Kauffman) 9. Writing On Ice 10. Phloy In The Frame 11. Drawn Inward

(03/09/02)メンバーのオリジナルか何人かでの共作。やや静かなエネルギーを持ったフリー・インプロヴィゼーションで、時折り盛り上がります。曲によって生音とエレクトロニクスがうまく合わさっていて不思議な雰囲気。旋律と非旋律がせめぎ合い、難解な感じはします。1曲目は(For Johnny Hartman) と書いてあるのですが先鋭的なサウンドとの関連性が不明。2曲目は弦楽器の上を激しく舞い飛ぶサックスの構図。3曲目などはエレクトロニクスが主体になっていて、やはり作曲者によってさまざまなサウンドになっています。5曲目は10分を超えますが、ここでもサックスのフレーズの舞い飛ぶゆったりとした展開の曲。Burry Guy作の7曲目は弦楽器が中心。11曲目のタイトル曲は2曲目と似ている構造の印象。

2006/12/30

Eternity And A Day/Eleni Karaindrou

1692

エレニ・カラインドルーの「永遠と一日」のオリジナル・サウンドトラック。彼女の曲は、重い雰囲気が漂う、暗い色調のものが多いのだけど、テーマ的なものはすぐ頭の中に入ってきて、ぐるぐる回りだすほどにメロディのインパクトが強いのが特徴です。作品をそれぞれ一緒に見ていくと、ある種の印象的なものが出てきますが、それぞれで見ていると、それぞれにメロディがあって、特にサウンドトラックだと、それが繰り返し出てくるので、印象は強くなります。

 

Eternity And A Day/Eleni Karaindrou(P)(ECM New Series 1692) - Recorded March and April, 1998. Vangelis Christopoulos(Oboe), Nikos Guinos(Cl), Manthos Halkias(Cl), Spyros Kazianis(Bassoon), Vangelis Skouras(French Horn), Aris Dimitriadis(Mandolin), Iraklis Vavagatsikas(Accordion), La Camerata, Athens - String Orchestra, Loukas Karytinos(Director) - 1. Hearing The Time 2. By The Sea 3. Eternity Theme 4. Parting A 5. Depart And Eternity Theme 6. Borders 7. Wedding Dance 8. To A Dead Friend 9. Eternity Theme Variation 1 10. Depart And Eternity Theme Variation 1 12. Bus - Part 1 13. Depart And Eternity Theme Variation 2 14. Bus - Part 2 15. Trio And Eternity Theme 16. The Poet 17. Depart And Eternity Theme Variation 2 18. Depart

邦題「永遠と一日」(オリジナル・サウンドトラック)。7曲目のみギリシャのトラディショナルで、あとはオリジナル。哀愁の漂うテーマのメロディが、ソロピアノであったり合奏の形式であったりと、他の曲の間で何度か形を変えては目の前にあらわれてきます。そのメロディは印象的で心に残ります。また、1、6曲目のような持続音で聴かせるような曲も。色合いとしてはやはり濃い青の雰囲気。 渋い映画だろうと予想させるサウンド。(99年4月1日発売)

2006/12/29

A Long Time Ago/Kenny Wheeler

1691

ケニー・ホイーラーのリーダー作で、ストリーミングを見てみたら、1、6曲目には「組曲」と書いてありました。アンサンブルのアレンジも彼なのでしょうか。ジャズと言えばジャズのアレンジだと思いますが、落ち着いた演奏が多いため、また、アンサンブルにはサックスがおらず、独特なある意味クラシック的なサウンドに聴こえるところもあります。曲としてもなかなか興味深くて、ホイーラーのフリューゲルホルンも堪能できますね。好き嫌いもあるかもしれませんが、ECMにはこういうアルバムは必要だと思います。

 

A Long Time Ago/Kenny Wheeler(Flh)(ECM 1691) - Recorded September 1997 and January 1998. John Taylor(P), John Parricelli(G), Derek Watkins(Tp), John Barclay(Tp), Henry Lowther(Tp), Ian Hamer(Tp), Pete Beachill(Tb), Mark Nightingale(Tb), Sarah Williams(Btb)m Dave Stewart(Btb), Richard Edwards(Tb), Tony Faulkner(Cond) - 1. The Long Time Ago Suite 2. One Plus Three (Version 1) 3. Ballad For A Dead Child 4. Eight Plus Three/Alice My Dear 5. Going For Baroque 6. Gnu Suite 7. One Plus Three (Version 2)

ブラス・アンサンブルを交えた演奏。全曲ケニー・ホイーラー作曲。いわゆるジャズからはちょっと離れた位置にあるかもしれませんが、ブラス・アンサンブルの響きとアレンジが心地よく、なおかつ硬質なサウンド。1曲目は目玉で、何と31分台の大作でドラマチック。後半のピアノとギターがフィーチャーされる部分がけっこうジャジーで楽しい。同じ曲で小品ながらブラスの違った個性で聴かせる2、7曲目。美しいメロディの3曲目。4曲目は前半が淡々と進行し、後半がブラス・アンサンブルでメリハリが効いています。5曲目はその名の通りバロックと現在のブラスの中間か。もうひとつの目玉が6曲目の有名な「ヌー組曲」の再演。こちらの方がカッチリしている印象もありますが、美しいサウンド。(99年9月15日発売)

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