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2023年4月の記事

2023/04/30

Intermission/Claudio Scolari Project

Claudiointermブログ一段落後の最初の記事です。イタリアからのCD。英文で説明が入っているけど、ヨーロッパではすでにストリーミングが主流のようで、次いでダウンロード、そしてCDはBandcampから買える、となっています。ややラフな感じの、ある意味時々フリーに近づくファンクというのか、私はこういうサウンドはけっこう好きで、何度も聴いています。ここ5年間でも、5枚のCDを発表しているのでけっこうなペースだと思います。他のイタリアのミュージシャンも言っていたけど、まだCDの売り上げ割合が多い日本で聴いてもらうにはどうするか、というのが興味の焦点になることが多く、やはりそうなると、まずはストリーミングで聴いて、そしてアクションを起こすのが早いですね。

 

Intermission/Claudio Scolari(Ds, Synth Prog) Project(Principal Records)(輸入盤) - Recorded 2022. Daniele Cavalca(Ds, Live Synth, Rhodes, P), Simone Scolari(Tp), Michele Cavalca(B) - 1. Cannoli On Board 2. Croque Monsieur 3. Ice Glitter 4. Don't Look Back 5. Intermission 6. What How 7. Seven Four 8. Dawn Funk 9. Rainbow Mirror 10. Come With Me 11. Come With Me (Part 2) 12. Pullulation

(23/04/30)全曲Claudio ScolariとDaniele Cavalcaの作曲で、収録時間は何と76分。基本的にワンコードのファンクの曲が多く、それがタイトだったり、少し緩めにビートを刻んだりと、曲によって変わっていき、ファンク好きにはけっこういい塩梅の曲が並んでいます。ドラムスが2人(録音は多くは1人に聴こえる)と、その他の楽器の掛け持ちなので、多重録音の部分もあると思わせます。1曲目は少し緩く、2曲目はタイトに迫ってきますけど、2曲目には4ビート的になる部分もあって、ややラフなまとめ方は最近は聴かないので結構好きです。3、10曲目の静かなバラードもけっこう味があります。7拍子の7曲目が新機軸か。いつもよりアコースティックのピアノの出番が多い感じ。自由度が高く、フリー1歩手前になることも。

2023/04/28

25年半かかってとりあえず一段落

もうすでに何度も書いてますが、ジャズのホームページを、最初は仕事のホームページに間借りしてはじめたのが’97年8月22日のことで、正式に「ジャズCDの個人ページ」として独立したのがその年の9月30日。最初は短い2行程度のアルバムコメントでどんどん掲載枚数を増やしていったんですが、’99年からはこれではいけないと思って、2行のものを5行のアルバムコメントに変えていったんです。でも、この作業はけっこう大変で、断続的に、やったり止めたりしながら年数がかなり経ってしまいました。この作業は’20年8月21日にやっと終わりました。その後1年近くを気が向いた時更新でやってましたが、’99年から’04年5月までのホームページにあってブログにアップしていないアルバムが大量にあって、’21年7月21日からブログアップを始め、ホームページの内容をブログでも見れるようにしていきました。仕込みはCDの大量処分した3月15日までで終わっているんだけど、新譜がその後にも何枚か来たり、雑記も割り込ませたりと何とか一昨日で一段落させることができました。これも2年近くはかかっていますね。余談ながらここのブログは’04年5月30日にはじめてます。

ホームページ開始からここまでかかった時間はだいたい25年半くらい。これからも新譜が来たら聴いていくし、雑記のようなものも書いていくつもりではいますけど、毎日更新に関してはたぶんなくなり、少し更新間隔が開くのではないかなあ、と思います。本当はまだレーベル別などやりたかったのがあるんですが(HatologyとかJazz Cityとか)、はるか以前に処分したり、今回の3月の処分対象になったりして、できなくなってます。ホームページにまだブログ未発表のアルバムコメントはあるので、ジャケ写さえ手に入ればできるものもありますけど。まあ、自分も還暦過ぎたこともあり、少し再びゆっくりしようかな、と思ってます。これまた同じようなことを前から何回も言ってましたけどね。

CDを大量処分しても、今やストリーミング歴が3年以上になっていて、あれがない、これがないとCDを探すよりも、頭の中にパッと浮かんだアルバムをストリーミングでかけることが多く、結局、バリエーションがそんなになくて同じものを何度も聴く傾向があります。Amazon Music Unlimited (HD)のため、音質はCD音質は規格的には確保されているので不満はないですし。実際には手持ちだったCDでストリーミング化されてないものも割と多く、でもそれは意識しなければないものと同じ。どっちみちCDをそのまま置いておいたとしても、今後端から聴くことはないだろうし、置いてあるだけで場所をとるし、古いものは経年劣化も心配、という判断です。処分したことによる空虚感はありますけど、CDは次の欲しい人にまわってくれれば、と思います。いやあ、それにしても長かった。ジャズCDのホームページとブログ、これだけやるだけで、人生の半分近くを使ってしまいました。でも後悔もしてないです。アルバムコメントを書きながら聴いていると、より音楽に深く入り込めたので、それで満足です。内容はともかく、記録も残っていきますしね。今後は新譜CDは、数量が減るかもしれないですが、まだまだ買っていきますよ。更新間隔は開きますが、まだしばらくは、ゆっくりとお付き合いください。

(追記)少し遅れながらですが「ジャズCDの個人ページECM Blog」の方も新譜が出ればまだまだ続いていきます。

2023/04/27

CD処分後の影響

230425tana 3月15日に、ディスクユニオンの出張買取を利用して、手持ちのCDの8割強を持って行ってもらったのは前に書いた通りです。そもそも私は、どちらかというとコレクターに分類される趣味の持ち主で、買ったCDを聴いていたのは、新譜を買って数か月というところで、そこからCDラックに入ると、整理が悪かったということもあって探すのが大変で、大概の場合はほとんど聴かなかったですね。一番多い時には6千枚を超えていたと思いますし。まあ、持っていることに意義がある部類の人間だったわけです。

買い取りに出さないで残っているCDは、ロック、ポップス、J-POP、ニューミュージックなど、ECM2500番以降、Criss Cross1400番以降、ケンソー、上原ひろみ、国府弘子、クリヤマコト、藤井郷子関連、その他最近1年間に買ったジャズなど。あとジャズ定番とECMのキース・ジャレット他気に入ってるもの。他にも、割と初期の方のボブ・ジェームスのリマスター紙ジャケとか。もちろんFacebook、ツイッターなどのお知り合いのCDはとってあるし、なぜかジェフ・バーリン、ゲイリー・ウィリスなどのベーシストも残ってます。他はあまり考えることもなく、まとめて持って行ってもらいました。チック・コリア、マーク・コープランドあたりは残しておいても良かったかなあ、とも思うのですが、そうするといつまでたっても処分できない、ということになるので。あと、SACDハイブリッドはとっておくつもりだったのですが、査定表を見るとけっこう買い取ってもらってましたね(汗)。渡辺香津美のアルバムとか。もうあきらめました(笑)。

このブログの過去記事を見ていると、1年ほど前にCD処分を思い立った、と書いてますが、それよりも2-3年前には処分と、CDの買い取り価格の下落でどうしようかと、悩んでいる文章もありましたね。何度も逡巡して、それで今回の決断になったわけですけど。もう置き場所がなく、CDを探したり取り出したりすること自体に支障をきたすこともあって、それに、ブログになくてホームページにあるミュージシャン別のアルバムのブログアップが、ちょうど区切りを迎えたこともあって、ボーナスアップ買取セールと重なって、発作的に買取を決断したというのが本当のところです。あとから、買取価格は、現在としては良かった方だと気が付きました。

そして、その前にはストリーミングの利用割合も増えてきて、アルバムの検索性は今ひとつにしても、マランツのHEOSのソフトもここ3年ほどの間に安定してきて、結局CDを見ながらストリーミングをかける、ということも多くなってきました。また、2月から補聴器民になってしまって、まだ客先に行く時だけ付ければいい程度なんですが、今の補聴器はフルデジタルになっていて「ハイレゾ音楽」ポジションを設定してもらったら、これがけっこういい。ただし、音はいいんだけど長時間聴いていると、まだ慣れないせいか、少々疲れます。加齢で徐々に聴力(特に高域)が落ちてきたのだと思いますが、そういうこともあって、オーディオの設定は、時々帰ってくる長男まかせにしてあるところもあります。彼は若いし耳がいいようなので。

いくぶん身軽になった自分と、コレクターではなくなった自分とがそこにはいます。CDの買取は自分としてはタイミング的にもいい判断だった、とは思っています。なので、コレクターではなくなった点を除けば、これも何度も書いてますが後悔はないです。でもなあ、という感想も少しは残ってますが。ここで決めないと、もう処分する機会を逃してしまって置くところがあふれてしまいますしね。

(29日追記)処分の時期としてはここからここまでを一気に処分、と機械的に決断できるようになる時が、その時です。1枚1枚見ながら、聴いてみたり、思い出にふけっている時は、一気に処分すると、たぶん後悔すると思います。

2023/04/26

St. Louis Shoes/Greg Osby

Gregstlouiss グレッグ・オズビーのリーダー作でブログにアップしていないのはこれで最後になります。また、ミュージシャン別でブログにアップしていないアルバムもおおむね最後になり、3月15日のCDの大量処分前に仕込んだ最後のアップにもなります。前にお知らせしたとおり、アルバムコメントの毎日更新も最後になります。今までどうもありがとうございました。と言いつつ今後もまだ何か書くんだろうなあ、とは思っていますけど。

今日のアルバム、バックのミュージシャンはほぼメインストリーム系ですし、それとオズビーの旋律転換法の演奏とのギャップを楽しむのもいいかもしれません。ただ、一部でそういう極端な例はありますが、お互いに歩み寄る場面も見られ、独特ながらもそんなに曲の不自然さは感じられないとも思います。それにしても、彼のアルト・サックスの音色、なかなかいいなあ。

 

St. Louis Shoes/Greg Osby(As)(Blue Note)(US輸入盤) - Recorded January 22 and 23, 2003. Nicholas Payton(Tp. Flh), Harold O'Neal(P), Robert Hurst(B), Rodney Green(Ds) - 1. East St. Louis Toodle-Oo 2. Shaw Nuff 3. Light Blue 4. Whirlwind Soldier 5. Summertime 6. Milton On Ebony 7. The Single Petal Of A Rose 8. Bernie's Tune 9. St. Louis Blues

(03/06/14)カサンドラ・ウィルソン作のバラード(4曲目)やジャック・ディジョネット作の変拍子のテーマの曲(6曲目)もありますが、「セント・ルイス・ブルース」やディジー・ガレスピー&チャーリー・パーカー、セロニアス・モンクその他、懐かしい部類に入るスタンダードの曲なども料理しています。彼のオリジナルはなし。特に1曲目は、モダンジャズより前のサウンドにグレッグ・オズビー達の旋律転換法の変な(?)インプロヴィゼーションを乗っけて、特異かつカッコ良いサウンドに仕上げています。2、5曲目もテーマは変拍子が入って中間部は現代調。8-9曲目も、聴き進んでいくうちに何か変だぞ、と思うかも。そんな中で7曲目のバラードはテンポ無しながら安心路線。現代の曲は逆にオーソドックスなアプローチの印象。

2023/04/25

Inner Circle/Greg Osby

Greginnercir グレッグ・オズビーのリーダー作。今回はホーンは彼だけで、ピアノとヴァイブラフォンが加わって、一種独特なサウンドの世界が展開されています(と言っても彼のアルバムはどれも独特ではありますけど)。皆スムーズではないフレーズを弾いて、それによって逆にジャズを意識させつつ、聴いていてこれはジャズ以外の何物でもない、ということを実感するという、なんとも複雑なアプローチ。彼らにとってはこの表現方法が自然なのかもしれないですけどね。自由なんだけどフリーにするにはアンサンブルの部分が固まっているし、やっぱり旋律転換法という言葉を使う以外ないんではないか、というサウンドです。

 

Inner Circle/Greg Osby(As)(Blue Note)(輸入盤) - Recorded April 22 and 23, 1999. Jason Moran(P), Stefon Harris(Vib), Tarus Mateen(B), Eric Harland(Ds) - 1. Entruption 2. Stride Logic 3. Diary Of The Same Dream 4. Equalatogram 5. All Neon Like 6. Fragmatic Decording 7. The Inner Circle Principle 8. Sons Of The Confidential 9. Self-Portrait In Three Colors

(02/08/10)編成は一見普通のクインテット。ところが出てくるサウンドは、フリーとは一線を画しているものの、けっこう個性的。大部分の曲で、作曲や演奏自体を旋律転換法(あえてスムーズでないメロディにする)でおこなっているからだと思いますが、1曲目からテーマやソロなどでフレーズが心に引っかかっていくところが、いかにも現代ジャズといったイメージでカッコ良い。幾何学模様の中を舞い飛ぶアルトサックス、ピアノやヴァイブラホンというイメージ。そうかというと3曲目のように静かで印象的なメロディの、スピリチュアルな曲もあります。5曲目はこの中では比較的オーソドックス、タイトルをもじった7曲目はスペイシーで静かな、心にせまってくる曲。9曲目は比較的オーソドックスにメロディで聴かせるバラード。

2023/04/24

Symbols Of Light (A Solution)/Greg Osby

Gregsymbolsof グレッグ・オズビーのリーダー作。このアルバムでは弦楽四重奏が入っていますけど、あまりクラシック的にはならずに、いつもの彼のサウンドをそのまま弦に当てはめていったようなサウンドになっています。なので、割とすんなり聴けるかもしれないなあ、と思います。今では彼のようなサックスのフレーズを使うミュージシャン、そんなに珍しくはないのですが、あくまでも独自のフレーズを吹きながら、彼自身のジャズとして組み上げてしまっているのは、当時はすごい、と思ったものです。それに対応している弦楽器(譜面はあるでしょうけども)は、また見事な同一化で、アルバムを聴いていて面白いと思いました。

 

Symbols Of Light (A Solution)/Greg Osby(As, Ss)(blue Note)(輸入盤) - Recorded January 28 and 29, 2001. Jason Moran(P), Scott Colley(B), Marlon Browden(Ds, Per), Marlene Rice-shaw(Vln), Christian Howes(Vln), Judith Insell-stack(Viola), Nioka Workman(Cello) - 1. 3 For Civility 2. Repay In Kind 3. "M" 4. The Keep 5. Golden Sunset 6. This Is Bliss 7. One Room 8. Northbound 9. Wild Is The Wind 10. Social Order 11. Minstrale Again (The Barefoot Tap Dance)

(01/09/16)4曲を除きグレッグ・オズビーのオリジナルで、弦楽四重奏団を従えた演奏。演奏は硬派ですが、耳にはすんなり入ってくる感じ。バップの語法でなくてもここまでできるんだなあ、ということを実感。厳かなまま盛り上がっていく不思議感覚のある1曲目、語法は違えど情感豊かなジャズを感じる2曲目、菊地雅章作曲の浮遊感漂う中を泳ぐサックスの3曲目、旋律転換法的なテーマと アドリブでそのカッコ良さがある4曲目、アンドリュー・ヒル作の幻想的な5曲目、彼流にメロディアスな6曲目、冷めたスピリチュアルと言えるような7曲目、不安がよぎるサウンドで進んでいく8曲目、美しい(?)泣きのフレーズの9曲目、スリルのある演奏の10曲目、ピアノとのデュオで古くて新しいような11曲目。とにかく個性的。

2023/04/23

The Invisible Hand/Greg Osby

Gregtheinvisi グレッグ・オズビーのリーダー作。ブルーノートでのジャズに回帰してからのアルバムは好きですが、いろいろと趣向を変えて、少しずつ変化をつけながら出しているのが、結果として何枚も出せたのかな、と思います。このアルバムは、アルバムジャケットからも想像がある程度できますが、抑制とややダークな感じが売りなのでは。アンドリュー・ヒルとか、ジム・ホールと共演しているのも意外ですけど、音的にはだいぶ溶け合って自然な雰囲気での演奏になっているのも見事ですし。他のメンバーも申し分なし。編成がシンプルなのも、このサウンドの雰囲気には合っていると思います。

 

The Invisible Hand/Greg Osby(As, Cl)(Blue Note)(輸入盤) - Recorded September 9 and 10, 1999. Gary Thomas(Fl, Afl, Ts), Andrew Hill(P), Jim Hall(G), Scott Colley(B), Terri Lyne Carrington(Ds) - 1. Ashes 2. Who Needs Forever 3. The Watcher 4. Jitterbug Waltz 5. Sanctus 6. Indiana 7. Nature Boy 8. Tough Love 9. With Son 10. The Watcher 2

(00/04/23)グレッグ・オズビーの作曲は意外に少なくて10曲中3曲。抑制が効いていて、それでいてややダークな印象のアルバム。曲によってゲイリー・トーマスが加わっているからといってバリバリ吹いたりはしないで、むしろフルートのアンサンブルが印象的です。ジャズメン・オリジナル等の有名な曲が4曲(2、4、6-7曲目)あり、こちらも抑制されたサウンド。6曲目がやや元気。7曲目のアンサンブルは見事。アンドリュー・ヒルやジム・ホールも曲を提供(1、5、8曲目)していて興味深いところです。アンドリュー・ヒルとのデュオの3曲目も渋い。それにしても個性的なメンバーとサウンド。ピアノがいちいち引っ掛かってきます。全体的にけっこう渋め なアルバムですが、やや難しめな印象も少々あります。

2023/04/22

「新版 ECMの真実/稲岡邦彌著」(カンパニー社)

Ecmshinban

’01年に最初の「ECMの真実/稲岡邦彌著」(河出書房新社刊)がでて、それが好評だったらしく、’09年に「増補改訂版 ECMの真実」が出ました。もう’00年代頭には私はECMのCDの追っかけだったので、これらは全て読んでいます。そこで、今回は発行元を代えて「新版 ECMの真実」(カンパニー社刊)が出ました。内容は増えたところもあって大幅に変わっていて、新たに200ページほど増ページです。そして、本のデザインも良くなったし、意外にコンパクトなサイズで、しかも本文が縦書きから横書きに変更され、ジャケ写などの写真も白黒ですが適宜入れるというこだわりの作りになっています。それだけでもECMのファンには買う価値があるのでは、と思います。

手元に届いたのは、実は20日の昼のことで、増補改訂版と見比べながら、まず内容が変わったところから読み始めてますが、なかなか面白い。第5章に、時間が経っているので新たな記事が加わっていたり、「第7章 対話」「第8章 エッセイ広告」が全く新しい、増えたところの記事となっています。もしかすると、他の部分にも手が加わっているのかもしれませんが、とりあえずは大きなところの紹介を。対話はミュージシャン等への長めのインタビューで、なかなか興味深いです。エッセイ広告はECM初期に、「ユリイカ」「カイエ」の詩の雑誌に詩人や作家がECMについて語る広告を掲載するという、貴重な資料になってます。まだ読書が全部は進んでないのと、あまりネタバレは良くないので、この辺まで。

私もいちおうECMの全部聴きの経験は、何十年もかけてつい先日達成したばかりですし、その経験で「ジャズCDの個人ページ ECM Blog」を作っていますが、あくまでも聴いてどういうアルバムかを紹介するにとどめ、批評や論評など、そこまで深く掘り下げて語っているわけではないので、このような今に至るまで記述のある書籍が出るのを、心待ちにしていました。ましてやECMの初期の頃にディストリビューターとして深く関わり、その後も御活躍している稲岡さんのような方がこういう本を出してくれているので、そこでさらに知識を深めることができます。今回の本の価格は税込み4,180円ですが、迷わずに買いました。この本を先に読んでいたら、もしかしたらECMのCDの処分はしなかったかもしれないなあ、とも思います。置き場所の問題と、今はストリーミングでも聴ける、という短絡的な問題でしたし。ECMファンにはおすすめの1冊です。

2023/04/21

Banned In New York/Greg Osby

Gregbanned グレッグ・オズビーのリーダー作。これはライヴですが、客席からMDで一発録りだそうで、音的には割と良いんですが、そういう海賊盤的なサウンドも出ているんじゃないかと思います。シンプルなワン・ホーン・クァルテットで、曲も長いし、ジャズメン・オリジナルの割合も高めて、彼を極めてみたい人にはいいアルバムなんじゃないかなあ、と思います。それにしても当時はこの分かりにくいフレーズのサックスにどれだけ魅了されていたことか。結局その後怒涛のようなCD購入をしていて、奥に忘れ去られてしまったのですが。彼のブルーノート作品はストリーミングでも全作聴けるので、時々思い出したように聴いてみよう。

 

Banned In New York/Greg Osby(As)(Blue Note)(輸入盤) - Released 1998. Jason Moran(P), Atsushi Osada(B), Rodney Green(Ds) - 1. 13th Floor 2. Pent Up House 3. I Didn't Know About You 4. Big Foot 5. Big Foot (Excerpt) 6. 52nd Street Theme

(99/01/23)何と客席からMDで一発録りという海賊盤と同じ録音手法だそうです。ただし、音はそこそこですが良い方か。 こういう遊び(?)がかえってライヴならではの臨場感を生むかもしれません。オリジナルは1曲目のみ。あとはセロニアス・モンクやチャーリー・パーカー、ソニー・ロリンズなどの有名な曲を取り上げていますが、テーマを流用しただけのようなサウンドで、グレッグ・オズビー独自の世界を築き上げてしまっています。ワン・ホーン・クァルテットなので、サックスの出番は多いです。また、恐るべきことに長尺な1-4曲目が途切れなく続いています。テンポの速い2曲目、バラードの3曲目、テーマだけ原曲に近い4曲目、別テイクの抜粋と思われる短い5曲目、やはり短いけれどインパクトのある6曲目と続きます。

2023/04/20

Zero/Greg Osby

Gregzero グレッグ・オズビーのリーダー作。今聴くとけっこう好みの現代ジャズになってますねえ。ジェイソン・モランは定位置について、いいピアノ(ここではエレキピアノやオルガンも使用)を弾いていて、これもオズビーの個性確立にひと役買っていると思います。アルバムコメントに旋律転換法という、懐かしい言葉が出てきてますね。たしか、わざわざなじみが薄いようなフレーズを吹くことだと思いましたが、このアルバムでは彼の旋律はそのフレーズであふれてますね。ロニー・プラキシコも、こういう演奏だと比較的定位置にいますし。私がミュージシャンごとに分けて、CDを奥にしまってしまったのは失敗でした。今でも何度でも聴ける。

 

Zero/Greg Osby(As, Ss, Sopranino)(Blue Note) - Recorded January 9-11, 1998. Jason Moran(P, Org), Kevin McNeal(G), Lonnie Plaxico(B), Dwayne Burno(B), Rodney Green(Ds) - 1. Sea Of Illution 2. Interspacial Affair 3. Minstrale 4. Two Over One 5. Ozthetica 6. Nekide 7. Savant Cycles 8. Extreme Behavior 9. Deuce Ana Quota 10. Penetrating Stare 11. Concepticus In C

ジャズとしての彼らの演奏はここまで突き詰められたか、と感慨もひとしお。全曲が彼のオリジナル。サックスの奏法自体が分かりやすいメロディに流れるのを意識的に避けていて、曲自体もそのような作りになっているので、このアルバムを一部の方には理解されない可能性は、否定しませんけれど。こういう旋律転換法的なサウンド作りで彼自身の個性もかなり強まりました。全体のサウンドの色合いはピアノのジェイソン・モランの参加によるところも大きいです。曲によってはオルガンやエレピを使用しています。メンバーの研ぎ澄まされた演奏によって聴く側に緊張感が持続しますが、5曲目のような静かな曲では不思議と安らぎが生まれます。曲ごとの印象というより全体の流れで聴いてしまうアルバムかも。

2023/04/19

Further Ado/Greg Osby

Gregfurthera グレッグ・オズビーのリーダー作。「彼の」ジャズ路線をさらに推し進めています。メンバーもやはりブルーノートだけあって、申し分のない顔ぶれですし。当時はみんな若かったけど、今や大物もいますね。やっぱりオズビーの独特なサックスのフレーズがこういうジャズだと生きてきます。それに合わせた作曲とバックのメンバーの演奏で、少しハードな曲からバラードまで、彼らしいアルバムに仕上がっていると思います。ここまでくるとM-BASEがどうのこうのいう前に、彼の個性の押し出しのような要素が強くなってきているのでは。こういうアルバムはかなり好物です。でも奥に入っていてあまり聴かなかったのが少々残念。

 

Further Ado/Greg Osby(As, Ss)(Blue Note) - Released 1997. Jason Moran(P), Lonnie Plaxico(B), Calvin Jones(B), Eric Harland(Ds), Tim Hagans(Tp), Mark Shim(Ts), Cleave Guyton(Fl), Jeff Haynes(Per) - 1. Six Of One 2. Transparency 3. Mentor's Prose 4. Heard 5. The 13th Floor 6. Soldan 7. Of Sound Mind 8. The Mental 9. Tenderly 10. Vixen's Vance

全10曲中9曲がグレッグ・オズビーの作曲。個性的なジャズ路線をさらに押し進めたアルバム。テーマ自体が複雑なメロディが多く、演奏はジャズなのですけれど、どれも相変わらず非常に独創的な曲で、コメントが難しい。グレッグ・オズビーの独自の奏法も切れ味が高くなってきます。1曲目からピアノのジェイソン・モランがグレッグ・オズビーを上回るほどにかなり個性的なので、要注目。やはり個性的でスローな2曲目、何となくラウンド・ミッドナイト風な部分もあるバラードの3曲目、ホーンのテーマが特徴的なテンポの良い4曲目と続きます。フリー度が高そうな8曲目。9曲目は唯一のスタンダードで、なかなか味があります。 こういう方面ももっと欲しいです。最後の曲は再びホーンのテーマとパーカッションが印象的。

2023/04/18

ディスクユニオンでCDの出張買取の査定が出た

3月15日にディスクユニオンから出張買取に来ていただいて、1か月ちょっと経った4月16日(日)に、査定結果が出ました。実は前回に書いた時、ないとは思うけどいたずら対策で内容を少しぼかして書いています。もう振込手続きも終わっている頃なので大丈夫かと。出張買取に来ていただいたのは、実は買取センターの方ではなくて、運転手以外の方は新宿ジャズ館の方とJazz TOKYOの方の双方からの出張で、CDを梱包、輸送後、その分量が多いCDの梱包物を分割して2手に分かれて査定をして、査定明細書は新宿ジャズ館とJazz TOKYOと2枚に分かれたのでした。両方とも査定枚数が2千行を超えてたので、それぞれ100ページに迫る勢いで、なかなか手間のかかる作業です。査定担当者の方、お疲れ様でした。

買い取りに出した枚数を合計すると(一部買取不可のものもあり)、CD(これがメインですが)、LP、書籍合わせて4,546点、査定額はちょっとした軽自動車が買えるくらいで、200万円には2つステップぐらい届かず。予想では、もう少し行くかと思っていたのですが。まあ、大量にあった定番物は自分が買っていた時代の後に何度も再発されたり廉価盤が出て、それより買い取り価格を抑えないと売れないそうで、それもあるのでやむを得ないかなあ、と。’97年頃まではオビを取っておかなかったので、オビなし判定になってしまいますし。今までCDを買ってなければ割と高級な外車が買えてたって話はあくまでもたとえ話レベルです。

ボーナスがついても、ジャズジャイアンツの定番の旧規格ものその他過去に国内盤で出て今は需要があまりないものなどが軒並み安くて、100円未満でボーナスにカウントされないCDが多かったでした。ちょっと渋いですね。まあ、ここまで買い取ってくれたらあまり文句は言えないですけど。反面、一部に予想より多い買取価格のものがありました。ブックオフとかでは、内容に関係なく買取価格はCD1枚10円、という話も聞きますし。書籍は査定価格は全般的に渋く、一部を除いて100円以下。LPは例えばECMでストリーミングでは聴けないLPを集めたのも今回出したのですが、そこそこいい査定のものもあるものの、この価格からの値付けだと、ディスクユニオンで買った人がそのままヤフオクで高値を付けて出品を予想させるようなものもありました。というよりヤフオクが高騰しすぎのような感じも。

そして、16日のうちに査定表を受け取ってすぐにザっと検証し、全部買い取り承諾しました。何枚か取っておくべきものも出してしまったようではありますが。実際に自分の聴き方は最近はストリーミングに軸足を移しているので、ストリーミングにないCDの分はあきらめますが、またこれを元手にこれから再び新譜CDを買いはじめます。とは言いつつ、今までより購入枚数が少なくはなりそうですが。そのための処分でもありました。ただ確実に言えることは、今後CDコレクターを名乗れなくなったことですね(笑)。

今回の出張買取を経験して思ったのですが、コレクターの方、むやみに買取価格に惑わされずに、持っておきたいものは持っておく姿勢も必要ではないかなあ、とも思います。私は大量処分は後悔はしていませんけれども(それでも千枚ほど残ってますが)、CDを詰め込んだところがきれいになくなって、さっぱりしたと同時にほんの少し空虚な気分にもなっています。

(追記19日)結局、持っておくべきものを3枚買い取りに出したことが発覚したので、再度中古を探して購入しました。実際は膨大な量を買い取りに出しているので、見直すとまだ出てくると思います。もう気にしないことが一番ですね(笑)。

(追記24日)何人か大量にCD買い取りに出した人の話をまとめると、自分の買取価格、今ではいい方みたいですね。

2023/04/17

Art Forum/Greg Osby

Gregartforum グレッグ・オズビーのリーダー作。ブルーノートからは何作も出ているので、趣向がけっこう変わってきてます。このアルバムではファンクも飛び越えてジャズへの回帰をしていて、参加ミュージシャンもそれ向きのメンバーをそろえていますね。彼独特のフレージングのアルト・サックスを吹きながら、フリージャズともメインストリーム路線とも違ったサウンドになっているのは、やはり彼のM-BASE時代の素養がそうさせているのかなあ、と思います。それでもけっこうフリーインプロヴィゼーションに近いところまで行っている曲はありますね。そうそう、こういうのが聴きたかったんだよなあ、と思った1枚でした。

 

Art Forum/Greg Osby(As, Ss)(Blue Note) - Released 1996. James Williams(P), Bryan Carrott(Vib), Lonnie Plaxico(B), Jeff "Tain" Watts(Ds), Marvin Sewell(G), Robin Eubanks(Tb), Cleave Guyton(Fl, Ts), Alez Harden(Bcl), Darrell Grant(P) - 1. Miss D'meena 2. Mood For Thought 3. I Didn't Know What About You 4. 2nd Born To Freedom 5. Dialectical Interchange 6. Art Forum 7. Don't Explain 8. Half Moon Step 9. Perpetuity

いきなりジャズに回帰してしまったアルバム。といってもその素直でないフレーズと全体のサウンドは一段と凄みを増していて、いわゆるフリージャズとは趣きを異にしつつもメイン・ストリーム路線とも違います。簡単なメロディーではないのですが、このアルバムに多いスローな曲の、空間表現がいい。その研ぎ澄まされた感性は、作曲面でも出ているようです。3、7曲目のスローなスタンダードナンバーはメロディアスでけっこう渋い。1、5曲目はミディアムテンポで心地よい。4曲目はマーヴィン・スウェルのギターとのデュオで、フリーインプロヴィゼーション風。タイトル曲の6曲目はフリージャズと言えなくもない。ある意味で深みのある8曲目。ロビン・ユーバンクスは2、9曲目に参加。この2曲はホーンの使い方も特徴的。

2023/04/16

Black Book/Greg Osby

Gregblackb グレッグ・オズビーのリーダー作。さらなるラップ/ヒップポップ路線です。ただ、今度のアルバムはベースやドラムスのクレジットもはっきりとしているし、人力のリズムの曲が多いのかなと思わせます。ラップの語りの曲が多くて、これはもうこのアルバムくらいまででいいんじゃないか、とも当時思ってました。確かにマルグリュー・ミラーも参加していて、アコースティック・ピアノを弾いてはいますけど、アルバムとしての個人的興味はあまりなかったと思います。買って1-2度聴いて終わりにしていたような気もしてます。今聴き直しても部分部分ではいいと思うも、全体ではあまり好みではないかな、とも。それでも追いかけはやめませんでしたが。

 

Black Book/Greg Osby(As, Ss)(Blue Note) - Released 1995. Mulgrew Miller(P), Calvin Jones(B), Bill McClellan(Ds), D.J. Ghetto(Scratches), Sha-Key(Words), Mustafo(Words), Markita Morris(Words), etc. - 1. Pillas 2. Mr. Freeman 3. Rocking Chair 4. Buried Alive 5. Poetry In Motion 6. Black Book 7. Smoke Screen 8. Berwing Poetry 9. Intuition 10. Fade To Black Medley, A)A Brother And A Token, B)In A City Blues, C)Urbanite Kodes 11. Time(Bonus Track)

全10曲がグレッグ・オズビーの作曲または合作。前作のラップ/ヒップポップ路線をさらに押し進めています。それでも数曲(2-3、9曲目)にマルグリュー・ミラーのアコースティックピアノを配するあたり、ブルーノートとしての配慮かも。随所でオズビーのハードコアなフレーズが聴けますが、全体のサウンドは重いヒップポップ路線。ここでも2曲以外はすべてラップが入ります。2、9曲目のみインストルメンタルの曲。2曲目はヒップポップの打ち込みリズムにサックスが乗っかるパターンですが、9曲目はいわゆるミュージシャンによる演奏がうれしい。11曲目のボーナストラックは、ブラックのポップ・ミュージックといった感じ。 ジャズ・ミュージシャンがこぞってこういう路線に行きましたが、私はあまり得意でないアルバム。

2023/04/15

3-D Lifestyles/Greg Osby

Greg3dlife グレッグ・オズビーのリーダー作。アルバムコメントでも書いてありますが「完全にラップ/ヒップホップのアルバムになってしまいました。」という、当時のブルーノートレーベルでも多かったパターンですね。リズムも打ち込みで、ジェリ・アレンとかカサンドラ・ウィルソンとか、過去のM-BASEつながりで、有名なミュージシャンの参加する曲もあって、そこはそれで興味深いんですけど、個人的にはラップ/ヒップホップは、サウンド的にはファンク的に近い部分があっても、今でもあまりなじまないですね。それでも何作も出しているのだから当時の世界的には売れてはいたんだろうと思います。まあ、当時は多くのミュージシャンが通る道でしたし。

 

3-D Lifestyles/Greg Osby(As, Ss)(Blue Note) - Released 1993. Darrell Grant(P), Geri Allen(P), Cassandra Wilson(Vo), etc. - 1. Mr. Gutterman 2. God-Man Cometh 3. Raise 4. 3-D Lifestyles 5. Hardcopy 6. Streetjazz 7. Honor The Example 8. Flow To The Underculture 9. Intelligent Madness 10. Thelonious 11. Mr. Gutterman (Bonus)

完全にラップ/ヒップホップのアルバムになってしまいました。2曲を除いてラップが入り、大部分が打ち込みだろうと思います。サックスはけっこう前面に出ていますが、いわゆるヒップホップの打ち込みリズムが苦手です。と いうわけで評価が非常に難しい。それでも2曲目の前奏や7曲目など、サックスの渋い場面も。6、9曲目はインストルメンタルで、あえてヒップポップのリズムでサックスの勝負に出ているところが潔い。3、5、8曲目にジェリ・アレンが参加。使用しているのはアコースティックピアノで妙にマッチしています。また、7曲目にカサンドラ・ ウィルソンのヴォイスをフィーチャーし、そこにラップをかぶせています。 一時的にラップのスタイルにハマリこむ時代もあったということだと思います。

2023/04/14

Man Talk For Moderns Vol. X/Greg Osby

Gregmantalk グレッグ・オズビーのリーダー作にいきます。今回紹介するのはJMTレーベルから移籍後のブルーノートレーベルばかり11作ですが、その後のアルバムをブログ開始後にも出していて(アップ済み)、15年ほど続くことになります。M-BASEらしさもサウンドに残しながら、けっこう売れセンを意識するようになって、4拍子の曲になって、分かりやすい曲が多いです。それでいて、やっぱりオズビーのサックスだなあ、とも思え、これから何作もブルーノートで続くくらいだから、セールスも上がったんじゃないかな。M-BASEゆかりのミュージシャンが何人かゲスト参加しているのも興味深いところ。それでもM-BASEという枠組みからは離れつつありますが。

 

Man Talk For Moderns Vol. X/Greg Osby(As, Ss)(Blue Note) - Recorded October & November 1990. Edward Simon(P), Michael Cain(P), Chan Johnson(G), David Gilmore(G), Lonnie Plaxico(B), James Genus(B), Billy Kilson(Ds), Steve Moss(Per) Special Guests: Steve Coleman(As), Gary Thomas(Ts, Fl), Hochmad Ali Akkbar(Vo) - 1. Cad'lack Back 2. For Here To Go 3. Man-Talk 4. Like So... 5. On A Mission 6. Lo-Fi 7. Balaka 8. Black Moon (For Geri) 9. Carolla 10. 2th (Twooth)

全曲グレッグ・オズビーの作曲。ブルーノートへ移籍して変拍子が影を潜め、以前に比べると売れ線を意識したファンクやフュージョンになっています。ただ、相変わらずフレーズはかなりの部分でトンガッていて、M-BASEを意識させます。2曲目は普通のフュージョンに聞こえます。サックスもフュージョン風メロディアス。4曲目は渋いバラード。重量級の5、7曲目。フュージョンの6、9曲目はちょっと聴いていると柔らかい路線かなあと思います。1、3、8、10(特にこの曲は変幻自在)曲目は4拍子ながらそのまんまM-BASE。最初とラストにこの路線を持ってきたことで、こだわりを感じさせます。1、7曲目にマイケル・ケインが、3、7曲目にスティーヴ・コールマンが、5、8曲目にゲイリー・トーマスがゲスト参加。

2023/04/13

Blue Note New Directions

Bluenotenew グレッグ・オズビーのサイド参加作もいちおう今日まで。これはサイドというよりは、プロデューサー役もやっているので、メインに近いのではないかと思いますが。有名な曲を今風の解釈で演奏しているので、これも興味深いアルバムということになります。メンバーもなかなか骨のあるところを揃えてますし。日本のレーベルから出たものとはいえ、アメリカでもBlue Noteでジャケ違いで発売されているようで、曲目からしてもある程度は売れたんじゃないかと思います。当時の若手のブルーノートレーベルを背負って立つメンバーがいい演奏をしていますね。サウンドはちょっとマニアックかもしれませんけど。

 

Blue Note New Directions(Somethin'else) - Recorded May 10 and 11, 1999. Greg Osby(As), Mark Shim(Ts), Stefon Harris(Vib), Jason Moran(P), Tarus Mateen(B), Nasheet Waits(Ds) - 1. Theme From Blow Up 2. The Sidewinder 3. No Room For Squares 4. Ping Pong 5. Song For My Father 6. Tom Thumb 7. Big Bertha 8. Recorda-Me 9. 20 Questions

プロデューサーはグレッグ・オズビーで、彼だけ年齢がまわりよりちょっと上。ブルーノートでも今が旬な若手がそろって、かってのブルーノート時代の有名な曲を中心に演奏。「ザ・サイドワインダー」「ノー・ルーム・フォー・スクエアーズ」「ソング・フォー・マイ・ファーザー」など。ラストの9曲目のみ新しい曲。当然のことながら「今」で料理していて、フレーズなどにもこだわりが見られます。 それぞれの曲のアレンジもメンバーのアレンジですが、ジェイソン・モランが4曲と多め。決して昔の焼き直しで終わっていないところが良いです。メンバーもそれぞれ個性的なので、曲良し、演奏良し、の一枚。また、このレーベルでルディ・ヴァン・ゲルダー録音なので、音質にもこだわっています。 重いリズム隊も、要注目です。(99年11月17日発売)

2023/04/12

Friendly Fire/Joe Lovano, Greg Osby

Joegregfriendグレッグ・オズビーのサイド参加作、というよりは競演作。もうこの時期は有名ではあったけれども、一風変わったサックス2人の競演作です。なんだかとらえどころのないようなフレーズが飛び交っているような感じもありますが、こういうサウンドやフレーズは割と好きなんですよね。しかも、ここでもピアノはジェイソン・モランですし。安定のフワフワ感というと失礼かもしれないですけど、彼らが好きに演奏しているのを聴いていると、ちょっと訳が分からん、というイメージもありますが。そこがまたいい、ということになってしまいます。マイペースな2人がマイペースに吹きまくっているという感じにもなりますけど。

 

Friendly Fire/Joe Lovano(Ts, Ss, Fl), Greg Osby(As, Ss)(Blue Note)(輸入盤) - Recorded December 15 and 16, 1998. Jason Moran(P), Cameron Brown(B), Idris Muhammad(Ds) - 1. Geo J Lo 2. The Wild East 3. Serene 4. Broad Way Blues 5. Monk's Mood 6. Idris 7. Truth Be Told 8. Silenos 9. Alexander The Great

(99/12/21)どちらかと いうとフワフワした旋律のジョー・ロヴァーノと、旋律転換奏法のグレッグ・オズビーがかっぷりと組んだアルバム。けっこう硬派にせめていて、アプローチは違っていても2人のフレーズに歩みよりが見られ、近いものを感じます。ただ、ハードに攻めている割には聴いた印象はやや内面にこもる感じ。有名な曲 (エリック・ドルフィー、オーネット・コールマン、セロニアス・モンク作)も中ほどに3曲ありますが、テーマが終わると彼らのペースに巻き込まれてしまいます。ただし、ドラムとベースはオーソドックスか。 オズビーとロバーノがそれぞれ3曲ずつ作曲しています。好みとしてはオズビーの曲の方ですが、 ロバーノもなかなか良いです。オリジナルはある意味で分かりにくい曲が多いかも。

2023/04/11

ブログやツイッターで試行錯誤

たぶん、このブログが今月いっぱいあたりまででいちおう一段落する(その後も更新はしていきますが)ので、その後のことを考えてました。

4月1日に別ブログを作ってみて、タイトルは「ジャズストリーミングを聴きながら」だったんですが、ついでにそれまでのここのブログの過去データも移行してしまおうと思ってました。ただ、新しい企画もあまり続きそうにないし、旧ブログの移行も満足できる水準ではなかったし、6千近いエントリーを整えていく作業だけでも膨大になりそうだったので、エイプリルフールではないですが、2日朝には、そのブログも削除してしまいました。たぶん、ここのブログを仕事を辞めるまで使って、辞める時に移行を考えるか、削除してしまうか、のどちらかになると思います。

場所は変わってツイッターですけど、はじめて12年くらいになる割には、今まではブログの更新通知プラスアルファぐらいしか使ってなくて、あまり積極的にはやってなかったでした。ここ数日、ECMに関して、いろいろな情報提供をしていたら、何となくうまくハマったようで、ECMだけとは言わず、しばらくはそこで、思いついた時に、しかも前よりは少し積極的に何か書いていこうと思ってます。これならば、ブログのように更新を意識せずに、思いついた時に気軽に書いていけるかと思います。検索する方は、Kudojazz か、@jazz910kazu で出てくると思いますので、フォローしてみてください。今でもフォローさせていただいている方の数は多くないのですが、あまり相互フォローなどにはこだわってないので、そこは失礼になるかもしれませんので、前もって書いておきます。

Facebookはリアルな友人が3分の1、ジャズファン関係が3分の1、お知り合いのミュージシャンが3分の1くらいで、やはり日常的なこととか、ブログアップの通知的なことを書いてますが、こちらもあまり積極的には書いてないです。今のところそちらは見知らぬ人と友人になることをほとんど行っていないので、その点もご容赦ください。

となると、今の段階で、有望なのはツイッターということになるのかな。とりあえずはやってみます。Mixiはやめてしまったし、インスタグラムとかnoteとかには現段階ではあまり興味はないし、ということもあって、あまり手を広げるのもどうかなあ、とも思ってます。

2023/04/10

Soundtrack To Human Motion/Jason Moran

Jasonsoundt グレッグ・オズビーのサイド参加作。どうやらこの時期はブルーノートつながりでの参加が多いようです。ジェイソン・モランも初期の頃はアルバムを追いかけていました。確かに今までにいなかったようなタイプのピアニストでしたし、彼の作曲も興味深かったというのはあります。何かのサウンドトラックと仮定してのアルバムタイトルなのでは、と思いますが、曲ごとにいろいろな方向性が見えてきて、それで当時は何度も聴いていたんだろうなあ、と思います。モーダルともちょっと違うような気がしているけど、表現力はあるし、やはり個性的だったというしか、一番いい説明方法はないのですけれども。

 

Soundtrack To Human Motion/Jason Moran(P)(Blue Note) - Recorded August 29 and 30, 1998. Greg Osby(Sax), Stefon Harris(Vib), Lonnie Plaxico(B), Eric Harland(Ds) - 1. Gangsterism On Canvas 2. Snake Stance 3. Le Tomneau De Couperin/States Of Art 4. Still Moving 5. Jamo Meets Samo 6. Kinesics 7. Aquanaut 8. Retrograde 9. Released From Suffering 10. Root Progression

出会って非常に良かったと思うピアニスト、ジェイソン・モランの初リーダーアルバム。 3曲目の前半を除いて、彼のオリジナル。曲によってソロからクインテットまでのさまざまな編成。演奏も非常に個性的ながら曲もほとんどが彼のオリジナルで個性的。はっきりした4ビート系の曲はほとんどありません。1曲目はトータル・サウンドを追求するかと思いきや、2曲目ではけっこうピアノが全開。3-4、9曲目などに渋めの曲を演奏。 3曲目の前半はクラシックのラヴェルの曲。5曲目はトリオでピアノの個性を堪能できます。6曲目はソロ。だんだんと盛り上がりを見せる7曲目、静かに染み込むような10曲目。個人的には絶賛している(つまり個性的?)アルバム。今までにいなかったようなサウンドのピアニストです。(99年11月17日発売)

2023/04/09

Tapestry/Bob Belden

Bobtapestryグレッグ・オズビーのサイド参加作。とは言うものの彼は6曲目にだけ参加しているのですが。ただ、このアルバム、キャロル・キングの「つづれおり」を曲順もほとんど同じにファンクで再現しているので、興味深いです。このアルバムを買ってから、元のオリジナルのアルバムも買ってみました。そんな魅力があふれる楽曲が多いアルバム。今でも両方大事に持っていますけれどもね。ベルデンとしては比較的シンプルな編成で録音に臨んでいるのも珍しいかも。それが、今までブログで紹介できなかった一因でもあります。オリジナルも、このアルバムも、けっこういいなあと思えるのは元が名作だからですね。

 

Tapestry/Bob Belden(Ss)(Blue Note) - Recorded April - September, 1997. Tim Hagans(Tp), John Hart(G), Kevin Hays(P), Scott Kinsey(Synth), David Dyson(B), Billy Kilson(Ds), Stefon Harris(Vib), Bluey Maunick(G), Greg Osby(As) - 1. I Feel The Earth Move 2. So Far Away 3. It's Too Late 4. Home Again 5. Beautiful 6. Way Over Yonder 7. Where You Lead 8. You've Got A Friend 9. Will You Still Love Me Tomorrow 10. Smackwater Jack 11. Tapestry 12. You Make Me Feel Like A Natural Woman

ボブ・ベルデンによるキャロル・キングの「つづれおり」(’71年)の全曲フル・カヴァー・アルバム。曲順もほとんど同じなので元のアルバムと聴き比べると面白いかもしれません。 原曲の方はフォークというかポップというか、そんな感じのサウンド。今回は比較的少ないメンバーをやりくりしてアルバムを作っていますが、アレンジも凝っていてどの曲もカッコいいフュージョン・サウンド。特に1曲目のグルーブ感とジョン・ハートのギターは最高。渋めな2曲目、ファンクしている3、8(歌だけの要素ならこの曲が一番好き)、10、12曲目、ベースのテーマがいい5曲目。メロディアスな9曲目、デュオの美しい小品の11曲目 。グレッグ・オズビーは6曲目に参加しています。その曲はホーン3本とエレピによる内省的な小品。

2023/04/08

Scoop/Cornelius Claudio Kreusch & Black Mud Sound

Corneriusscoop グレッグ・オズビーのサイド参加作。なかなかかっこいいワールド&ポップサウンドになっていますが、今だったらこういうアルバムは買わなかったろうなあとも思います。ACTレーベルから出ていて、しかもオズビー参加なので手を出したのだと思います。まあ、当時は今よりもCDをたくさん買っていましたし、こういうアルバムが国内盤で出ていた時代ですからね。サリフ・ケイタやエリザベス・コントマノウとか、あとになって知った名前のヴォ―カリストもいますし。このゴチャマゼ具合はなかなか面白いと思います。ストリーミングで調べたけど、このアルバムはなかったけど、まだ他にいろいろアルバムが出てましたね。

 

Scoop/Cornelius Claudio Kreusch(P) & Black Mud Sound(Act) - Recorded December, 1996 - Novemver, 1997. Salif Keita(Vo), Elisabeth Kontomanon(Vo), Thomas Grimes(Vo), Fra-Fra Tribesmen(Vo), Richard Bona(Vo), Greg Osby(As), Bobby Watson(As), Ron Blake(Ts), Zaf Zapha(B), Cyril Atef(Ds, Per, Vo), Anthony Cox(B), Terri Lyne Carrington(Ds, Vo), James Jenus(B), Will Calhoun(Ds, Per), Johannes Tonio Kreusch(G), Camille Gainer - 1. Niles 2. Yarum 3. Salif 4. Scoop 5. Imbao 6. Pulse 7. Faith 8. Feel! 9. Wocai 10. Flame 11. Nomad 12. Jafro

参加メンバーが豪華で、カッコ良いファンクあるいはワールド、またはポップサウンド。いろいろな傾向の曲(ゴチャマゼ?)がありますが、全曲コーネリアス・C・クロイシュのオリジナルまたは共作。そのトンガッたファンクはエネルギー感が高く、ピアノもシャープでセンスが良いフレーズを次々に繰り出していきます。ヴォーカルやラップが入る曲もあり、アフリカ出身のヴォーカリストの参加も何曲かあって、ファンクとアフリカンが混じったフレーバーが心地よい。3曲目など、サリフ・ケイタのヴォーカルがファンクをバックに強烈な印象を与えています。逆に5曲目のようなポップな曲も。そしてオーソドックスなピアノ・トリオで優しい8曲目もさりげなく。グレッグ・オズビーは1-2、6、9、11-12曲目に参加。(02年3月20日発売)

2023/04/07

Panorama - Live At The Village Vanguard/Jim Hall

Jimpanorama グレッグ・オズビーのサイド参加作。2曲のみに参加していますが、この当時はジム・ホールも健在だったんですねえ。特に晩年は、実験的というか、とんがったアルバムを何枚か残していて、その探求心には驚くばかりでした(少し面食らっていたかも)。いちおう当時は追いかけていたので、こういうアルバムも持っているわけですが、ギター・トリオにゲストが加わるという、なかなか興味深い演奏をしています。オズビーの参加する曲は、彼向けのサウンドになっていて、それもなかなか面白いと思う点ですね。まだまだホールのウデも健在だし、こういう冒険があるのが、うれしかったものでした。とはいうものの全体的にはオーソドックスかなあとも。

 

Panorama - Live At The Village Vanguard/Jim Hall(G)(Telarc) - Recorded December 4-8, 1996. Scott Colley(B), Terry Clerk(Ds), with Guests: Kenny Barron(P), Art Farmer(Flh), Slide Hampton(Tb), Geoff Keezer(P), Greg Osby(As) - 1. Pan-O-Rama 2. Little Blues 3. The Answer Is Yes 4. Entre Nous 5. Furnished Flats 6. Something To Wish For 7. No You Don't 8. Painted Pig 9. Here Comes Jane

ジム・ホールの、大御所なのにライヴでも新しい事を常に目指している姿勢には感動 します。アルバムは全曲オリジナル(正確には3曲目のみジェーン・ホール作)で、各曲ひとりずつゲストを迎えています。ゲストは1(カリプソ風?)、9(ジャズ)曲目がジェフ・キーザー、2曲目がアート・ファーマーでギターにエフェクターをかけてテーマもちょっと実験的な曲、3(おなじみのジャジーな曲)、6(これもジャジー)曲目がケニー・バロン、4(バラード)、7曲目(個性的なテーマですがジャズ)がスライド・ハンプトン。そして、特に5、8曲目に参加のグレッグ・オズビーを迎え、2曲ともテーマからしてグレッグ・オズビー向け。そして我が道を行くソロ。ギターや他のパートも触発されています。 なかなかのマッチングだと思いますが。

2023/04/06

Blue Spirit/The Blue Note All Stars

Bluenoteallst グレッグ・オズビーのサイド参加作。これで、ホームページでミュージシャン別に追いかけている最後のひとりになりましたが、ちょっと枚数が多めです。このアルバム、ブルーノート・オールスターズという名前からも、この当時のブルーノートのミュージシャンのオールスター編そのものですね。顔ぶれを見ても、なかなかな顔ぶれ、異端なのはオズビーだけで、あとはメインストリーム系のミュージシャンですね。でも彼も、うまく合わせていて不自然さは感じられません。それでも個性は十分出ているとは思いますけれども。もう他のミュージシャンをほとんど紹介し終わったので、そんなに新たなアルバムが出てくることはないのですが、それでもこのアルバムのように出てきますねえ。なかなかいいアルバムです。

 

Blue Spirit/The Blue Note All Stars(Blue Note) - Recorded January 8-9, 1996. Tim Hegans(Tp), Greg Osby(As), Javon Jackson(Ts), Kevin Hayes(P), Essiet Essiet(B), Bill Stewart(Ds) - 1. Twist And Out 2. Our Trip 3. Free Hop 4. Next Time Out 5. Think Before You think 6. Thedore 7. Splash 8. Naaman 9. Kae 10. A Caddy For Daddy

これが’96年のブルー・ノート・オールスターズ。ストレートアヘッドなジャズが繰り広げられていますが、新しいサウンドで曲も凝っていて、ほとんどがオリジナルという姿勢がまず、いい。それでいてどの曲もグループとしてのまとまりを見せています。OTBを彷彿とさせますが、彼らはそれよりはベテラン。 メンバーもけっこう鋭い組み合わせ。グレッグ・オスビーのソロは個性的であっても、全体のサウンドにうまくマッチしています。考えてみたら全員が個性的かも。 グレッグ・オズビーも1曲作曲しています。彼のオリジナル(4曲目)は変拍子のようですが、研ぎ澄まされて美しいバラードに仕上がっています。10曲目はボーナストラックで、ハンク・モブレイ作のジャズロック。イケイケで楽しく演奏されています。

2023/04/05

But Beautiful/David Liebman & Phil Markowitz

Davephilbut デイヴ・リーブマンの競演作で、いちおう彼の紹介は一段落。この2人のアルバムは他にもいくつかあり、やはり一緒にやっているだけあって気心の知れた演奏だなあ、ということが分かります。デュオの演奏を中心に、何曲かでゲストが参加する方式をとってますが、アルバムを全編通して聴いても割と引きこまれてしまうのはなかなか素晴らしいところです。静かな感じと緊張感のある感じが合わさって、ドラマチックに曲は進んでいきます。時々スタンダードがはさまれていてホッとしますが、やっぱりリーブマンが吹くと彼の音楽になってしまうところが面白い。インプロヴィゼーションとしての面白み。

 

But Beautiful/David Liebman(Ss, Bamboo Fl) & Phil Markowitz(P)(Sunshine Digital) - Recorded December 11 and 12, 1996. Tiger Okoshi(Tp), Akihito Fuse(Furin Bell), Takanori Sugauchi(Finger Symbal) - 1. Chant 2. But Beautiful 3. Snowblind 4. An Old Friend (For Val) 5. Hope 6. Prologue 7. You Don't Know What Love Is 8. Relentless 9. Shapes 10. Expression

何年もいっしょに演奏しているフィル・マコーウィッツとの気心のしれたデュオ。 10曲中6曲は、デイヴ・リーブマンかフィル・マコーウィッツのオリジナル。2人の反応は素早く、しかもメロディやハーモニーの感覚は鋭く、それは例えば2、7曲目のスタンダードの曲を聴けば分かりやすいと思います。ドラマチックに、あるいは内省的に、時には包み込むようにデュオを展開し、 時にインプロヴィゼーションのぶつかり合いがスリルがあります。10曲目のジョン・コルトレーンの曲はスペイシーな部分もあって、静かな中に精神性を感じさせて印象的。ジャズというよりは上質のデュオのインプロヴィゼーション。6、7曲目にはタイガー大越も参加していて、6曲目は3人のフリー・インプロヴィゼーション になっています。(99年7月14日発売)

2023/04/04

Live At The Lighthouse/Elvin Jones

Elvinlivelight デイヴ・リーブマンのサイド参加作。ブルーノートのアルバムだけど、発売が’00年のを購入しています。録音時期も’72年だし、なかなかこのあたりは国内盤でCD化されなかったのかなと思います。もう一人のサックスがスティーヴ・グロスマンなので、ただ事ではないですね。長い曲が多いですけど、ライヴなので、迫力があります。私はエルヴィン・ジョーンズのアルバム、持っているのが少ないんですけど、もう1枚あるようです(探せませんでしたが)。このアルバムは1度聴いておいても損はないと思いますけど、今の入手可能性はどうなんでしょうね。まあ、ストリーミングでも聴けますが。

 

Live At The Lighthouse/Elvin Jones(Ds)(Blue Note) - Recorded September 9, 1972. David Liebman(Ss, Ts), Steve Grossman(Ts), Gene Peria(B) - 1. Introduction 2. Fancy Free 3. Sambra 4. The Children, Save The Children 5. Introduction/Happy Birthday 6. Sweet Mama 7. New Breed 8. My Ship

10分台の長尺の曲が多く、ライヴならではの迫力ある曲が多いです。ピアノレスなのでスペイシーで自由に飛翔するサックスという感じをもたらし、効果的。ルディ・ヴァン・ゲルダーのリマスタリングにもかかわらず音質はベースがあまり好きではありませんが、当時としてはこんなものかな、とも思います。それにしてもエルヴィンのドラムはパワフル。ドーンド・ドーンドとシンプルなリズムの上をバトルする2人のサックスの2曲目は21分もの大曲。ゴキゲンなテーマを持っていて楽しい3曲目、4ビートで押しまくって、ブルースっぽい感じの4曲目、ドラムソロがまた迫力の6曲目、不思議なメロディ感覚のテーマの7曲目もアドリブ部分に入るとゴリゴリと。そしてこのメンバーにしてはゆったりとしたバラードの8曲目で幕を閉じます。(00年10月25日発売)

2023/04/03

300号を迎えるJazz Tokyoで特集「ECM:私の1枚」に掲載していただきました

1365 稲岡邦彌さん主催の今月で300号を迎えるJazz Tokyoで特集「ECM:私の1枚」というのが組まれています。(4月2日更新)
https://jazztokyo.org/category/features/my-ecm-pick/

そこで、縁あって私の1枚も掲載していただきました。
https://jazztokyo.org/features/my-ecm-pick/post-84836/

16年前の因縁の、ジャズ批評誌のいくつもの大きい誤植で台無しになってしまったレビューが姿を変え、やっとここで日の目を見たわけです。もうその時のジャズ批評の担当者は亡くなっているので、今更リベンジだなんだ、と言ってもはじまらないので、新たな気持ちで掲載されたのをうれしく思います。それにしても、膨大なカタログ数もあって、多様性のあるECMのこと、それぞれの私の1枚はけっこうばらけていろいろなピックアップがなされています。有名無名、140名近くの多くの方が書いているので、特集、見てみてください。

思えば、それまでも漠然とECMのアルバムを時々買っていたわけですが、ECMの全部聴きをやることになる一番最初の方のアルバムがこれでした。その時はまだ1001からはじまって1365番だったので。最近になって年間50枚前後を出す大レーベル(すでに2700番台後半)になるとは思ってもいませんでしたけど。

ちなみにJazz Tokyoは下記のURLが表紙です。
https://jazztokyo.org/

最後に、私の「ジャズCDの個人ページ ECM Blog」もよろしくお願いします。
https://kudoecm.blog.jp/


2023/04/02

New Vista/David Liebman Group

Davidnewvis デイヴ・リーブマンのリーダー作。このアルバムのアルカディアレーベル、当時スウィングジャーナルで売り出していて、そういう意味では記憶にけっこう残っているのですが、尻切れトンボのように終わってしまって、あまり印象はないですね。彼とブラジル音楽というのも、あまりないとは思うので、そういう意味では面白いのかもしれない。でも彼が吹くと、やはり彼のサックスのサウンドになってしまっていて、やっはりリーダーを聴くアルバムなんだろうな、とは思っています。数ある彼のアルバムの中に埋もれがちではありますが、こういうアルバムもあるということで。久しぶりに聴いたけど、良かったでした。

 

New Vista/David Liebman(Ss, Ts) Group(Arkadia) - Recorded June 20-23, 1996. Vic Juris(G), Phil Markowitz(Synth, P), Tony Marino(B), Jamey Haddad(Ds, Per), Cafe(Per) - 1. New Vista 2. Estate 3. Real Dreams 4. So Far, So Close 5. Christmas Socks 6. Beauty And The Beast 7. Jungle Glide 8. Zingaro 9. The Gross Man

半分はデイヴ・リーブマンかフィル・マルコヴィッツのオリジナル。ブラジル音楽に深く踏み込んだアルバムということですが、曲によってはそうかなあ、という感じです。ブラジルのエッセンスもけっこう取り入れているデイヴ・リーヴマンの世界と言った方がいいのかも 。1曲目のタイトル曲はノリの良いリズムの上を難しそうなコード進行が展開するオリジナル。静かな曲ではソプラノサックスの音の周りに漂う空気感がいい。そんな2曲目の「エスターテ」は哀愁漂う印象的なメロディ。アントニオ・カルロス・ジョビンの曲が8曲目、安らぐディズニーの曲も 6曲目にあります。曲によっては楽しそうなリズムで弾んでいますが、その上をサックスのフレーズがけっこうシリアスに飛び交っている場面もあったりします。(99年2月24日発売)

2023/04/01

Miles Away/Dave Liebman Group

Davemilesaw デイヴ・リーブマンのリーダー作。彼はいろいろなことをやっているけど、このアルバムはマイルス・デイヴィス研究のような、それを自分のアレンジの中に持ってきて、演奏しているアルバム。新旧いろいろな曲を演奏していますが、なかなか面白い。それをこのメンバーでやってしまうのはなかなかだと思います。いい演奏だと思いますけど、これ、フランスのOwlレーベルから出していたんですね。彼とフランスのレーベルのつながりも興味深いですが、そうやっていろいろな方面へ飛び出していくところが好きですね。それにしてもリーブマンがサックスを吹くと、彼のサウンドになってしまうのが興味深いです。

 

Miles Away/Dave Liebman(Ss) Group(Owl)(輸入盤) - Recorded March 12 and 13, 1994. Phil Markowitz(P), Jamey Haddad(Ds, Per), Vic Juris(G), Tony Marino(B), Caris Visentin(English Horn), Scott Cutshall(Hand Claps), Kent Heckman(G) - 1. Code M.D. 2. Wili (For Dave) 3. In A Silent Way 4. 81 5. Fall 6. All Blues 7. Pan Piper 8. Milestones 9. Smooth 10. Solar 11. Boplicity

(99/07/23)デイヴ・リーブマンのマイルス・デイヴィス曲集。マイルスの作曲した曲や、愛奏曲などが演奏されています。解釈としては新旧偏らずに良い所を持ってきて、けっこう研究されているような気もします。エレクトリックな曲はなかなかカッコいいです(特に1曲目)。また、50-60年代の曲もありますが、そのまま演奏しているわけではなく、コードやリズムなどもいじってちょっと複雑な感じ(6、8曲目など)にしています。静かな曲の場面では、マイルスの曲であってもそのサウンドは空気感漂うデイヴ・リーブマン・ワールド。これがいいんです。ところで、このアルバムでのギタリスト 、Vic Jurisが気に入りました。サウンドは独自のものであっても、演奏の精神はマイルスを感じる、といったところでしょうか。

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