Subaqueous Silence/Ayumi Tanaka Trio
ECMの新譜も3枚目で一段落。日本人としては数少ない何人目かのリーダー作です。田中鮎美という人は、北欧で活躍しているピアニストなので、しかもそこの音にたぶんどっぷりとハマっているので、ブラインドで聴くと、北欧出身のピアニストかと思うかもしれません。この音源、持ち込みだったのか、クレジットにはアルバム・プロデュースド・バイ・マンフレート・アイヒャーと書いてあります。でも出てくるサウンドはECMでの北欧系のピアノトリオの音でした。個人的にはなかなかいいですけど、聴く人を少々選ぶかなあ、とも感じます。収録時間が34分なのでLPを意識しているのかもしれませんけど、もう少し長ければなあ、とも思いました。
Subaqueous Silence/Ayumi Tanaka(P) Trio(ECM 2675)(輸入盤) - Recorded June 2019. Christian Meaas Svendsen(B), Per Oddvar Johansen(Ds) - 1. Ruins 2. Black Rain 3. Ruins II 4. Ichi 5. Zephyr 6. Towards The Sea 7. Subaqueous Silence
(21/11/09)4-6曲目が出演者のフリー・インプロヴィゼーションで、他は全曲田中鮎美の作曲。収録時間は34分。曲の中の間の取り方といい、ゆったりとした温度感の低い音といい、まさにECMとしてのアルバムとしてどストライクな雰囲気のサウンドを持ったアルバム。それでいて甘くなく、ある程度聴く人を選ぶようなスタンスがうかがえます。曲ごとに、落ち着いてはいるけれど、見えてくるカラーが違っているのもいい感じ。フリー・インプロヴィゼーションでも、音使いややり取りがシリアスになる場面があるかな、とは思うも、アルバムの起伏をつけるにはちょうどいい塩梅のような気がしています。切り込むような鋭さではないけれども、それでも相変わらず温度は低いままなので、やはり日本人でもかの地のピアニストかと思う。
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コメント
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工藤さん,こんばんは。
このアルバム,確かにAlbum Produced by Manfred Eicherという記載なので,持ち込み音源なのかもしれませんね。それにしても,このミニマルなサウンドはNew Series?と言われてもそうかも...って思ってしまいそうな感じもしますね。おっしゃる通り,これはなかなかハードルが高いですが,清冽な美学は感じますね。
ということで,当方記事のURLを貼り付けさせて頂きます。
https://music-music.cocolog-wbs.com/blog/2021/11/post-f68de3.html
投稿: 中年音楽狂 | 2021/11/12 18:34
>中年音楽狂さん
こんばんは。
ECMのピアノトリオど真ん中、と思いましたが、そのど真ん中にも幅があって、やはり少し聴く人を選ぶタイプなんじゃないかと思います。そういう意味も含めて、好きなアルバムではありますけど。LPになることを意識しての収録時間だったかもしれませんけど、もう少し長くてもよかった感じではあります。
投稿: 工藤 | 2021/11/12 20:35
工藤さま、おはようございます。m(_ _)m
リリースが告知されたときから、とても、楽しみにしていました。
ハードル高いかもしれませんねぇ。
でも、切り捨てることのできない独創的な音風系だとおもいます。
リンクを貼っていきます。
https://mysecretroom.cocolog-nifty.com/blog/2021/11/post-319e40.html
投稿: Suzuck | 2021/11/13 08:58
>Suzuckさん
おはようございます。
個人的には、なかなか好きなアルバムになりました。ただ、よそで少しなじまない感じの意見もありましたので、やっぱり聴く人を選ぶのかなあ、なんてことを思いました。彼女の場合、またECMからアルバム発表するんじゃないですかねえ。
投稿: 工藤 | 2021/11/13 09:25