E.S.P./Miles Davis
ハービー・ハンコックとトニー・ウィリアムスの参加のマイルス・バンドの7日目。このシリーズで追いかけはじめて、久しぶりのスタジオ録音になりました。スタンダードなしの全曲オリジナルでの勝負は冒険だったし、その内容も、さらにジャズの先を見据えたものだったので、ライナーには当時賛否両論あったと書いてあります。むしろ’80年代以降によく出た当時の現代ジャズに近いものを感じますけど、考えてみたらそっちの方がこのアルバムをはじめ、マイルス・デイヴィスからの影響を含めて大きかったのだな、と思います。それにしても、わずか2年間でここまで持ってきたのは、やはりこのメンバーだったからこそ、なんでしょうね。
E.S.P./Miles Davis(Tp)(Sony) - Recordeed January 20-22, 1965. Wayne Shorter(Ts), Herbie Hancock(P), Ron Carter(B), Tony Williams(Ds) - 1. E.S.P. 2. Eighty-One 3. Little One 4. R.J. 5. Agitation 6. Iris 7. Mood
久しぶりのスタジオ録音。マイルス・デイヴィス作は1(ウェイン・ショーターと共作)-2(ロン・カーターと共作)、5曲目、ショーター作が6曲目、カーター作が4、7曲目、ハービー・ハンコック作が3曲目。そして更なる進化と深化がある。タイトル曲の1曲目からショーターの影響を受けたテーマではじまりますが、アドリブの部分はアップテンポの4ビートで、メロディらしさを避ける傾向。どことなく新しさのある8ビート、時に4ビートで進んでいく2曲目、エキゾチックなメロディを持つ不思議なバラードの3曲目、モードの演奏の総まとめのようなアップテンポの4曲目、フリーの一歩手前なんだけど、明らかにそれとは違うサウンドを持っている5曲目、浮遊感のある淡い印象のバラードの6曲目、そして静かで哀愁の漂うバラードの7曲目。
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コメント
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KUDO様コンバンワ。本当にご指摘の通り、2年間でこの進化は凄いですね。ショーターの力量と創造性に寄るところが大きいとは思いますが、このメンバーにして生み出すことが出来たサウンドなのではと思います。
ある意味マイルスのペット自体はそんなに変わっていないかもしれない。ただ、モード手法をさらに進化させた曲作りの作法やアルバム全体のオーガナイズの仕方が、明らかに変化した。ショーターを音楽監督に据え、これまで聴いたことの無い実験的で、モーダルな新しい路線を提示したマイルスのプロデュース力が遺憾なく発揮された歴史的アルバムだと思います。
投稿: zawinul | 2020/05/23 23:02
>zawinulさん
コメントどうもありがとうございます。
GW中に、実に30年ぶり近く、久しぶりにまとめて聴き返しましたが、公式アルバムだけ追っかけていると、恐るべき速さの進化です。発売当時に賛否両論あったわけですね。後年になって聴くと、この時でこれをやっていたというのは、かなりすごいことだな、と思いました。やはりショーターの影響は大きいですね。
投稿: 工藤 | 2020/05/23 23:33