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2024年2月の記事

2024/02/28

The Illusion Of Choice/Michael Thomas

1418 Criss Crossレーベルの新譜が届きました。これで手持ちの未聴盤はなくなりましたので、また更新が毎日ではなくなるかと思います。このアルバム、HMVでは3月下旬の発売予定だったので、のんきに構えていたら、他の通販から2月21日に発売になってしまったので、慌てて買いました。3月は欲しいCDも少ないし、ちょっと高いけど、バラバラで購入することになりそうです。今日のマイケル・トーマス、Criss Crossでは初ですが、4枚目のリーダー作だそうで、もうだいぶ安定した演奏を聴かせてくれます。やはり今のミュージシャンなので、今っぽいスマートな音を出しているなあ、という印象。好みなんですが、もう少し深みが出てくると化けるかなあ、という感じもしています。9曲目のスタンダードも彼流になってますし。

 

The Illusion Of Choice/Michael Thomas(As)(Criss Cross 1418)(輸入盤) - Recorded September 14, 2023. Manuel Valera(P), Matt Brewer(B), Obed Calvaire(Ds) - 1. Circles 2. Hokkeshu 3. Information Paradox 4. The Other Side 5. Shades Of Green 6. Mnemosyne 7. Darkness And Light 8. The Illusion Of Choice 9. It Could Happen To You

(24/02/27)9曲目のみスタンダードで、他は全曲Michael Thomasの作曲。収録時間は59分。いいメンバーです。今っぽい曲を書く人で、1曲目も変拍子が混ざっているようで、それでいてスマートに吹ききっている感じ。この曲はエレキ・ベースで、見事にノリノリの変拍子ファンクになっています。他に4、7曲目も。2曲目以降もミディアムテンポやスローの曲もあったりしますが、都会的でスマートな、それでいて今を感じさせるサックスは、なかなかいい感じ。あまり都会っぽすぎて、クールなサックスのため、好みはあるかもしれないですが、それでも十分にジャズしていると思います。メカニカルとも言える感じ。6曲目のバラードは、やはり彼自身の色合い。タイトル曲の8曲目は、スマートなスピリチュアルといった感じの曲。

2024/02/27

グッドバイ/ミルト・ジャクソン

Miltgoodbye CTIレーベルのSACD4日目で一段落。ここまで聴いてみて、昔LPで持っていたというのは実は同じミュージシャンの他のレコードだったりして、実質初聴きが4枚になってしまいました。ミルト・ジャクソンも持っていたのは「サンフラワー」の方でしたし。CTIもけっこうな枚数のアルバムを出していますが、そのうちの一部でもいい音で聴けたというのは、やっぱりいい経験かと思います。このアルバムも、当時のジャズとしてなかなかいいアルバムだなあと思いました。リアルタイムは中学生の頃だったので、メンバーが多い方がコスパが高い、なんて妄想をしていて、あまりソロ、デュオ、コンボ編成のジャズにはなかなか触れなかった時でもありました。

 

グッドバイ/ミルト・ジャクソン(Vib)(CTI)
Goodbye With Hubert Laws(Fl)/Milt Jackson(Vib)(CTI) - Recorded December 1972 (on 4) and December 1973. Herbie Hancock(P on 4), Cedar Walton(P), Ron Carter(B), Billy Cobham(Ds on 4), Steve Gadd(Ds), Freddie Hubbard(Tp on 4) - 1. Detour Ahead 2. Goodbye 3. Old Devil Moon 4. SKJ 5. Opus De Funk

4曲目がミルト・ジャクソン作曲で、他はスタンダードやジャズメン・オリジナル。収録時間は36分。ここでの演奏は普通にジャズしています。4曲目だけ録音日付が変わり、メンバーも替わっています。CTIでこういうジャズを聴けるのもいいですが、それでも何となくわかりやすいジャズになっているのも偶然ではないとは思います。エレキ・ピアノがあっても、ドラマーがスティーヴ・ガッドでも、ジャズになっていると思うのは、今聴くからなのかもしれませんが。2曲目のタイトル曲もアレンジがジャズ・バラード的なんだけど、どこか洗練されていて、渋いところがあります。それにしてもヴァイブラフォンのフレーズや音色が、けっこう印象に残るのはどうしてでしょう。CTIにしても、ジャズとしてなかなか侮れません。メンバーもすごいし。(21年1月20日発売)

2024/02/26

ラプソディ―・イン・ブルー/デオダート

Deodato2 CTIのSACDの3日目。1枚あたりの収録時間が30分台と短いアルバムが多いので、先に何とか聴けそうですね。今日のアルバムまでは意外に聴いてなかった(LPでも持っていなかった)アルバムなので、’70年代前半と古いとはいえ、なかなか楽しめました。アレンジャーとしても名をはせているデオダートですが、アレンジ自体は、ボブ・ジェームスの方が好みでした。リアルタイムではボブの1-4枚目までは当初CTIから出ていて、その後、権利を本人が買い取ったと思います。それでもこのアルバムを聴いていると、’70年代前半のクロスオーバーらしく、この時代を感じさせるサウンドで、ちょっと古さも見せつつも、カッコいいとも思ってます。2曲目が静かで、全体のアクセントにもなっています。

 

ラプソディ―・イン・ブルー/デオダート(Key)(CTI)
Deodato 2/Deodato(Key)(CTI) - Recorded April -May, 1973. John Tropea(G), Stanley Clarke(B), Billy Cobham(Ds), Burt Collins(Tp, Flh), Jon Faddis(Tp, Flh), Victor Paz(Tp, Flh), Alan Rubin(Tp, Flh), Joe Shepley(Tp, Flh), Marvin Stamm(Tp, Flh), Wayne Andre(Tb), Garnett Brown(Tb), Tony Studd(Btb), Jim Buffington(French Horn), Brooks Tillotson(French Horn), Joe Temperley(Bs), Jerry Dodgion(Fl), Hubert Laws(Fl), George Marge(Fl), Romeo Penque(Fl) - 1. Nights In White Satin 2. Pavane For Dead Princess 3. Skyscrapers 4. Super Strut 5. Rhapsody In Blue

3-4曲目がデオダート作曲、2曲目がラヴェルの「なき王女のためのパヴァーヌ」、5曲目がガーシュインの「ラプソディ―・イン・ブルー」と、クラシック曲が多いのも、レーベルの方針か。収録時間は34分。1曲目は静かにブルージーに始まって、アップテンポになり、ワンコードっぽくカッコよく展開していく、当時のクロスオーバーらしさ満載の曲。そしてまた静かな方向から盛り上がるという趣向。いかにもクラシックからのアレンジという、渋いアレンジでせまってくる哀愁度満点の2曲目、ファンクネスとホーンの参加の塩梅がなかなかいい感じの、ノリの良い3曲目、やはりこれも当時のクロスオーバーという感じで、いかにもな感じが逆に心地良い4曲目、5曲目の有名曲も、思いっきりクロスオーバーして遊び倒している感じ。(21年1月20日発売)

2024/02/25

春の祭典/ヒューバート・ロウズ

Huberttherite CTIのSACDのシリーズの2日目。発売年が’20-21年なので、まあ、一部はタワーレコードの店舗に買いに行ったにしても、よく必要な分だけ手に入ったな、と思います。さて、この「春の祭典」、昔LPでは持っていなくて、なぜか初聴きだったようです。’71年録音でここまで徹底してアレンジをかませて演奏するジャズはなかなかないんではないかと思います。アルバムの収録時間は30分と短いけれど、濃いアレンジのおかげで短さを感じるようなことはありませんでした。ここでも、ボブ・ジェームスとかジャック・ディジョネットとか、以前から追っかけしているミュージシャンが参加してましたね。さっそくホームページのリストの方も補強しておきました。

 

春の祭典/ヒューバート・ロウズ(Fl)(CTI)
The Rite Of Spring/Hubert Laws(Fl)(CTI) - Recorded June 1971. Gene Bertoncini(G), Stuart Scharf(G), Dave Friedman(Vib, Per), Bob James(P, Key), Ron Carter(B), Jack DeJohnette(Ds), Wally Kane(Bassoon), Jane Tayler(Bassoon), Airto Moreira(Per) - 1. Pavane 2. The Rite Of Spring 3. Syrinx 4. Brandenburg Concerto No.3, 1st Movement 5. Brandenburg Concerto No.3, 2st Movement

フォーレのパヴァーヌ、ストラヴィンスキーの春の祭典、ドビュッシーのシランクス、バッハのブランデンブルク協奏曲第3番と、全編にわたってクラシックを取り上げているアルバム。収録時間は30分。とは言うもののイージーリスニング的にクラシックのクロスオーヴァー化をしているだけではなくて、2曲目の春の祭典の一部のように、少しハードな取り上げ方をしている面もあります。アレンジはドン・セベスキー。彼のアレンジはなかなか協力で、単にテーマだけでクラシックを使用するだけではなくて、曲全体のジャズとクラシックのバランスをうまくとっています。これはクロスオーヴァーとしても画期的なアレンジで、’71年に良くここまで徹底したアレンジをしているなあ、という印象。どの曲も凝っているけど、バッハが強い印象。(21年1月20日発売)

2024/02/24

ピュア・デスモンド/ポール・デスモンド

Paulpuredes CTIのSACDでまだブログにあげてないものを、時間ができたので聴いていきます。当時’70年代はジャズ不毛の時代とも言われていて、その中でセールスにおいてはCTIがクロスオーバーやジャズで注目されていました。例えばこのアルバム、往年の名手を使ったジャズで、有名曲を多く演奏していて、しかもわかりやすいところが受けていたのではないかと思います。かくいう私も中学時代にリアルタイムでこのレーベルの音楽に、けっこう影響を受けました。まだ’50-60年代ジャズの黄金時代に近い時期でもあったんですね。’80年代にジャズがまた盛り返すことになるのですが、その間を埋める形で、このレーベルの役割は、賛否両論あれど、重要だったんではないかなあ、と思います。

 

ピュア・デスモンド/ポール・デスモンド(As)(CTI)
Pure Desmond/Paul Desmond(As)(CTI) - Recorded September 1974. Ed Bickert(G), Ron Carter(B), Connie Kay(Ds) - 1. Squeeze Me 2. I'm Old Fashioned 3. Nuages 4. Why Shouldn't I 5. Everything I Love 6. Warm Valley 7. Till The Clouds Roll By 8. Mean To Love

CTIらしく、スタンダードやジャズメン・オリジナル曲集。収録時間は35分。このレーベルとしてはクロスオーバーではなくジャズを演奏しているという点で特色がありますが、それでも分かりやすく、ある程度キャッチ―なサウンドで、セールスも目指していたことが分かります。ポール・デスモンドのサックスも甘くて、メロディアスで、小難しいところがなくて、それが当時流行った点だろうと思います。参加メンバーも一流だし、フロントで絡むギターのエド・ビッカートも、似たような分かりやすい傾向で、しかも一流のギターという感じがします。アドリブもあるけど、とにかくどの曲もメロディが前面に出てくるのが印象的。そこに有名曲のオンパレードで、当時売れていたことが分かります。この甘いサックスはもっと聴いていたい気も。(20年12月11日発売)

2024/02/23

Unwritten/KAZE

Kazeunwritten 藤井さん関連の新譜2作目。2月9日発売でしたし、国内盤扱いをしてもいいのかな、とも思いましたが、見た目のジャケが輸入盤のような感じなので、輸入盤としてしまいました。((注)正式には輸入盤国内仕様) このグループでの初めての完全フリーとのことですが、今までもフリーとして聴いていたのだけど、書き譜とフリーが混ざり合った構成だったのだと今更ながら気がつきました。マスタリングはあのマイク・マルシアーノ(藤井さんの最近のアルバムでは、よく名前を見る)だし、音も素晴らしい(これもデジタル補聴器の音楽ポジションのおかげですが)。ただし、完全フリー・インプロヴィゼーションなので、聴く人を選ぶところはあるかなあ、という感じはしています。

 

Unwritten/KAZE(Circum Libra)(輸入盤) - Recorded May 14, 2023. Christian Pruvost(Tp, Flh), Natsuki Tamura(Tp, Voice), Satoko Fujii(P), Peter Orins(Ds) - 1. Thirteen Years 2. We Waited 3. Evolving

(24/02/22)KAZEの8作目にして初めての全編フリー・インプロヴィゼーション。収録時間が62分のライヴ。今までもフリー・インプロヴィゼーションとして聴いていたけど、書き譜とフリーが複雑に入り組んだ構造だったのが、その説明で分かりました。ただ、フリーとは言え、大きな枠で見るとその構造がしっかりしているようにも感じ、その中でドラマチックに、しかも自由に進んでいくのではないか、と感じました。1曲目が36分の大曲、2曲目が17分、3曲目が8分ですが、それでも、静かに始まり、盛り上がって、また静かになってと、その息の合ったところを聴かせます。フリーの王道のような気もしますが、トランペットで本来の音とは違う音を出したり、あえて2曲目で日本語のようなヴォイスが入っていたりと興味深いです。

2024/02/22

ジェット・ブラック/藤井郷子 東京トリオ

Fujiijetblack 藤井郷子さん関連の新譜が2枚ありますので、聴いていきます。これが終われば、また更新間隔が開くかもしれません。さて、このアルバム、須川崇志、竹村一哲とのトリオで、1枚目もそんなに昔に出たのではなかったように思いますが、メンバーのせいか、現在のところ品切れになっているようです。いつもの藤井さんファンだけでなく、メンバー目当てで購入する人も一定数いるのでは、と思います。前から推測はしていたのですが、書き譜とフリーの塩梅が、ライナーでも書かれていて、それに超絶変拍子も混ざるとなれば、けっこう聴きがいもあります。というより分析不可能な拍子。昔の比較的シンプルな(今に比べてという意味で)マーク・ドレッサー&ジム・ブラックの時代のトリオもいいけど、今回のトリオはまた別格ですね。フリーに近い。

 

ジェット・ブラック/藤井郷子(P) 東京トリオ(Libra Records)
Jet Black/Satoko Fujii(P) Tokyo Trio(Libra Records) - Recorded March 21, 2023. Takashi Sugawa(B), Ittetsu Takemura(Ds) - 1. Along The Way 2. Gentle Slope 3. Sky Reflection 4. From Sometime 5. Take A Step 6. Jet Black

グループ2枚目。全曲藤井郷子作曲。収録時間は55分。すごいメンバー。ライナーにある通り書き譜とフリーがせめぎ合い、変拍子もバシバシ出る超難曲が多い。1曲目の出だしで短めのフレーズと思ったら、ドラムスやベース、ピアノのソロをはさんでドラマチックな変化で進んでいく。そしてより激しく、キメはあるもののどこまで書き譜なのか分からないくらい怒涛のように流れていく2曲目、ベース・ソロではじまりピアノ等も加わり、静寂から盛り上がっていく薄暗い雰囲気の3曲目、出だしの楽器の間の取り方が「和」を感じさせつつ、伸び縮みしながら波状攻撃を仕掛ける4曲目、まさにゆっくりステップを踏むような、たどたどしいリズムもある5曲目、黒のイメージのしっとり感もある静かなバラードの、タイトル曲の6曲目。(24年1月26日発売)

2024/02/21

タワーレコードのCTIのSACDハイブリッド盤を7枚購入

240220cti1 240220cti2 結局、昨年暮れからまとめて購入したタワーレコード限定のSACDハイブリッド盤、2か月弱で31枚になってしまいました。その良さが分かるのか、果たしていいのか良くないのか、私の駄耳では判断のつかないところもあって、もうこれ以上は購入をストップしようと思います。今回はCTIのうち、欲しいもの3枚が通販では購入できなかったのですが、一番近場の、駅前のタワーレコードでその3枚が在庫ありで、定価だし、ポイントはあまりつかないけど買ってきました。この3枚は以前にブログで掲載しています。Amazon Musicのストリーミングでは、探してもなかったような気もするので、キングさん、ここでも音源だしてないのかなあ、なんて思ってます。あと、CTIはCDの廉価盤がけっこう出ていて、高価なSACDに手を出すメリットは?とも考えてます。

アランフェス協奏曲/ジム・ホール

枯葉/チェット・ベイカー

モントルーII/ビル・エヴァンス

そして、下記のものは、今まで持っていなかったか、LP時代の昔に持っていて処分してしまったもので、ブログにはアップしていません。

ピュア・デスモンド/ポール・デスモンド

春の祭典/ヒューバート・ロウズ

ラプソディ―・イン・ブルー/デオダート

グッドバイ/ミルト・ジャクソン

いい加減に繁忙期できついので、あと新譜を2枚聴いたら、この上記の4枚はしばらくして余裕ができたら、ということにしようと思ってます。この4枚は通販で割引とポイントアップの時に購入しました。そして、下記も有名盤ではあるのですが、ヴォーカルものであまり今までも縁がないということで、そちらは購入予定はありません。これで、一連の熱病状態が落ち着いてくれることを祈ってます。(追記)結局買ってしまいましたが。

ボルチモア/ニーナ・シモン

ジルベルト・ウィズ・タレンタイン/アストラッド・ジルベルト

ストーン・フラワー/アントニオ・カルロス・ジョビン

2024/02/20

Words Unspoken/John Surman

2789 ECMの新譜が1枚届いたので、聴きます。最近は3-5枚ぐらいまとめて注文できたのに、これだけ1枚注文すると高くなり、何とも悩ましいですが、今回はポイントがたくさん貯まっていたので、Tレコードを使いました。さて、ジョン・サーマンの新作ですが、彼の演奏のマイペース差は相変わらずで、ブラインドをやっても、少し憂いを帯びていて短調のメロディを吹いているような、彼のフレーズって分かるんではないかなと思います。そこをメンバーに変化を持たせて飽きさせないように、今までも何枚もECMよりアルバムを出してきましたし。今回は持ち込み音源のような感じですが、それでもECMの道を外していない、というのは、もう彼自身がこの方向性だからなんでしょうね。

 

Words Unspoken/John Surman(Ss, Bs, Bcl)(ECM 2789)(輸入盤) - Recorded December 2022. Rob Luft(G), Rob Waring(Vib), Thomas Stronen(Ds) - 1. Pebble Dance 2. Words Unspoken 3. Graviola 4. Flower In Aspic 5. Precipice 6. Around The Edges 7. Onichi Ceilidh 8. Belay That 9. Bitter Aloe 10. Hawksmoor

(24/02/18)全曲ジョン・サーマンの作曲で、収録時間は61分。ソロないし小編成が多いサーマンですが、ここではギター、ヴァイブラフォン、ドラムスの参加で、いくらか賑やかなサウンドになっています。それでもホーンのフレーズはやや愁いのあるサーマン節がさく裂していますが。1曲目でソプラノ・サックスをけっこう吹いていますが、やや短調気味の演奏は激しくても彼らしいな、と思います。タイトル曲の2曲目は静かなバックのサウンドにバリトン・サックスの愁いを帯びた音。3曲目はバス・クラリネットと楽器を変えつつ、基調のサウンドが似た雰囲気なのは、やはり彼らしい。ドラムスが少し前面に出てくる5曲目。その後もメランコリックなもの、少し不思議な曲調(8曲目)だったりと、しっかり彼の要点を押さえています。

2024/02/19

Karnevel!/Scott Henderson

Scottkalne新譜がパラパラと来ているので、繁忙期ゆえ更新出来たらするということでお許しを。スコットヘンダーソンは、HMVのサイトを見るとレーベル名が書いてあるけど、CD自体には書かれてないので、自主制作という解釈で合っているのかな?3作目だったと思う、確か。ジョン・スコフィールドのようにジャズ寄りになっていくのもいいけれど、スコット・ヘンダーソンはずっとハードコア・フュージョンでやってきているところが、またいいなあ、と思います。時にブルースに寄ったこともありましたが。最近こういうサウンドをあまり聴いてなかっただけに、彼のアルバムが久しぶりに出てうれしいですね。基本、ギター・トリオですが、音の厚みもありますし。

 

Karnevel!/Scott Henderson(G)(自主制作)(輸入盤) - Released 2-24. Rmain Labaye(B), Archibald Ligonniere(Ds), Scott Kinsey(Electric Per), Roland Gajate Garcia(Conga) - 1. Step Right Up 2. Karnavel! 3. Haunted Ballroom 4. Covid Vaccination 5. Puerto Madero 6. Sea Around Us 7. Sky Coaster 8. Greene Mansion 9. Bilge Rat 10. Acacia 11. Carnies' Time

(24/02/17)全曲スコット・ヘンダーソンの作曲。収録時間は66分。以前はブルース色も強かったんですが、ここでは主にハードコア・フュージョンで攻めています。ファンク度合いもエレキ・ベースとドラムスとのコンビネーションが良くて、いいノリを出しています。ギターのフレーズも往年の彼の演奏を思い出すような思い切りのいいもので、こういう音楽を好きな人は多いんじゃないかな。けっこうマニアックな感じはしますけど。タイトル曲の2曲目は5拍子の曲だけど、自然な感じでファンクしています。ただ、収録時間が長いアルバムなので、聴く方にも体力がいるかも。また、時々オーバーダブをしているようなところも。それでも聴いている分には聞き流してしまうようなギター・トリオメインのサウンドになってます。かなり好演盤。

2024/02/18

テテ!/テテ・モントリュー

Tetetete スティープル・チェイスのSACD盤の紹介も、これでラストです。最初はもっと日を置いてから、と思ったのですが、3連休でけっこう聴けて文章も書けたので、早めにアップすることにしました。今日のアルバムは、今回初聴きでした。テテ・モントリューの名前は知ってましたが、なぜかめぐりあわせが悪かったようです。素晴らしいテクニックで弾きまくりの世界。バラードでも速いパッセージがけっこう出てくるし、ベースがニールス・ペデルセンとあって、最高のジャズを聴くことができました。若い頃だったら、もっと追っかけしていたろうな、と思わせるくらい。なかなか素晴らしいアルバムとの出会いです。でも今回の発売の意図として、これはマニアックなアルバムの範疇に入っていたようです。

 

テテ!/テテ・モントリュー(P)(Steeple Chase)
Tete!/The Tete Montoliu(P) Trio(Steeple Chase) - Recorded May 26, 1974. Niels-Henning Orsted Pedersen(B), Albert "Tootie" Heath(Ds) - 1. Giant Steps 2. Theme For Ernie 3. Body And Soul 4. Solar 5. I Remember Clifford 6. Hoto House

ジャズメン・オリジナルの曲が中心。収録時間は48分。ここでもニールス・ペデルセンとアルバート・ヒースとのトリオで、最近紹介したメンバーが多いですが、特に1曲目の転調がやたら多い難曲「Giant Steps」をこのトリオで飛ばしまくり、何の苦もなく演奏しているのはピアノだけでなく、ベースもそうなのでびっくりしてしまいます。2、4-5曲目のバラードでは、歌心たっぷりの場面もありますが、それよりもテクニカルな面が結局強いのかもなあと。そこでも盛り上がって、結局各曲の中盤は饒舌なピアノにはなってしまって、それがテテの持ち味なんでしょう。3曲目も元曲は本来はバラードなんだろうけど、速いパッセージが出まくりになっています。それでも嫌味にならないのがいい。ここまでの怪演を聴きたい方は、どうぞ。(22年12月21日発売)

2024/02/17

ジェイウォーキン/ニールス・ヘニング・エルステッド・ペデルセン

Nielsjaywalkin スティープル・チェイスのSACD盤の7日目。このアルバムはすでにバーゲン価格になっていて、有名盤に混ざって多少実験的な香りのするこのアルバムだから、そうなるのもやむを得ないかな、と思いましたです。でも、個人的には今のジャズにつながるところは多いので、好きなんですけどね。ニールス・ペデルセンの超絶ベースが満載のこのアルバム、買わないにしても一度ストリーミングで聴いていただければ、と思います。ここまで超人的なアコースティック・ベースはなかなか聴けるものではありません。この12月発売のアルバムはそういう少々マニアックなところから持ってきて発売しているのかなあ、とラインナップを見ていて思いました。

 

ジェイウォーキン/ニールス・ヘニング・エルステッド・ペデルセン(B)(Steeple Chase)
Jaywalkin'/Niels-Henning Orsted Pedersen(B)(Steeple Chase) - Recorded September 9 and 10, 1975. Philip Catherine(G), Ole Kock Hansen(P), Billy Higgins(Ds) - 1. Summer Song 2. Sparkling Eyes 3. A Felicidade 4. Jaywalkin' 5. My Little Anna 6. Yesterday's Future 7. Interlude 8. Cheryl 9. That's All 10. Summer Song #5

ニールス・ペデルセン作が1-2、4-7、10曲目で、他はボッサやジャズメン・オリジナルなど。収録時間は50分。ピアノはエレキ・ピアノで、ギターも当時としては少し新しいサウンドになっているし、リード・ベース的に楽器を弾いているところもあったりと、当時としては少々実験的な意味合いもありそうなアルバム。ギターも基本はバリバリ弾くエレキ・ギターですが、3、5、7曲目ではアコースティック・ギターでリズムを刻んでいて、変化に富んでいます。6曲目ではアコースティック・ギターでメロディを弾いてますが。とことんベースを追求している感じで、個人的にはこういうベースが好きだし、ジャズロック的な曲もあって、なかなかいい感じ。9曲目は超絶テクによる完全ベース・ソロ。ただ、それゆえに好き嫌いは分かれるか。(22年12月21日発売)

2024/02/16

ジ・アパートメント/デクスター・ゴードン

Dextertheapartスティープル・チェイスのSACD盤の6枚目の紹介になります。ホームページ初期のころ、ニールス・ペデルセンの特集も作ろうかと思っていたのですが、傾向が他と違いすぎるし、そこまで手を広げると、もう収拾がつかなくなるということでやめてしまいましたが、もしやっていたら、このレーベルからけっこうな枚数のアルバムが登場していたかもしれません。デクスター・ゴードンも好きで、出た国内盤はほぼ持っていたものの、ブログにはサントラ盤や参加作など、今まで4枚しか取り上げられませんでした。かなり好きなサックスではあるんですけどね。マイぺースな吹き方が気に入っていました。今回ここで聴いてみて、改めていいなあ、と思った次第です。

 

ジ・アパートメント/デクスター・ゴードン(Ts)(Steeple Chase)
The Apartment/Dexter Gordon(Ts)(Steeple Chase) - Recorded September 8, 1974. Kenny Drew(P), Niels-Henning Orsted Pedersen(B), Albert "Tootie" Heath(Ds) - 1. The Apartment 2. Wee-Dot 3. Old Folks 4. Strollin' 5. Candlelight Lady 6. Stablemates 7. Antabus

デクスター・ゴードン作が1、5、7曲目で他はスタンダードやジャズメン・オリジナル。収録時間は48分。ゴードンに加えて、おなじみのトリオのバックの演奏なので、既視感的なものもありますが、サックス1本加わっただけで、サウンド的にけっこう陽気になった感じがします。ゴードンのアルバムも追っかけはしていたけど、ブログにはたぶん少ししか出てないと思います。バップ的にどうこう言うよりも歌っているテナー・サックスという感じがふさわしく、最初から最後まで歌いきっているところが心地よい。バリバリと吹いているのもいいですけど、3曲目のようなバラードでもしみじみと歌いこんでいる感じも、けっこうグッとくるものがあります。ニールス・ペデルセンのベースがここでも効いてきてますね。派手ではないけど、好演盤。(22年11月23日発売)

2024/02/15

ブログ6千エントリー目

今日で、ブログ6千エントリー目になったようです。昨年4月あたりからほぼ毎日更新をやめてますし、雑記等の内容の陳腐化したものは適宜削除しているため(割と最近でも200エントリーぐらい削除したと思う)、前回5千エントリー目が’19年12月18日だったので、あれから4年以上経っていることになります。もう今では更新間隔が開いているので、7千エントリー目はなかなか来ないんじゃないかなあ、という気がしています。

アルバムコメント自体は、音楽カテゴリーが今日現在で5,495エントリーあって、そのうち9割がそうだとすると5千弱のCDをブログにアップしたのではないかと思われます。うち1,600弱がECM、400強がCriss Crossだとすると、それ以外は3千ほどになりますね。手持ちのCDのうち、’50-60年代のものやジャズ・ジャイアンツなどのアルバムのほとんどはブログにアップしていないため、昨年3月の大量処分前は7千枚ぐらいあったかどうか、ってことになると思います。管理をあまりしていなかったので、実際に何枚ほどになったのかは、よく分からないところもありますが。ただ、ホームページないしブログにアルバムコメントの内容を書いてあれば、ストリーミングで探すのも比較的容易ですし(ないものはあきらめですが)、あまり不便を感じたことはありません。

しかしまあ、これからの更新ペースはともかく、よく続いたものだと思います。ブログ自体もこの5月30日で20周年を迎えますし、時間はけっこう過ぎて自分もそれなりの年齢になってしまいましたけど、やっている方向は間違ってなかったと思います。音楽を趣味にしていて、けっこう充実していたなあ、と考えています。

まあ、どこまで続くか分かりませんが、これからもゆるく、お付き合いいただければ幸いです。

2024/02/14

デュオ2/ケニー・ドリュー&ニールス・ヘニング・エルステッド・ペデルセン

Kennyduo2 昨日に引き続き、ケニー・ドリューとニールス・ペデルセンのデュオ作の2枚目。このレーベルでは一般的にピアノ・トリオ作も多いのですが、あえてこの2人のデュオを10枚発売の中で2作持ってきているということは、やはりこのアルバムが、聴いたイメージ通り抜きん出ているということの証明ではないかと思っています。ドラムスがいないのにも関わらず、安定していて全然寂しくないところからそれがうかがえます。しかもあえてピアノとベースだけの特性を活かして、というよりは、普通に演奏していて、音数でそれを補っているようなところもあって、やはりメインストリーム系のアプローチだなあ、と思います。これもなかなかいい1枚。

 

デュオ2/ケニー・ドリュー(P)&ニールス・ヘニング・エルステッド・ペデルセン(B)(Steeple Chase)
Duo 2/Kenny Drew(P) & Niels-Henning Orsted Pedersen(B)(Steeple Chase) - Recorded February 11 and 12, 1974. 1. Jeg Gik Mig Over So Og Land 2. Largo 3. My Little Suede Shoes 4. Trubbel 5. Bluesology 6. That's All 7. You Don't Know What Love Is 8. Viking Blues 9. A Child Is Born 10. It Might As Well Be Spring 11. My Shining Hour

ケニー・ドリュー作は2曲目で、ニールス・ペデルセン作が8曲目、トラディショナルが1曲目で、他はスタンダード等。こちらの方が既成曲は多めです。収録時間は51分。クレジットにはないけどエレキ・ピアノは4曲目にあり、やや穏やかな曲が多い印象。それでもこの2人での演奏なので、音楽性にもテクニック的にも抜きんでいるところが多いと感じます。静かな曲はよりしっとりとした感じでせまってきます。ベースは、饒舌なところもあるのは相変わらず。アコースティック・ベースではテクニシャンの領域にいる一人なので、当然と言えば当然か。リードベース的に活躍するところもあります。メロディアスな曲が多いので、気楽に聴くもよし、じっくりと聴くもよし。デュオでありながらその領域を超えているようなアルバムでもあり。(22年11月23日発売)

2024/02/13

デュオ/ケニー・ドリュー&ニールス・ヘニング・エルステッド・ペデルセン

Kennyduo Steeple ChaseのSACD盤特集、今しばらく続きます。今回、ケニー・ドリューとニールス・ペデルセンの参加のアルバムが割と多く取り上げられていますけど、やっぱり今から思うと、彼らのこのレーベルでの貢献度を考えると、なるほどなあ、とも思います。あえてデュオで、これから取り上げる「Duo 2」も含めて、内容的にはこのレーベルの名盤に入れてもおかしくないと考えます。時代が時代だけに、当時流行ったエレキ・ピアノも曲によって採用していて、これは’73年録音なんだなあということもクレジットを見て気づかされますし。それでもオーソドックスなジャズなので、それ以外は時代を感じるということはなく、すんなりと耳に入ってきます。

 

デュオ/ケニー・ドリュー(P、Key)&ニールス・ヘニング・エルステッド・ペデルセン(B)(Steeple Chase)
Duo/Kenny Drew(P, Key) & Niels-Henning Orsted Pedersen(B)(Steeple Chase) - Recorded April 2, 1973. - 1. I Skovens Dybe Stille Ro (Take 2) 2. Come Summer 3. Lullaby 4. Kristine 5. Serenity 6. Det Var En Lordag Aften 7. Do You Know What It Means To Miss New Orleans 8. Wave 9. Duo Trip 10. Hush-A-Bye 11. I Skovens Dybe Stille Ro (Take 1)

ケニー・ドリュー作は2、5、9曲目で、ニールス・ペデルセン作が3-4曲目、トラディショナルが1、6、10-11曲目で、他はスタンダード等。収録時間は43分。比較的短めの曲が多い。ピアノとベースのデュオでの作品でも、ペデルセンのベースが饒舌で、アルコも時に繰り出したりと、多様な武器を持っているため、この編成でも全然寂しくないです。選曲からして少々地味かなと思いましたが、トリオ並みの戦力にはなっていると思います。そして、時に叙情的な表現があって、動静のバランスがうまく録れています。これが名盤のひとつに選ばれているのも分かるような気がします。ピアノも時に静かに、そしてその中でも速いパッセージも織り込まれているのが特色で、曲によってエレキ・ピアノが出てくるのがこの時代。(22年11月23日発売)

2024/02/12

ダーク・ビューティー/ケニー・ドリュー・トリオ

Kennydarkb スティープル・チェイスの再発盤のSACD盤を続けて聴いていきます。シリーズの最初の方なので、有無を言わさない名盤が続きますが、アクセスは私のところは新譜の方が多いという半分皮肉な結果に。誰が聴いてもいいと言うし、内容も分かっているので、あえて私のところで紹介しなくても、という風にも考えられます。ここではニールス・ベデルセンのベースがなかなか超人的なところもあって、聴きどころは満載ですし。ケニー・ドリューの晩年のアルファから出ていたシリーズほどには柔らかくないので、このアルバムも存在が目立っていると思います。いかにもスティープル・チェイスらしさのあるアルバムということで、今回再び聴けて良かったです。

 

ダーク・ビューティー/ケニー・ドリュー(P)・トリオ(Steeple Chase)
Dark Beauty/Kenny Drew(P) Trio(Steeple Chase) - Recorded May 21 and 22, 1974. Niels-Henning Orsted Pedersen(B), Albert "Tootie" Heath(Ds) - 1. Run Away 2. Dark Beauty 3. Summer Nights 4. All Blues 5. A Felicidade 6. It Could Happen To You 7. Love Letters 8. Silk Bossa 9. Blues Inn 10. In Your Own Sweet Way 11. A Stranger In Paradise

ケニー・ドリュー作は2、9曲目で、他はスタンダードやジャズメン・オリジナル。収録時間は66分。ドリューのピアノも、晩年と違って、流ちょうなフレーズをバリバリ弾いているし、ニールス・ペデルセンのベースもかなり饒舌なので、割とダイナミックな演奏を聴くことができます。このアルバムも名盤のひとつに数えられていますが、何と言っても、ドリューのフレーズが見事に歌っているというのも大きいかと。それでいて、感傷に浸っている感じではない陽気さも持ち合わせているので、過去に何度も聴いていたアルバムでもあり、覚えやすいフレーズも多いところが魅力です。2曲目のタイトル曲は、静かでしっとり感のあるバラード。続く3曲目もバラードで、その中でも時々キラキラとした速いパッセージが出てくるのが印象深い。(22年10月26日発売)

2024/02/11

フライト・トゥ・デンマーク/デューク・ジョーダン

Dukeflighttod 1月に購入したSteeple ChaseのSACD盤も、だいたいが以前持っていたものでしたが、アルバムコメントの対象にはなってなかったものが多かったのでボチボチとアップしていくことにします。分かりやすいメロディのものが多く、オーソドックスなジャズでもあり、アルバムコメントには個人的にはしにくいものですが、逆に多くの人が知っているアルバムではあるので、あまりどういう演奏だったかを細かく書くよりも、自分の印象とか体験談とかを書いていっても問題ないんじゃないかなあ、と思い、アップすることにしました。’80年代以降のCD世代でもあり、当然リアルタイムには聴いてませんけど、何度もかけ続けていたことははっきりと覚えています。今回入手したアルバムも名盤ぞろいですし。

 

フライト・トゥ・デンマーク/デューク・ジョーダン(P)(Steeple Chase)
Flight To Denmark/Duke Jordan(P)(Steeple Chase) - Recorded November 25 and December 2, 1973. Mads Vinding(B), Ed Thigpen(Ds) - 1. No Problem 2. Here's That Rainy Day 3. Everything Happens To Me 4. Glad I Met Pat (Take 3) 5. Glad I Met Pat (Take 4) 6. How Deep Is The Ocean 7. On Green Dolphin Street 8. If I Did - Would You? (Take 1) 9. If I Did - Would You? (Take 2) 10. Flight To Denmark 11. No Problem (Take 2) 12. Jordu (Take 1)

デューク・ジョーダン作は1、4-5、8-12曲目。他はスタンダードなど。収録時間は71分。このCDはボーナストラックが多く、本テイクと別テイクが並んでいたりしていて、4、8、11-12曲目がそれにあたります。オリジナルの曲の配置ではないので賛否両論ありますが、聞き流すには長い方がいいなあ、とも。もう何度も聴いているアルバムなので耳タコ盤になっていますが、’73年という録音年にも関わらず、オーソドックスなジャズを、しかも優しめの分かりやすいメロディだということで、私の記憶にはだいぶ残っているアルバムです。以前、彼のアルバムも集めてはいましたが、多くのアルバムが似たようなアルバムコメントになってしまいそうなので。それならば、と今回買い替えたSACDの彼の名盤をと思いました。(22年10月26日発売)

2024/02/10

LPは魅力的だけど、価格と利便性がネック

最近、LPが復権して来て、新譜、再発共にけっこうな種類が出回ってますね。我が家でも5年前からLPプレイヤーがある(ヤマハ GT-2000)ので、いくらかは持っていますけど、私個人としてはやっぱりCDかストリーミング派ですね。というのも、円安もあってかLPの値段が結構するので、それだけで腰が引けてしまうところがあります。つい先日も、長男に頼まれて、1枚9,900円もするLP(1枚もの)を買ったばかりですし。CDだったら2千円台から3千円台くらいまでで買えてしまいますしね。また配達も、CD2-3枚ぐらいまでだとポスト投函されることが多いのですが、LPはポストに入らないため、配達を待ってなければならない点もあります。これまた時間を空けていなければならないので、ある時期必要に迫られてLPを連続買いしていた時期は大変でした。

LPをかける時も、クリーナーで一度きれいにして、LPを針の位置を見ながらかけるという、ある種儀式化しているところも面倒ですし。CDならばトレイに入れて、ボタンを押せば済む話ではあります。ストリーミングだと検索をかけるだけだし。まあ、こう考えている時点で、LPには深追いしない方がいいな、と分かる性格でもあります。ただ、LPに囲まれて暮らしたいなあ、というあこがれもある程度ありますが、そんなに予算がないので、半分あきらめている、という方が近いのかもしれません。

実質、私のLP時代は、’80年代のCDにとって代わる時に終わっていたのかもしれません。その時はこれからはCDの時代だと誰もが信じていて、LPを1枚残らず処分してしまいましたからね。LPが最近になってこんなにもてはやされる時代が来るとは以前は考えてませんでした。中古でもそれなりの値段がつくものもあるし、価格が高騰気味なので、手が出にくいですね。最近タワー限定のSACDでECMやSteeple Chaseを買いそろえてしまったのも、やっぱり自分はこちらの方向性かな、と思ったからでしょうね。自分の年齢を考えると、今後LPが主体になることはないだろうなあ、と思います。自分の関心は媒体よりも音楽の中身(それでいてCDにはなぜかこだわっていますが)だと考えてます。そのCDも昨年春に8割がた処分してしまって、ストリーミングをもっとうまく使いこなさなければ、と考えています。

 

2024/02/09

Owl Song/Ambrose Akinmusire

Ambroseowlこのアルバム、実は昨年12月15日に発売されていたのですが、見逃していたのと、他の注文と組み合わせていて少々で遅れました。私としてはビル・フリゼール買いです。そして出てくるサウンドも、ECMとは近いところにあるので、興味深く聴いていました。今回はノンサッチレーベルへの移籍第1弾だそうで、大御所の2人との、シンプルな編成での豊穣な、かつ静かなサウンドに盗聴があると思います。でも世間ではこのアルバムに対する評価は分かれるだろうなあ、とも思います。ストリーミングで聴こうとしたところ、なぜか各曲冒頭30秒しか聴けなかったので、CDを聴くチャンスを待ってました。仕事も繁忙期に入っており、すぐには聴けなかったですけど。個人的には好きなアルバム。

 

Owl Song/Ambrose Akinmusire(Tp)(Nonesuch)(輸入盤) - Recorded March 7 and 8, 2022. Bill Frisell(G), Herlin Riley(Ds) - 1. Owl Song 1 2. Weighted Corners 3. Flux Fuelings 4. Owl Song 2 5. Grace 6. Mr. Frisell 7. Mr. Riley 8. Henya

(24/02/09)全曲Ambrose Akinmusireの作曲。収録時間は42分。トランペット、ギター、ドラムスの編成で、予想していた通り、ほんの少し賑やかなところもあるECMといった感じの曲。個人的にはビル・フリゼールの参加している曲調が気に入っているのですが、好みが分かれそう。普通のジャズからすると、かなり淡々と進んでいくので、それが好きか嫌いか、だと思います。サウンドも似通っているものが多いので、そこをどうとらえるか。繊細なやり取りが続いていくし、ドラムスも割と静かながら芸の細かいところを見せてくれるところもあり、そこに没入していくと楽しめるんではないかなあ、と思います。ノンサッチでこういうサウンドを出すのは、少し冒険的かなとも思いますが、7曲目のドラムスとのデュオは曲調が少し元気。

2024/02/07

Touch Of Time/Arve Henriksen/Harmen Fraanje

2794 ECMレーベルの4日目にして一段落。今日はデュオ作品ですが、Arve Henriksenのトランペットはいつ聴いても独特で、日本人の私からすると尺八を連想させてくれて、なかなかいい感じです。このアルバムはゆったりしているうえに、あまり難しい演奏をしていないので、すんなりと入ってきます。38分の収録時間では短いかなあと思ったのですが、この時間で十分に語りかけてくれるので、ある程度満腹感はありますね。彼もECMに何枚もアルバムを録音してますし。今回はHarmen Fraanjeの作曲比率が高かったので、そちらの方のプロモーションかなあ、とも思いますけど、Henriksenの独特な音に耳が行ってしまうのはどうしてでしょうか。地味かもしれないけど、いいアルバムです。

 

Touch Of Time/Arve Henriksen(Tp, Electronics)/Harmen Fraanje(P)(ECM 2794)(輸入盤) - Recorded January 2023. - 1. Melancholia 2. The Beauty Of Sundays 3. Redream 4. The Dark Light 5. What All It Is 6. Mirror Images 7. Touch Of Time 8. Winter Haze 9. Red And Black 10. Passing On The Past

(24/02/06)3、5、7曲目がHarmen Fraanjeの作曲で、残りは全曲2人の共作。収録時間は38分。とは言うものの、ゆったりしつつもふくよかな音色を持つ、和楽器(尺八)のようなサウンドのトランペットも、それに合わせて弾くピアノも愁いを持ちながらメロディを奏でているので、あまりフリー・インプロヴィゼーションだという感じはないです。ちゃんとしたメロディなので、ジャズかというと少々違う感じではありますが、そのメロディが心地よい比較的時間の短い曲が続いていきます。それがドラマになっているような感じで、それぞれの持ち味を活かした演奏で、たゆたうように進んでいきます。それにしても、トランペットは非常に独特の音色で、欧米ではどのようにとらえられているのだろうか。難しい要素がないのもメリットか。

2024/02/06

The Blue Land/Matthieu Bordenave/Florian Weber/Patrice Moret/James Maddren

2783ECMレーベル新譜の3日目。昨日のうちに話題作をアップしてしまったのですが、ちょっと渋めだけどECMらしさでは引けを取らないアルバムが続きます。今日のアルバムはMatthieu BordenaveのECM2作目。福盛進也のECM作にも参加していますね。サックスはソフトな感じがするのだけど、周りはやや硬派な演奏で、あまり甘さがないところがECMらしさが出ていていいんじゃないかと思います。今回はドラムスも入っていて、なかなか聴きごたえがありますし。最近の新作を見ていると、世代交代は確実に進んでいると思います。そこに自分がどこまで追いついていけるかなんだけど、自分が元気なうちは追いかけていきたいなあ、と思います。

 

The Blue Land/Matthieu Bordenave(Ts, Ss)/Florian Weber(P)/Patrice Moret(B)/James Maddren(Ds)(ECM 2783)(輸入盤) - Recorded October 2022. - 1. La Porte Entrouverte 2. The Blue Land 3. Compassion 4. Cyrus 5. Refraction 6. Distance 7. Three Four 8. Timbre 9. Three Peaks

(24/02/05)ECM2作目で、今回は前作と同じメンバーにドラマーが入っています。収録時間は44分。3曲目がジョン・コルトレーン作で、他は全曲Matthieu Bordenave作。1曲目はピアノで現代音楽的な感じもする出だしから、しっとりとしたバラードに移っていきます。それでも甘さをあまり感じさせません。割と静けさが基調にあるんだけど、ソフトなサックスの音色と、他の楽器の硬派な感じとが混ざり合って不思議な効果が出てます。3曲目もコルトレーンの曲と分かるよりも、その独自な世界に引き込まれる。ECMらしい曲が続くけど、ゆったりとしながらも硬派な世界に入り込むのは、傾向としてあります。その魅力が十分に出ている感じ。その中でも6曲目はけっこうハードなフリーか。曲調を変えながらもやはり渋い世界。

2024/02/05

Compassion/Vijay Iyer/Linda May Han Oh/Tyshawn Sorey

2760 ECMの新譜2日目。ここからジャズですが、今回発売される中でも一番話題になるアルバムではないかなあ、と思います。ECMにしては元気な曲も多いし、有名なだけにけっこう好きにやらせてもらっているのかな、という印象。演奏内容も申し分なく、最近流行のLP1枚分に無理して収録曲を抑えることもなく、のびのびと演奏しています。このトリオで2作目なのですが、これだけのメンバーが集まると、それもまた演奏の相乗効果で、このアルバムを購入する人は多いんじゃないかなあ、と思わせます。ECMはストリーミングでも配信していますので、まずはそれを聴くのもいいし。特にドラマ仕立てではないんでしょうけど、アルバムを通してドラマを感じさせる内容になっています。

 

Compassion/Vijay Iyer(P)/Linda May Han Oh(B)/Tyshawn Sorey(Ds)(ECM 2760)(輸入盤) - Recorded May 2022. - 1. Compassion 2. Arch 3. Overjoyed 4. Maelstrom 5. Prelude: Orison 6. Tempest 7. Panegyric 8. Nonaah 9. Where I Am 10. Ghostrumental 11. It Goes 12. Free Spirits/Drummer's Song

(24/02/04)3曲目がスティーヴィー・ワンダー作、8曲目がロスコ―・ミッチェル作、12曲目前半がジョン・スタブルフィールド作、後半がジェリ・アレン作の他は全曲Vijay Iyer作。収録時間は65分。このトリオでは2作目で、息の合ったところを見せてくれます。1曲目のようにゆったりと波打つような曲があるかと思えば、2曲目のようにけっこうスピリチュアル的に盛り上がるような曲もあって、変化に富んでいます。変拍子の曲もあるようですけど、分析するのは難しい。曲によってけっこう盛り上がるのですが、ミキシングのせいかスマートに聴こえます。ECMとしてはけっこう自由にさせてもらっているようで、1曲1曲がドラマチックで、あまり平易ではない語り口にしても、引きこまれるものを持っています。なかなか気になる1枚。

2024/02/04

Gidon Kremer/Songs Of Fate/Kremerata Baltica/Vida Mikneviciute

2745 ECMが久しぶりに4枚届いたので、なるべく早めにアップしていきます。今日のアルバムは最初の2人はリトアニア、ラストの曲はラトビアの作曲家の作品です。ECMではこういう辺境の地のあまり知られていない作曲家に光を当てることも多く、それにMieszystaw Weinbergを組み合わせてのアルバム作りで、いわゆる新旧取り合わせて1枚にしているのはお得意のところかも。あまり現代音楽的ではないとは思いますが、それでいても、はっきり聴きやすい曲にベクトルは向いているものの、そこまで聴きやすいかというと、う~むとはなるかと。それでも作曲が’17年以降ということでこのアルバムで初出が多いと思われ、こっち方面に興味のある方もいるかもしれないですね。

 

Gidon Kremer(Vln)/Songs Of Fate/Kremerata Baltica/Vida Mikneviciute(Soprano)(ECM New Series 2745)(輸入盤) - Recorded July 2019. Magdalena Ceple(Cello), Andrei Pushkarev(Vib) - Raminta Serksnyte: 1. This Too Shall Pass Giedrius Kuprevicius: 2. David's Lamentation 3. Kaddish-Prelude 4. Penultimate Kaddish 5. Postlude. The Luminous Lament Mieszystaw Weinberg: 6. Nocturne 7. Air Op.9 8. Viglid 9. Oyfn Grinem Bergele 10. Der Yesoymes Brivele 11. Kujawiak Jekabs Jancevskis: 12. Lignum

(24/02/04)収録時間は57分。Mieszystaw Weinbergはポーランド出身の20世紀の現代音楽家、他の3人の作曲家はまだ若かったり存命の、バルト三国の作曲家。Weinbergは’40-50年代の古めの曲ですが、他の3人は’17年以降の新しい曲の演奏です。あまり強い現代音楽的なところはなく、ある程度聴きやすいメロディが特徴。2、4-5、8-10曲目はソプラノの歌唱入り。いわゆるごった煮的なアルバムだけど整合性あり。

2024/02/02

リーチ・アウト!/ハル・ギャルパー

Halreach先日購入したスティープルチェイスのSACD盤ですが、しばらく寝かせておいてからブログに書こうと思っていたんですけど、このアルバムだけはブレッカー兄弟が参加しているということで、早めのアップになりました。このアルバムを聴いた時。以前のハル・ギャルパーの記憶がなかったのですが、だいたい15年ぐらい前にエンヤのリーダー作を2枚、参加作を合わせると5枚聴いていますね。記憶力って、あまりあてになりませんね。もっともこの当時はブレッカー兄弟、あるいはどちらか片方の参加盤ってかなり多くて、聞いていないものがいっぱいあります。もう追いかけるというよりは偶然出会ったら、という気持ちもありますが。今回のこのアルバムもハル・ギャルパーの名作のうちの1つだそうです。

 

リーチ・アウト!/ハル・ギャルパー(P)(Steeple Chase)
Reach Out!/Hal Galper(P)(Steeple Chase) - Recorded November 11, 1976. Randy Brecker(Tp), Michael Brecker(Ts, Fl), Wayne Dockery(B), Billy Hart(Ds) - 1. Reach Out 2. I'll Never Stop Loveing You 3. Spidit 4. My Man's Gone Now 5. Waiting For Chet 6. I Can't Get Started 7. Children Of The Night

ハル・ギャルパー作が1、3、5、7曲目でガーシュイン作が4、6曲目など2曲目もスタンダード。収録時間は50分。ブレッカー兄弟が参加しているのがミソ。けっこう変化に富んでいるアルバムだと思います。モーダルな雰囲気でガンガンと突き進んでいく、迫力のある1曲目、やや静かでメロディアスなサックスとのデュオでの2曲目、ラテンノリのリズムでモーダルに攻めてくる、けっこう快活なサウンドの3曲目、スタンダードにも関わらず、モーダルで原曲がよく分からないほどこれでもかと攻める4曲目、マイケルが前後にフルートに持ち替えていて、浮遊感のあるテーマからそのままアドリブに行く5曲目、ソロ・ピアノでのスタンダード演奏だけど、どこかトンガっているイメージの6曲目、やはり元気に締める13分台の7曲目。(22年12月21日発売)

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