プリックリー・ペア・カクタス/モリイクエ、藤井郷子+田村夏樹
フリー・ジャズの新譜が届きました。藤井郷子氏、田村夏樹氏とモリイクエの3人でのアルバムは初めてですが、他のメンバーを加えての録音は確か3枚目じゃなかったかと思います。以前は私、エレクトロニクスの音の出方があまり分からなくて、サウンドに彩をつけるには地味だなあ、と思っていたのですが、ヴォリュームを大きくすると聴こえてくる音も多くなりますし、他の楽器との音の橋渡しというか、融合するには効果的な音の使い方だなあ、と感じるようになりました。例えば北欧ジャズでも最近多くなりましたね。このアルバムは遠距離での多重録音(と言っても、自然なスタジオ録音のように聴こえます)で制作した、コロナ禍時代特有の制作方法が生んだ、と言えるでしょう。
プリックリー・ペア・カクタス/モリイクエ(Electronics)、藤井郷子(P)+田村夏樹(Tp)(Libra Records)
Prickly Pear Cactus/Ikue Mori(Electronics), Satoko Fujii(P)+Natsuki Tamura(Tp)(Libra Records) - Recorded 2020. - 1. Prickly Pear Cactus 2. Sweet Fish 3. Guerrilla Rain 4. Mountain Stream 5. Overnight Mushroom 6. Empty Factory 7. In The Water 8. Turning 9. Muddy Stream 10. Sign
1、4、7、9曲目が3人の合作、2-3、5-6、8、10曲目がモリイクエと藤井郷子の合作。音源を遠距離の日本とニューヨークで行ったり来たりさせながら多重録音をして完成させたという、コロナ禍時代らしい作成方法。収録時間は53分。ここではエレクトロニクスがより前に出てきて、とても多重録音とは思えないほどに、ピッタリと息も合っています。場面転換も多めで密度が濃く、フリー・ジャズながら構成がしっかりと組み立てられている印象があります。曲によっても違いますが、ピアノとエレクトロにクスが前面に出ていて、トランペットは本来の音は少なくて、擦過音的な、あるいは裏返ったような音を発していて、これまたフリー感を増幅させています。どこでどういう音を出すかというのが勝負どころですが、バッチリです。(20年11月10日発売)
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