Ruins And Remains/Wolfert Brederode
ECMの新譜。今回はWolfert Brederodeのアルバムで、弦楽四重奏とドラムス(パーカッション)が入るところがECMらしいなあと思います。収録時間がLPサイズなのと、曲が14曲も入っているので1曲あたり1-5分台と短め。1曲1曲聴いていくよりは、アルバム全体の流れとして聴くように作られている感じではあります。印象的にはちょっと地味かなあ、とも思いますけど、そもそもECMのファンにとっては好物の部類ではないでしょうか。ドラムス(パーカッション)の音も、静かめにズドーンと入っているところもあって、オーディオ的にも興味深いところ。4曲目が少し賑やかだけど、静かにさりげなくアルバムをかけるというのもいいかも。
Ruins And Remains/Wolfert Brederode(P)(ECM 2734)(輸入盤) - Recorded August 2021. Matangi Quartet: Maria-Paula Majoor(Vln), Daniel Torrico Manacho(Vln), Karsten Kleijer(Viola), Arno Van Der Vuurst(Cello), Joost Lijbaart(Ds, Per) - 1. Ruins I 2. Swallow 3. Remains 4. Cloudless 5. Ruins And Remains 6. Ka 7. Ruins II 8. Duhra 9. Ruins III 10. Retrouvailles 11. Nothing For Granted 12. Dissolve 13. March 14. Ruins IV
(22/10/16)全曲Wolfert Brederodeの作曲。収録時間が47分で14曲なので、短めの曲が多めです。ドラムス(パーカッション)と弦楽四重奏団との演奏で、こういうあたりはECMならでは。少し薄暗いような、静かな景色の中を漂うピアノが叙情的でもあり、全体の雰囲気を導いています。弦楽四重奏団は、割と平易で溶け込むような演奏をしていますが、時に叙情性を上げるような、静けさの中から持ち上がっていくような、雰囲気を盛り上げるところがあります。曲によってはドラムスの適度なアタック感と合わさって、ECMにしてはやや快活な場面もあります(4曲目)。「荒廃」と「残るもの」と言っていいのかどうか、そのさびれた風景の中に、そっとその諦念を漂わせている感じの演奏。マンフレート・アイヒャーのプロデュース。
« Valentin Silvestrov/Maidan/Kyiv Chamber Choir/Mykola Hobdych | トップページ | Sky Continuous/Noah Preminger Trio »
「音楽」カテゴリの記事
- Celebration Vol.1/Wayne Shorter(2024.09.08)
- Twentyfour/Al Di Meola(2024.09.05)
- Transylvanian Dance/Lucian Ban, Mat Maneri(2024.09.04)
- Keel Road/Danish String Quartet(2024.09.03)
- Moondial/Pat Metheny(2024.09.02)
「ECMレーベル」カテゴリの記事
- Transylvanian Dance/Lucian Ban, Mat Maneri(2024.09.04)
- Keel Road/Danish String Quartet(2024.09.03)
- ECMとCriss Crossについてはまとめをしなければなんだけど(2024.08.14)
- Live In Munich/Jordina Milla & Barry Guy(2024.07.23)
- Outpost Of Dreams/Norma Winstone/Kit Downes(2024.07.22)
「ジャズ」カテゴリの記事
- Celebration Vol.1/Wayne Shorter(2024.09.08)
- Twentyfour/Al Di Meola(2024.09.05)
- Transylvanian Dance/Lucian Ban, Mat Maneri(2024.09.04)
- Moondial/Pat Metheny(2024.09.02)
- パープル/ミロスラフ・ヴィトウス(2024.08.18)
「ECM2702-2750番」カテゴリの記事
- Delian Quartett/Claudia Barainsky/Im Wachen Traume(2024.07.20)
- Gidon Kremer/Songs Of Fate/Kremerata Baltica/Vida Mikneviciute(2024.02.04)
- Thomas Larcher/The Living Mountain(2023.11.20)
- Vagabond/Dominic Miller(2023.05.16)
- It's Always Now/Ralph Alessi Quartet(2023.03.23)
コメント
« Valentin Silvestrov/Maidan/Kyiv Chamber Choir/Mykola Hobdych | トップページ | Sky Continuous/Noah Preminger Trio »
若き・・と言ってももう40歳代後半に入っているんですが、日本であってお話した時の素直な純粋な好青年の姿を思い出すWolfert Brederodeですが、こんな100年前の第一次世界大戦に思いを馳せるというのは、この国の教育が素晴らしいからと思ってます。(日本見習うべし)
素晴らしい世界を描いてくれましたね・・・こうしたところはSusanne Abbuehlの教育も又あっての事かもしれませんね。
彼の独特な優しさと深淵さと美しさのピアノは出色です。
私はこのアルバムに喝采しています。↓
(リンクさせてください)
http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2022/10/post-08b714.html
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2022/10/23 16:04
>photofloyd(風呂井戸)さん
こんにちは。
書き込みありがとうございます。
最近はライナー読むのとほとんど読まないのがあるのですが、これは第一次世界大戦をテーマにしたものでしたか。そういうイメージで聴くと、なるほどなあ、と思います。
変則編成ですけど、私、このアルバム気に入ってます。アイヒャーのプロデュースというところでも意味のあることなんでしょうね。
投稿: 工藤 | 2022/10/23 16:57
工藤さん,こんにちは。
ようやくこのアルバムを聞きましたが,これは実に素晴らしいアルバムです。テーマが明確ですが,そのテーマをまさに見事に音楽で表現したところに,私は今年一番の感銘を受けたと言っても過言ではありません。決して興奮ではありませんが,深い感動を与える音楽だと思っていますので,私の中では今年のベスト盤候補となりました。
ということで,当方記事のURLを貼り付けさせて頂きます。
https://music-music.cocolog-wbs.com/blog/2022/11/post-920bc6.html
投稿: 中年音楽狂 | 2022/11/06 16:17
>中年音楽狂さん
こんばんは。
コメントどうもありがとうございます。
このアルバムを絶賛する方がお2人目ということは、けっこういいアルバムなんだなあ、と思います。自分は少々地味かなあ、という印象もあるけど、ドラマ性がアルバム内であるので、そういう部分にもひきつけられます。少々変わった編成ですが、こういう編成でインパクトを与えられるのも、ECMならではかな、と思います。
投稿: 工藤 | 2022/11/06 18:29