「ECMの真実(増補改訂版)/稲岡邦彌著」(河出書房新社)
最初に「ECMの真実」が出たのが’01年のことで、この当時はブログがなかったため、書いてなかったですが、’09年5月の増補改訂版が出たときには、ブログで触れていなかったでした。そこで改めて、内容に触れてみたいと思います。まずは初版が出たときの感想がホームページに残っていたので、それを。
「ECMの真実」は、結局昨日と今朝で一気に読んでしまいました。ECMに興味のある方は読んでおいて損はない本ではないかな、と思います。裏話的な部分もあって、例えば現在リッチー・バイラークの諸作品が廃盤なのは、リッチー・バイラークとプロデューサーのマンフレート・アイヒャーとのケンカが原因だったとか。この話はある方から噂話として聞いてはいたのですが、冗談かと思っていました。つまり、30年もレーベルを維持していられるのはしたたかな彼の経営的手腕だと思っていたのですけれど、反対に彼の芸術家気質だったということが分かって少々ビックリ。カタログに載っているリストもセールスの実績としてではなく、彼のこだわりで廃盤にしないで残してあるのだということも分かりました。個々のアルバムよりもレーベルとしてのファンが多いということもうなずける内容。リッチー・バイラークのように、本国ドイツで廃盤のものが日本でだけ再発されるケースもあるので、国内盤の再発情報にも要注意ではあります。
ECMの創成期から知る、稲岡氏による文章で、けっこうためになりました。本の内容も、年代を追ってECMについて書いてある部分、それからミュージシャンのエピソードの部分と、ECMを知るうえでは読んでおく必要があると思います。そして増補改訂版では、初版後(初版はECM30周年で作られた)の’00年代のことが付け加わっています。増補改訂版は40周年記念版になってます。ヴォリュームも360ページと読み応え十分。自分も、もう一度読み直ししなければ、と思う本です。
« Data Loads/Maria Scheider Orchestra | トップページ | 各アンプ、スピーカーの組み合わせでの印象 »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 雑誌「月刊Stereo」2月号の特集は「ECMとオーディオ」(2022.01.21)
- 「Blue Giant Explorer」第3巻を読む(2021.07.08)
- Akira(大友克洋作)のブルーレイとマンガ(2021.04.20)
- 「Blue Giant」関連のマンガ単行本2冊(2020.10.31)
- 「ECMの真実(増補改訂版)/稲岡邦彌著」(河出書房新社)(2020.08.31)
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 新型エクストレイルとキックスは出たものの(2022.08.01)
- ディスクユニオンのウェブサイトの個人情報流出から約1か月(2022.07.31)
- 私のブログの行く先など(表現媒体の多様化)(2022.08.07)
- 結局、CDの大量処分にはまだ踏み切っていない(2022.05.04)
- 新譜の状況と、ブログのこれからの方向(2022.04.06)
「ECMレーベル」カテゴリの記事
- Elastic Wave/Gard Nilssen Acoustic Unity(2022.07.21)
- Hellbound Train - An Anthology/Steve Tibbetts(2022.07.19)
- L'Aurore/Carolin Widmann(2022.06.20)
- Danish String Quartet/Beethoven/Mendelssohn/Bach/Prism IV(2022.06.05)
- Lunea/Heinz Holliger(2022.05.16)
« Data Loads/Maria Scheider Orchestra | トップページ | 各アンプ、スピーカーの組み合わせでの印象 »
コメント