Blue Light 'Til Dawn/Cassandra Wilson
ちょっと回り道をしてしまいましたが、カサンドラ・ウィルソンの’90年代に戻ります。移籍によってM-BASE色はすっかりと影を潜め、それでいて独自なサウンドを放つ彼女の個性は素晴らしい。一般的に売れてくるのはやはりこの時期からだと思うし、それだけのインパクトはありますね。脇役ではギターのブランドン・ロスが印象的。普通のジャズの編成ではない(12曲目はバンド編成に近いけど)のに、漆黒のジャズを感じるのは、やはりその歌唱力と、アルバムとしてのトータルなプロデュースに(プロデューサーはCraig Street)なっています。彼女自身、ライナーでは「ブルージーな雰囲気を強調したかった」との発言があって、それが効く人の心を鷲づかみにしているのでは、と思います。何か原初的なものを音楽に感じます。
Blue Light 'Til Dawn/Cassandra Wilson(Vo)(Blue Note) - Released November 1993. Brandon Ross(G), Charlie Burnham(Vln), Kenny Davis(B), Tony Cedras(Accordion), Lance Carter(Ds), Kevin Johnson(Per), Vinx(Per), Olu Dara(Cor), Don Byron(Cl), Gib Wharton(G), Jeff Haynes(Per), Bill McClellan(Per), Cyro Baptista(Per), Lonnie Plaxico(B), Chris Whitley(G) - 1. You Don't Know What Love Is 2. Come On My Kitchen 3. Tell Me You'll Wait For Me 4. Children Of Your Night 5. Hellhound On My Trail 6. Black Crow 7. Sankofa 8. Estrellas 9. Redbone 10. Tupelo Honey 11. Blue Light 'Til Dawn 12. I Can't Stand The Rain
ブルーノート移籍第一作目。ジャズらしからぬシンプルな編成のサウンドでここまで個性を表現できるとは。特にジャズにこだわっていないアルバム。 カサンドラのオリジナルは3曲あります。1曲目のギターとヴァイオリンとのスタンダードからいきなりその世界。2、5曲目もブルースのロバート・ジョンソンの曲!3曲目もブルースでメロディアス。パーカッシヴなサウンドの4、7曲目、ジョニ・ミッチェル作でけっこうアフリカンな6曲目、多重録音でア・カペラ3重奏の7曲目、やはりパーカッシヴなバックで歌う再演曲の9曲目、ヴァン・モリソン作のフォーク調の10曲目、渋くてメロディアスなオリジナルの11曲目。そして12曲目はギターとのデュオでブルース感覚あふれて幕を閉じます。ドン・バイロンは6曲目に参加。
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コメント
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今晩わ。
このアルバム、昔、よく聴きましたなぁ。
当時、冒頭の曲から、ノックアウト状態。
今聴いても、ジャズボーカルの域を超えて、
彼女のエッセンスが迫ってくる気がします。
Blue Light 'Til Dawn という曲、大好きでした。
懐かしい!
投稿: zawinul | 2021/10/02 23:39
>zawinulさん
おはようございます。
彼女のアルバムを久しぶりに聴いていて、意外にピアノトリオをバックに普通にジャズを歌っているアルバムが少なくて、その分変則編成でなおかつギターがメインの曲で構成されたアルバムが多かったですね。それでいてこの黒っぽさが何とも言えず良い、というのが私も昔ハマりこんだ原因なのかなあ、と思います。
投稿: 工藤 | 2021/10/03 04:57