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2023年3月の記事

2023/03/31

Doin' It Again/David Liebman Quintet

Daviddoinitデイヴ・リーブマンのリーダー作。この時に日野皓正とジョン・スコフィールドが参加していた時代なので、なかなか印象深いものがあります。これはCDが国内盤で出ていたんですね。この時期のジョン・スコも好きだったので、どちらかというとそれで追いかけていた節もあります。当時はエレキ・ベースをアコースティックのベーシストが弾くということもありましたし、そういう面では時代も感じさせますが、やっぱりジャズは’70年代井子だよねえ、と自分の中では(’50-60年代も聴いたうえでですけど)確信に変わってきて、もうこのあたり(’00年)にはそういうアルバムを多く集めるようになりました。

 

Doin' It Again/David Liebman(Ts, Ss) Quintet(Timeless) - Recorded 1979. Terumasa Hino(Tp, Flh, Per), John Scofield(G), Ron McClure(B), Adam Nussbaum(Ds) - 1. Doin' It Again 2. Lady 3. Stardust 4. Criff's Vibes

曲によっては(何とロン・マクルーアの)エレキベースだったりして少々時代を感じさせますが、まず、メンバーがスゴいということだけでも許せてしまうアルバム。全体の録音は30分台とやや短め。1曲目は当時のクロスオーヴァーとも言うべき内容なのですが、ホーンやギターのソロが印象に残ります。けっこう渋い。2曲目はやはり渋いアンサンブルのテーマが印象的で、これもけっこうクロスオーヴァー的でビートがグルグルと変わります。3曲目のタイトル曲はスローでメロディアスなスタンダード。こちらは4ビート。4曲目はアップテンポで、けっこう自由度の高いサウンド。最初の方でベースのアルコでのソロが。全体を通してギターの露出度はけっこう高め。 そのギターがジョン・スコフィールドなので聴く価値はあるかも。(00年7月26日発売)

2023/03/30

The Opal Heart/David Liebman Quartet

Davidopalh デイヴ・リーブマンのリーダー作。この頃はデヴィッドと表記されているものと2通りあるので、探すのが大変です。ストリーミングなどはどっちで検索しても大丈夫なようにはなっているみたいですが。ピアノにマイク・ノックが参加しているところは目玉かもしれませんけど、出てくる音は割と硬派なジャズです。リーブマンはアルバムをたくさん出していて、追い切れてはいないのですけど、まだ手持ちでブログにアップしていないものだけを取り上げていきたいと思います。これもEnjaレーベルなんですね。一度は集めようかとも思っていたレーベルですけど、入り口のところで断念してしまいました。

 

The Opal Heart/David Liebman(Ss, Ts) Quartet(Enja)(輸入盤) - Recorded February 21 and 22, 1979. Mike Nock(P), Ron McClure(B), Ed Soph(Ds) - 1. Sunburst 2. Port Ligat 3. The Opal Hearted Aborigine 4. I Concentrate On You 5. Star Crossed Lovers 6. Down Under

(99/07/23)ヨーロッパのレーベルらしく、どこか冷めたところもあるサウンドですが、ときおり熱いところを見せてくれます。やはり静かな場面ではデイヴ・リーブマンの独壇場。 2-3曲目がリーブマンの作曲、1、6曲目がロン・マクルーアの曲で、4、5曲目がいわゆるスタンダード。4曲目は割と賑やかで5曲目はピアノとの静かなデュオですが、けっこう分かりやすいサウンドで聴きやすいです。1曲目はメカニカルなコード進行とフレーズが面白い。2曲目はいわゆるテンポのないジャズ。3曲目もけっこう盛り上がりますが、ビートがウォーキング・ベースではない曲。6曲目は哀愁が漂っていてしかもメロディアス。渋い仕上がりです。こういう曲は けっこう好みです。 個人的にはマイク・ノックの参加がうれしい。

2023/03/29

Bpm/Graham Haynes

Grahambpmグレアム・ヘインズのリーダー作で、今日で一段落。なんだか来るところまできてしまったようで、ジャズとも何とも言えないようなサウンドの世界になっています。まあ、打ち込みとかサンプリングとかの要素が強くて、いわゆるジャズ・フュージョンのファンの私からすると、ちょっと世界が違うかなと思ってしまったアルバム。それでもまだ当時はこういうアルバムも追いかけるだけの余力は残っていたんだと思います。ギターとドラムスには知っている名前も見受けられたし。今だったら、どうだったでしょうね。やはり個人の技量だけではなく、どういう音楽世界を聴かせるかも大事だな、と思います。

 

Bpm/Graham Haynes(Cor, Flh)(Knitting Factory)(輸入盤) - Recorded Winter and Spring, 1999. Brandon Ross(G), Marque Gilmore(Ds), DJ Spazekraft(Prog), Daniel Moreno(Per) - 1. Variations On A Theme By Wargner 2. Variation No.2 3. Red Zone 4. Telluride 5. Inn A Most 6. Tristan In The Sky 7. Climate 8. Revamp

(00/11/23)打ち込みやサンプリングもあるアルバム。ジャズ度はあまり高くないかも。1曲目からタイトル通りワーグナーの曲のサンプリングもあったりする壮大な(?)打ち込みサウンドの独自な世界。2曲目のワーグナーからの引用がある曲らしいですが、こちらは打ち込みのリズムの上を漂うホーン、といった感じ。渋めの曲。3曲目はスペーシーなシンセのベース音とホーンとの緩やかなかけあい。リズミカルなドラムが入る4曲目、ヴォイスも入り、かつ打ち込みのリズムが心地良い5曲目。唯一バラードではないかと言える6曲目、テレビドラマの恐怖をあおるような静かな曲調ではないかと思える7曲目。サンプリング調のヴォイスの掛け合いも面白い8曲目。かなりマニアックなアルバムではないかとは思いますが...。

2023/03/28

Tones For The 21st Century/Graham Haynes

Grahamtonesfor グレアム・ヘインズのリーダー作に戻ります。このあたりになってくると、シンセサイザーをメインに使ったような一人多重録音的なサウンドになってきます。当時は興味本位で買ってみたものの、さて、どう評価しようか、と迷ったものでした。こういうサウンドも割と好きな方ではありますが、彼が演奏しているとなると、ちょっと自分の興味からは離れていってしまったかなあ、とも思ったものでした。この後もリーダー作で名前を見つけたら買ってはいましたが、なんだか彼もフェードアウトしてしまったようで、最近は追いかけることをやめてしまってます。M-BASE近辺のミュージシャンは、今からするといろいろですね。

 

Tones For The 21st Century/Graham Haynes(Cor, Flh, Tp, Key)(Antilles)(輸入盤) - Recorded 1996. Steve Neil(African harp), Aaron Lazansky Aka DJ Spazecraft(Spoken Word), Tracie Morris(Spoken Word) - 1. Millennia 2. Nameless River 3. Out Of Phaze/Spirit World 4. Sadguru 5. Simplicity 6. Solo

(00/11/09)タイトルは何だかものものしいですが、基本はシンセサイザーのたゆたうようなサウンドに音を重ね合わせていく一人多重録音に近い世界。ビート感は全然ありません。グレアム・ヘインズ自身のホーンの演奏も控え目。1曲目は、ゆったりと流れるようなサウンドの上を静かに通りすぎて行くナレーション、2曲目はやはり時間を超越した音の上を漂うアフリカン・ハープ、3曲目は16分台の大作で、これまた瞑想的なバックのサウンドにナレーションがかぶさっているというもの。少々退屈かも。4曲目はインド音楽のようなバックにのっかるホーン、5曲目は雄大な(?)シンセサイザーのソロ。6曲目はソロの演奏にエコーをかけて効果を出していますが...。これもヒーリング系?

2023/03/27

Crustal Movement/KAZE & Ikue Mori

Kazecrustal フリー・ジャズの新譜が来たので、先に。田村夏樹と藤井郷子の参加するKAZEとモリイクエの、コロナ禍において世界の3カ所で音源を送ったりして重ね合わせてできたアルバムで、そういうことを気にせずに聴いていると、同時に録音したのではないか、と思わせるようなアルバム。これもマスターはマイク・マルシアーノですね。実は長男がKAZEの初期の頃のアルバムを、オーディオチェック用に使っていたりと、フリーならではの音のリアリティがけっこうあるので、これもまた、マスタリングで良い音になっている感じです。コロナ禍の時にはこういう録音方法が流行りましたが、その中でもリアリティという点ではかなりいいセンいってます。

 

Crustal Movement/KAZE & Ikue Mori(Electronics)(Circum Libra) - Recorded October 2021 - May 2022. Christian Pruvost(Tp, Flh), Natsuki Tamura(Tp), Satoko Fujii(P), Peter Orrins(Ds) - 1. Masoandro Mitsoka 2. Motion Dynamics 3. Rolle Cake 4. Shifting Blocks 5. No Twist 6. Crustal Movement

1、5曲目がChristian PruvostとPeter Orrins作、2、4曲目がモリイクエ作、3曲目が田村夏樹作、6曲目が藤井郷子作。収録時間は51分。コロナ禍の時に世界の3カ所でそれぞれ音源を重ね合わせてできたトラックがCDとなって発表されたもの。おそらく作曲者というのはベーストラックを録音した人を指していて、基本的には全員作とも言えます。予備知識なしに聴くと多重録音とは思えない一体感のあるフリーです。このメンバーでのフリー度はけっこう高いものの、このメンバーでは2作目となるモリイクエの参加で、エレクトロニクスが入って音に厚みが出てます。ピアノも参加しているものの、メロディらしいものの出番が少ないくらい硬派なフリー。時に弦を指ではじいている場面も。3-6曲目はピアノもある程度目立つ。(23年3月17日発売)

2023/03/26

The Layers/Julian Lage

Julianthelayer 今日はブルーノートの新譜です。ジュリアン・ラージの、前回出したアルバムと同じ時の録音なんだけど、収録時間が24分と短いのです。前回のアルバムも確か48分収録だったのですが、個人的にはビル・フリゼールも大好きだし、彼の色が満載なので、こういうミニアルバム的な内容でも、けっこう楽しめると思います。個人的には、前のアルバムにまとめても72分ほどなのでいいのではないかと思いますが、今だとそれではちょっと長い感じもしてます。前作は好評だったので、これも出すかという話になったのでは、と、好意的にとらえてます。ただ、タイトル曲がボーナストラックとは、記載しないでも良かったかも。

 

The Layers/Julian Lage(G)(Blue Note)(輸入盤) - Released 2023. Bill Frisell(G on 1, 3-6), Jorge Roeder(B on 1-3, 5-6), Dave King(Ds on 1, 3, 5-6) - 1. Everything Helps 2. Double Southpaw 3. Missing Voices 4. This World 5. Mantra (Bonus Track) 6. The Layers

(23/03/21)全作「View With A Room」と同じ時の録音で、全曲Julian Lageの作曲。収録時間が24分と短い。このあたり前回の録音の残りテイク的な感じ(演奏の質は高いけど)も少々出てくる。ビル・フリゼールがここでも5曲に参加しているので、牧歌的な、あるいはフォークソング的なサウンドになっていて、1曲目などはそれなりに盛り上がりもあるので、なかなかいい感じでせまってきます。ベースとのデュオの2曲目や、ギター2台でのデュオの4曲目をはさむことによって、また守備範囲が広がっているのも、いい。3曲目は哀愁というか、少し暗さの出ている短調の曲。ボトムの2人との相性なのか、全編フォーク的な味わいが出ていて、それはフリゼールが参加していない2曲目も。6曲目がなぜボーナスなのかが不明。

2023/03/25

Sphere/Bobo Stenson Trio

2775 ECMの新譜5日目で、ECMの新譜については一段落。今日のボボ・ステンソンもECMだいたい50周年ですね。こういう長くアルバムを出すミュージシャンがいなくなってくる中、貴重なミュージシャンではあります。サウンド的には、静かな中にも、多少緊張感をもたらすフレーズの応酬があるにしても、割と甘い激しい曲のない展開なので、聴く人によってはどうかなあ、という面もありえますが(そんなに甘くないと感じる人もいるとは思いますが)、全体としては、まあ美メロ、聴いていて弛緩する方が多いアルバムでもありますね。これを良いととらえるか、物足りないととらえるかは聴く人の主観にもよってくるのでは、と思います。

 

Sphere/Bobo Stenson(P) Trio(ECM 2775)(輸入盤) - Recorded April 2022. Anders Jormin(B), Jon Falt(Ds) - 1. You Shall Plant A Tree 2. Unquestioned Answer - Charles Lves In Memoriam 3. Spring 4. Kingdom Of Coldness 5. Communion Psalm 6. The Red Flower 7. Ky And Beautiful Madame Ky 8. Valsette Op.40/1 9. You Shall Plant A Tree (Var.)

(23/03/21)収録時間は48分。Anders Jorminの作または編曲が2、4-6曲目と、他の人の作曲が残り。スカンジナヴィアの作曲家の曲が多いらしいですけど、静かな雰囲気で、そのゆったり感はおそらくオリジナルとさほど変わらない、向こうの雰囲気が出ているなあ、とも。このメンバーでは4作目になります。その静かな中でも、やや緊張感のある部分もあって、ただ甘いだけのピアニストではないなあ、ということが分かります。彼もECM初期からのミュージシャンで、やはり50周年というくくりで語れるのではないでしょうか。激しい曲がなく、聴きやすいのも特徴で、ただそれゆえに、ジャズとしてはどうかな、という人が出ると思うけど、分かっている人が聴いてくれれば、その夢見心地な世界観を感じてくれる、と思います。

2023/03/24

At First Light/Ralph Towner

2758 ECMの新譜4日目。もうECM初期の頃から50年を超えているので、この頃から録音を続けているミュージシャンってだいぶ減ってきたのですが、その少ない中にこのラルフ・タウナ―はいます。彼の50周年を記念してのソロ・ギター作とは、なかなか憎い演出ですね。彼はフォークの12弦ギターも並行して使うことが多かったのですが、ここではクラシック・ギター1本での演奏です。無理せずに、それでも余裕をもって、彼自身の演奏をまだ続けられているのはなかなか渋いですね。オリジナルの中にスタンダード等を3曲散りばめてあるのですが、どれも彼の曲のようにも聴こえるところがまたいい塩梅だと思います。

 

At First Light/Ralph Towner(G)(ECM 2758)(輸入盤) - Recorded February 2022. - 1. Flow 2. Strait 3. Make Someone Happy 4. Ubi Sunt 5. Guitarra Picante 6. At First Light 7. Danny Boy 8. Fat Foot 9. Argentinian Nights 10. Little Old Lady 11. Empty Stage

(23/03/21)3、7、10曲目がスタンダードなどで、他はラルフ・タウナ-の作曲。収録時間は44分。ECMでの50周年を記念して録音されたというソロ・ギターのアルバム。今回はクラシック・ギター1本での録音ですが、相変わらず彼らしい演奏がうれしい。ジャズというよりは彼の表現する音楽というものがそのまま前面に出てきています。これをジャズ・ギターと言うと異論もあるでしょうけど、それもまたありかなと。じっくり聴き込むも良し、アルバムを通して聞き流しながら聴くも良しのアルバムで、、メロディアスな側面がそのまま出てきていて、衰えも知らない安心して聴ける音。素直なフレーズも多いですが、その中で乾いたような和音が出てくるのもいい感じです。10曲目はジャズ的なノリ。ギター1本で広がっていく空間。

2023/03/23

It's Always Now/Ralph Alessi Quartet

2722 ECMの新譜3日目。ラルフ・アレッシは好きなトランぺッターですが、過去にはM-BASE界隈にも出入りしていたと思いました。ECMでも、これまでは、ベースやドラムスに割と名の通った人を使っていたのですが、今回は若手(?)を入れて、彼のグループという感じを強くしています。前半は静かな曲が多めだったのが後半に行くにつれて、ECMにしては賑やかなジャズの曲(4ビートではない)が多くなってきて、本当はこういう曲をもっとやりたかったのではないかなあ、と思います。マンフレート・アイヒャーのプロデュースなので、彼の管理下ではこのあたりまで、というところではないでしょうか。

 

It's Always Now/Ralph Alessi(Tp) Quartet(ECM 2722)(輸入盤) - Recorded June 2021. Florian Weber(P), Banz Oester(B), Gerry Hemingway(Ds) - 1. Hypnagogic 2. Old Baby 3. Migratory Party 4. Residue 5. The Shadow Side 6. It's Always Now 7. Diagonal Lady 8. His Hopes, His Fears, His Tears 9. Everything Mirrors Everything 10. Portion Control 11. Ire 12. Hanging By A Thread 13. Tumbleweed

(23/03/21)1、6、13曲目はFlorian Weberとの共作(たぶん2人のインプロヴィゼーション)で、他は全曲Ralph Alessiの作曲。収録時間は59分。メンバーからすると、前作からリズム隊が変更になっているので彼のメンバーなのかな、と思わせます。少しとっ散らかったような雰囲気(1曲目)ではじまるも、ECM的な耽美的なところがある曲が前半には多く、収録曲が13曲と多いために、3-4分ほどの曲も多め。ピアノとトランペットだけの曲もあり、その曲は割とシンプルに演奏されています。普通のクァルテット編成なのにいろいろ研ぎ澄まされているところが多く、低い温度感のサウンド。4、8-12曲目はかなりジャズになるも、4ビートにならないのはマンフレート・アイヒャーの影響か。11曲目はキメの多いフリーの小品。

2023/03/22

Bartok/Casken/Beethoven/Ruth Killius/Thomas Zehetmair/Royal Northern Sinfonia

2595ECMの新譜の2日目で、これはNew Series。このアルバムも録音が’14年と古いですが、コロナ禍で延期にでもなったのでしょうか。ライヴ演奏で収録時間が78分というのは長いですが、本来のジョン・カスケンのこのオーケストラに捧げられた曲よりも、クラシック歴が浅い私にとってはベートーベン第5の方に耳が行ってしまうのはやむを得ないのかな、とも思います。まあ、New Seriesでよくある、新旧の作曲家を取り混ぜて、というのは成功している方だとは思います。時間的にはベートーベンがやや長いものの、だいたい三者均等に近い長さではないかと思います。ヨーロッパではこういうのが受けているんでしょうか。

 

Bartok/Casken/Beethoven/Ruth Killius(Viola)/Thomas Zehetmair(Vln, Cond)/Royal Northern Sinfonia(ECM New Series 2595)(輸入盤) - Recorded June 2014. - 1-2. John Casken: "That Subtle Knot" - Double Concerto For Violin, Viola And Orchestra 3-5. Bela Bartok: Concerto For Viola And Orchestra Sz.120 6-9. Ludwig Van Beethoven: Symphony No.5 C Minor Op.67

(23/03/20)ライヴ演奏で、収録時間は78分。John Caskenはイギリスの現代音楽家で、この曲はRuth KilliusとRoyal Northern Sinfoniaのために書かれたものとのこと。バルトークは19-20世紀のハンガリー出身の作曲家、ベートーベンは18-19世紀のドイツの有名な作曲家。新旧合わせての収録なのはNew Seriesお得意の方法ですが、やはりここでの主役はCaskenの曲でしょうか。インパクトでは超有名なベートーベンですけど。

2023/03/21

Stravaganze Consonanti/Gianluigi Trovesi/Stefano Montanari

2390 新譜が久しぶりに入ってきたので、聴いていきます。6枚中5枚がECM(New Series含む)です。今日のアルバム、ECMとありながらNew Seriesの方でも出せるような、まさにボーダーレスで、それでもGianluigi Trovesiのソロの部分とか、パーカッションが多めに入る曲もあったり、ラストの曲はやっぱりジャズだろうなあ、と思える曲だったりと、いろいろ不思議な点があります。録音から発売まで9年もかかっていますし、このあたりミステリーです。ちなみにECM Blogの方は、2500番以前はもう空き番号の発売はないと予想して詰めて記載してますので、その予備の習性で時間がかかりました。でも昨年でもこういうケースが1件あったんですけれどもね。

 

Stravaganze Consonanti/Gianluigi Trovesi(Cl, As)/Stefano Montanari(Concert Master, Vln)(ECM 2390)(輸入盤) - Recorded January 2014. Stefano Rossi(Vln). Claudio Andriani(Viola), Francesco Gallgioni(Cello), Kuca Bandini(B), Emiliano Rodolfi(Oboe), Pryska Comploi(Oboe), Alberto Guerra(Bassoon, Dulciana), Riccardo Balbinutti(Per), Ivano Zanenghi(Archlute), Valeria Montanari(Harpsichord), Fulvo Maras(Per, Electronics on 2, 11) - 1. Henry Purcell: The Witches' Dance 2. Gianluigi Trovesi/Fulvio Maras: Dissolvenze Convergenti 3. Giovanni Maria Trabaci: Consonanze Stravaganti 4. Gianluigi Trovesi: For A While 5-6. Guillaume Dufay: Kyrie I, Gianluigi Trovesi: L'metto Disarmato 7. Henry Purcell: Dido's Lament "When I Am Laid In Earth" 8. Henry Purcell: "The Gordian Knot Unit'd" - Ouverture 9. Giobanni Battista Buonamente: Sonata Decima Sopra "Cavalletto Zoppo" 10. Andrea Falconieri: La Suave Melodia 11. Gianluigi Trovesi/Fulvio Maras: Karaib's Berger 12. Henry Purcell: The Triumphing Dance 13-14. Gianluigi Trovesi: De Vous Abandonner, Josquin Desprez: Mille Regretz 15. Gianluigi Trovesi: Bergheim

(23/03/20)Gianluigi Trovesiの作曲(共作を含む)と、15-17世紀の様々な作曲家の古楽とを織り交ぜた、内容を聴いているとNew Seriesでもいいのではと思えるクラシック的なアルバム。59分収録。ジャズ色は当然ながらほぼなく、ブラインドで聴いていると、まさに古楽を今の編成で演奏した世界。だから録音から発表まで9年以上かかったのかな、と思わせます。ECMお得意の折衷音楽ですが、ジャズ側のファンから聴いていると、Gianluigi Trovesiのソロが割と今のインプロヴィゼーション的かな、と思えるところと、一部パーカッションが活発な曲があるのが、こちら側の世界なのかもと思えるところ。激しいところはあまりなくて、ある意味ゆったりとしたバロック以前の音楽とも聴けるけど、ラスト15曲目はけっこうジャズ。

2023/03/20

Transition/Graham Haynes

Grahamtransitiグレアム・ヘインズのリーダー作。レーベルはAntillesに移りますが、相変わらず彼の世界を貫いていると思います。いや、むしろその要素が増えてきたかな。ワールド、ロック、ピップポップなど、と当時は他のミュージシャンもそうですけど、他方面に表現が広がっていった時期ですしね。彼はコルネットなので、マイルス・デイヴィスが生きていたら、こういう方面もアリかな、と思えるようなサウンドの曲もあったりしますし。ただ、彼のアルバムはちょっと手を広げた感が強いイメージもあって、少し損をしているのでは、とも。それでもこの当時はけっこうこういうサウンド、好きだったんですよね。あ、言い忘れましたが、彼はロイ・ヘインズの息子です。

 

Transition/Graham Haynes(Cor)(Antilles) - Recorded September 1994 and February 1995. Steve Williamson(Sax), Vernon Reid(G), Jean-Paul Bourelly(G), Brandon Ross(G), Cheick Tidiane-Seck(Key), Amina(Vo), Daisy Paradi(Sitar), Vera Mantero(Vo), D.J. Logic Jason Kibler(D.J.), Daniel Moreno(Per), Jorge Amorim(Per), Lonnie Plaxico(B), "Catfish" Fred Alias(Ds), Marc Lindhal(Sample Prog) - 1. Transition 2. South Node Of The Moon In Pisces 3. Walidiya 4. Mars Triangle Jupiter 5. Harmonic Convergence 6. Freestylin' 7. Facing The Fast 8. Com Que Voz

(00/10/22)ワールド、ロック、ピップポップなどいろいろな要素を詰め込んだアルバム。だから曲によって印象はいろいろ。 進化するジャズを体現しているのだと思いますが、ちょっと拡散気味。1曲目はジョン・コルトレーンの曲なのですが、ハードロック的ギターは炸裂し、リズムが強調されていて独特の世界をいきます。リズムの上を不安定な要素をもって漂うギターが暗い陰を落とす2曲目、アミナ(・クローディン・マイヤーズだと思いますが)のヴォーカルも入ってやや中近東風無国籍的ワールド・ミュージック的雰囲気が11分も続く3曲目、一転軽いビートでノリの良い4曲目、スペイシーでゆったりした5曲目、ファンク調でヘヴィーな6曲目、やはりファンク調の7曲目、静かで幻想的なヴォーカルソロのみの8曲目。

2023/03/19

The Griots Footsteps/Graham Haynes

Grahamgriots グレアム・ヘインズのリーダー作。今までMuseだったのが、このアルバムはVerveから出ています。当時はM-BASE系のミュージシャンが大手から出る余地が多かったということで、いい時代でした。ここでもM-BASE含め、いろいろな要素を取り入れた曲が多いですが、やはりこういう録音や編集の仕方は彼の特徴なんでしょうか。今聴くと、少々とっ散らかった印象もありますね。ですので、知る限りVerveからはこれ1作のみです。3曲目の26分もある曲というのは今聴いてもよく思い切って録音したと思うのですが、でも、あまり売れなかったのでは、と心配をしてしまいます。曲ごとに聴いていくといいものもあるのですが。

 

The Griots Footsteps/Graham Haynes(Cor, Key)(Verve) - Recorded 1994. Steve Williamson(Ts, Ss), Cheick Tidiane-Seck(Key), Don-Dieu Divin(Key), Luis Manresa(Key), Laroussi-Ali Djamel(G), Brigitte Menon(Sitar), Lyra Menon(Per), Vincent Othieno(B), Noel (Papa Noel) Ekwabi(B), Jorge Amorim(Per), Daniel Moreno(Per), Chief Udoh Essiet(Talking Drum), Brice Wassy(Ds, Vo) - 1. Gothic 2. R.H. (For Roy Haynes) 3. Enlightment 4. Flip Stories 5. Psychic Plane 6. The Griots Footsteps

(01/05/05)映画音楽的なものものしい導入部の1曲目で3分ほどすごしたあとに、2曲目の父親のロイ・ヘインズに捧げられた曲はモロにM-BASE系のファンクと言った、ノリの良い曲が続きます。ただビックリしたのは、ジャズと言うよりはアフリカやインド方面へのワールド・ミュージックの回帰とでも言うべき3曲目が、何と26分にもわたって繰り広げられているのがすさまじいところ。ヴァーヴでよくぞやりました。4曲目はアフリカ寄りのM-BASE系の複雑な拍子のファンクで再びリズミカルに迫ってきます。インタールード的な5曲目を挟んで、タイトル曲の6曲目はこれまた14分台の大曲。それぞれのソロを中心にしながら、なかなかドラマチックな展開ではあります。いろいろな内容を取り込むのは良いのですが、少々散漫な印象も。

2023/03/18

Nocturne Parisian/Graham Haynes

Grahamnocturne

さて、CDの処分後になっても、まだアルバムは続きます。実はその処分前に仕込んでいたものなので、しばらくお付き合いください。

グレアム・ヘインズのリーダー作。やはり初期の頃はある程度M-BASEの影響もあるのでしょうが、1枚目ほどではなくて、パーカッションがけっこう目立っている格好になってます。私はこの頃まではM-BASEのミュージシャンの追っかけをしていましたが、この後にミュージシャン本位で追っかけをするようになり、M-BASE自体からは離れていきます。このアルバムでは、先日取り上げたスティーヴ・ウィリアムソンも参加していますし。奥の方にバラバラに入っているので、CDを探すのが大変になりましたが、もうすぐブログでのミュージシャン別制覇ということで、何とか頑張ってみます。

 

Nocturne Parisian/Graham Haynes(Cor)(Muse)(輸入盤) - Recorded September 11 and 12, 1991, and April 8, 1992. Steve Williamson(Ts, Ss), Mferghu(Key), Egmont Grisoni(Tambure), Mokhtar Samba(Per, Djembe), Doudou N'diaye Rose Jr.(Sabar), Allan Rupii(Talking Ds, Per), Samm Bennett(Per) - 1. Nocturne 2. Les Halles 3. The Island 4. Rue St. Denis 5. Stupide Salope Negre 6. The Island 7. Dancing In Dreamtime 8. Purya Danishri 9. La Fille Sympa

(03/10/28)9曲中6曲がグレアム・ヘインズのオリジナルか共作。当時からエレクトリックや、特にパーカッションをうまく使用したサウンド。M-BASEの影響も。1曲目はタイトルの雰囲気とは違い、パーカッションとバックのベースシンセの音の上を吹きまくり、ラストのコーラスで幕を閉じます。やはりピアノとパーカッションとコルネットのみで勝負している2曲目、シンセサイザーのゆったりとしたバックで美しいバラードを奏でている3、6曲目、慌しいテーマとノリの良いビートが交互に繰り返す4曲目、やはり重低音ビートの上をホーンが駆け回っていく5曲目、やや浮遊感を伴う重めなサウンドとソロの対比が際立つ7曲目、変拍子も入って比較的淡々と流れていく13分台の8曲目、美しいエキゾチックなバラードの9曲目。

2023/03/17

ディスクユニオンの買取2日目(持ち込み)

230316list 実は、15日の出張買取で、私が除外していたCDがありまして、それはプログレのアルバムだったんですね。アラン・ホールズワースつながりにしても、ゴング、とかゴングジラとかソフトマシーンとか、少々ジャズと関連付けるには無理があって外していました。そこに、今日(16日)見たら新宿プログレ館の高価買取リストに、私が手放さなかったCDが掲載されていたではありませんか。というわけで、今日の午後の予定が延期になって空いたので、急遽持ち込みで新宿プログレ館に行くことに。ある程度はそのプログレアルバムをまとめておいたのですが、やはり急いで予定変更をしたため、2枚持って行くのを忘れてしまいました。まあ、これはアラン・ホールズワースつながりということで、ジャズの時にまとめてもいいし、次回はオールジャンルまとめての(つまり私が万が一亡くなった後のことかも)買取になりそうな気配もあるため、まあ、放っておこうかと思った次第です。

出発する直前に、そう言えば、KENSOのアルバムも、いちおう主なものは全部アルバムを持っているのに(これは処分していない)、BOXを買っていたよなあ、と思い出し、これも買ってから1-2度しか聴いてなかったのでこれも持って行くことになりました。結果、このBOXで、買取価格の3分の2近くを占めることになり、そこそこの査定になったわけです。今回は聴いてないアルバムはとにかく処分する、という原則でも動いてましたし。

最初はプログレ館なんて入ったことないし、持って行ったCDがプログレに該当するのかどうか、尋ねるところから始まってしまいました(笑)。それと、BOX入れて22枚(組)なので、査定はすぐ終わると思ったら、他にも買取している人もいて1時間待ち。おかげで新宿ジャズ館とか、他の店も久しぶりなんで見てまわりましたよ。ただ、気になるのはお店の中古CDの古びれ感と値付けの安さ(もちろん高いものもある)で、CDを処分できてお金ももらえる時期の終わりに近づいているのではないかなあ、とも予感させる感じでした。ディスクユニオン、今は店頭販売だけではなくて、ネット販売もあればヤフオクでのオークションもやっていますし、お店を見ているだけでは、経済の循環が分かりづらいところもありますけれどもね。

時間が来て買取価格の提示がありました。割と高く買い取ってくれるものとけっこう安いものとありましたが、それでも100円を切るものはなかったと思います。BOXのおかげで、まあまあの買い取り価格になって、感謝しています。

230325kaitori (追記25日)出張買取の時に入れ忘れたジャズCD19枚を持って行く。新しめのが多いので、まあまあの買取価格。これで、放出は一段落だと思います。ただ、これを機会に、ストリーミングへの大幅移行を模索しています。結論が出るのはまだまだ先になりそうだけど。

2023/03/16

ディスクユニオンの出張買取を経験しました


230315du2 230315du3 昨日(15日)、ディスクユニオンに出張買取に家に来てもらいました。実は大量処分、昨年4月には考えていて、ユニオンとメールでのやり取りが残ってますが、やっと決断に踏み切ったのが、今月の、確定申告も落ち着いた11日のこと。即メールを入れて、先方の都合のつく一番早い日が昨日15日でした。20%アッププラスボーナスキャンペーンもありましたし、そういうわけで今は買い取り、かなり混んでいるそうでした。それと、ブログの仕込みは4月の方まですでにやっていて、ブログがいったん区切りがついて、CDを手放せるいい時期が重なったということもあります。

枚数が多いため、買取は、CDを運ぶチャーター便の運転手さん(梱包も少し手伝う)合わせて3名が来所。先にCDラック兼本棚の、この棚は売らない、この棚は売ると明確に分けて私が指示の紙を貼っていたせいか、CD(少しのLPとDVD、書籍を含む)の梱包作業は1時間半ほどで間違いもなく終わり、段ボール計51箱になりました。CDは5千枚弱というところでしょうか。部屋のオーディオにも興味を示さずに、時々話し相手にはなってくれるものの、どんどん黙々と仕事を進め、その手際の良さは見事です。なので、出張買取の時のことは特別話すことは多くないです。お客さんによっては、訪問してから個々のアルバムを売ろうかどうしようか迷う人もいるらしく、迷惑な人にならなくて良かったです。

いちおう言われたのが、昔ほどにはCDの値段がつかないこと、CD初期の頃のCD人気も陰りがみえてきて、私の場合にはジャズジャイアンツのCDが主な対象ですけど、値段はあまりつかないと言われました。また、分量が多いため、査定が出るのが1か月ほど先です。もちろんお知り合いのミュージシャンの方々のCDはとっておきましたし、長男がジャズの基本になるCDはとっておいて、とも言っていたので、それもやりましたが、手持ちの8割以上は売却したことになります。ディスクユニオンの人には内緒(というほどのことでもないか)ですけど、今までCD棚に詰め込みすぎて使い勝手が悪くて新譜以外はほとんどCDを聴いてなかったし、その分ストリーミング歴も3年以上になり、それで聴くことも増えたので、CDを大量に売却してもあまり不便は感じない、と思います。まだこれからもCDは買い続けますし。

まあ、これで本棚に仕事の書類を入れるスペースも増えてテーブルの上から一掃できるし、また新たな気持ちでCDを集めはじめるとしましょうか。ECMも2500番より前のものは本当に気に入っているものだけを残し、今回の買い取りで出しています。コンプリーターではなくなってしまいました。また買取の決断から来ていただくまでに日数がないので、このミュージシャンは残して、とか考える余裕もなく、えいやっ、とほとんど買い取りに出してしまいました。比較的新譜のものは残してありますが。数枚、あれ売らなければ良かったなあ、と後から思ったCDもありましたが、なくても困るほどではないし。本棚も前後2段積みだったのが、やっと隙間も多く(多すぎという意見も)なり、CDが取り出しやすくなりました。これをきっかけに人生変わるかも、とも思います。きつかったのが、カミさんに「今度多めにCD買い取りだすよ」と言ったら「それを買うためにいくらかかってるの?」とも言われたことです(笑)。

(追記)出張買取の条件はCD500枚以上、LP千枚以上だけど、お店に近いところじゃないと来れないだろうし、このくらいの量では自分で梱包して宅配買い取りにできるので、今回の出張買取は人生に1回の出来事だと思ってます。それでも後から手元の売らなかったCDをだいたい数えてみたらまだ千枚以上あったな。ジャズではないロックやJ-POP(ニューミュージック)の割合が多かったけど。

2023/03/15

What Time It Be!/Graham Haynes & No Image

Grahamwhatis グレアム・ヘインズのリーダー作。彼は今では知る人ぞ知る存在になっているようですが、M-BASE界隈には当時けっこう顔を出していて、サイド参加作で名前を連ねていることが多かったでした。ちょっと遅れてですけと、’01年頃にリーダー作をまとめて集めてみたんだと思います。CDを探せるかどうかという問題はあるのですが、リーダー作を6枚、聴いていきたいと思っています。このアルバムはモロにM-BASEの影響を受けている曲が多いのですが、他方面でこの後の方向性も少し持っています。アルバムコメントにも書いてありますが、ちょっといろいろ手を出しすぎているかなあ、という感じもします。

 

What Time It Be!/Graham Haynes(Cor) & No Image(Muse) - Recorded March 13 and 14, 1990. Lance Bryant(Ts, Fl), Andt Bassford(G), Marque Gilmore(Per), Mfergu(Synth, P), Gregory Latty(Ds, Per), David Gilmore(B), Kevin Harris(B) - 1. Short 2. D's Vamp 3. Sweet And Lovely 4. Blackfoot Stomp 5. Marrakech 6. Vera Moves 7. White Bikini 8. Heart Of Quiet Resignation

(01/07/15)時期的な点からみて、M-BASE色が強いアルバム。1曲目などはM-BASE色全開の変拍子ファンクです。2曲目もノリが良いもののこれもM-BASE的なファンク。 こういう路線だけでアルバムを作ってしまっても良かったかも。これに対して3曲目はピアノとのデュオでメインストリーム的なバラードを演奏しています。打ち込み・エスニック路線とでも言うべき内容に仕上がっている4曲目、さらにパーカッションが効いていてワールド色が強い3分弱の5曲目、反復的なリズムの繰り返しの上を漂うソロ楽器というイメージの6曲目、これまた変拍子ファンクの7曲目。そしてベースとの語り合いが聴けるバラードの8曲目。今後の萌芽が見られるものの、様々な要素を取り込みすぎかな、と思える部分も。

2023/03/14

Timeagain/David Sanborn

Davidtimeagランディ・ブレッカーのサイド参加作。ミュージシャン別のアルバムも終盤に差し掛かってくると、同じアルバムを2度あげたり、まだだと思っていたアルバムが既にアップ済みなのも多く、予想の数と異なってくるのですが、このアルバムに関しては、私はデヴィッド・サンボーンのリーダー作をほとんど買ってなかったので、参加メンバーを確認して、間違えのないことをはっきりとさせました。もうこの時はすでに泣きのサックスで、メロディアスな世界を描いていて、けっこう彼独自の世界に入り込んでいるなあ、ということが分かります。メンバーもなかなかすごいことになっていますし。

 

Timeagain/David Sanborn(As, P)(Verve) - Released 2003. Steve Gadd(Ds), Christian McBride(B), Russell Malone(G), Mike Mainieri(Vib), Don Alias(Per), Gil Goldstein(P), Lani Groves(Vo), Arnold McCuller(Vo), David Lasley(Vo), Valerie Pinkston(Vo), Luis Quintero(Per), Ricky Peterson(Key), Alfred Brown(Viola), Olivia Koppell(Viola), Jesse Levy(Cello), Caryl Paisner(Cello), Lawrence Feldman(Afl, Bfl), Randy Brecker(Tp, Flh) - 1. Comin' Home Baby 2. Cristo Refentor 3. Harlem Nocturne 4. Man From Mars 5. Isn't She Lovely 6. Sugar 7. Tequila 8. Little Flower 9. Spider B. 10. Delia

Verve移籍第一弾。オリジナルはラストの3曲で、あとはスティーヴィー・ワンダー、ジョニ・ミッチェル、デューク・ピアソン、スタンリー・タレンタインらの曲が並びます。やっぱりデヴィッド・サンボーンらしい分かりやすいメロディの泣きのサックスは健在で、曲もメロディがスッと頭に入ってくるものが多く、けっこう売れるんではないかな、と思うようなアルバム。ミキシングも低音がやや強調されていて、やっぱり「今」らしい音になっています。やっぱり4-5曲目のようなゆったりしたバラードが、ホント、泣けてきます。ただ、曲としてまとまりが良すぎる気も。もう少し曲が長ければ、と思うことも。8曲目以降のオリジナルはちょっと世界が変わります。やや内面を向くようなメロディとサウンド。ランディ・ブレッカーは9曲目に参加。(03年5月21日発売)

2023/03/13

34th N Lex/Randy Brecker

Randy34thnlex ランディ・ブレッカーのリーダー作。ブレッカー兄弟にデヴィッド・サンボーンというのは、以前のブレッカー・ブラザースの再来か、と思わせる内容で、けっこういいと思います。ただ、ドラムスの打ち込みが多いのは当時の流行りなんでしょうね。他にも、メンバーを見ると管楽器とか、ベースとか、なかなかすごいメンバーが集まっていて、当時のサウンドという感じもしますが、けっこういい曲が並んでいますね。ホーンの演奏もいいけど、ファンクとしてのノリもなかなかいいです。やはりジャズやフュージョンの黄金期に作られたアルバムで、けっこうお金がかかっていそうなことが分かります。

 

34th N Lex/Randy Brecker(Tp, Flh)(Victor) - Released 2003. Michael Brecker(Ts), David Sanborn(As), Ronnie Cuber(Bs), Ada Rovatti(Ts), Fred Wesley(Tb), Michael Davis(Tb), Adam Rogers(G), Chris Taylor(G), Chris Minh Doky(B), Gary Haase(B, Prog), George Whitty(Key, Prog), Clarence Penn(Ds), Zach Danziger(Ds Prog), Makeeba Mooncycle(Voice), J Phoenix(Vo) - 1. 34th N Lex 2. Streeange 3. Shanghigh 4. All 4 Love 5. Let It Go 6. Foregone Conclusion 7. Hula Dula 8. The Fisherman 9. Give It Up 10. Tokyo Freddie 11. The Castle Rocks

4曲目を除いてランディ・ブレッカーのオリジナル。ドラムスの打ち込みが大半を占めるフュージョン・ミュージック(打ち込みでないのは3、6、10曲目のみ)ですが、1、5、7-8曲目はブレッカー兄弟にデヴィッド・サンボーンが加わる鉄壁のフロントで、メカニカルなアンサンブルが聴けるのがうれしい。当然のことながら、ソロも見せ場が多いです。タイトル曲の1曲目はノリノリ系。個人的にはアコースティックで、ジャズファンクの趣を持つような3曲目あたりのサウンドが好みですが、これは全体の一部。モロに打ち込み系だけれど、これはこれで楽しい4曲目。6曲目は浮遊感のあるアンサンブルで、7曲目はラテン・ファンク。10曲目もやや複雑なテーマを持つ純ジャズで、迫力。マイケル・ブレッカーは1、3、5-11曲目に参加。(03年3月12日発売)

2023/03/12

Hangin' In The City/Randy Brecker

Randyhanginnin ランディ・ブレッカーのリーダー作へ。これ以前の、例えばブレッカー・ブラザースの時期などと比べてリラックスした曲もあるアルバムとなってますが、ヴォーカル曲や打ち込みなど、何となく時代も感じさせて、こういう時もあったんだなあと思います。それでもバックのメンバーは豪華な顔ぶれがそろってますし、演奏自体はけっこう鋭い場面も時々ありますが。彼の演奏の範囲を広げてみせたという点では、こういうアルバムもあってもいいかと思いますけど、BGMにかけておくアルバムとしても、まあいいかなあ、とは思います。ハードな曲ももちろんいいのですが、曲ごとのギャップの差がありますね。

 

Hangin' In The City/Randy Brecker(Tp, Flh, Vo)(Victor) - Released 2001. Michael Brecker(Ts), George Whitty(Key, Prog), Hiram Bullock(G, Back Vo), Adam Rogers(G), Dean Brown(G), Joe Caro(G), Chris Minh Doky(B), Will Lee(B, Back Vo), Richard Bona(B), Joe Locke(Vib), Don Alias(Per), Mike Harvey(Back Vo), Katreese Barnes(Back Vo) - 1. Overture 2. Wayne Out 3. Hangoin' In The City 4. I Talk To The Trees 5. Down For The Count 6. Pastoral (To Jaco) 7. Then I Came 2 My Senses 8. Seattle 9. Never Tell Her U Love Her 10. I Been Through This Before 11. One Thing Led To Another

全曲ランディ・ブレッカーのオリジナルで、11曲中7曲がヴォーカル入り(しかも作詞作曲はランディ)。全曲Randroidによるリードヴォーカル、とあるのは、あまりウマくないところをみると彼のヴォーカルか。打ち込みのドラム(曲によってはベースも)の曲が多いです。さまざまな曲がありますが、ジャズとかフュージョンとかにこだわらなければ、現代流のカッコ良いサウンドと言えると思います。そういう意味では聴いても損はないかも。個人的に好きなのは2、8曲目のアダム・ロジャースのギター・ソロ。マイケル・ブレッカーは1、3-4、6-7、9曲目に参加。ブレッカー・ブラザースの延長線上とはちょっと違うと思いますが、2人とも良いソロもけっこうあります。さすが。 ただ、やっぱり2人の路線で聴きたいとも思いますが。(01年4月21日発売)

2023/03/11

Elastic/Joshua Redman

Joshuaelastic ジョシュア・レッドマンのリーダー作で、いちおう彼の紹介はこれで一段落。前回紹介したアルバムと同じメンバー(パーカッションは加わってますが)ですが、今度は彼のグループになってしまい、しかもグループ名までついています。このあたりおとなの事情があるのかなと思わせますけど、内容が良ければいいんじゃないの、とも思わせますし。個人的にはほどんどジョシュアが作曲してくれている方が好みの曲になるし、好きなアルバムになっています。それにしても、オルガンジャズのイメージ、完全に超えてますね。オルガンだけではなくてキーボードのクレジットもあるので、よりスマートなサウンドの曲もありますし。

 

Elastic/Joshua Redman(Ts)(Warner Bros) - Recorded March 2002. Sam Yahel(Org, Key), Brian Blade(Ds), Bashiri Johnson(Per) - 1. Molten Soul 2. Jazz Crimes 3. The Long Way Home 4. Oumou 5. Still Pushin' That Rock 6. Can A Good Thing Last Forever? 7. Boogielastic 8. Unknowing 9. News From The Front 10. Letting Go 11. The Birthday Song (Intro) 12. The Birthday Song

このメンバーでは2作目ですが、3者対等のクレジットだった前作に比べ、今回はジョシュア・レッドマンのリーダー作で、曲もサム・ヤエル作の4曲目を除いてすべて彼の作曲です。曲はけっこう練られていて、凝っている曲が多いようです。ビートも8ビートだったり、変拍子の部分もあったりと変幻自在で、4ビートのサウンドやノリに全然こだわっていないのが特徴。サム・ヤエルはオルガンだけではなくてキーボードでもクレジットされていて、スマートでカッコ良いサウンド。フットベース(たぶん)も、軽快なフレーズをたたき出しています。3曲目は比較的ゆったりした曲なのですが、あちこちの仕掛けが絡みあっています。通して聴くとドラマ性がある感じ。 こういうスタイルも、現代ジャズのあるべきひとつの姿かも。(02年9月26日発売)

2023/03/10

YaYa 3/Sam Yehel, Joshua Redman, Brian Blade

Samyaya3 3者対等のクレジットになっていますが、作曲数からするとサム・ヤエルが中心となるグループと考えていいのかも。ジョシュア・レッドマンはサイド参加ということになりますね。ところが月のアルバムではElasticsとなって、彼がリーダーになるのだから、ちょっと複雑です。ジョシュアがリーダーになった方が売れるとの判断からでしょうか。なんたって今はジャズをやめてしまったけど、安定のワーナーですしね。オルガントリオなんですけど、古臭いコテコテではなくて、洗練されたものを持っています。それでいて、聴きやすいことは聴きやすいという、なかなか興味深いアルバムなんですけれど。当時はここでも「今」を感じたなあ。

 

YaYa 3/Sam Yehel(Org), Joshua Redman(Ts, Ss), Brian Blade(Ds)(Warner Bros) - Recorded January 2002. - 1. Slow Orbit 2. Switchblade 3. The Spirit Lives On 4. One More Once 5. Hometown 6. Aeolio 7. Two Remember, One Forgets 8. The Scribe 9. Confronting Our Fears

全曲オリジナルで、9曲中、サム・ヤエルが5曲、ジョシュア・レッドマンとブライアン・ブレイドが2曲ずつ提供。ハモンドオルガンを使ったいわゆる標準的なオルガンジャズの形態ですが、泥くさい感じはなくてけっこうスマートです。2曲目のようにかなり緻密なノリでハードにせまってくるものもありますが、比較的リラックスして聴ける曲からノリの良いものまでさまざまです。5曲目はアップテンポでスリリングな感じ。7曲目はボサノヴァで浮遊調のやや哀愁風味のメロディ。メンバーの力量は大したものだと思いますが、それほど革新的かと言われれば、そうでもないような気も。肩の力を多少抜いて演奏している雰囲気ですが、むしろこの方が良いのかも。個人的にはレッドマンの曲(2、7曲目)が好み。(02年6月12日発売)

2023/03/09

Passage Of Time/Joshua Redman

Joshuapassage ジョシュア・レッドマンのリーダー作。同じメンバーでの2枚目。今から20年以上前のアルバムですけど、当時としては私はこういうサウンドを現代ジャズとして考えていたみたいです。今では最前線のジャズはほとんど聞いてないですが、その頃から現代ジャズのイメージはアップデートはあまりされてません。ただ説明文でも書いてある通り、思索的な部分が目立ってきて、売れそうな感じもする反面、聴く人を選ぶんじゃないのかなあ、という不安も今聴き直すと感じます。今聴いても、サックスのフレーズ、テクニック等、あるいはグループサウンド等、卓越したものを持っているなあ、と思います。

 

Passage Of Time/Joshua Redman(Ts)(Warner Bros) - Recorded June 2000. Aaron Goldberg(P), Reuben Rogers(B), Gregory Hutchinson(Ds) - 1. Before 2. Free Speech, Phase 1- Declaration 3. Free Speech 2- Discussion 4. Our Minuet 5. Bronze 6. Time 7. Enemies Within 8. After

このメンバーでの2作目で、グループとしてのまとまりは強固になってきた感じがします。私が個人的に考える(言わば) 現代ジャズのサウンド。ただし、熱い演奏があってもやや思索的に響く部分が多いのは、熟成なのか、それとも演奏が難しくなってきたのか判断が分かれるところ。全体を通して録音してしまったそうで、しかもテナーサックスだけで勝負していて、そういう意味では全体の統一感があるような気がします。1曲目の導入部、6曲目の慈しむようなメロディや、7曲目の盛り上がりなど見どころは多いですが、もう少しガツンとくる派手なメロディなどがあっても良いかもしれません。通して聴くアルバムだと思いますが、たぶん聴いてみた評価は分かれそう。しかし、聴けば聴くほど奥が深そうです。(01年4月11日発売)

2023/03/08

お知らせというほどでもないですが、お知らせ

いよいよ、ホームページでアップしているんだけどブログでアップしていない、ミュージシャン別のアルバムが残り40数枚ほどとなってきました。今までも同じことを書いてはいるんだけど、’99年から’04年5月あたりまでのホームページがまだ始まってなかった時代にアルバムコメントをアップ(ないしは書き換え)したアルバムで、実はこれ以外に新譜コーナーとか、レーベル別コーナーとかあって、ブログにアップしていないアルバムはまだまだあります。手持ちのいわゆるジャズ・ジャイアンツのアルバムは、ほとんど手をつけてなくてホームページでも取り上げてないし、それを加えると相当数になると思います。ただ、もう少しやってみて、ブログの毎日更新が途切れることになるのを前もってお知らせしておこうかと。

実は、35歳頃からホームページ歴がありますが、還暦を過ぎた今、目(と言うより瞼か)と耳が、年齢を経ていてちょっと調子が悪いのです。今は花粉症の時期でもあるけど、7-8年前に瞼は眼瞼痙攣を経験してからあまり調子が良くなく、それまでは自転車であちこちに行っていたのが、風で目を開けていられない時があり、だんだん移動手段が自動車や電車バスに切り替わりつつあります。そして、耳が決定的で、小さい頃から聴力検査に引っ掛かっていたとはいえ、ここへきて少しずつ聴こえが悪くなり、年齢的にはちょっと早いですけど補聴器のお世話になってしまいました。それでも、まだ全然聞こえないというわけではなく、人と条件によって言っていることがよく分からないことがあるという程度なんですが。ただ、特に高域成分が顕著で、キーボードがこんなにカチャカチャいうとか、紙をさわるとぱりぱりいうとか、忘れていたものが補聴器で聞けるようになったんですね。もちろん補聴器は最近はフルデジタルで、「ハイレゾ音楽」ポジションがあって快適に聴けるものの、そろそろアルバムコメントを残すのは、新譜と、時々思い出すようにこのアルバム、と思ったのをアップするようにして、しばらくブログの更新間隔を空けてみようかと思うようになりました。

今までも、アルバムの中身についての記述を中心に残して、その音質とかに言及しなかったのも、耳がだんだん悪くなる予感がしていたこともあります。現にここ2年ほどの旧譜のアルバムは、20年ほど前に書いたアルバムコメントをほぼそのままに、聴き直してアップしていたので、内容的には目新しさというのはありません。自分でも、ここまでやったからいいんじゃないかな、というのもだんだん思うようになってきて、それでお知らせしたという次第です。個人差はありますが、やっぱり年齢には勝てない、ということでしょうか。新譜もあるけど、あと2-3か月で目標を達成して、毎日更新は終わりそうです。でも、また時間ができたら、いきなり復活ということもあり得ますので、時々このブログを覗いていっていただけたら幸いです。

2023/03/07

Beyond/Joshua Redman

Joshuabeyondジョシュア・レッドマンのリーダー作。このあたりは有名なので、もう紹介していたと思ってました。当時は若手だと思っていたメンバーも、もうベテランの域に達してますね。そして、改めて聴いてみると、変拍子の曲が多く、いわゆる表紙の面でも、現代ジャズに至る過程を作ったのでは、と思います。某雑誌でも紹介が出てました。まだこの時はワーナー・ブラザースがジャズを扱っていた時代で、売れセンも求められていたはずなので、この高度な料率はなかなかのものではないかなあ、と思います。もっと後の時代になってくると、そのポピュラー性が少なくなって、聴くのが少々辛いアルバムもあるのですが、このアルバムはやや聴きやすくもあります。

 

Beyond/Joshua Redman(Ts, Ss)(Warner Bros) - Recorded May 1999. Aaron Goldberg(P), Reuben Rogers(B), Gregory Hutchinson(Ds) - 1. Courage(Asymmetric Aria) 2. Belonging (Lopsided Lullaby) 3. Neverend 4. Leap Of Faith 5. Balance 6. Twilight...And Beyond 7. Stoic Revolutions 8. Suspended Emanations 9. Last Rites Of Rock'n' Roll 10. A Life 11. Two

メンバーも一新し、今回はオリジナルのみの構成。ジャズの地平を広げようとして、ビートに手が加わり、半分ほどの曲で変拍子に足を踏み入れた世界 があります。13拍子(1曲目)、9拍子(2曲目)、6拍子(7曲目)、10拍子(8曲目)、5拍子(10曲目)などとのこと。いかにも軽くこなしているかに見えて、実はけっこう高度なことをやっているようです。3曲目はオーソドックスな拍子ですが、メロディアスで哀愁を帯びていて、一息つけます。5曲目はその盛り上がり型。4曲目は2テナーの有機的な絡み合いが面白い。6曲目はじっくりと聴きたい。11曲目(ボーナストラック)はドラムスとのデュオ。全体を通してかなりシリアスなのだけれど、聴いた感じでは極端には重くない。 そこにはかなりの技量が必要だと思います。(00年4月19日発売)

2023/03/06

Perpetual Motion(永久機関)/Satoko Fujii, Yoshihide Otomo

Fujiiotomoperpe 先週末に届いた新譜、土日が仕事だったのですが、何とか聴けました。藤井郷子さんと大友良英さんの新宿Pit Innでの昨年1月のライヴがフランスのAyler Recordから出たもの。直接レコード会社からCD購入、あるいはダウンロードするか、お2人のライヴに行って購入するしかないようで、貴重なアルバムとなりそうです。このお2人の演奏なので、フリー・インプロヴィゼーションだけども、それを知っていれば、安定の流れて、時に驚きを与えつつ、48分が過ぎていきます。こういう演奏は、実際にはライヴで体感するのがいちばんいいのだけれど、その記録としてのアルバムもなかなか良かったです。

 

Perpetual Motion(永久機関)/Satoko Fujii(P), Yoshihide Otomo(G)(Ayler Records)(輸入盤) - Recorded Jamuary 10, 2022. - 1. Perpetual Motion I 2. Perpetual Motion II 3. Perpetual Motion III 4. Perpetual Motion IV

(23/03/05)新宿Pit Innでの、2人のインプロヴィゼーションを記録したアルバム。収録時間は48分。エレキ・ギターとピアノとの組み合わせだけど、感情が静かな場面と盛り上がる場面とを行ったり来たりしつつ、本来メロディ系の楽器同士であるはずが、ある程度非イディオム的な面もあり、しかも稀有な出会いとなった演奏になってます。この楽器同士でこういう音が出せるんだ、という素直な驚きから、そのヴァリエーションの広さまで味わうことができて、聴いているうちにそのドラマの中に引きこまれてしまいます。エレキ・ギターもギターらしい場面もあったり、エフェクターで轟音の場面もあったりと、様々な表情を見せています。ありそうでなかったフリー・インプロヴィゼーションの組み合わせは、耳にしておくといいかも。

2023/03/05

Journey To Truth/Steve Williamson

Stevejourney スティーヴ・ウィリアムソンのリーダー作で、手持ちのものはこれで全部です。このアルバムもフォノグラムから出ていて、内容も豪華ですし、少しのアフリカの要素や、ファンクの要素、ヴォーカルやラップの曲も多めでいろいろありますけど、75分は今としてはちと長いし、たまたまのめぐりあわせかもしれないけどこのアルバムが彼との最後の出会いだったのも何となく納得かな、とは思います。組曲をやり始めてしまうと、やっぱりこれが成功したのかどうか、というところが気になってしまいます。セールス的には伸びなかったのかな。わたしも’99年に一気にアルバムを買って、一気にそれでおしまいにした感じもあるのですが。

 

Journey To Truth/Steve Williamson(Ss, As, Ts, Key, etc)(Phonogram Jazz) - Recorded 1994. Sola Akingbola(Per), Jhelisa Anderson(Vo), Anthony Tidd(P), Mark Cyril(B), B. R. O. The R?(Ahmir Khalib Thompson)(Dr), Henri Jelani Defoe(G), Michael Monsider(B), Hubb(Leonard Hubberd)(B), Jason Rebello(Key), Black Thought(Tariq Trotter)(Rap), Pamela Anderson(Vo), Pete Lewinson(Ds), Dennis Rollins(Tb), Noel McCoy(Vo), Vanden Bossche(Per), Tony Remy(G), Steve Lewinson(B) - The Journey 1. Meditation 2. Journey To Truth 3. Oh Africa Africa Africa! 4. Affirmation 5. Celestial Blues The Pffat Factor 6. Who Dares 7. They Don't Wanna Hearit! 8. Rough 9. Pffat Time 10. Antigua The Fuss 11. How Ya Livin? 12. Black Planets 13. Evol Lover 14. Suicide

(99/07/22)5曲目を除いてスティーヴ・ウィリアムソンのオリジナル。3つの組曲構成(プラスボーナストラック) のトータル・アルバムになっていますが、14曲を個々の曲としてとらえた方がいいかもしれません。参加メンバーが多く、曲によってメンバーがいろいろ入れ替わります。いきなりアフリカを思わせるサックスとパーカッションではじまる1曲目。ヴォーカル曲やラップの曲なども何曲かあるので、ブラック・ミュージックの要素も濃いアルバム。アフリカ調とブラック・ミュージック(こちらの方がウエイトはだいぶ高いです)がアルバムの中で適度に交互に出てきて不思議な雰囲気です。ビートにのってサックスが飛び交うという場面も楽しいですけれど、個々の曲の印象が少々薄いのが少々残念ではあります。

2023/03/04

Rhyme Time (That Fuss Was Us!)/Steve Williamson

Steverhymetime スティーヴ・ウィリアムソンのリーダー作。2枚目はさすがにUK版M-BASEという感じの演奏でバリバリ行っていて、これは個人的には彼のアルバムの中では一番好きなアルバム。彼は手持ちの中では参加作も少なくて、グレアム・ヘインズのリーダー作に3枚参加しているのみです。一時期大手のレーベルから出て脚光をあびたけど、その後どうなったか分かりません。調べれば出てくるのかもしれませんけれども。考えてみれば私も’99年になってやっとそれ以前のアルバムを買ったくらいなので。当時はM-BASEのミュージシャンを端から買っていこうとも思ったのですが、当時すでに入手の困難なものもあり、あきらめています。

 

Rhyme Time (That Fuss Was Us!)/Steve Williamson(Ss, As, Ts, Key)(Verve) - Recorded May 1991. Dave Gilmore(G), Joe Bashorun(P), Michael Mondesir(B), Steve Washington(Ds), Cassandra Wilson(Vo), Dennis Rollins(Tb), Anthony Tidd(P), Mark Mondesir(Ds), Gary Crosby(B), Tony Remy(G) - 1.Sweet Love (Of My Likeness) 2. Rhyme Time 3. Negrology 4. The Rock 5. Hip Rivisited 6. The Running Man 7. Smiley People 8. Miyanda 9. That Fuss Was Us! 10. High Voltage

(99/07/22)UK版M-BASEと言うべきスティーヴ・ウィリアムソンのセカンド・アルバム。作曲者のクレジットがないけれど、プロデューサーも彼自身なので、全曲彼の作曲ではないかと思います。変拍子のファンクの曲が多く、そのまんまM-BASEという感じです。はっきりしてます。1、7曲目にカサンドラ・ ウィルソンも参加して、ギターがデイヴ・ギルモアという事もその要因。その影響を隠さずさらけ出しているところも彼らしいかも。ただし彼はテナーサックスも演奏するので与えるイメージは多少違うかなあ、という気も。2曲目のタイトル曲はスティーヴ・コールマンの影響大。4曲目のバラード(変拍子)はけっこう味があります。急速調で複雑なテーマの5曲目、変幻自在な9曲目、ノリのいい6、10曲目も好み。

2023/03/03

Got The Keys To The Kingdom: Live At The Village Vanguard/Chris Potter

Chrisgotthekeys新譜が来たので、割り込みます。クリス・ポッターのエディション・レコードからのライヴ。以前のECM時代の演奏も良かったけど、やっぱりこういうあまりカッコつけないで、素のままの彼の音を聴く方が好きかな。トラディショナルとかフォークソングも目立っているけど、曲ごとに彼らしい演奏をしているので、割と引きこまれてしまいます。他にも目を引くような作曲者が多いアルバム、聴きどころはけっこうあると思います。このレーベルではコロナを経験しているので、1人多重録音のアルバムもありましたが、やっぱりミュージシャンが集まって演奏しているのがいいですね。メンバーも申し分ないですし。

 

Got The Keys To The Kingdom: Live At The Village Vanguard/Chris Potter(Ts)(Edition Records)(輸入盤) - Released 2023. Craig Taborn(P), Scott Colley(B), Marcus Gilmore(Ds) - 1. You Gotta Move 2. Nozani Na 3. Blood Count 4. Klactoveedsedstene 5. Olha Maria 6. Got The Keys To The Kingdon

(23/03/02)珍しくトラディショナルやフォークソングなどが目立ち、3曲目がビリー・ストレイホーン作、4曲目がチャーリー・パーカー作、5曲目がアントニオ・カルロス・ジョビン作。61分収録のライヴ。やっぱり素のクリス・ポッターという感じで、割とシンプルで気持ちが良い。8ビートで素直に攻めて盛り上がりもある1曲目がそのシンプルさが出ていてなかなか。それでいてポッターはじめ各パートも聴きごたえがある。2曲目もなんだか原初的な響きも混ざって、引きこまれてしまいます。3曲目は、繊細なバラードという感じで、静かに進んでいきます。やや今風にはなっているけど、ビバップ的な明るさを持つ4曲目、ボッサの曲とも取れるけど、自在に演奏しているような5曲目、トラディショナルなんだけど今のジャズの6曲目。

2023/03/02

A Waltz For Grace/Steve Williamson

Steveawaltzfor スティーヴ・ウィリアムソンのリーダー作が3枚続きます。その後調べてないだけですけど消息不明。ストリーミングを見ると、知らないアルバムがずらっと並んでますね。でも、同姓同名の別人でした。SSWの男性かな。スティーヴは当初はM-BASEのUK支部とも言われましたけど、そういう曲もあるにしても、今聴くと、このアルバムでは意外に普通のジャズを演奏していたなあ、とも思います。アルバムを買ったのも’99年で、私の中でM-BASE熱が冷めていくところでもあったし、とりあえずは買ってみました的なところもあったのかもしれません。USセッションの方はメンバーもすごいですけど、まあ、良かったアルバムではありました、というところかな。それでもいきなりヴァーヴからの登場ですね。

 

A Waltz For Grace/Steve Williamson(Ts, As, Ss, Per)(Verve) - Released 1990. Mark Mondesir(Ds), Lonnie Plaxico(B), Dave Gilmore(G), Julian Joseph(P), Abbey Lincoln(Vo), Gary Crosby(B), Hawi Gondwe(G), Kevin Haynes(Per) - 1. Down 2. Awakening 3. Visions 4. A Waltz For Grace 5. Mandy's Mood 6. Soon Come 7. Straight Ahead 8. Mandela 9. Groove Thang 10. Synthesis 11. Hummingbird 12. How Hight The Bird 13. Words Within Words

(99/08/21)スティーヴ・コールマンがプロデュースのU.S.セッションとセルフ・プロデュースのU.K.セッションで構成。意外にM-BASE色の曲は多くなく、ややジャズしています。1、2曲目はややポップな感じの曲。3曲目はU.S.セッションなのに普通の叙情的なバラードが聴けます。4曲目は何とアビー・リンカーンがゲスト。けっこうノリが良い5曲目、変拍子で複雑なリズムの6曲目、ジャズらしく思えるミディアムテンポの7曲目、アップテンポのリズムが特徴的なジャズでスリルがある8曲目、パーカッシヴなインタールードの9曲目、M-BASEっぽい変拍子ファンクの10、11曲目、自由度の高いアップテンポの12曲目。13曲目は変幻自在に変わるリズムにソプラノサックスとピアノのソロがいくぶん心地良い。

2023/03/01

You Are #6/Don Byron

Donweare6 ドン・バイロンのリーダー作で、彼を取り上げるのは、今日で一段落。以前にも同じような趣向で6人のミュージシャンが核になって、そこに曲によってゲストが加わるという構成のアルバムが出てます。メンバーの変更も多少ありますけど、まあ、こういうアルバムもこの時期になってくると彼独自の世界ではありますね。ヴォイスが入ったりするところは好みが分かれると思いますが、いろいろな方向性を持った曲を集めてきて1枚のアルバムに仕上げているのは、やはり彼でなければできなかったかも。この後ブルーノートから3枚のアルバムが輸入盤で出てますが、その後の足取りがつかめていません。

 

You Are #6/Don Byron(Cl, Bcl)(Blue Note)(輸入盤) - Released 2001. James Zollar(Tp, Flh), Edsel Gomez(P), Leo Traversa(B, Vo), Milton Cardona(Per), Ben Wittman(Ds, Per), Guests: Don Byron Sr.(B), Johnny Almenda(Per), Mauro Pefosco(Per), David Gilmore(G), Robert DeBells(Sax, Fl), J.D. Parran(Fl), Ralph Alessi(Tp), Curtis Fowlkes(Tb), Josh Roseman(Tb), Hector Martignon(Key), Julie Patton(Vo), Gwen Snyder(Vo), Designer(Vo) - 1. Theme From "Hatari" 2. You Are #6 3. Klang 4. B-Setting 5. A Whisper In My Ear 6. Dub-Ya 7. Belmondo's Lip 8. Shake 'Em Up 9. You Are #6.5 10. No Whine 11. Dark Room 12. Belmondo's Lip

(01/11/13)サプタイトルで"More Music For Six Musicians"とあり、6人のミュージシャンとそれぞれの曲でゲストが加わるという構図は、以前の類似タイトルのアルバムと似ています。パーカッションが効いている中を知性的なクラリネットやバスクラリネット、あるいは他の楽器が泳ぎまわっています。曲によってはラテン風味のリズムが加わりますが、彼のクラリネットは思い切ってラテン色、という訳でもなくやや屈折しています。ラテンポップス(8曲目)のような曲やバラード(10曲目)があったりと曲の傾向はマチマチ。全体的には冷めたファンクややラテンノリといったところかも。歌というよりはヴォイスが適宜加わる曲もあって、その色合いは独自のもの。いわゆる4ビートの曲はありません。12曲目はリミックス。

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