たぶん今までで一番風変わりな、毎年恒例の年間ベスト3です。昨年12月から今年11月までで選んでます。今年は上半期にいいのがあって迷い(ECMとかは1年を通して最後まで迷いました)、そして日本人のアルバムもいいのがあって迷い(上半期で次点で3枚選んでます)、なかなか決まらなかったのですが、結局上半期で選んだ2枚と、マーク・ジョンソン作のベース・ソロアルバムにしました。パット・メセニーの作曲家に専念したアルバムとか、上原ひろみの弦楽四重奏団とのアルバムなども気になっていたのですが、3枚となるとどうしても最大公約数的にはなってしまいます。しかも、ジャズの好みは十人十色で、ベスト3をやっても、あまり他の人と重なるところがないのが面白い。私も今回次点を含めて4ビートはほぼないし、今年は特殊だと思います。ベース関係が2枚になってしまったのは、自分がエレキ・ベースを趣味程度ですが弾くことと関係あるのかもしれません。つまらん、とか言われそう。なお、この5枚は偶然にも、Amazon Music HDのストリーミングで、全てハイレゾ(96k/24)で聴けます。
Tone Poem/Charles Lloyd(Ts, Afl) & The Marvels(Blue Note)(輸入盤) - Released 2021. Bill Frisell(G), Greg Leisz(Steel G), Reuben Rogers(B), Eric Harland(Ds) - 1. Peace 2. Ramblin' 3. Anthem 4. Dismal Swamp 5. Tone Poem 6. Monk's Mood 7. My Amor (Live) 8. Lady Gabor 9. Prayer
(21/03/30)チャールス・ロイド作は4-5、9曲目で、オーネット・コールマン作が1-2曲目、レナード・コーエン作が3曲目、セロニアス・モンク作が6曲目、ガボール・サボ作が8曲目など。収録時間は70分。Marvels名義では3作目なので、けっこう力を入れているグループ。やはりビル・フリゼールとGreg Leiszが全体に及ぼすサウンドの効果は大きく、彼らの名義にしてもおかしくないような影響力を持ってます。特に3曲目など。今回はカヴァー曲は多めですが、1-2、6曲目なども、彼らのオリジナルのような調子で演奏してます。4曲目のアルト・フルートもなかなか雰囲気がいい。タイトル曲の5曲目は出だしに自由なスペースがあって、本編はメロディアスな雰囲気。ロック的なビートに乗る8曲目はややアグレッシヴな感じ。
Another Land/Dave Holland(B), Kevin Eubanks(G) & Obed Calvaire(Ds)(Edition Records)(輸入盤) - Recorded September 11, 2019. - 1. Grave Walker 2. Another Land 3. Gentle Warrior 4. 20 20 5. Quiet Fire 6. Mashup 7. Passing Time 8. The Village 9. Bring It Back Home
(21/06/11)2、5、7、9曲目がデイヴ・ホランド作曲、1、4、6、8曲目がケヴィン・ユーバンクス作曲、3曲目がObed Calvaire作曲。収録時間は67分。ホランドは一部エレクトリック・ベース(1、6、8曲目)とアコースティック・ベースを使い分けて、ファンク的な曲が入っています。ギター・トリオというシンプルな編成でこれだけの時間聴かせるのはなかなか大変なのに、また録音でのエレキベースは最近ほとんどなかっただけに、やはりホランドは年齢の割になかなかトンガっているなあと。静かな曲もありますが、なかなか渋くて雰囲気が出ています。時間が長めなので、それぞれの演奏の間の空き方(同じフレーズの繰り返しとか)にも味が出ていることが分かります。熟練の2人と若手のドラマーとの渋いコラボレーションですね。
Overpass/Marc Johnson(B)(ECM 2671)(輸入盤) - Recorded January and February 2018. - 1. Freedom Jazz Dance 2. Nardis 3. Samurai Fly 4. Love Theme From Spartacus 5. Life Of Pai 6. And Strike Each Tuneful String 7. Yin And Yang 8. Whorled Whirled World
(21/08/28)1曲目がエディ・ハリス作、2曲目がマイルス・デイヴィス作、4曲目が映画音楽の他は、マーク・ジョンソンの作曲ないしは即興演奏。収録時間は43分で、アコースティック・ベースのソロになっています。プロデュースはマーク・ジョンソンとイリアーヌ・エライアス。1曲目はベースパートを奏でつつのそこにメロディのアドリブをはさんでいるので、ノリがあって退屈させない演奏になってます。他の曲でもその攻め方は実践しているようで。3曲目は音からすると多重録音のようですが。さすがやり手のベテラン・ベーシストという雰囲気の曲が続き、ECMにしては少し賑やかかな、という感じも、おそらく持ち込み音源だからなのかも。それでいて、ベース・ソロでの間というか、自然発生的にできてくる空間を大切にしています。
(次点2枚)
シルヴァー・ライニング・スイート/上原ひろみ(P) ザ・ピアノ・クインテット(Telarc)
Road To The Sun/Pat Metheny(Comp, 42 String G on 11)(Modern Recordings)
実は創りこみとかサウンドの点では、この次点の2作の方が圧倒的に高いのだけど、もっと気軽に聴けてしみこむものを、というのは年齢に関連するかもしれないなあ、と思ってみたりもします。
(追記11月30日)偶然ですが私のベスト3のうち2枚が1位と9位で、下記Webに掲載されてます。最近のアメリカの人気度かしら。
https://www.jazzwise.com/features/article/the-20-best-jazz-albums-of-2021
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