Miles Smiles/Miles Davis
ハービー・ハンコックとトニー・ウィリアムスの参加のマイルス・バンドの10日目。そして、今まではライヴが多かったけど、これはスタジオ録音。はっきりとスタジオでは、オリジナルが割と重視されるようになってます。そしてウェイン・ショーター作が多いのも今作の特徴。もうモードも捨てつつ、それでもベースの4ビートはほぼ維持することで、その上に乗っかるソロの音がかなり自由に暴れまわっている感じがします。フレーズの時間軸がきっちりしていてルーズではないのが決め手かな。こういうサウンドってセンスがないとまとまらないので、かなり高度な技だと思います。今まで意識してマイルスを時系列では聴いたことがなかったので、こういう進化の速さにはびっくりしました。2人が参加して、まだ3年目のことです。
Miles Smiles/Miles Davis(Tp)(Sony) - Recorded October 24 and 25, 1966. Wayne Shorter(Ts), Herbie Hancock(P), Ron Carter(B), Tony Williams(Ds) - 1. Orbits 2. Circle 3. Footprints 4. Dolores 5. Freedom Jazz Dance 6. Ginger Bread Boy
マイルス・デイヴィス作は2曲目、ウェイン・ショーター作が1、3-4曲目、ジャズメン・オリジナルが5-6曲目。スタジオ録音とライヴとの方向性が大きく違ってから2作目のスタジオ録音。ショーター色がけっこう強くなっていることが特色。モードを飛び越えて、手法としてはフリーにかなり近くなるも、ある意味曲としてのまとまりを見せていてフリーとは対極の方向でまとめています。1曲目などはそういう意味ではけっこうスリリングな演奏。2曲目はバラードですが、自由な音使いで繊細な曲に仕上げているのは見事。そして有名な曲になっていくサウンドが印象的な3曲目、アップテンポの4ビートですが、上に乗る音は極めて自由な4曲目、他人の曲にしてはかなり奔放な5曲目、アップテンポの4ビートと絡む自由な旋律の6曲目。
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コメント
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コンバンワ。このアルバムを聴くと、かつて評論家の油井正一が、ハンコックのソロを評して「起伏のないホリゾンタルなラインを延々と繰り広げる、ナンタラカンタラ・・・」とコメントしていたことを思い出します。発売当時からやっぱり斬新だったのでしょう。
KUDOさん言われる通り、ESPでのアプローチを短期間でさらに進化させ、ビートもフレーズもより自由な展開になってますね。
私はある意味、ESP、マイルス・スマイルズ、ソーサラの3枚が、モダンジャズの金字塔である気がします。これたけのアイデアと質の高いソロパフォーマンスを完成度の高いスタジオ録音として残したマイルスはやはり凄いと思うのです。
投稿: zawinul | 2020/05/26 19:45
>zawinulさん
こんばんは。
実際に一気にネフェルティティまで聴いたのは、もうゴールデンウィークのことでしたけど、まだ興奮冷めやらぬ(時系列的以外では何度も聴いているはずなんですけど)感じです。聴く前から、これを自分で書いていいものかどうか、という自問自答はありましたが、自分なりに書いていけばいいのだ、と今では思っています。当時の頂点を見た気がして、このタイミングでこの流れで聴けた偶然を感謝しています。
投稿: 工藤 | 2020/05/26 21:09