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2022年2月の記事

2022/02/28

Portrait/Yoshiko Kishino(木住野佳子)

Kishinoportrait 木住野佳子のベストアルバムで、新録音とか、参加作からも選曲しています。ここまでを簡単に振り返るには、これ1枚でOKという感じですね。この時期の選曲ということで、落ち着いた雰囲気もあるかと思います。でも、大手のレコード会社は、ベスト盤を作る時期が少し早いとも思いますけど。収録時間も68分で、たっぷりと堪能はできます。個人的にはベスト盤+新録音というのは、売らんかなの姿勢もあるので、少々批判的ではありますが、今みたいにストリーミングやそのプレイリストがない時代だったので、こういう方法もアリかなとも思います。ここではアルバムの順番に曲がかかっているという良心的なものではありますし。内容は文句なしですし。それにしても日本はベストアルバムが好きだなあ、と思わせますが。

 

Portrait/Yoshiko Kishino(P)(GRP) - Released 2003. (14曲目のパーソネル)Kenji Takamizu(B), Kenichiro Shinzawa(Prog, Key)(Recorded October 2002) - 1. Fairy Tale 2. The Island 3. Only Trust Your Heart 4. Beautiful Love 5. Scaborough Fair 6. Manhattan Daylight 7. Waltz For Debby 8. You Are So Beautifuru 9. By The Sea 10. Tenderness 11. Air-Sur G 12. Danny Boy 13. Primavera 14. Red Note 15. Peace Piece

木住野佳子のベストアルバム。14曲目のみ新録音で、パナソニック"Let's Note"のCMソングとのこと。ドラムスのトラックが打ち込みで、それにベースとキーボードもかぶさって、アップテンポでCMソングらしいインパクトのあるサウンド。1-4曲目が「Fairy Tale」より、5曲目が「Photograph」より、6曲目が「Rendez-vous」より、7-8曲目が「You Are So Beautiful」より、9-12曲目が「Tenderness」より、13曲目は「Siesta」よりと、なかなかおいしい曲を選んでいます。全体を通して聴いた雰囲気も、じっくり聴いてみるのにもよし、BGMにしてもあまりじゃまにならず自然に聴ける雰囲気で、なかなかおしゃれなアルバムかも。15曲目はオムニバス盤の「Memories Of Bill Evans」で演奏されていた曲を集めたもの。(03年3月26日発売)

2022/02/27

3回目のワクチン接種を自衛隊東京大規模接種会場で受けてきた

220226jieitai 220226koukyo 昨日(26日)のお昼ごろに自衛隊東京大規模接種会場で3回目のワクチン接種を受けてきました。実は1-2回目も偶然のなり行きで、昨年6,7月にここで受けているんですよね。今回も接種券が届いて、サイトを覗いてみたら、直近はいっぱいだったけど、その1週間後ぐらいに予約の空きがけっこうあったので、予約してしまいました。家から1時間20分ぐらいかかるので、家族からはなんでそんなに遠くへ行くかなあ、というようなことを言われましたが、東京から会場までシャトルバスが出ていて、無料で観光バスに乗れて(一部路線バスの型もありますが)10-15分ほどの皇居前の観光気分で行けるということも大きい要素です。それと、東京都の住民だけではなく、どこの人でも受けられること。

1-2回目ほどには大人数をさばいている感じではなかったですけど、相変わらずシステマチックで、感心するような流れに乗って、接種が終わりました。ここは他の会場のように予約5分前に集合ということはなくて、多少到着時間が前後しても、行った順番に処理してくれることもあって、あまり到着時間を気にして時間をつぶすということもないので、気に入っていました。

帰ってくるまでは何ともなかったのですが、多少倦怠感が出てきて、午後は2時間ほど昼寝をしていました。多少腕は痛いですが、もう大したことはないので、日曜(27日)以降は普通の生活に戻れるんじゃないかな。これは個人差があるようなので、大変な思いをする方もいらっしゃるようですけど。仕事は繁忙期なのですが、今日1日時間をつぶせば、あとは何とかなるんじゃないかなあ、と思います。(追記)ところが、夜寝る時になって、体のリンパが腫れたような感覚になって、少し調子が悪いのですが。

ワクチンを3回打ってもコロナにかかった人もいるようなので、まあ、その可能性と重症度を抑えることができれば、良しとしなければ。さすがに4回目以降続いていくと、もう勘弁、となるかもしれませんけれども。前回以前からの流れで、割と早めに3回目の接種を終えて(2回目から6か月以上の間隔を開けなければならないため)ホッとしています。

(追記27日)体の節々が痛いのは今日の方が強いですね。あと少々の倦怠感と。まあ、今日が日曜日で良かったです。

2022/02/26

Siesta/Yoshiko Kishino(木住野佳子)

Kishinosiesta 木住野佳子のリーダー作。ここでもニューヨーク録音で曲によっていろいろなメンバーが参加していて、やはり日本ジャズにとってはいい時代だったなあ、と思います。ボッサ中心で、演奏もジャジーな感じよりは聴きやすくてシンプルなメロディを前面に押し出している感じで、じっくり聞くというよりは、音楽がそこにあるといいなあ、と思えるようなサウンド。後半に打ち込みの派手めの曲もありますが。彼女の場合、ある時期からそういう方向に来ているなあ、とも思え、これも本人の意向なのか、プロデューサーの意向なのか、とは言うものの、このアルバムはご本人がプロデューサー兼務なので、もう答えは出ていますね。何度でもかけていたいアルバムのひとつです。

 

Siesta/Yoshiko Kishino(P)(GRP) - Recorded June 2002. Romero Lubanbo(G), Marc Johnson(B), Nilson Matta(B), Danny Gotlieb(Ds), Bashiri Johnson(Per), Emiko Shiratori(Vo), URU(Prog), Nahoko Kakiage(Prog) - 1. Siesta 2. The Red Blouse 3. Primavera 4. Antonio's Song 5. So Many Stras 6. Poco Brazil 7. Siesta - Vocal Version 8. Norwegian Wood 9. The Day Will Come 10. Corcovado 11. Mas Que Nada 12. Pray For Them

ボサノヴァの曲を中心に流れていますが、12曲中5曲が彼女のオリジナルです。ジョビン作の2曲目は変拍子もあって面白い展開。3、6曲目のオリジナルはどちらかと言うとニュー・ミュージックのような曲の展開とメロディを持つ曲。8曲目はビートルズの曲ですが、これも自然な流れ。9曲目は珍しくこのアルバムでは盛り上がっています。白鳥英美子が7、10曲目で歌っていますが、実は1、7曲目は同じ曲で7曲目の方がヴォーカル入り。しかも日本語の歌詞です。10-11曲目はプログラミングを使って今風のサウンドに。ただ、ジャズだボッサだと言う前に、トータルで流れている雰囲気は「心地良い音楽」です。こういうサウンドカラーも良い感じ。マーク・ジョンソンは3-5、8-9曲目に参加。(02年9月25日発売)

2022/02/25

Tenderness/Yoshiko Kishino(木住野佳子)

Kishinotender 木住野佳子のリーダー作で、曲によりストリングス、木管、コーラスが入るという豪華作品。それでバラード集って難しいので、なかなかこういうアルバムを発表できるものではないですし、アメリカのGRPと直接契約したという実力の分かるアルバムではないかと思います。ただ、レーベルの意向なのか、分かりやすい演奏をしているのは、セールスも意識しているのでしょうか。久しぶりに聴いたけど、耳に心地よく、いい演奏を聴かせているなあ、と思います。少しイージーリスニングに流れているかな、と思わせても、それをアルバムとして表現しているので、それはそれで潔いというか。彼女のこの路線はこの後徐々に強くなっていきますね。あと、曲によっては日本的情緒が満載だったり。

 

Tenderness/Yoshiko Kishino(P)(GRP) - Recorded May 15-20, 2000. Dave Weckl(Ds), Tom Kennedy(B), Sal Marquez(Tp, Flh), Ernie Watts(Sax), Tommy Morgan(Harmonica), Strings, Woodwinds, Chorus - 1. Danny Boy 2. By The Sea 3. Feel Like Making Love 4. Love Is Here To Stay 5. Lost In The Dream 6. Tenderness 7. Air-Sul G 8. Love 9. Lullaby 10. The Blessed Word 11. Stranger In Paradise

タイトル通り、バラード集。曲によってストリングス、木管、コーラスが入ることもあり、色彩感があります。いわゆるジャズ色は薄いのですが、1曲目のダニー・ボーイからその美しさにジーンときました。2曲目は私が「カッコ良い」と思う典型的な曲想で、メロディアス。エレピも使っておしゃれに、という3曲目、サル・マーケスの抑制の効いた管が入って美しい4、5曲目、ピアノとハーモニカのデュオの6曲目、8分の6拍子になった「G線上のアリア」の7曲目、オリジナルかと思ったらビートルズ作の8曲目、日本的な情緒を感じる9曲目、アーニー・ワッツのサックスが泣かせるコーラスも入った10曲目。11曲目はソロピアノで奏でられる「ダッタン(う、漢字が出てこない)人の踊り」。底辺に通じるのはやさしい美しさ。(00年9月20日発売)

2022/02/24

My Little Christmas/Yoshiko Kishino(木住野佳子)

Kishinomylittle 木住野佳子のクリスマス・アルバム。あまりジャズになりすぎず、それでも上品でゴージャスな感じを残しつつ、ピアノ・トリオでいい雰囲気で聴かせてくれます。扱いとしてはミニアルバム的になるのでしょうけど、うまくコンパクトにまとまっています。せめて45分ぐらい聞きたかったなあ、と思わせるところで終わりになるのも、まあいいかなあ、と思います。値段的にもフルアルバムよりは安くなっていますし。彼女の場合、トリオとか、ピアノを聴かせるのがなかなかうまいですね。久しぶりに取り出して聴いてみたけど、もう20年以上前なんだ、ということもあまり気にならずにその世界に没入できるのがいいですし。

それから、比較的最近に適宜いくらかの雑談的なエントリーを削除して(100個ぐらい?)いますが、今日の記事で再び5555エントリー目になりました。

 

My Little Christmas/Yoshiko Kishino(P)(GRP) - Recorded July 4-5, 1999. Mitsuaki Furuno(B), Yasushi Ichihara(Ds) - 1. Silent Night 2. White Christmas 3. Have Yourself A Merry Little Christmas 4. Green Sleeves 5. Ave Maria 6. The Christmas Song 7. O Come All Ye Faithful 8. My Little Christmas

クリスマス・ソング集で30分弱のアルバム。全体的に聴きやすいのは相変わらず。1曲目「きよしこの夜」2曲目「ホワイト・クリスマス」と続きますが、どちらもコード進行などにも手を加えていたりしてちょっと洒落ていて、クリスマス以外に聴いてもあまり恥ずかしくないような仕上がり。とは言いつつも場面によっては厳かなサウンド。 3曲目はスタンダード。2-3、5-6曲目は厳か路線か。異様に盛り上がる4曲目「グリーン・スリーヴス」もうまくアルバムのバランスをとっています。7曲目「神の御子は今宵しも」は本来厳かな曲ですが、ここではジャズっぽくけっこう盛り上がります。8曲目のタイトル曲は 、この曲のみオリジナルで1分半ほどの小品。もちろん、当然のことながらクリスマスに聴いてもいいアルバム。(99年10月20日発売)

2022/02/23

You Are So Beautiful/Yoshiko Kishino(木住野佳子)

Kishinoyouareso 木住野佳子の4枚目。実はこの頃各ホームページのメンバー5人で「ゴールドディスクを斬る」というクロスレビューをやっていて、その時に取り上げたアルバムで、この時彼女の初聴きだったのですが、このアルバムが気に入ってしまい、さかのぼったりその後も新譜が出たら買うピアニストになってしまいました。もちろんこれはゴールドディスクで、ビル・エヴァンスの特集のアルバムというのも良かったですね。当時はエヴァンスのアルバムをまだよく聴いていた頃になりますし。ベースととラムスは2組参加していますが、メンバーチェンジして3通りの組み合わせで演奏しています。日本人ですがけっこういい演奏をしています。

 

You Are So Beautiful/Yoshiko Kishino(P)(GRP) - Recorded December 16-18, 1998. Mitsuaki Furuno(B), Yasushi Ichihara(Ds), Daiki Yasukagawa(B), Tappi Iwase(Ds) - 1. Israel 2. Tenderly 3. Autumn Leaves 4. The Days Of Wine And Roses 5. Waltz For Debby 6. O Grande Amor 7. Here, There And Everywhere 8. April In Paris 9. Here's That Rainy Day 10. Easy To Love 11. You Are So Beautiful

ビル・エヴァンスの愛奏曲やスタンダードを中心に、良い曲が多い。1曲目「イスラエル」で始まり、帯にもあるようにビル・エヴァンスの影響が強いのかと思いきや、フレーズや盛り上げ方はもうちょっと豪快なイメージ。有名な3曲目「枯葉」でも意表をついたテーマのアレンジ。5曲目「ワルツ・フォー・デビー」ではテーマなどで変拍子(3+3が2+3になっている)を絡めて演奏しているあたりやっぱりただ者ではない。この曲でもしっかり盛り上げてしまいます。やや静かな4曲目、7曲目、11曲目、ボサノヴァ調の6、9曲目などもあり。ソロには無駄がない。収録時間は46分台。1曲あたり平均4分ほどと短く、贅肉を削ぎ落として曲を短くまとめているからかも。 時々スリルのあるピアノのフレーズが入ったときに、思わずニンマリ。 (99年3月20日発売)

2022/02/22

Rendez-vous/Yoshiko Kishino(木住野佳子)

Kishinorendez 木住野佳子の3作目。フィリップ・セスがプロデュースをやっているせいか、フュージョンと言うかスムース・ジャズ的な仕上がりになっています。ピアノだけではなくて、キーボードの演奏もありますし、なかなか聴きやすくていい感じのアルバム。メンバーも豪華で入れ替わりがあります。1-2枚目がジャズで勝負だっただけに、変化に富んでいていいのだけど、はじめて聴いた時は少々戸惑いもありましたね。でも、今改めて聴いてみるとかなりセンスがいいというか、安心して聴けるアルバムに仕上がっています。彼女もコンスタントに毎年のようにアルバムを出していたので、違う方向性で攻めてみた、ということでしょう。

 

Rendez-vous/Yoshiko Kishino(P)(GRP) - Recorded May and June, 1997. Marc Johnson(B), Abe Fogel(Ds), Cyro Baptista(Per), Philippe Saisse(Synth), Andy Snitzer(Ts), Nick Moroch(G), Matt Garrion(B), Michael Brecker(Ts), Bill Stewart(Ds), Gil Goldstein(Accordion) - 1. Manhattan Daylight 2. Rendez-vous 3. Vera Cruz 4. After The Rain 5. Jenga 6. Yugure Doki 7. Things Remind Me Of You 8. Blackbird 9. When You Wish Upon A Star 10. Message From Snow 11. Welcome Home

3曲目(ミルトン・ナシメント)、8曲目(レノン&マッカートニー)、9曲目(ディズニーの曲)以外は 木住野佳子のオリジナルの構成。このアルバムはジャズ色は薄く、落ち着いた良質のフュージョンに仕上がっています。フィリップ・セスのプロデュースということもあって聴きやすくてセンスは非常にいい感じ。ただ、私個人的にはもっとストレート・アヘッドなジャズが聴きたいという欲求もありますが...。ギル・ゴールドスタインとのデュオの7曲目は哀愁が漂っています。9曲目は何と打ち込み&ドラムンベースの上を流れるきれいなメロディ。 このアルバムも豪華なミュージシャンが参加しています。マーク・ジョンソンは1、3-6、8、10-11曲目に、マイケル・ブレッカーは3曲目に参加。この3曲目はけっこう渋めです。

2022/02/21

Photograph/Yoshiko Kishino(木住野佳子)

Kishinophotog 木住野佳子の2枚目。ここでも、1枚目ほどではなくても、ベースにマーク・ジョンソン、ドラムスがビル・スチュワートかポール・モチアンかという豪華な布陣です。メンバーがどうこう言うより、この安定した演奏は素晴らしい。ファースト・アルバムもそうですが、日本人のスタッフもいるとはいえ、GRPからアルバムを連続して出せているというのはなかなかないことかと思います。収録時間は60分と、この時期のCD時代によくあるけっこうサービスされた長さ。彼女の特集まではホームページで出しましたが、その後ほとんど増やさなくなりました。時期が合えばアキコ・グレースも取り上げていたと思うんですけれどもね。

 

Photograph/Yoshiko Kishino(P)(GRP) - Recorded March 2-4, 1996. Marc Johnson(B), Paul Motian(Ds), Bill Stewart(Ds), Romero LuBambo(G) - 1. Night And Day 2. Scarborough Fair 3. Desert Island 4. All Blues 5. Longling For You 6. Alone Together 7. Photograph 8. Alice In Wonderland 9. On Green Dolphin Street 10. Love Dance 11. J's Waltz 12. Autumn

基本的にはピアノトリオの編成。ベースとのデュオ(8曲目)やソロ(12曲目)の曲もあります。オリジナルは4曲。前作よりもリラックスして聴ける感じではあります。音が聴きやすいフレーズとミックスになっているのもGRPだからでしょうか。4曲あるオリジナル(3、5、11-12曲目)が良い。3曲目などはけっこう都会的で渋いメロディ。5曲目はキメの多いフュージョン調の曲をピアノ・トリオで。6曲目は迫力があります。7曲目のタイトル曲はアントニオ・カルロス・ジョビン作で落ち着いたサウンド。9曲目は何とテーマの一部が5拍子でアレンジされています。12曲目は秋を感じさせるピアノ。マーク・ジョンソンの全面的参加がうれしい。ドラムはどちらのドラマーも個性的。ポール・モチアンは4-5、10曲目に参加。

2022/02/20

Basse Barre/Barre Phillips

Barrebasse また新譜(旧譜ですが)が届いたので先に。バール・フィリップスの世界初と言われるベース・ソロのアルバム(’68年録音)です。曲目は「Journal Violone」と、いかにも即興演奏で録音しました、という感じの名前。ECM1149に「Journal Violone 2」(’79年録音)というアルバムがあって、なんだ?と思ってました。でも、そちらはソロのアルバムではないですけど、意味的にはこの続きなのかな、と今になって思います。アイデアがものすごく、次から次へといろいろな奏法、表現が出てきます。ベース・ソロのアルバムはこれがあれば十分じゃないかと思えるくらい。フリージャズが好きな人には、一度耳を通しておいてもいいアルバムだと思います。

 

Basse Barre/Barre Phillips(B)(Futura Marge)(輸入盤) - Recorded November 30, 1968. - 1. Journal Violone - Partie 1 2. Journal Violone - Partie 2

(22/02/19)世界初といわれる、ベース・ソロでの即興演奏のアルバム。曲のタイトルは2つついているけれど、LPの長さに合わせて、収録ないしは編集したものと思われます。収録時間は37分。当時のフリージャズの影響も受けているようで、ベースを叩いてみたり、高音域が入ってみたり、弾き方も通常のメロディというよりは、変幻自在にいろいろな手法でベースという楽器にアプローチをかけてます。ピチカートもアルコもあって、すでにこのアルバムでベース・ソロでの表現を出し尽くしてしまっている感じも。これが’68年という時期に録音されたとは、なかなか驚き。感覚的に演奏している部分もあると思いますが、いろいろな表現を繰り出す集中力は、さすがとしか言いようがありません。フリー好きにはたまらないアルバム。

2022/02/19

Fairy Tale/Yoshiko Kishino(木住野佳子)

Kishinofairyt 次は同じ日本人ピアニストの木住野佳子に行きたいと思います。当時は日本のジャズにお金があったのか、それともいきなりGRPからアルバムを出した彼女の実力なのか、ものすごく豪華なメンバーとの録音になっていて、しかも彼女の演奏も負けていない、というのがすごいなあ、と思います。これもゴールド・ディスクなんですね。私は彼女の4枚目のアルバムを聴いてからのさかのぼりなんですけど、1枚目からしてかなり素晴らしいです。その後時々日本人のミュージシャンと組む時もありましたけど。’04年頃までは海外のミュージシャンとの録音があります。日本人もなかなかなミュージシャンと組んでますね。収録時間は58分。

 

Fairy Tale/Yoshiko Kishino(P)(GRP) - Recorded April 17, 19 and 20, 1995. Eddie Gomez(B), Lewis Nash(Ds), Marc Johnson(B), Peter Erskine(Ds, Per), Michael Brecker(Ts), Roger Squitero(Per) - 1. Beautiful Love 2. Fairy Tale 3. The Island 4. Someday My Prince Will Come 5. Funkallero 6. Stella By Starlight 7. Only Trust Your Heart 8. You Make Me Feel Brand New 9. Lafite '82 10. Gone 11. With A Little Song

邦人ピアニストのGRPとの初の契約。 木住野佳子のオリジナルは全11曲中4曲。オリジナルもさりげなく他の曲に調和しています。アルバムの演奏内容も素晴らしいのですが、今回はよくこれだけ集めましたと思われるメンバーもスゴい。特にベーシストが彼女お気に入りのビル・エヴァンスゆかりの人たちですが、彼女も負けていません。女性らしい優しくて、しかもよく歌うピアノです。組み合わせはエディ・ゴメスとルイス・ナッシュ、マーク・ジョンソンとピーター・アースキン。アルバム制作1枚目にはやはり気合いが入ります。オリジナルは4曲(2、9-11曲目)あって、どの曲もメロディアス。エディ・ゴメスが1、4-5、9曲目に、マーク・ジョンソンが2-3、6-7、10曲目に、マイケル・ブレッカーが2、6、10曲目に参加。

2022/02/18

サマー・ツリー/田村夏樹

Tamurasummer 新譜が1枚届いたので、先に聴きます。今は主に田村夏樹さん、藤井郷子さんたちのアルバムはご本人から購入してますが、以前はPayPalを持っていなくて、大手通販から購入してました。そうすると発売日に入って来ない、時に大幅に遅れることもあって、なかなかジレンマだったんですね。収益の点からもご本人から購入した方がいいと思うに至り、今はそうしてます。さて、田村氏の新譜、フリーの世界でも独特な表現力で、今回はコロナ禍を逆手に取った多重録音でのアルバムになってます。こう来たかと思うと、まだまだフリーの方法にも自分が触れてなかった手法があるなあ、と感心しました。ただ、音漏れのする環境で大きい音で聴いていると、何かあったのかと思われるので、そこは気をつけて。怪作です。

 

サマー・ツリー/田村夏樹(Tp、P、Wok)(Libra Recods)
Summer Tree/Natsuki Tamura(Tp, P, Wok)(Libra Records) - Recorded August 2021. Satoko Fujii(Voice on 3) - 1. Summer Tree 2. Summer Color 3. Summer Wind 4. Summer Dream

全曲田村夏樹の即興演奏で、しかも録音後、ミックスをして多重録音にしています。打楽器は中華鍋を使用。3曲目に藤井郷子が狂気(?)のヴォイスで参加。収録時間は44分。非イディオム系に近いフリーだと思うのですが、1曲目はトランペットその他を重ねた風というか地底からのうなりのような背景に、トランペットのゆったりとしたメロディが時々思い出すように現れます。そして、トランペットのうめきとピアノの打鍵音が時に交錯して、脳を破壊しにかかるようなフリーの2曲目、ピアノの音がメインになって、時々国籍不明のヴォイス(というか叫び?)が絡むのが、なかなかいいアイデアだと思う重々しい3曲目、重低音をバックに、なぜかゆっくりとはっきりしたメロディでトランペットが憂うように歌う、懐かしい感じの4曲目。(22年2月11日発売)

2022/02/17

Piano Voices/Hiroko Kokubu(国府弘子)

Kokubupianovoi 国府弘子のリーダー作も、これ以降はブログに掲載済みなので、今日で一段落。今日のアルバムもソロがメインで、時々いろいろな人とのデュオになるアルバムです。じっくりと、そして優しく聴かせるアルバムになっています。ピアノ・ソロ(というかそれに近いアルバムですが)としては2作目になり、ふだんはフュージョン系のバンドサウンドだったので、たまにはこういう落ち着いたアルバムを聴くのもいいかなあ、という気にさせてくれます。小品ばかりではなくて、5曲目のメドレーは10分超なので、アルバム制作自体は力の入っているものだと予想されますが、このゆったり具合が何とも心地よい雰囲気になってます。

 

Piano Voices/Hiroko Kokubu(P)(JVC) - Released 2003. Toots Thielemans(Harmonica), Yoshihiko Harada(Steel Ds), Jiang Jianhua(Ehru), Seishiro Kusunose(Voice) - 1. Going Home 2. Amazing Grace 3. Moon River - The Days Of Wine And Roses 4. Every breath You Take 5. (They Long To Be) Close To You - Killing Me Softly With His Song - Uskadara - Manha De Carnaval 6. Success Moon Dance 7. Summertime 8. Shangri-La 9. When You Wish Upon A Star 10. Angelus 11. Happiest You (For Your Wedding)

トゥーツ・シールマンス(Harmonica)(3、11曲目)、原田芳宏(Steel Ds)(6曲目)、姜建華(二胡)(8曲目)、楠瀬誠志郎(Voice)(10曲目)とのデュオもあって、ソロでの演奏が半分ほど。オリジナルは4曲のみですが、どれも光っています。いきなり1-2曲目で「家路」「アメイジング・グレース」をピアノソロで弾いているので、ジャズというよりはもっと幅広い層に向けてのミュージックと言えます。タイトルどおりに「ジャズ」ではなくて「ピアノの声」を聴かせたいのでは。3、11曲目はさすがに巨匠のハーモニカですが、相変わらずリラックスして音楽を楽しめます。4曲目のスティング作もしっとりと。5曲目の10分超のメドレーも、さすがドラマチックです。リハーモナイズが神秘的な7、9曲目。10曲目のヴォイスもメロディアスでスマート。(03年9月21日発売)

2022/02/16

Piano Anniversary/Hiroko Kokubu(国府弘子)

Kokubupianoanni 国府弘子のリーダー作。15周年記念アルバムということで、いつもより豪華な仕様になっています。初回限定盤にはピアノスコアも付いているし、紙パッケージのジャケットも高級感を増してますね。オリジナル中心で、しかも日本とアメリカと両方で録音してますし。今から振り返ってみると、新譜という点ではこのあたりがCDの売り上げの傾向もあって、一番いい時代ではなかったかと思います。ブログには1日1枚ずつ出てきますけど、サウンドが良くて、デビュー作からここまで16枚、2日間で聴いてしまいました。当時追いかけていたミュージシャンは多かったですが、その中の一人として、やはり彼女の演奏は忘れられないと思います。

 

Piano Anniversary/Hiroko Kokubu(P)(JVC) - Released 2002. Shinozaki Strings(Strings), Takeshi Taneda(B), Masayuki Muraishi(Ds), Masato Ishinari(G), Yoichi Murata(Tb), Koji Nishimura(Tp), Masahiko Suganami(Tp), Osamu Koike(Ts), Abe Laboriel(B, Cho), Alex Acuna(Ds, Per, Cho), Oscar Castro-neves(G, Cho), Toshiaki Otsubo(Key, Prog), Yoichi Yahiro(B), Tappy Iwase(Ds), Yokari Fukuzato(Cho), Ichiko Hashimoto(Voice, Cho), Kiyotsugu Amano(G), Rie Akagi(Fl), Asuka Kaneko(Vln), Masami Takeuchi(Theremin) - 1. Always 2. Tomorrow Never Knows 3. Fiesta 4. Sing For Love 5. Little Anniversary 6. Lifeline 7. Starland 8. Easter Egg 9. Chiffon Cake Bossa 10. You're My Moose 11. I Wish 12. Nostalgia

国府弘子の15周年記念のアルバムとのこと。11曲目がスティーヴィー・ワンダーの曲で、他は全て国府弘子のオリジナル。1曲目でストリングスが入っていたり、2、11曲目ではブラス・セクションが入っていたりと、曲によってさまざまなメンバーやゲストが入れ替わります。さすが記念アルバムだけあって、豪華な作り。1曲ごとにサウンドの雰囲気が変わるので、ベスト盤ではないですが、そういうような雰囲気 として聴くのもいいかもしれません。6曲目のラテンサウンド、8曲目のクラシック風ソロ・ピアノ、9曲目のボッサと、カラフルに曲調は変化していきます。しかし聴けば聴くほどフュージョン的と言うよりは、彼女の独特な聴きやすいサウンドに仕上がっている感じです。そういうわけでBGMにも良いかも。(02年8月26日発売)

2022/02/15

Welcome Home/Hiroko Kokubu - Best & More(国府弘子)

Kokubuwelco 国府弘子のベスト盤2作目。1作目はバラード集だったけれど、2作目はもっと自由な感じで選曲していて、賑やかな曲も多いです。これまた新録音などが数曲あって、追っかけしている人はなかなか難しい選択をせまられます。この後、シーズンズベストが’08年までに出ていて、それからは彼女の新譜も毎年のように出るわけではないのですが、日本のミュージシャンのリーダー作の登場頻度も減っていくのがこの時期。なかなか、CDバブルというか、それまではいいアルバムがたくさん日本でも生まれました。私が追いかけきれてないアルバムも多いですし。ただJVCとしては、そろそろその後まとめの時期に入っている感じはしていました。

 

Welcome Home/Hiroko Kokubu(P) - Best & More(JVC) - Released 2002. - 1. Vitamina 2. Going, Going On 3. Listen To My Heartbeat 4. Passarada 5. Lady Moonlight 6. Baked Potato Man 7. Keep Hope Alive 8. Go Go Godzilla 9. Interlude From "Piano Tapestry" 10. Sky Dancing 11. Luck In The Rain 12. For My Friend 13. My Romance 14. I Do What I Want 15. Slingshot 16. Wasurenai-Yo

国府弘子のベストアルバム。新録音が3曲(3、5、10曲目)と、「ピアノ・タペストリー」の未収録曲(9曲目)が入っています。さすがにベストアルバムなので最初から最後までメロディアスに聴かせてくれます。フュージョンなのですが個性的で聴きやすいサウンド。じっくり聴くにも良し、BGMにするにも良し、といったところ。3曲目は’88年のものの再録で、しっとり感と円熟味が増して自然になってきたかな、という感じ。日本的情緒をベースにフルートも日本的に舞っていて自然な掛け合いが面白い5曲目、研ぎ澄まされたフレーズが心に語りかけてくるソロピアノでの小品の9曲目、新作でプログレ・フュージョンでもと言うようなドラマチックな展開の10曲目。心地良いサウンドの中に隠された鋭い感性。(02年6月21日発売)

2022/02/14

Piano Tapestry/Hiroko Kokubu(国府弘子)

Kokubupianotape国府弘子のソロ・ピアノのアルバム。今までバンドでの演奏が多かっただけに、完全ソロでのアルバムが期待されていたところでした。収録時間が48分で、18曲だから各曲が比較的シンプルにまとまっています。さらにメドレーの曲もあるので、もっと短めのものもありますが、既成の曲も含めて、全曲即興演奏だそうです。今聴いても、確かにヒーリング的な要素もあるなあ、と思いますが、落ち着いていて、聴き通すのが楽しみなアルバムに仕上がっています。解説はないけど、トラック9は意図的に音質を変更してあります、との注意書きが、そして、当時のこのアルバムのライヴの告知も。どんなライヴだったのか想像を膨らませてしまいました。

 

Piano Tapestry/Hiroko Kokubu(P)(JVC) - Released 2001. - 1. Overture 2. Maiden Voyage 3. Change The World 4. Requiem 5. Invitation 6. In My Life 7. Fields Of Gold 8. Scarborough Fair/Canticle 9 Pastorale - Burgmuller From "25 Easy Studies Op.100" 10. Over The Rainbow - It Might As Well Be Spring - My Grand Father's Clock 11. Lady Moonlight 12. Kaerenai-Futari 13. What A Wonderful World - Miagetegoran-Yorunohoshiwo 14. Passarada - Luck In The Rain 15. Sunshine Day 16. 'Round Midnight 17. Sunset Beach 18. Climb Ev'ry Mountain

ソロ・ピアノのアルバム。曲はオリジナル、スタンダード、ジャズメンオリジナル、ロックの曲など実にさまざまな曲が18曲(メドレーを1曲としていますので実際はもっと多い)もありますが、まさにタイトル通り「ピアノの綴れ織り」。ピアノがやさしくしっとりと詩情豊かに絡み合ってくる感じで、曲が変わっていっても続けて静かに語りかけてきます。ジャズと言うよりは、たとえジャズの曲においてもヒーリング・ミュージックといった表現の方が近いものがあります。残響音も豊かで、不思議とその中にひたっていたい感じ。以前他のアルバムでも聴いていた彼女のオリジナルが時々顔を出してくることも。繊細なピアノの響きは、やはり女性らしさが出ています。 じっくり聴いても、小音量でBGMで流してもいいアルバム。(01年5月23日発売)

2022/02/13

Moments/Hiroko Kokubu(国府弘子)

Kokubumoment 国府弘子の1枚目のベストアルバム。この後’08年までに、4枚のシーズンズ・ベストを含めて6枚のベストアルバムを発売することになるのだけど、それぞれに数曲の新録音が入っていることが悩ましい。シーズンズ・ベストはもうブログで取り上げてあるので、今は出てきませんが、デジタル録音での初期のアルバムがクォリティを満たさなかったか、新録音で購入層を増やそうとしたのかは分かりません。今だったらストリーミングのプレイリストなどで代替できるのかもしれないけど、当時は、とりあえず新譜が出たら買う、という生活でしたので、こういうアルバムもけっこう買っているような気がしています。しかし、バラード中心ということで、雰囲気がいいですねえ。

 

Moments/Hiroko Kokubu(P)(JVC) - Released 2000. - 1. Horizon 2. In Your Arms 3. Essence 4. Somewhere In Time 5. Etude 6. Over The Sevem Seas 7. Gone... 8. Sunset beach 9. Playing Love (From "The Legend Of 1900") 10. Lady Moonlight 11. Once And Forever 12. Happiest You (For Wedding) 13. Apres L'amour (Missing You) 14. Naight In Capri 15. Calling You

15曲中3曲が新録音のベストアルバム。アルバムの帯のジャンルを見ると「ピアノ・ミュージック」「ヒーリング」とありますが、それよりはほんのちょっぴり硬派なイメージか。バラード集になっていて、オリジナル中心で73分収録。良い選曲です。うるさくないのでBGMにも最適。曲によってはフュージョンっぽさがのぞく場面もありますが、大部分は淡々と情景が変わって行きます。日本人好みのメロディが時々見え隠れして懐かしく、この音場の中に浸っていたい気分です。新録音の印象のみ記すと、タイトル通りに静かで雄大な大地の印象を受ける1曲目、エンリオ・モリコーネ作の美しい曲をピアノのみでしっとりと奏でる9曲目。15曲目もほとんどソロピアノですが、こちらはシンセサイザーの味付けが効果的。(00年2月2日発売)

2022/02/12

Piano Letter/Hiroko Kokubu(国府弘子)

Kokubupianolett 国府弘子のリーダー作。「ピアノ・レター」のタイトルの通り、ピアノにこだわったいろいろな曲がありますが、こちらも相変わらず聴きやすく、安定の貫禄を見せています。基本はベースとドラムスを加えた編成に、曲によりシンセサイザー、ギター、ホーン、コーラスなどが入ります。さりげなく入ってくる音にはプログラミングのものもあるというのは、やはり時代かなあと思いますね。あとは打ち込みですかね。私のスピーカーも昔に比べて良くなり、そういう効果も前よりは気が付くようになりました。今でこそあまり彼女のアルバムは発売されませんが、当時は毎年のように出ていました。どれもかけていて楽しかったでした。

 

Piano Letter/Hiroko Kokubu(P)(JVC) - Released 1999. Toshiaki Ohtsubo(Key, Prog), Shigeru Muroi(Vo), Yoichi Yahiro(B), Shuichi "Ponta" Murakami(Ds), Masayuki Muraishi(Ds), Isao Miyoshi(G), Yoichi Murata(Tb), Masatsugu Shinozaki Strings, Yokari Fukuzato(Cho), Keisuke Kojima(Cho) - 1. River Dance 2. Go Go Godzilla 3. For Your Birthday 4. Sakura-Dayori 5. Snow White 6. Azzurro Fantasia 7. The Stranger 8. Across The Miles 9. Wasurenai-Yo 10. Sekai Wa Melody 11. See You Soon

けっこう聴きやすくてポップなアルバム。それでいて随所にこだわりが感じられます。 タイトルの通り、「ピアノの手紙」の雰囲気が全編に出ています。1曲目はプログレッシヴ・ロックへの憧憬さえ感じられるドラマチックな曲。一転2曲目のロック寄り、3曲目の打ちこみサウンドあり、と、バラエティに富んでいます。ドラムの参加は計4曲のみ。日本人の感性に触れそうな4、9曲目、静かに流れる5曲目、渋めのグルーヴが心地よい6、8曲目、ビリー・ジョエル作の7曲目。やっぱり日本人には日本人のフュージョンか。そして10曲目はNHKの「みんなのうた」でも流れた室井滋のかわいらしい(?)ヴォーカルの曲。これだけ異色かもしれませんが、これはこれで楽しい。ピアノソロの短いゴキゲンな11曲目で幕を閉じます。(99年11月20日発売)

2022/02/11

Memories Of Bill Evans - A Tribute To Bill Evans

Memoriesbill ここでは国府弘子の参加しているオムニバス・アルバムというくくりですが、他でも日本のピアニストでけっこう有名な人が多いですね。収録時間も66分と長めで、カラフルな演奏を楽しめます。ビル・エヴァンスへのトリビュート・アルバムというのはたくさん出ていて、それをひとくくりにしてまとめて置いてあるのですが、このアルバムだけ別の場所にあって、またもや聴かないでブログの原稿を考える1歩手前でした。エヴァンスの弾き方を意識した演奏する人も、あくまでもトリビュートとしてマイペースに演奏する人もいますけど、通しで聴いてもなかなか楽しめます。最近はこういうアルバム、少ないような気がしています。

 

Memories Of Bill Evans - A Tribute To Bill Evans(JVC) - Released 1999. (9曲目のパーソネル)Yoshiko Kishino(P), Mitsuaki Furuno(B), Yasushi Ichihara(Ds), (11-12曲目のパーソネル) Hiroko Kokubu(P), Toshiaki Ohtsubo(P, Per), Yoichi Yahiro(B), Masayuki Muraishi(Ds) - 1. Five 2. Waltz For Debby 3. Alice In Wonderland 4. My Funny Valentine 5. A Sleepin' Bee 6. Gloria's Step 7. Bill Bop 8. Peace Piece 9. Nardis 10. Polka Dots And Moonbeams 11. My Romance 12. Israel 13. Blue In Green

塩谷哲トリオ(ソロもあり)、山下洋輔ウィズ齋藤ネコ・クァルテット(ソロもあり)、佐山雅弘トリオ、笹路正徳アンサンブル、木住野佳子トリオ(9曲目)、益田幹夫トリオ、国府弘子グループ(11-12曲目)と、7人のピアニストがそれぞれビル・エヴァンスの愛奏曲を中心に演奏をしています。意外に山下洋輔はきれいな演奏でした。マイペースで思いきったアレンジの国府弘子の演奏と、オリジナルもあってジョージ・ラッセルを意識しているかなあ、と思う笹路正徳が個人的には好みなのですが、聴いてみると、どのピアニストも甲乙つけがたい 演奏をしています。何と佐山雅弘トリオはそのままポンタBOX。木住野佳子トリオはあの「ピース・ピース」を演奏。美しい益田幹夫の演奏。けっこうオーソドックスでよい塩谷哲。(99年12月16日発売)

2022/02/10

Diary/Hiroko Kokubu(国府弘子)

Kokubudiary国府弘子のリーダー作。録音のメンバーは国内に戻っていますが、聴きやすい曲が多くて、安定のスムース・ジャズという感じ。サウンドもなかなかいいです。杏里が歌っている2曲目がある反面、5曲目にプログレの名曲「タルカス」も入っていて、内容に変化を持たせるという点では、このアルバムはけっこう変化に富んでいると言っていいのかも。当時はリアルタイムで聴いていたわけですが、もう20年以上昔のことになっているとは信じられないくらい。それだけ世の中の流れが速くなっているということではあります。でも、今聴いても、彼女のアルバム、どれも古い感じがしないのは、好みの問題もありますが、素晴らしいことだと思います。

 

Diary/Hiroko Kokubu(P)(JVC) - Released 1998. Yoichi Yahiro(B), Masayuki Muraishi(Ds), Anri(Vo), Jun Kajiwara(G), Nobu Saito(Per), Toshiaki Ohtsubo(Synth), Rie Akagi(Fl), Big Horns Bee: Flash Kaneko(Ts), Orita Nobotta(Bs), Wakaba Kawai(Tb), Fussy Kobayashi(Tp), Himarayan Shinogami(Tp) - 1. Going Going On 2. Remind Me 3. Drive My Car 4. Lucy In The Sky With Diamonds 5. Tarkus: Eruption - Stones Of Years 6. Sunset Beach 7. I Do What I Want 8. Apres L'amour (Missing You) 9. City Of Angels

ギーボード、ベース、ドラムスのトリオが核。曲の選定、フレーズ、アレンジなど、あちこちにこだわりがみられます。EL&Pの「タルカス」(5曲目)やビートルズのカヴァー曲が2曲(ゴキゲンな3曲目、盛り上がっていく4曲目)入っていたり、パトリース・ラッシェンの曲(2曲目)を杏里が歌っていたりします。この中でも「タルカス」は、一部変拍子で強烈な印象。わたしはこれ1曲でも買ったかいがありました。全体の約半数を占めるオリジナルもいいぞ。1曲目はトリオでメロディアスにキメます。アメリカ西海岸の夕暮れ時を思わせるような静かな6曲目、マイナーなラテン調が心地良い7曲目、厳かなソロピアノが優しい8曲目。9曲目は時の流れに身をまかせてボーっとしてるときに聴くと心地良さそうな感じです。

2022/02/09

Jeito Do Brasil/Forma De Agua

Formadeagua 国府弘子参加のアルバムで、グループ名での発売になっていて、けっこう本格的なブラジル風フュージョン。彼女名義だと、どことなくスムース・ジャズ的になるのですが、これはけっこう鮮烈な印象を持ってます。吉田和雄がリーダーだからでしょう。この文章を書き終わるまで、このアルバムを探せて音なしで書いていましたが、その後アップされるまでに探せました。アルバム全体の印象は、20年以上経ても強烈に残っていて、先に書いてしまってもいいのかなと思ってました。ラテン系のフュージョンなのは間違いないのですが、パーカッションがもっと奔放に飛び回っている感じ。こっち方面が好きな方は、機会があったら聴いてみてください。

 

Jeito Do Brasil/Forma De Agua(Novus-J) - Recorded May 1997 and January 1998. Kazuo Yoshida(Ds), Hiroko Kokubu(P), Kazuhiko Obata(G), Kohsaku Omori(B), Saori Sendo(Per), Toninho Horta(G, Vo), Yoshihiro Harada(Steel Pan), Masaki Hayashi(Key) - 1. Aqua De Beber 2. Little Prince 3. Jeito Do Brasil 4. Luz Do Morro 5. Starlet 6. Carta De Carioca 7. Briza Branca 8. Garota De Ipanema 9. Waiting For Angela 10. Mais Saudage 11. Urban Walker

邦題「ブラジル流」。ブラジル音楽風フュージョン。音がスムース系でなくて、リズムが強調されてけっこう気持ち良い。3曲を除きメンバーのオリジナル。それでいて心地良いサウンドとメロディー、キメなどで楽しませてくれます。豪快なパーカッションで意表をつかれたジョビン作の1曲目、国府弘子作のメロディが印象的な2曲目、サンバのノリが気持ち良い3曲目、トニーニョ・オルタのヴォーカル(コーラス?)が渋くせまる4、9曲目、こちらもノリノリの5曲目、リオからの風が吹いてくるような心地良い6曲目、仙道さおりのコーラスも交えた渋めで後半盛り上がる7曲目、7拍子「イパネマの娘」も意表をついていて面白い8曲目、ほのぼのと明るい雰囲気の10曲目。そしてシンプルでフュージョンっぽい仕上がりの11曲目。

2022/02/08

Bridge/Hiroko Kokubu(国府弘子)

Kokububrid国府弘子のリーダー作に戻ります。海外録音もいったんはこの時期あたりまでかな。まだまだ続きますが、なぜかブログ未掲載のアルバムが多いです。それでもメロディアスだし、飽きるということは私の場合、ありません。’00年代あたりまでは、ベスト盤を含めて、発売がかなり多いですね。久しぶりに聴きましたけど、実は今日だけで(ブログに仕込んでいる日のことです)8枚聴いています。どれも、身をまかせるような感じで、1日聴いていても聴き疲れしません。やはり時期的にビートがプログラミングの曲も出てくるようですけど、ピアノ自体はあくまでもマイペースを貫いているので、まあまあ楽しんで聴くことができます。

 

Bridge/Hiroko Kokubu(P)(JVC) - Recorded September and October, 1996. Alex Acuna(Ds, Per), Abe Laboriel(B), Ramon Stagnaro(G), Gary Herbig(As, Fl, Cl), Tommy Coster, Jr(Synth), Tom Coster(Key, Org), Greg Adams(Flh), Andy Narell(Steel Pans) - 1. Catalina Island 2. Rudy's Dream 3. Bridge Over Troubled Water 4. Lullaby Of Takeda 5. Essence 6. Lettin' Go 7. Keep Hope Alive 8. Baked Potato Man 9. Innocence Of Spring 10. Our Story 11. Peranzzetta 12. Serenata

再びロス・アンジェルス録音。こういうアレンジが大人っぽくてメロディアスなフュージョンを聴くと落ち着きます。軽いビートにノセながらメロディアスにせまる1曲目。やや抑制の効いたビートとピアノの2曲目、逆にプログラミングのビートで原型をあまりとどめないポール・サイモン作の3曲目、海外のミュージシャンと挑戦した「竹田の子守歌」の4曲目、やや渋めかなと思える5曲目、ピアノやホーンのメロディなどがやや哀愁を帯びている6曲目、むしろポップスのメロディかなとも思える展開の7曲目、ピアニカを吹いていて南洋の香りがするサンバの8曲目、聴いていてほのぼの感が漂う9曲目、メロディアスでノリの良い10曲目、フュージョンというよりはピアノ曲の11曲目。ボーナストラックの12曲目はギターとのデュオで静か。

2022/02/07

Breath By Breath/Fred Hersch

Fredbreath久しぶりに新譜が1枚だけ届いたので、先に聴きます。本当なら5枚いっぺんに届くはずだったのが、他はすべて遅れてます。いつになることやら。フレッド・ハーシュの新作は弦楽四重奏団とトリオの演奏で、なかなか格調高いし、それを自然に聴かせてしまうアルバム。個人的には割とECMなどで、弦楽四重奏団入り、というのを聴いているので、抵抗はないですし、ここでは両者がうまく融合してしまっているので、けっこう気に入りました。組曲のSatiは、エリック・サティのことではないそうなので、そこはそのように聴かないと、かな。時に自由なやり取りも含めて(4曲目)、気持ちよく聴かせてくれます。収録時間は46分。

 

Breath By Breath/Fred Hersch(P)(Palmetto)(輸入盤) - Recorded August 24 and 25, 2021. Drew Gress(B), Jochen Ruckert(Ds), Crosby Street String Quartet:Joyce Hammann(Vln), Laura Seaton(Vln), Lois Martin(Viola), Jody Redhage(Cello), Rogerio Boccato(Per on 6) - The Sati Suite: 1. Begin Again 2. Awakened Heart 3. Breath By Breath 4. Monkey Mind 5. Rising Falling 6. Mara 7. Know That You Are 8. Worldly Winds 9. Pastorale (Homage A Robert Schumann)

(22/02/06)8曲の組曲(The Sati Suite)と、シューマンに捧げられた9曲目で、弦楽四重奏団とトリオでの演奏。基本的にはトリオの演奏が中心で彩り的にストリングスが加わるという形式が中心で、いつものフレッド・ハーシュのピアノが聴けるのがうれしい。理知的なのだけど、どこか優しい雰囲気で、演奏が続いていきます。曲によっては割と大きくストリングスがフィーチャーされていますが、彼のピアノだとうまく全体的な融合があって自然に聴かせます。ヨーロッパ風のサウンドでのジャズなので、淡い色の絵画を見ているような気分で、そのまますんなりと心の中に入り込んで来るような雰囲気がいい。このあたり耽美的な、と表現をしてもいいのかもしれません。トリオの他のメンバーの演奏を聴いても格調高さが漂っている。

2022/02/06

Heaven And Beyond.../Kiyotsugu Amano and Hiroko Kokubu(天野清継、国府弘子)

Amanoheavenb 2枚目、1曲目を聴くと、スパニッシュで派手なユニゾンもあるアップテンポの曲がカッコいい。1枚目に比べて硬派な曲が多いので、これは聴きごたえがありますね。収録時間は56分。演奏している人数も最小限に、しかもラテンの曲などシンセサイザーの威力もあってかけっこう分厚く、しかもノリも最高、という感じで、なかなかいいですねえ。1枚目よりエレキ・ギターの活躍する場面も増えているように感じます。契約の関係なのか、今ストリーミングで聴けないのが残念。3曲目、7曲目、ボーナストラックの12曲目だけは違うところで録っているはず(あるいは場所を変えての多重録音?)ですが、これはこれで、いい感じの彩を添えています。

 

Heaven And Beyond.../Kiyotsugu Amano(G) and Hiroko Kokubu(P)(JVC) - Recorded May 5-6, 12, 16-18, 23, 1995. Yoichi Yahiro(B), Jun Saito(Ds, Per), Ichiro Hosoya(Per), Norimasa Yamazaki(Synth), New York Voices, Gil Goldstein(Accordion) - 1. Oscar 2. Travel Talk 3. Spinning Wheel 4. Cats N' Dogs 5. Sweet And Gentlle 6. Paseo 7. Perfidia 8. La Isla Bonita 9. Road To you 10. Chardonnay 11. Somewhere In Time 12. Baby Come Back

2人のアルバム第2弾はほとんどが日本録音。デュオの曲も多く、彼ららしさがより出てきました。1曲目は華麗にスパニッシュ風のデュオの世界。ノリの良いサンバでメロディが親しみやすい2曲目、BS&Tの曲を何とニュー・ヨーク・ヴォイセスを迎えてデュオで迎え撃つ3曲目、ピアニカ、ギター、パーカッションで軽快な4曲目、優しく爽やかな5曲目、メロディアスなフュージョンの6曲目、哀愁の漂うアコーディオンが何とも言えない7曲目、マドンナの曲だそうですが完全にスパニッシュの世界の8曲目、そのサウンドから雄大な空間を感じることができる9曲目、続いて空間と時間を感じることができそうなノリの良い10曲目。味わいのあるソロピアノの世界の11曲目。ボーナス・トラックの12曲目にもニュー・ヨーク・ヴォイセスが参加。

2022/02/05

Heaven/Kiyotsugu Amano and Hiroko Kokubu(天野清継、国府弘子)

Amanoheaven なるべく年代順に紹介していきたいのですが、このアルバムも探し回りました。ストリーミングにはないし、どうしようかと思っていたら、目の前に出現。このアルバム、購入時もあまり聴いた記憶がないので、実際に聴かないと思い出せないですね。雰囲気的にはボブ・ジェームス&アール・クルーの日本版というような感じで、落ち着いていて、じっくり聴けるスムース・ジャズで、なかなか良かったです。天野清継のガット・ギターはフレーズが速い場面もあり、なかなか。もうアメリカでの録音が常態化していて、バックの演奏を楽しめるという面でも、なかなかいいアルバム。個人的にはエイブラハム・ラボリエルのエレキ・ベースはけっこう好きで、ああ、このベースの音、いいなあ、となってしまいます。収録時間は54分。

 

Heaven/Kiyotsugu Amano(G) and Hiroko Kokubu(P)(JVC) - Recorded May and June 1993. Alex Acuna(Ds, Per), Don Grusin(Synth), Gary Herbig(Sax, Fl), Abraham Laboriel(B) - 1. September Song 2. Winner's Circle 3. Cry 4. For My Friend 5. Simple Pleasure 6. Morning 7. Monet 8. Bahia Skyline 9. A Long Way To Heaven 10. Steppin' Out 11. Etude

2人の名義のアルバム第1弾。作曲の数から、どちらかと言うと天野主導型か。編成もシンプルでガット・ギターが心地よい。ナチュラルなメロディで爽やかにせまる1曲目、リズミカルな前半とメロディアスな後半を持つ共作の2曲目、哀愁がそこはかとなく漂う印象的なメロディの3曲目、これまた透明感のある素直なメロディで心にせまる4曲目、メロディと盛り上がりの交錯が楽しい5曲目、唯一クレア・フイッシャー作の渋めから盛り上がりを見せるラテンの6曲目、優しいバラードの7曲目、ドライヴィング・フュージョンの趣きの8曲目。9-11曲目は国府弘子作曲。タイトル通りの徐々に展開をみせるのが気持ちよい9曲目、このメンバーのどっしりとしたリズムが気持ちよい10曲目、ギターとのデュオで息も合っている11曲目。

2022/02/04

Pure Heart/Hiroko Kokubu(国府弘子)

Kokubupureh 国府弘子5作目。海外での録音が当たり前になってきて、曲の方もいい感じで1曲目から進んでいきます。メンバーもなかなかだし、曲によっていろいろ雰囲気が変わっていくし、今聴いてもいい感じのスムース・ジャズという感覚で、ラテン色のある曲は多めかなという印象。バランスが、何というか絶妙な感じです。曲によってはホーンも入るし、なかなか豪華なアルバムになっています。当時だからできたのかな、とも。ジャケットもきれいだし、若いですね。もう30年も前の録音なのか、と感慨もひとしお。私がジャズに興味を持ちだした’84年頃の30年前はまだハード・バップの時代でしたし。

 

Pure Heart/Hiroko Kokubu(P)(JVC) - Recorded February, 1992. Michael Landau(G), Abe Laboriel(B), Alex Acuna(Ds, Per), Larry Williams(Synth), Chuck Findley(Tp), Bob Findley(Tp), Gary Herbig(As, Ts, Fl), Kim Hutchcroft(Ts), Oscar Castro-Neves(G), Yutaka Yokokura(Vo) - 1. Smuoth Struttin' 2. Luck In The Rain 3. Annabella 4. Vitamina 5. Weekend 6. Carry Me With The Wind 7. Barefoot Steppin' 8. It's Cool 9. Once And Forever 10. Mrs. Robinson 11. Happiest You (For Your Wedding)

ロス・アンジェルス録音で、カラリとしたサウンド。1曲目はドッシリと落ち着いたサウンドで、ホーンも軽やかにはじまります。ラテンっぽいメロディアス爽やか編という感じの2曲目、Yutakaのヴォーカルで渋くかつ哀愁を帯びた味わいの3曲目、これまたゴキゲンな元気の出る4曲目、タイトル通りウイークエンドのリラックスした雰囲気の5曲目、サンバのリズムの上を自由に踊るピアノの6曲目、これぞタテノリのロスアンジェルス・フュージョンといった7曲目、カッコ良いファンク・チューンの8曲目、ボサノヴァで、しっとりとしたメロディをつづる9曲目、ポール・サイモン作の有名な曲をこれもラテンノリでノリ良く仕上げた10曲目。親しみやすいメロディで朗々とピアノで歌い上げていく11曲目はエンディングにもふさわしい。

2022/02/03

Light And Colour/Hiroko Kokubu(国府弘子)

Kokubulight 国府弘子第4弾。海外のミュージシャンとの録音がここで出てきますが、全然貫録負けしてませんね。曲もいいし、日本のある意味音楽バブルの時ではありますけど、なかなかこういうメンバー、今考えると揃わないと思うので、いいアルバムを残してくれました。もうこの時期は追っかけしていたと思うのだけど、ちょっと記憶が曖昧ではあります。スムース・ジャズに位置付けは近いとは思うのですが、それでも聴き続けても飽きない良さがあります。印象的な曲も多いですし、JVCが彼女を推していた理由が分かるような気がしてます。ブラジル録音でネイティヴな、かの地の音楽を奏でているのも、以前から要素はありましたけど、ここではっきりしました。

 

Light And Colour/Hiroko Kokubu(P)(JVC) - Released 1991. Oscar Castro-Neves(G), Jamil Joanes(B), Teo Lima(Ds), Gary Herbig(Ss, As, Ts, Fl, Bfl), Don Grusin(Synth), Paulinho Da Costa(Per), Jerry Hay(Flh), Gary Grant(Flh), Kim Hutchcroft(Ts), Ivan Lins(Vo), Gilson Peranzzetta(P), Paul Jackson Jr(G), Alex Acuna(Ds), Abe Laboriel(B), etc - 1. Moon Island 2. Pepino Beach 3. Passarada 4. My Only Lover 5. Samba Do Camarao 6. Tip-Top Funk 7. The Moment We Share 8. Blue Lullaby 9. Bossa Calango 10. El Humahuaqueno 11. Gone...

初の海外録音で、リオ・デ・ジャネイロ(ブラジル)で大半の曲を収録、またロス・アンジェルスでも録音をしています。雰囲気がけっこうソレっぽい。1曲目からサンバ調で軽快ですが、曲の大半が8分の7拍子とこだわりを見せています。2、4曲目がオスカー・カストロネヴィス作の曲でメロディアスに展開していきます。4曲目の方はピアノとエレピのデュオ。3曲目はイヴァン・リンスのヴォーカルが印象的。コーラスも入ってノリノリサンバの5曲目、一転アメリカンフュージョンの6曲目、ギターとのデュオで勝負する7曲目、コーラスも入って渋めな8曲目、メロディアスな展開を示す9曲目、アメリカ録音でホーンがカッコよくてノリの良い10曲目。リオの夕暮れを思わせるような、静かで渋い11曲目でエンディング。

2022/02/02

Point Of No Return/Hiroko Kokubu(国府弘子)

Kokubupoint 国府弘子の3作目。こうやって毎年のようにリーダー作が出るミュージシャンは、CD時代になって何人もいましたけど、やはりメロディアスだったりセンスが良かったりで、聴くのに飽きさせないミュージシャンが多かった気がしています。あえて分析すると、どれだけ売れたかというのも大きな要素になるとは思いますけど、それだけの魅力はありました。CDが売れに売れた時代と比べて、最近はそういうチャンスが減ってきたってことではあるけれども。BGMとしても聴ける、というのも大きな要素かもしれないです。もちろん聴き込んでもいいですし。全体的な音もいいですし、このアルバムからはストリーミングにもあがってました。

 

Point Of No Return/Hiroko Kokubu(P)(JVC) - Recorded September and October, 1989. Takayuki Hijikata(G), Hiroshi Inoue(G), Akira Okazawa(B), Yuichi Togashiki(Ds), Motoya Hamaguchi(Per), Manabu Oishi(Synth), Masahiro Fujioka(As), Masami Nakagawa(Fl) - 1. Slingshot 2. Bird Of Passage 3. My hearts With You 4. Wind From Bahia 5. Hitch Hiker 6. Night In Capri 7. Carambola 8. Travelogue (1) In Your Arms (2) Feelin' Homesick (3) Jet-Lag (4) Flashback (5) In Your Arms (Reprise) 9. Cheshire Cat

国府弘子ワールドの第3弾は、2曲を除き彼女の作曲。そして、より彼女独自の世界 が広がっていきます。1曲目はテンポも良いゴキゲンなサウンドで、眠気も吹っ飛びます。メロディアスでこれまたカッコ良い2曲目、ボサノヴァが渋いオスカー・カストロネヴィス作の3曲目とやはり彼の作品でアップテンポで陽気なラテンノリの4曲目、ドッシリしたノリで聴かせてくれる5曲目、淡々とメロディが綴られていくしっとりした味わいの6曲目、これまたやや複雑なノリのラテンビートの部分があってノセてくれる7曲目。8曲目は短めのモチーフで5章が成り立っていて、緩急様々な情景が現れては消えてゆく光景。ラスト9曲目はビートがありながら比較的アッサリとエンディングをむかえます。BGMにもいいかも。

2022/02/01

Globe Trotting With Hiroko Kokubu(国府弘子)

Kokubuglobe 国府弘子2作目。エレクトリックとアコースティックに分かれて、しかもそれぞれ豪華なミュージシャンがバックにいるので、当時としては売り出し中、という感じなのではないでしょうか。ある程度日本のフュージョンという雰囲気を持たせつつ、完成度も高いですし。収録時間は完全にCD時代に入っているので、60分。今更ながら自分のアルバムコメントは曲順に簡単な感想をつけていく体をなしてますけど、どんなアルバムか知るには、まあ、いいんじゃないかと。アルバム的にはいいんですが、ストリーミングにはなかったような気が。しかし、今聴き返しても、豪華な雰囲気を醸しつつ、メロディアスなのがいいなあ、と思います。

 

Globe Trotting With Hiroko Kokubu(P)(JVC) - Recorded June and July, 1988. Kazuhiko Iwami(G), Akira Okazawa(B), Yuichi Togashiki(Ds), Yoshikazu Matsuura(Synth), Masami Nakagawa(Fl), Hiroshi Inoue(G), Ikuo Sakurai(B), Motohiko Hino(Ds) - 1. Listen To My Heart 2. Over The Seven Seas 3. Englishman In New York 4. Piazza In The Rain 5. Song For Bohemian 6. Metropolis 7. La Isla bonita 8. Lady Of Spain - Mi Tesoro 9. Seaside Street 10. Someday In Paradise 11. Blue Mosk 12. Manhattan 2:00 A.M.

よりフュージョン的な世界が広がって、ポップ度も増しました。 曲によってドラムやベースが入れ替わって、アコースティックとエレクトリックの両方を楽しめます。穏やかに心の中を目覚めさせてくれる1曲目、メロディやソロが印象的な2曲目、スティングの曲をファンキーに聴かせてくれる3曲目、淡い情景が浮かんでは消えていく4曲目、陽気ですがすがしい5曲目、メロディアスでノリの良いキメも目立つ6曲目、ギターとピアノのデュオでスパニッシュ色が満載の7曲目、全開で飛ばすやはりスパニッシュの8曲目、渋めのボサノヴァタッチの9曲目、いわゆるフュージョン調の10曲目、淡々と語りかけてくる11曲目。12曲目はフルートとのデュオでまさに「マンハッタン」の深夜を思わせる情景が浮かびあがってきます。

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