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2024年7月の記事

2024/07/30

フラグメント/ジョン・テイラー・セクステット

Johnfragm 発売当初はカセットテープのみでの発売と、音源としては希少なものを今回再発されたので入手しました。収録時間も60分と、LP1枚では収まらないので、それもなかなか再発されなかった理由かも。演奏は静かな場面もあるけれどもハードなところが目立ち、しかも8ビートのジャズロック的なハードさなので、少々聴く人を選ぶかもなあ、とは思いますが、それでも4曲目や6曲目の出だしなど、ソロ・ピアノでの場面もあります。自分としてはけっこう気に入っているサウンドなのですが、好みはいろいろあるかもしれないなあ、とも思いました。こういうサウンドをトライするのも、ジョン・テイラーらしいなあ、と思うのですが、、、。

 

フラグメント/ジョン・テイラー・セクステット(Rings Tokyo)
Fragment/John Taylor(P, Key) Sextet(Rings Tokyo) - Recorded January 1975. Ken Wheeler(Tp, Flh), Stan Sulzmann(Ts, Ss, Fl), Chris Pyne(Tb), Chris Laurence(B), Tony Levin(Ds) - 1. Interfusion 2. Fragment 3. The Other One 1 4. Happy Kanding - Esater Eve 5. The Other One 2 6. Room For Improvement 7. For Chris 8. Irene

全曲ジョン・テイラーの作曲。収録時間は60分。’75年にカセットテープのみで販売され、’22年にCD化されるもすぐに売り切れ、今回の再発につながった。曲によってはキーボードが使用されることもあるけど、1曲目などはけっこうハードなジャズロックという感じで進んでいきます。3管のアンサンブルもけっこうハードで、ゆったりした場面でもやや個性的か。フリーにも片足突っ込んでいる曲もあって、聴くのに体力のいる曲もありますが、この時代ならではのサウンドを聴くことができます。8ビートの曲が多いですけど、そのサウンドからやはりテイラーらしさがあります。当時のエレクトリック・ジャズとの関係を考えると、こういう方向に行くのが分かるような気が。4曲目はソロ・ピアノ。7曲目はベースを大きくフィーチャー。(24年6月19日発売)

2024/07/29

窓の向こうに -Beyond The Window-/井筒香奈江

Izutumadonomu 実はこのアルバム、先週末のTIAS(東京インターナショナルオーディオショウ)で先行発売がされていて、長男が行ったので買ってきてもらいました。ジャズかというと、特にこのアルバムはJ-POPの範疇に入るんじゃないかという気もしていますが、オーディオファンには有名な歌手らしいので、何年か前にハマってしまいました。今回のアルバムも、制作にあたって音質にかなりこだわって作っているようで、その表記がネットの紹介文にも出ていました。TIASでは3日分のCDを用意したそうですが、それぞれ1日で売れてしまい、結局3日間毎日補充していたそうです。こういう日本語のJ-POPのカヴァーもけっこうハマります。

 

窓の向こうに -Beyond The Window-/井筒香奈江(Vo)(JellyfishLB) - Recorded May 6, 11 and June 3, 2024. 藤澤由二(P)、小川浩史(El-B)、磯部英貴(Ac-B) - 1.さよならの向こう側 2.ラストダンスは私に 3.スカイレストラン 4.黒く塗りつぶせ 5.瞳はダイアモンド 6.どこか ~窓の向こうに~

1-5曲目がJ-POPのカヴァー曲で、6曲目が井筒香奈江の作曲。収録時間は26分。ジャンルでいけばJ-POPの範疇だろうけど、独自の解釈で音の良いアルバムを出し続けているので、ある意味ジャズの部類に入れてもいいのではないかと思います。音空間的には、楽器を最小限にして、間を活かした何度聴いても飽きない作りになっています。曲もスローテンポで、どことなく味わいがあるのは、彼女の他のアルバムと同じです。そして音の良さは、オーディオファンが多く買い求めているところを見ると、定評のあるところだなあ、と思います。ちなみに1曲目から5曲目まで、山口百恵、越路吹雪、ハイ・ファイ・セット、矢沢永吉、松田聖子の曲をやってますが、見事に井筒ワールドの音楽になっているところが見事ですね。(24年8月14日発売)

2024/07/24

ライヴ・アット・スモールズ1996/カート・ローゼンウィンケル・ザ・ネクスト・ステップ・バンド

Kurtlivesmall そして、期待の1枚。’96年の演奏が今になって出てますが、この時期のカート・ローゼンウィンケルってけっこう好きなので、つい買ってしまいました。彼のアルバムは処分しなければ良かったかな、と改めて思います。今聴いてみてもカッコイイんだけど、説明が難しく、とにかく聴いてくれ、というしかないのがもどかしいところ。当時としては新しいジャズではなかったかなあ、と思うのですが、メロディもコードも独特なものを持っているのではないかと思える曲作りです。それで、これだけのメンバーが集まっているので、もう聴くしかないなあ、と思った次第です。演奏時間が長いのですが、逆に満足感は高い。ところで、5曲目の女声ヴォーカル(?)誰?

 

ライヴ・アット・スモールズ1996/カート・ローゼンウィンケル(G、P)・ザ・ネクスト・ステップ・バンド(Heartcore Records)
Live At Smalls 1996/Kurt Rosenwinkel(G, P) The Next Step Band(Heartcore Records) - Recorded 1996. Mark Turner(Ts), Jeff Ballard(Ds), Ben Street(B), Brad Mehldau(P on 3) - 1. A Shifting Design 2. Use Of Light 3. Zhivago 4. Alpha Mega 5. A Life Unfolds 6. The Next Step 7. Minor Blues(Bonus Track)

全曲カート・ローゼンウィンケル作曲。収録時間は72分のライヴ。この頃が彼の初期のあたりの録音だと思うけど、後追いながら彼のアルバムに飛びついた私はむしろ今の彼よりも好きかもしれない。全曲オリジナルというのも彼の自信だったし、それが当時はけっこう新しく聴こえていました。モーダルというよりはコーダルな感じで、割とメロディアスな割には、かなり自由に各メンバーが飛び回っていて、それを難なく演奏してしまうメンバーがカッコ良かったと思います。さすがこのメンバーだからかと思いますが、当時の彼のカッコよさは、説明が難しいけど、まず聴いてみて、それで判断いただければと思います。3曲目のみに参加しているブラッド・メルドーもカッコいいし、フレーズのカッコよさを当時は受け入れてました。(24年7月10日発売)

2024/07/23

Live In Munich/Jordina Milla & Barry Guy

2827 ECMの新譜も一段落。次は8月末だろうと思うので、一休みかな。そこで、このハードなフリー・インプロヴィゼーションのライヴの紹介です。やはり聴く人を選ぶアルバムということになるのでしょうが、そこは、各自のご判断で聴いてください。過去にもこういうハードなアルバムってけっこうあったですし。爆発する方向性ではなくて、やはり内側に向かう傾向は強いですが、特殊奏法を含めて、飽きさせずに聴かせてしまうのは、Jordina MillaとBarry Guyのテクニックでしょうね。プロデューサーの名前は書かれていないので、持ち込み音源なのは確かだろうと思うのですが、いいライヴの演奏を持ち込んでくれたものだと思います。

 

Live In Munich/Jordina Milla(P) & Barry Guy(B)(ECM 2827)(輸入盤) - Recorded February 2022. - Live In Munich: 1. Part I 2. Part II 3. Part III 4. Part IV 5. Part V 6. Part VI

(24/07/21)ライヴ録音で、全編2人のフリー・インプロヴィゼーション。収録時間は61分。1時間にわたって集中力を切らさない演奏は、割とハードな部分を含め、ドラマチックにせまってきます。特にベースの音が弦の音だけではなく、リアリティをもってせまってくるのが印象的。持ち込み音源だと思うけど、ECMに持ち込んで正解だったと思える演奏が続きます。ベースだけではなくて、ピアノも時にいろいろな特殊音を出しているような感じで、飽きさせません。効果音的な、非イディオム系の音とでも言うのか、それが割と多めになります。そして、フリーの演奏の中で、彼らにとって、非常に良いライヴをとらえています。とは言うものの、フリーの直球ど真ん中なので、聴く人を選ぶと思います。フリー好きにはたまらない1枚かも。

2024/07/22

Outpost Of Dreams/Norma Winstone/Kit Downes

2811 ECMの新譜聴き3日目。ECMのヴォ―カリストというと、今日のノーマ・ウィンストンだったり、スザンヌ・アビュールだったり、ちょっと変わった人が多いです。過去にはカーリン・クローグとか、1曲だけならカサンドラ・ウィルソンとか、普通にジャズ・ヴォーカルの世界でも売れている人もいたのですが。このアルバムはノーマの6年ぶりの作品ということで、興味深く聴きました。やはり普通のジャズ・ヴォーカルを求めている人用ではなくて、ECMのファン向けに、マンフレート・アイヒャー直々に作っている感じが強いですね。浮遊感が漂うというのは転調なども駆使しているからで、音楽的にはけっこう高度なんじゃないかとは思います。

 

Outpost Of Dreams/Norma Winstone(Vo)/Kit Downes(P)(ECM 2811)(輸入盤) - Recorded April 2023. - 1. El 2. Fly The Wind 3. Jesus Maria 4. Beneath An Evening Sky 5. Out Of The Dancing Sea 6. The Steppe 7. Nocturne 8. Black Is The Colour 9. In Search Of Sleep 10. Rowing Home

(24/07/21)トラディショナルが8、10曲目、ジョン・テイラー作曲が2曲目、カーラ・ブレイ作曲が3曲目、ラルフ・タウナ―作曲が4曲目、エイダン・オルーク作が5曲目、他の曲はKit Downes作曲。そして8曲目以外はノーマ・ウィンストン作曲。収録時間は41分。ヴォーカルにピアノの伴奏がついていますが、通常よく聴く歌伴よりは温度感が低めですが、それでも美しい、どちらかというとオリジナルっぽい雰囲気で歌を伝えてくれています。ある意味浮遊感が少しある曲を淡々と歌っていく感じかまたいい。マンフレート・アイヒャーのプロデュースなので、そういう傾向がありますが。伴奏もなかなか活躍していて、ただ静かなだけではなく、音数が多い場面もあって、変化に富んでいます。9曲目は歌というよりナレーションです。

2024/07/21

A New Day/Giovanni Guidi/James Brandon Lewis/Thomas Morgan/Joao Lobo

2808 ECMの新譜が2つに分かれて到着しましたが、まとめて届いた分は番号順に聴いていく、という習性があり、これは届いた日の夕方に聴いています。土曜日(午前中は仕事でしたが)だったので、できたことだと思います。このアルバム、一般的なピアノ・トリオが好きな方には(これはクァルテットではありますが)、やはり叙情的で抽象的な部分が、好き嫌いの分かれ目になるのではないか、と思うのですけど、マンフレート・アイヒャーもけっこうな歳でも、冒険的なことをするんだなあ、と思います。あくまでもECMで録音するとこうなる、というような音でせまってくる感じではありますね。彼もECMでのリーダー作は5枚目かな。他にエンリコ・ラヴァのピアノでも参加してましたし。

 

A New Day/Giovanni Guidi(P)/James Brandon Lewis(Ts)/Thomas Morgan(B)/Joao Lobo(Ds)(ECM 2808)(輸入盤) - Recorded August 2023. - 1. Cantos Del Ocells 2. To A Young Student 3. Means For A Rescue 4. Only Sometimes 5. Luigi (The Boy Who Lost His Name) 6. My Funny Valentine 7. Wonderland

(24/07/20)1曲目がトラディショナル、6曲目がスタンダード。4曲目が4人のフリー・インプロヴィゼーションの他はGiovanni Guidiの作曲。収録時間は43分。ピアノ・トリオは過去にこの3人であったけど、テナー・サックスは今回初めての参加。やはりECMらしく流れるようなメロディとリズムを特徴とする、叙情的で内省的なサウンドになっています。このサウンドで、好みは分かれると思うのですが、静かな、メロディのあるフリーと考えると、けっこう好みかな、と思います。マンフレート・アイヒャーのプロデュースらしいアルバム。3曲目は繊細な音の連なり。4曲目はまるで作曲されたような整っている曲になってます。6曲目のスタンダードもスローでビート感が少なく、オリジナルに近い雰囲気。トータルとしては色が出ています。

2024/07/20

Delian Quartett/Claudia Barainsky/Im Wachen Traume

2743 ECMの新譜が届いているので、聴いていきます。今日はNew Seriesです。ウィリアムズ・バードやロベルト・シューマンの名前も、元々クラシック関係に全然無縁だった私は、ECM New Seriesを通して聴くことができるようになりました。昔は門外漢という言葉を乱発してましたが、さすがに数百枚聴いてくると、そうも言えなくなってきますしね。クラシックも相変わらず偏った聴き方はしているんですけど。今回の古楽やバロック、クラシックを現代音楽家がアレンジして初出で発表となると、まだ少し自分にはハードルが高いかな、という感じも少々してますけど、ある程度は楽しんで聴けるようにはなりました。

 

Delian Quartett/Claudia Barainsky(Soprano)/Im Wachen Traume(ECM New Series 2743)(輸入盤) - Recorded Recorded October 2021. Delian Quartett: Adrian Pinzaru(Vln), Andreas Moscho(Vln), Lara Albesano(Viola), Hendrik Blumenroth(Cello), Mikhail Timoshenko(Baritone), Matthias Lingenfelder(2nd Viola), Andreas Arndt(2nd Cello) - William Byrd: 1. Sing Joyfully 2. Jhon Come Kisse Me Now 3. Ave Verum Corpus 4. Out Of Orient, Crystal Skies 5. Lullaby, My Sweet Little Boy   Robert Schumann: 6-13: Frauenliebe Und Leben Op.42

(24/07/19)収録時間は58分。William Byrdは16世紀イギリスの作曲家、Robert Schumannは19世紀ドイツの作曲家。前半はヘンリー・パーセルと合わせ、ステファノ・ピエリーニによる編曲で、後半はアリベルト・ライマンの編曲と、現代の立場から手を加えているようです。歌唱が現代音楽の感じの香りも混ざってるけど、ルネッサンス期からバロック期の香りの前半と、シューマンっぽさも残っている後半です。いずれも初出らしいです。

(追記)曲数の表記とインデックスの数が違うので、少し戸惑っています。

2024/07/19

Painter Of Dreams/Misha Tsiganov

1421 Criss Crossレーベルの新譜が出ました。以前(先代)の時は5枚ずつ年3回というパターンが多かったのですが、最近は1枚ずつの発売で、しかも発売ペースが以前より早くなってきているので、楽しみです。今回のアルバムは、クリス・ポッターやアレックス・シピアギン、ミゲル・ゼノン、ジョナサン・ブレイク、マット・ブリューワーなど、有名なミュージシャンで固めて、現代ジャズとフュージョンの間を行くような形になっています。最近はLPサイズの長さのアルバムが増えてきている中で、73分収録なのはちょっと長いかなとも思いますが、このサウンドに囲まれているとなかなか幸せでもあったりします(個人的感想)。ちょっと独特なサウンドなので、ストリーミングで確かめてからでもいいかも。

 

Painter Of Dreams/Misha Tsiganov(P, Key Synth)(Criss Cross 1421)(輸入盤) - Recorded January 6, 2024. Chris Potter (Ts on 1-2. Ss on 3), Miguel Zenon(As), Alex Sipiagin(Tp), Johnathan Blake(Ds), Matt Brewer(B), Hiske Oosterwijk(Vo on 2, 4, 6) - 1. Elusive Dots 2. April 3. Up Journey 4. Painter Of Dreams 5. Long Ago And Far Away 6. Seeley Street Song 7. Chain Of Events 8. L Loves You Porgy

(24/07/18)5、8曲目がスタンダードで他はMisha Tsiganov作曲。収録時間は何と73分。Chris PotterやAlex Sipiaginなど、サイドをそうそうたるメンバーで固め、ヴォーカル曲も3曲あります。ポッターは最初の3曲のみに参加だけど、エレキピアノ(ローズ)とのデュオではじまり、いい仕事をしています。シンセサイザーも入ったり。そこから当然の盛り上がり。ヴオーカルも器楽的な使い方をしていて興味深い。ただ、今の時代ちょっと長い曲が多いなあ、という感想も。曲によってはエレキベースも出てきて、ビート感のある現代ジャズとフュージョンの間という感じです。聴くのになかなかエネルギーを要します。スタンダードも言われれば分かるけど、オリジナルのような雰囲気。エレキピアノ比率が高いので、少々マニア向け。

2024/07/18

ジャズブログが増えていないような気がする

到着しているCDは3枚あるのだけど、慌ただしいのとちょっと疲れがとれないこともあり、今日は雑記で。大手のサービスでブログがはじまったのは2003年のこと。もう20年以上が経ち、ブログのシステムをが古くなって維持できないということでYahooなど、けっこう大手でもブログをやめてしまったところもありますし、淘汰されてしまったところも多いです。そして、時代はX(旧Twitter)、Noteなどにも移って行って、いろんなところでジャズのレビューが行われるようにもなってます。とくにXという文字制限があるところでのジャズレビュー、最初に見たときはちょっとびっくりしましたが、慣れるとそっちの方が見るのが楽かなとも思うように。

昔はブログにトラックバックという制度があったり、同じアルバムをレビューしている仲間同士でコメントしあったりしてけっこう活発なやり取りがあったのですが、もうここ数年、他の人のところにコメントを書きに行くことも書かれることも多くはなくなってしまいました。そして、ブログサービスの淘汰もあって、新しくジャズブログをはじめるという人、少ないんじゃないでしょうか。ブログって意外に地道な作業が必要で、Xと違ってバズるということはめったにないし、だいたい個人的に目標としている50ページビュー/日に届くのは、もう確立してしまっているブログ以外では、ある意味至難の業です。そこまでモチベーションを維持できないでしょうし、ガマンするくらいなら、Xでバズり方を考えた方が早いと思う人もいるでしょうし。

自分の行動範囲が狭いせいなのかどうか、周りでは更新が停止してしまったブログもあるし、新規参入というのは珍しいくらいになってしまいました。私も将来を見越して引っ越しさせたいブログがあるのですが、その引っ越しにかかる手間を考えると、躊躇してしまうんですよね。以前一度メインブログでトライしてみましたが、全部の写真のリンクを張り替えなければならないので、面倒でやめてしまいました。今でも新規参入してくる人、いるのでしょうか。たぶん、自分の見てないところではいるんじゃないか、とは思いますが、なかなか目に留まることがありません。私なんかのブログ初期からの世代は、ブログにこだわっている部分も多いですが、もうそういう時代ではないのかもしれないですね。

2024/07/17

アロフト/田村夏樹、藤井郷子

Tamuraaloft田村夏樹、藤井郷子9作目のデュオ。とは言うものの他にも3ケタにのぼる膨大なアルバムを作っているだけに、今回はどういう風にせまってくるのだろう、という楽しみもあります。同じような曲が過去にもあったということはほぼなくて、恐ろしいほどのヴァリエーションを持っています。今回のアルバムもその通りで、飽きずに一気に50分、聴いてしまいました。ただフリー・インプロヴィゼーションということで、やはりそちらが好きな人向け、ということはあるのでしょうが、意外にカッチリしているところもあって、オーソドックスなジャズを聴く人がどんな感想を持つのかも聞いてみたいところです。まるで情景描写、という印象が今回は強かったでした。

 

アロフト/田村夏樹(Tp)、藤井郷子(P)(Libra Records)
Aloft/Natsuki Tmura(Tp), Satoko Fujii(P)(Libra Records) - Recorded December 2023. - 1. Migration 2. Wintering 3. Traveling Bird 4. Lifting 5. On The Flyway 6. Waiting For Dawn

デュオの9作目。全曲2人のフリー・インプロヴィゼーション。収録時間は50分。ライナーには「鳥の世界を想起させる」とあり、フリーインプロヴィゼーションとしてはカッチリしている部分も。まるで作曲された1曲目のような曲もあります。2曲目はトランペットで息を吐く特殊奏法ではじまり、硬派で基本的には静かなフリーが目の前に現れます。やはりこの2人でないと出てこないサウンドで、これがあるからこそ、と思います。まるで間合いをはかりながら、会話を続けるような緊張感のある3曲目、鳥の鳴き声のような、あるいは叫び声のようなトランペットをピアノが支えて情景描写が見るような4曲目、変拍子と、野太い声と掛け合わせたトランペットが印象的な5曲目、低音が流れていき、まさに夜明け前を表している6曲目。(24年7月12日発売)

2024/07/14

7月13日(土)麻生音楽祭、ライヴに出ました

150613kaijou_20240714074901ちょっとこのところバタバタしていたのは、麻生音楽祭というライヴの準備をしていたためもあり、昨日の7月13日にライヴに出ました。私がメンバーとして参加するなったのが’15年のことなので、毎年1回(コロナで1回休止あり)ですが、けっこう長くやってますね。このポピュラーミュージックショーも、オーディション制になってから何回目かでもあって、だんだんと周りのレベルが高くなっているような気もしています。

川崎市が関与しているとのことなので、音楽著作権協会には届け出がしてあり、その点では安心して演目などを書くことができます。例年はオフコースの曲が多かったのですが、今年は4曲のうち2曲がそれ以外の曲を取り上げています。出演時間は20分ですが、ワンマンでやっている時と比べると、やはり負担が少ないので楽、なはずでした。こういう時にちょっとしたミスをしてしまいますが、PAから出ている音だったり、知っている曲かどうか、という点でも、案外他のバンドを聴いていて、分からないものだというのも分かりました。

実は前に出演するバンドのベースが急に本番で壊れ、私のベースを貸すというハプニングがありました。何と、ストラップの長さ以外はベースの設定をそのままにして使ってもらったようで、それでも初めて弾くベースではないような、慣れた演奏を見ることができました。素晴らしい。

そして、自分たちの出番。あっという間の20分間でしたが、かれこれ5月からスタジオ練習は5回やったかな。けっこう長い準備でした。本当は映像などがあればこういう場で流すといいんでしょうけど、それは観に来てもらった人たちと共有したい、という思いもあり、ジャズではありませんが、ご興味があったら観に来ていただけたら、と思います。そもそもここはジャズブログなんで、そういう人もほとんどいらっしゃらないとは思いますが。

昨日は打ち上げも含めて楽しかった1日になりました。

2024/07/07

えっ?輸入盤CDが1枚4千円超?(円安の影響か)

今までは、輸入業者さんが頑張ってくれていたおかげで、輸入盤は一番安いところを探すと、セールの時などでそれなりに今まで通りの値段で買えるところがあった。それが7月26日発売予定の「Moondial/Pat Metheny」を、色々探しても1枚で買うとなるとどうしても4千円台にはなってしまう。おそらくはペラジャケで1枚ものの輸入盤がですよ。ソロ・ギターのようだし、すでにAmazon Music Unlimited(HD)には、3曲は聴くことができるようになってます。

う~ん、円安もここまでくると、こういうことになってしまうのか。1ドル160円から161円のあたりを彷徨ってますもんね。今まで、安い値段で買えるところがあった方が不思議なくらい。これだったら、国内盤が2,860円前後で売ってたら、そっちへ流れるなあ、とも思います。どっちみち気に入った盤以外は何度も聴くことがないし、聴くにしてもストリーミングで、ということも多くなったので、これからは追っかけているミュージシャンでもCDを買うのはパスかなあ、とも思います。今までは基本CDで聴いたものをアップしていたので、そのルールもどうしようか考えなければなあ。先にCD発売が廃れていって強制的にストリーミングで聴くようになる、というストーリーを予測していただけに、何とも言いようのない感じになってます。

あまりやりたくはないけど、ブログやホームページもフェードアウトかなあ、と思うし、やるせないですね。円安が戻らないのは日銀が国債を買いすぎて、金利を挙げたら日銀が赤字になるからだそうで、それが上げることができれば、円安も止まるのにね。って、借入金利も上がるから、住宅借入金、会社などの借入金などにも影響を与えるので、簡単には行かないでしょうけど。まあ、これで一気にCDからストリーミングへの流れができてしまうだろうなあ、とは思います。

(7月9日追記)このパット・メセニーのアルバムのように極端な例は、一部のCDしか見てないのでまだないですが、じわじわと元値が上がってきているのは、各通販のサイトなどを見ていて、感じます。

2024/07/03

トキ/土岐英史カルテット

Tokitoki TBMレーベルの今回届いた3枚目にして一段落のアルバム。録音は’75年だけど、’60年代のモーダルな演奏の雰囲気をプンプンさせているサウンド、好きですねえ。ここではピアノがいなくて、ギターに渡辺香津美が入っているのも、プラス要素になっています。本来ならもっと昔に出会うはずのアルバムだったような気がしてますが、ジャズだけでも星の数ほどアルバムが出ているので、今年出会えたのは良かったのかもしれません。こういう演奏、けっこうツボでして、日本のジャズもなかなか捨てたもんじゃないな、と思います。できれば細く長く、SACDシリーズが続いて欲しいのですが、こればかりは先のことが読めません。いい演奏はただ聴くのみです。

 

トキ/土岐英史(As、Ss)カルテット(Three Blind Mice) - Recorded May 17, 1975. 渡辺香津美(G)、井野信義(B)、Steve Jackson(Ds) - 1. Lullaby For The Girl 2. Darkness 3. Blues 4. When Sunny Gets Blue 5. Old Song Blues

3、4曲目はジャズメン・オリジナルやスタンダードで、他は全曲土岐英史の作曲。収録時間は41分。ギターを交えたクァルテット編成で、なかなか渋い演奏を聴くことができます。独特なメロディと深みのあるモーダルな響きの8分の6拍子で、テンポもよく、アルバムに入っていくつかみはOKだと思う11分台の1曲目、同じ8分の6拍子でもゆったりしていて、そこを縦横無尽にサックスが走る10分台の2曲目、オーネット・コールマン作の有名な曲のテーマから、その名の通りアップテンポのブルース進行に入っていく、割と豪快な演奏が聴ける3曲目、優しくて温かみのあるスローなバラードでのスタンダートがアルバムのオアシスになっている4曲目、オーソドックスな4ビートのブルースだけど、聴くと渋いサウンドの5曲目。(24年6月26日発売)

2024/07/02

マリ・ナカモトIII/中本マリ/鈴木勲・渡辺香津美

Nakamoto3 TBMレーベルの、今回届いた2枚目。やはり今回はSACD化ということで、厳選して少しずつ発売しているので、名盤が多いように感じます。このアルバムも初聴きですけど、中本マリはけっこう早い時期から、’80年代あたりからかな、JVCで何枚もアルバムを出していて、その中の何枚かはLPで購入しています。中にはジャズというよりはフュージョンやポップスに近い演奏もあったりもしたけれども。今回のアルバムはギターとベースのみをバックにしてジャズを歌っているということで、そのメンバーもいいし、安定して聴けるアルバムに仕上がっている感じです。3枚目のアルバムだとは思いますが、これが真っ先に出てきた理由も、聴いていてわかります。

 

マリ・ナカモトIII/中本マリ(Vo)/鈴木勲(B)・渡辺香津美(G)(Three Blind Mice) - Recorded November 25 and 26, 1975. - 1. Georgia On My Mind 2. What A Difference A Day Made 3. You Came A Long Way From ST. Louis 4. I Only Have Eyes For You 5. Sunflower 6. What Are You Doing The Rest Of Your Life? 7. Just Friends 8. Didn't Me 9. A Nightingale Sang In Berkley Square

全曲スタンダードやポップスなど。収録時間は38分。中本マリは日本の女性ジャズ・ヴォ―カリストとしては割と早くから有名になった人で、アルバムをその後も出し続けていた時期があるなど、実力派だと思います。ベースとギターというシンプルな伴奏を従えて、じっくりと歌いこんでます。ギターが渡辺香津美なのも魅力ですし。2曲目のようにやや賑やかな曲も、このトリオでなかなかいけるし、合っているなあと思います。バンドを支えている2人がテクニックは確かなので、安心してまかせられるということもありますし。そこにさらに安定したヴォーカルが加わるということで、このアルバムを名作にしているのだなあ、と思います。選曲もいいし、メンバーもいいし、実力もあるということで、普段はヴォーカルを聴かない人にも。(24年6月26日発売)

2024/07/01

ブロー・アップ/鈴木勲トリオ/カルテット

Suzukiblowup TBMレーベルのSACDハイブリッドシリーズの第2弾が出ました。実は前回購入した時との間に、SACD/CDドライブのメカを供給するメーカーが、7月で供給中止になるというニュースが入って、いろいろなメーカーに供給していたので、SACDプレイヤー自体の生産できるところが無くなってくるんじゃないか、ということが。このSACDのシリーズ4か月おきに3種ずつとりあえず12枚(4回)出ることは決まっているんだけど、その先は難しくなってきたのでは、と思わせます。それでも、名盤と言われるものをセレクトしていると思うので、聴いた感じの満足感は大きいのですけど。できれば、このシリーズで、もう少し続けてほしいものだなあ、と思います。少し前には廉価盤でかなり網羅して出してはいるんですけどね。

 

ブロー・アップ/鈴木勲(B、Cello on 5-6)トリオ/カルテット(Three Blind Mice) - Recorded March 29 and 30, 1973. 菅野邦彦(P、Key on 1)、ジョージ大塚(Ds)、水橋孝(B on 1, 3, 5-6) - 1. Aqua Marine 2. Everything Happens To Me 3. Blow Up 4. Like It Is 5. I Can't Get Started 6. Low Flight

2、4-5曲目がスタンダード等で、他は鈴木勲の作曲。収録時間は34分。曲によってはベースが2人となる変則編成です。フリーになりそうでならなくて、叙情的なサウンドで進んでいく1曲目は、緊張感も伴いながら、メロディアスな面も持ち合わせています。急に軽快なラテンビートになって、ピアノ・トリオでスタンダードらしくノリ良く流れていく2曲目、8ビートで、豪快に切り裂いていくような、ベースが2人いて、時にアルコ奏法も交えつつ、重量級の音を聴かせてくれる3曲目、少しお茶目な雰囲気も持っている、スタンダードと言っても分からないようなメロディを持つ4曲目、チェロをピチカート奏法で主旋律のテーマを弾くという、少し変わった使用法の5曲目、アップテンポの4ビートでチェロとベースの対比が面白い6曲目。(24年6月26日発売)

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