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2018年7月の記事

2018/07/31

Decoy/Miles Davis

Milesdecoy
ジョン・スコフィールドのサイド参加作6日目。どうしても彼の経歴をたどる上では避けることのできないマイルス・デイヴィスのバンドに参加したこと。リーダー作ではグラマヴィジョンに移籍したあたりで、ここらへんで彼の演奏ががらりと変わるんで、よほど影響が大きかったのだなあ、と思わせます。私の持っているこのCD、’84年発売で、リアルタイムに買っているので、マイルスバンドのリアルタイムはこの辺からだと思います。ライヴ・アンダー・ザ・スカイで、実物の演奏も複数回観てますし。このハードなファンクをもう35年近くも前に演奏していたのはスゴいことですね。有名なアルバムを紹介するのはなかなか難しい。


Decoy/Miles Davis(Tp)(Sony) - Recorded June - September 1983. Mino Cinelu(Per), Al Foster(Ds), Robert Irving III(Synth), Darryl Jones(B), Branford Marsalis(Ss), John Scofield(G), Bill Evans(Ss) - 1. Decoy 2. Robot 415 3. Code M.D. 4. Freaky Deaky 5. What It Is 6. That's Right 7. That's What Happened

1-3曲目はRobert Irving IIIの作曲ないしマイルス・デイヴィスとの合作、4曲目がマイルス・デイヴィス作、5-7曲目がジョン・スコフィールドとの合作。ジョン・スコは1、3、5-7曲目に参加。ギターのフレーズのとんがり具合が際立ってきたように思います。今聴いても音使いが斬新かつポップで、全然古くありません。昔ははっきりいってアルバム全体のサウンドが良く分かりませんでした。ブランフォード・マルサリスも1、3、6曲目に参加。1曲目から、特にボトムが硬派で、カッコイイんだけど構造がすぐつかめないようなカッコ良さがあります。これが’83年の録音だとは。このバンド特有の先進性といいトンガリ具合があって、マイルスももちろん光ってます。ミステリアスでドリーミングな4曲目。5-7曲目はこれぞジョン・スコ節。

2018/07/30

What It Is/Dave Liebman

Davewhatitis
ジョン・スコフィールドサイド参加作の5日目。このアルバムはデイヴ・リーブマンの日本制作盤(録音はアメリカ)で、マイク・マイニエリがプロデュースを担当しています。当時のフュージョンブームに乗っかった、というつもりが、出来上がった音を今聴き返してみると、全然素直ではなくて(それでも割と聴きやすいですけれども)やはりリーブマンは普通のミュージシャンとは違っていた、っていう感じでしょうか。今では超有名なミュージシャンばかり集まってますが、意外にもジョン・スコのギター度はあまり高くないような気がします。まあ、リーブマンのリーダー作で、彼のソロが目立っていたということもありますけど。当時だからできたアルバムではありますね。


What It Is/Dave Liebman(Ss, Ts)(Sony) - Recorded December 11-16, 1979. Marcus Miller(B), John Scofield(G), Kenny Kirkland(Key), Steve Gadd(Ds), Don Alias(Per), Mike Mainieri(Vib) - 1. Paoli's Vision 2. Miss You 3. What It Is 4. A Dance For Your Thoughts 5. Chick-Chat 6. You Only See You

2曲目以外はデイヴ・リーブマン作曲。日本企画で、メンバーは超豪華。渋めのフュージョンを演奏しています。デイヴ・リーヴマンも、色々な方面に顔を出しますが、こちら方面に傾いていたときも珍しいかも。1曲目からしてけっこう渋めで、通好みというか地味というか、そういうやや静かなファンク的フュージョンの演奏をしていますが、お互いのインプロヴィゼーション的なやり取りも柔軟性を求めている感じ。ローリング・ストーンズのヒット曲の2曲目も渋いファンクになってます。大人向けのフュージョンでも素直でないテーマのタイトル曲の3曲目、アドリブ部は8分の5拍子基調(8分の6もあり)の、当時としては珍しい渋めのファンクの4曲目、ラテン調のチックに捧げられた5曲目、メロウな感じだけど少しひねくれている6曲目。

2018/07/29

Tributaries/Larry Coryell

Larrytributa
ジョン・スコフィールドのサイド参加作の4日目。これは当時流行った、アコースティック・ギターでの演奏のアルバムです。CDの発売が’90年だったせいか、CDの収録時間をめいっぱい入れるために、ラリー・コリエルの別アルバムの一部を終わりに付け足してますけど、今考えると、これはいらなかったかなあと思います。まあ、そういう時代でしたからね。ライナーに、ジョン・スコフィールドはコリエルからその場でアコースティック・ギターを借りての録音だったということが書いてありますが、スタジオでいきなりアコースティックだったんでしょうか。それにしてはいい録音を残しているんですが。


Tributaries/Larry Coryell(G)(Novus) - Recorded August 17 & 23 and September 17 & 19, 1979. John Scofield(G), Joe Beck(G) - 1. The File 2. Mother's Day 3. Little B's Poem 4. Zimbabwe 5. Solo On Wednesday 6. Thurman Munson 7. Equinoz 8. Alster Fields 9. April Seventh 10. Medley: Song For My Father/Sister Sadie 11. Copenhagen Impressions 12. Variations On A Theme

3、7、10曲目がジャズメン・オリジナルで、他はラリー・コリエルの作曲ないし共作。アコースティック・ギター3人の演奏です。当時はアコースティック・ギターの演奏がけっこうはやりました。ジョン・スコフィールドは当時アコースティック・ギターを弾いたのが珍しかったので貴重な一枚。ジャズっぽいインプロヴィゼーションが少ないため、ジャズと言って良いのかどうか分かりませんが、ギターらしい側面のある演奏はけっこう魅力的ではあります。3人のギターが絡み合って、アレンジしてある部分のアンサンブルとかもキマッているし、あっさりとしたサウンドの印象とは裏腹に、けっこう速いフレーズもあって、聴いているとスリリング。バラードも良し。9曲目以降はラリー・コリエルのソロLP「ヨーロッパの印象」のB面。こちらはソロ。

2018/07/28

Dancing On The Tables/Niels-Henning Orsted Pedersen Quartet

Nielsdancing
ジョン・スコフィールドのサイド参加作の3日目。今日はニールス・ペデルセンがSteeple Chaseから出したアルバムでの参加作です。ジャズに一応分類してはあるものの、曲的には当時のフュージョンに近いものもあります。それにしても音数が多いベーシストですね。テーマを弾いてしまうし、空間を埋め尽くすようなフレーズも多いし、今まで聴いてきた中では、かなりベースの音数が多いアルバムになっています。その超絶技巧でも、聴きやすさが前面にあるので、あまり嫌味な感じはしないですし。それにしてもこのレーベルからもこういうアルバムが出てたんですねえ、と聴いたことあるのに、記憶から抜け落ちていました。


Dancing On The Tables/Niels-Henning Orsted Pedersen(B) Quartet(Steeple Chase) - Recorded July 3-4 & August 30, 1979. Dave Liebman(Ts, Ss Afl), John Scofield(G), Billy Hart(Ds) - 1. Dancing On The Tables 2. Future Child 3. Jeg Gik Mig Ud En Sommerdag 4. Evening Song 5. Clouds

3曲目のみトラディショナルで、他は全曲ニールス・ペデルセンの作曲。この時期はけっこう面白いメンバーでの演奏がみられます。しかし饒舌なベース。リーダーがペデルセンということもあって、フレーズはややハードだけど聴きやすく仕上がっています。1曲目のタイトル曲は何と14分台のラテン・ビートから4ビートになる曲ですが、のっけからパワー全開のスピーディーなベース・ソロがあって、ノリも良く、それぞれのソロもマニアックでなかなか面白い。アコースティック・ベースのソロで勝負する小品の2曲目、トラディショナルも出だしのテーマはベースが弾いている、叙情的な3曲目、やはりベースがメロディ楽器としても活躍するフュージョン的な8ビートの4曲目、メロディアスでドラマのあるフュージョン的な10分台の5曲目。

2018/07/27

Mizu/Satoko Fujii - Joe Fonda

Fujiimizu
月刊藤井郷子の7月号が出ました。もう制作的には12月分まで手を打ってあるはずなので、今年に限りの12月連続CD発売は、達成するでしょうね。それにしても、毎月1枚とはかなりのハードスケジュール。今回の1枚はベースとのデュオ(このメンバーでは2枚目?)なので、けっこう期待していました。予想通りというか、割とハードなフリー・インプロヴィゼーションが展開していて、個人的には好きな1枚です。管楽器が時々はいっているような気もします(ジョー・フォンダがフルートを吹いているとのことでした)が、クレジットを見てもちょっと分からず。それにしても、音的にも生々しく、ピアノもベースも普通の表現の枠を超えて演奏しているので、そう言った音的な再現度を確かめるアルバムとしても興味がわきました。


Mizu/Satoko Fujii(P) - Joe Fonda(B, Fl)(Long Song Records) - Recorded October 13 and 14, 2017. - 1. Rik Bevernage 2. Long Journey 3. Mizu

3曲とも2人のフリー・インプロヴィゼーションと思われる。藤井さんのアルバムでは、小編成の場合、ベースレスのことが多いのですが、今回はその逆を行って、ベースとのデュオです。このデュオでは2枚目かな? ゆったりしたところから2人の丁々発止のスピードが速いやり取りのところまで、幅広くトンガった表現を聴くことができます。3曲で57分と長く、けっこう長い試合が続きますけど、ピアノ対ベースということで、変化に富んでいるスポーツ観戦といった趣き。音的にもベースの弦をはじく音その他、けっこう生々しいのがいい。かなりバリエーションに富んだ音の出し方をします。なじみやすいメロディがほとんどなく、かえってそれが心地良いです。3曲目のタイトル曲はさすがに「水」の流れていくドラマのイメージがします。(18年7月21日発売)

2018/07/25

Hip Seagull/Terumasa Hino

Hinohipsea
ジョン・スコフィールドのサイド参加作聴き2日目。このあたり日野晧正のバンドに参加していた頃で、2枚連続の日野のアルバムということになってしまいました。前作はジャズですが、このアルバムはファンクで、やはり時期的にある程度のマイルス・デイヴィスの影響もあるのかなあ、というサウンドです。もちろん日野流にはなっているけれども。もうこの演奏も’77年の録音なんですね。やはりファンク系統だと音を聴いていて、なるほどこのあたりの年代か、と分かってしまうのも、時代性を感じさせますけど。今となってみれば、ちょっと地味かなという感じもしますが、随所にカッコいい演奏が詰ってます。


Hip Seagull/Terumasa Hino(Tp)(JVC) - Recorded August 10-11, 1977. Kohsuke Mine (Ts, Ss), John Scofield(G), Mikio Masuda(P), Clint Houston(B), Motohiko Hino(Ds on 1), George Ohtuka(Ds on 2-4), M'tume(Per), Kimiko Kasai(Vo on 3), Tawatha(Vo on 2) - 1. Hip Seagull 2. This Planet Is Ours 3. Fall 4. Life Trip

1曲目のみ日野晧正作曲で、他はジャズメン・オリジナル。特に3曲目はウェイン・ショーター作曲。1曲目を聴いていて、何となく当時のマイルス・バンドのサウンドを連想してしまいました。コード一発の8ビート、そして途中にアップテンポの4ビートが入るスリリングな展開。メロディアスなフュージョンや静かな曲もあり、4曲とも傾向は違いますが、何を演奏しても日野らしさが出ています。ややメロウで浮遊感のあるファンクの2曲目は、コーラスも入って、なかなか幻想的な感じ。ショーターの3曲目は、独自のアレンジながら、コーラスも入って幻想的な感じが良く出ています。ジョン・スコフィールドはこの曲で個性的な長いソロをとっています。そして、クリント・ヒューストン作のアップテンポのラテン・ビートで勢いよく進んでいく4曲目。

2018/07/24

May Dance/Terumasa Hino

Hinomaydance
ジョン・スコフィールドのサイド参加作の過去盤聴き1日目。彼は一時期まで膨大な数のアルバムにサイドで参加してましたが、大半はコメントが直っているので、今日を含めて残り14枚です。今日のアルバム、ジョン・スコが登場して間もない頃のアルバムですけど、もうすでに個性が確立してしまってますね。ホームページの手直しをはじめた時から、このアルバムに出会うのを楽しみにしていたのですが、順番の関係から20年ほどが過ぎてしまいました。ロン・カーターにトニー・ウィリアムスで、しかもピアノレスなので、ギターの露出度も大きいです。やっぱり彼のギターはいつのを聴いてもいいですね。


May Dance/Terumasa Hino(Tp)(JVC) - Recorded May 7, 1977. John Scofield(G), Ron Carter(B), Tony Williams(Ds) - 1. Wind Blows Your Skin 2. The Wild Lady 3. Big Celebration 4. Free Land 5. Moss On The Rock 6. Lovin' May

全曲日野晧正作曲。日本制作(ニューヨーク録音ですが)の素晴らしいアルバム。リズムセクションがまたすごく、当時ジョン・スコフィールドは25歳で、昔だからできた超大物セッションか。大物相手に、比較的オーソドックスですが、堂々と弾ききっています。テーマは東洋的なモード戦法だそうだけど、アドリブに入るとジョン・スコのウネウネギターが堪能できる1曲目、トランペットとドラムスのデュオの後に、3拍子で割と後半ノリ良く進んでいく2曲目、トニーらしいドラムスを基本に、サンバ調のアップテンポでガンガンいくカッコいい3曲目、ちょっと軽いファンク的なリズムの上を少し浮遊感を伴いながらヘヴィーに展開する4曲目、いぶし銀的渋さのあるメロディとサウンドの5曲目、ボッサ的に優しいメロディが流れていく6曲目。

2018/07/23

Gittin' To Know Y'all/The Baden-Baden Free Jazz Orchestra

Badengittin
カーリン・クローグの過去盤聴きの13日目にして一段落。今日はサイド参加作なんですが、彼女は’60年代から実験的なことにも手を出していて、このアルバムへの参加も、そういうことだったのか、というような感じではあります。残念ながらメインの大部分を占める1-2曲目には参加していないけど、3曲目の参加と、4曲目は何と彼女だけによる多重録音の四重唱になってますね。他でもECMで2枚、サイド参加作がありますが、それらはもうすでに紹介済みです。やはりタダものではなかったと改めて聴いて思いますが、広く受け入れられるかというと、これは好き嫌いがでてくるかもしれないなあ、と思います。


Gittin' To Know Y'all/The Baden-Baden Free Jazz Orchestra(MPS) - Recorded December 12-14, 1969. Lester Bowie, Hugh Steinmetz, Kenny Wheeler(Tp), Albert Mangelsdorff, Eje Thelin(Tb), Joseph Jarman(Ss, Fl), Roscoe Mitchell(As), Alan Skidmore, Heinz Sauer, Gerd Durek, Bernt Rosengren(Ts, Fl, Oboe), John Surman(Bs), Willem Breuker(Bcl), Terje Rypdal(G), Dave Burrel(P), Leo Cuypers(P), Barre Phillips, Palle Danielsson(B), Steve McCall, Tony Oxley, Claude Delcloo(Ds), Karin Krog(Vo) - 1. Gittin' To Know Y'all Part 1 2. Gittin' To Know Y'all Part 2 3. Ved Soerevatn 4. For My Two J.B.'s 5. May Hunting Song

フリージャズのアルバムです。1-2曲目はレスター・ボウイ作曲(これが収録時間の大部分)、3曲目がテリエ・リピダル作曲、4曲目がカーリン・クローグ作曲と、そうそうたる顔ぶれ。当時の米欧のフリージャズ(そうでない人も)のミュージシャンが大集合です。1-2曲目がビッグバンド(それぞれパート1、2となっている)で、3曲目以降は比較的小編成で1曲ごとに入れ替わります。カーリン・クローグは3-4曲目に参加。1-2曲目は出だしがゆったりと流れて行く場面が目立っていますが、徐々に盛り上がってまさにドシャメシャのフリージャズの場面も。’69年のヨーロッパでこういう欧米混成編成での演奏があったこと自体、スゴいです。4曲目はカーリンの多重録音による四重唱。5曲目のバス・クラリネットのデュオも迫力。

2018/07/22

Jubilee: The Best Of 30 Years/Karin Krog

Karinjubilee
カーリン・クローグの過去盤聴きの12日目。今日は2枚組のベスト盤が’95年にリリースされているので、それを。これが出てからもう20年以上経過しているんですよね。さすがに時の流れは速いなあと思います。彼女のアルバム、LPだけしかないものも含め、聴いてないものもあるので、ここで聴ける曲があるというのもうれしい。もう全部追っかけしているミュージシャンも少なくなってきてますし。時系列的に曲が並んでいて、1枚目はやはりジャズの歌が多かったですけど、2枚目になってくるとジャズにとどまらない歌が目立ってきます。それでもあまり実験的な曲はなかったかな。まあ、こういうアルバムも出てました、ということで。


Jubilee: The Best Of 30 Years/Karin Krog(Vo)(Verve) - Released 1995. - 1. Moonshine Lullaby 2. By Myself 3. Loverman 4. Just In Time 5. All Of You 6. Old Folks 7. Dearly Beloved 8. In Your Arms 9. Spring Affair 10. Some Other Spring 11. Shinu Stockings 12. Blues Eyes 13. Who Cares 14. How Long Has This Been Going On 15. Nice Work 16. You Must Believe In Spring 17. Once Upon A Summertime 18. Solitude 19. Sing Me Softly 20. Empty Streets 21. Lesters Happy 22. That Old Feeling 23. Trane 24. Jeepers Creepers 25. The Touch Of Your Lips 26. like That 27. Bansull 28. Karima Two 29. Open Sandwich 30. The Thrill Is Gone 31. Canto Mai 32. I Ain't Here 33. Northern Song 34. It Could Be hip 35. Don't Just Song

カーリン・クローグのアルバム発売30周年を記念して発売されたベスト盤。’64年の録音から’91年の録音まで、全35曲。未だにCD化されないアルバムもあり、レーベルを超えて編集されていて、そういった意味ではこのベスト盤は貴重です。このアルバムの発売当時は国内盤でしか集めてなかったこともあったけど、その後CDとして出たものもあります。それでもまだディスコグラフィ全体の3分の2ほどかな。いろんなサウンドで、時系列的に聴いていくと、彼女の幅広い活躍が分かります。徐々にジャズから範囲が広がっていく感じ。前半と後半ではだいぶ違います。ただ、このベスト盤も一時期までのベスト。その後も気になります。この時期のリマスタリングもいいし、あまり引き出して聴くアルバムでないけど、印象は強い。

2018/07/21

Dave Frishberg & Karin Krog

Karindave
カーリン・クローグの過去盤聴きの11日目。リーダー作では今日がラストで、あとはベスト盤とサイド参加作が残っています。思い出したけど、このあたりで、ホームページの新しいミュージシャン特集を作るのを辞めたのでした。本当ならヘレン・メリルも途中までは作ってあったのですが、削除。ジョン・サーマンとの共作もいくつかあって、そっち方面も興味深いですが、こういうオーソドックスにピアノとのデュオでの演奏というのも、なかなかいいです。実験的なこともやる反面、普通に歌ってもスゴいというのはなかなかいないのではないかと思います。自分の中では何人かヴォーカリストをあげろ、となると入ってくるかと。


Dave Frishberg(P, Vo on 7, 11-13) & Karin Krog(Vo)(Baybridge) - Recorded November 29, 1994. 1. You Better Love Me 2. Just In Love 3. Skylark 4. If I Should Lose You 5. Old Folks 6. Shiny Stockings 7. Dear Bix 8. Embraceable You 9. Nice Work If You Can Get It 10. In A Mellow Tone 11. Tulip Or Turnip 12. My Attorney Bernie 13. Oklahoma Toad 14. Cornflower Blue 15. Hi-Fly 16. Blue Monk 17. Beautiful Love 18. Everytime We Say Goodbye

デュオのスタンダード集で、ホーム・コンサートでのライヴ。タイトルの付け方からすると、ピアノの方が主役の可能性も。4曲デイヴ・フリッシュバーグの曲と歌(14曲目以外)が入っています(7、12-14曲目)。7曲目はデイヴの弾き語りからデュオへ。バラードの曲もありますが、比較的アップテンポの曲など、ピアノの伴奏がはずんだ感じでボーカルがうまく乗っかり、ピアノが日本ではほぼ無名ながら、うまさを感じさせます。68分ほどの収録時間で18曲入っているので、少々長く感じるかも。ただ、ホームコンサートなので、その全貌を収めるという意味ではいいか。歌唱は彼女にしては、その曲調も相まって、普通に歌っている感じです。曲間の語りはけっこうカットされていると思いますが、聞こえている場面では楽しそう。

2018/07/20

Something Borrowed...Something New/Karin Krog

Karinsomething
カーリン・クローグの過去盤聴きの10日目。録音年は’89年。やっとここで久しぶりに普通にピアノ・トリオのバックでの演奏を聴くことができます。’66年の「ジャズ・モーメンツ」でもケニー・ドリューとニールス・ペデルセンは出てましたけど、あれからけっこう経ってますし。いろいろな編成で聴いてきましたが、やっぱり普通に、ピアノ・トリオをバックに歌っても、けっこういいなあ、と思います。声質にちょっとクセがある人なので好き嫌いは出て来るかもしれませんけど。惜しいのは、これ、たぶんオリジナルのジャケットではないですよね。ちょっとこのCDのジャケットは味気ないかなあと思います。でも演奏はいいですけど。


Something Borrowed...Something New/Karin Krog(Vo)(Century) - Recorded June 1989. Niels Henning Orstead Pedersen(B), Kenny Drew(P), Alex Riel(Ds) - 1. The Thrill Is Gone 2. Out Of This World 3. If I Should Lose You 4. My Foolish Heart 5. Canto Mai 6. I Get A Kick Out Of You 7. All Blues 8. The Meaning Of The Blues 9. This Is New Just One Of Those Things 10. I'm Beginning To See The Light 11. Ev'rytime We Say Goodbye 13. Tivoli

バックがほぼケニー・ドリュー・トリオなので、トリオ・プラス・ヴォーカルといった、まあ普通の編成。曲も歌い方もオーソドックスで、ほぼスタンダードばかり(5曲目のみジョン・サーマンの作曲)ですが、このメンバーではかえって面白くなってしまいます。晩年のドリューが嫌いでない方には、オススメです。1曲目はニールス・べデルセンのアルペジオのようなベースのみで歌っています。ドリューもこの頃のリーダー作のようなリリカルな感じはあってもあまり前面に出ていなくて、むしろペデルセンのベースの音数と強力なプッシュが印象に残ります、久しぶりに彼女のピアノ・トリオの本格的なバックでの歌を聴いた感じ。ノリの良い4ビートだけでなく、バラードやサンバなどもあって、彼女にしては、割と普通に聴いてエンジョイできます。

2018/07/19

Freestyle/Karin Krog

Karinfrees
カーリン・クローグの過去盤聴き9日目。彼女のリーダー作を聴いた中では、これが一番実験的なんじゃないかと思います。「フリースタイル」のタイトルでも、フリー・ジャズをやっているわけではなくて、普通の曲に混ざって、実験的な曲があります。どうこう言うよりはまず聴いてみて、とも思うのですけど、よっぽど彼女のファンでもない限り、手を出さないかもしれません。それでも、こういうアルバムがジャズの地平を広げてきたのも確かなわけで。ジョン・サーマンの演奏が、なかなか彼らしい曲もあったりもします。彼女のアルバムを取り上げても、今ひとつ反応が鈍いのですが、これもホームページを手直しするためという目標があって、普段聴いてないアルバムも聴けて、と個人的には一石二鳥ではあります。


Freestyle/Karin Krog(Vo, Synth, Per)(Breaktime) - Recorded August 1985. John Surman(Synth, Per, Ss) - 1. Just Holding On 2. Bansull 3. Sorrowful Day 4. Imagination's Child 5.Freestyle (An Essay In Subjective Ideaism) 6. Karima Two 7. Open Sandwich 8. The Red Dradon (A Fairytale For Grownups) 9. Some Time Ago 10. Fran Landesman Medley a) Spring Can Really Hang You Up The Most b) If c) The Ballad Of The Sad Young Men 11. Hymn To Joy

ジョン・サーマンとシンセサイザーなどを使用したり、カーリン・クローグのヴォーカル(ヴォイス)の多重録音を行なったりと実験的な作品。その実験的な度合いはかなり独特で、普通に聴こえる曲の中に、かなりの実験作が混ざっている感じ。歌に語りが混ざる曲も実験的。大半の曲が2人のどちらかないしは共作で、ミュージカルの曲などもあり。ジャズでもヴォーカルでも範疇からはずれてしまうので、通常のファンからはそっぽをむかれてしまうかもしれないです。ECMファンなら、受け入れる要素があるかも。そんな中でもヴォーカルだけで通す、トラディショナルの2曲目は、異国情緒を感じさせます。 4、11曲目もメロディアスなバラード。6曲目はインド音楽に影響を受けている感じです。ここまで実験的なアルバムも珍しい。

2018/07/18

I Remember You../Karin Krog, Warne Marsh, Red Mitchell

Kariniremember
カーリン・クローグの過去盤聴きの8日目。いろいろアルバムが出てますが、LPで’77年録音のレッド・ミッチェルとのデュオがあったとか。それがこのアルバムにつながっているらしいので、音源を聞いておきたいなあと思っても、追っかけている全てのミュージシャンについて集めたり揃えたりは無理なので、とりあえずはあるもので聴いていってます。ここでは、レッド・ミッチェルのベースが大活躍してますね。今聴くと、ちょっとベース音の音質が気になりますが、そこは、脳内変換をして聴くということで。実際ジャズのアルバムは古かったり、録音技術などの変化により音質がちょっと、というのがありますけど、慣れっこにはなってます。


I Remember You../Karin Krog(Vo), Warne Marsh(Ts), Red Mitchell(B)(Breaktime) - Recorded April 8-9, 1980. - 1. I Remember You 2. Trane 3. Lester's Happy 4. Moody's Mood For Love 5. It's You Or No-One 6. Loverman 7. Speak Low 8. That Old Feeling

今度はウォーン・マーシュの参加。ピアノレスで、サックスもベースもゆったりしていてなかなか渋い。スタンダード中心で、サウンドは少し地味かなと思う部分もありますが、渋いという事でいい感じ。レッド・ミッチェルも、間奏がベースのみという力量が問われる部分でも、いいソロをしています。 ヴォーカルの場面ではベースのみが支えているところも多く、さすがミッチェル、という感じです。ただ録音上、低音が少しブーミーな感じで入っているのがちょっと気になります(再生装置にもよるけど、当時の録音の関係か?)。それでも根本を支えているのはベース。サックスの演奏の部分も少なくなく、何だかのんびりと聴いていたいような、ゆったり感漂う内容。確かに3人対等な立場で録音しているのは、聴いていて気持ちがいいです。

2018/07/17

With Malice Toward None/Karin Krog & Nils Lindberg

Karinwithmali
カーリン・クローグの過去盤聴きの7日目。もうすでに間にコメントが直っているアルバムもあって、ちょっと飛び飛びに聴いているのですが。それでも1枚ごとに趣向を凝らしているのが実験的でもありますね。今回は何とパイプ・オルガンとのデュオですし。ECMなどでは、すでにパイプ・オルガンでのインプロヴィゼーションをキース・ジャレットが録音を残してますけど、ジャズ・ヴォーカルとの組み合わせは、この’80年当時でも珍しかったかと思います。元々の文章には(20年以上前の文章ですけど)、ちょっと退屈、とか書いてありましたが、今聴き直すと、これはこれでけっこうイケるんじゃないかと思います。地味ですけどね。


With Malice Toward None/Karin Krog(Vo) & Nils Lindberg(Org)(Century) - Recorded February 12-13, 1980. - 1. Sometimes I Feel A Motherless Child 2. John Coltrane's A Love Supreme 3. Going Home 4. Just A Closer Walk With Thee 5. As you Are 6. With Malice Toward None 7. God Bless The Child 8. I Ensomme Stunde 9. Song From Djura 10. Come Sunday 11. Gud Som Haver Barden Kar

オルガンとのデュオ、といってもハモンドオルガンではなくて、パイプオルガンです。かなりの異色作。2曲目でなんと「至上の愛」まで歌っています。この2曲目はかなりアレンジが施されていて、一聴して、原曲が分かりにくいですけど。実に壮大で前例のあまりないデュオですが、全曲通して聴くと36分ほど。トラディショナルも2曲(1、4曲目)あり、賛美歌のイメージという感じも。ニルス・リンドバーグの作曲は5、9曲目。 それでも、しっかりとヴォーカルはジャズ的な歌い方プラスアルファという感じで、こういうデュオでもやってのけてしまう姿勢には脱帽。ただ、セールス的にはどうなのか。北欧らしく、メランコリックなサウンドになっているところもあって、そういうところはもしかしてかの地で受けるのかも。落ち着く感じはします。

2018/07/16

Hi-Fly/Karin Krog & Archie Shepp

Karinhifly
カーリン・クローグの過去盤聴き6日目。彼女のアルバムで最初に聴いたのは、デクスター・ゴードンとのアルバムでしたが、あちらはサックスが朗々と唄うのに対して、今日のアーチー・シェップとのアルバムは、音の洪水でせまってくるという、驚きのアルバムでした。しかもバラード系の曲が多いにも関わらず、です。全6曲のヴォーカル曲なのに収録時間が48分台というのも、楽器演奏の部分が長いためでしょうね。5曲目のタイトル曲は13分台もあり、その大部分がヴォーカルではない、いわゆる間奏(と言っていいのだろうか)の部分なので、もうサックスが押し寄せてくる感じではあります、他の楽器のソロもありますけれどもね。


Hi-Fly/Karin Krog(Vo) & Archie Shepp(Ts)(Polydor) - Recorded June 23, 1976. Charles Greenlee(Tb), Jon Balke(P), Arild Andersen(B), Beaver Harris(Ds), Cameron Brown(B added on 2) - 1. Sing Me Softly Of The Blues 2. Steam 3. Daydream 4. Solitude 5. Hi-Fly 6. Soul Eyes

アーチー・シェップとのアルバム。静かな曲でも、ヴォーカルに合わせてオブリガートをやたら吹きまくり、音数も多いのですが、それでいてヴォーカルを邪魔せず、かえって盛り上げてしまうサックス。さすがシェップ。このあたりのバランスは絶妙です。1曲目のみカーラ・ブレイ作曲、カーリン・クローグ作詞で、2曲目はシェップの作曲。他は ジャズメン・オリジナル。1曲目を聴くと、バラードなのにサックスの音数の多さにはビックリしますが、クローグのヴォーカルも、ある程度冒険的な選曲を選んだということで、相変わらずチャレンジングな姿勢。曲のみの演奏の長い曲も目立ちます。けっこう味わいのある曲が並んでいるけど、結局個性と個性のぶつかり合いという感じ。4曲目はデュオのみでの演奏。5曲目は4ビートの曲。

2018/07/15

You Must Believe In Spring Songs By Michel Legrand/Karin Krog

Karinyoumust
カーリン・クローグの過去盤聴き5日目。他のヴォーカリストのアルバムと違って、アレンジが1枚頃に違うので面白いです。それも極端に違う感じ。今回は、曲によっては大胆なロック・イディオム(ファンク?)を導入してのアルバムになりますけど、普通のアレンジの曲との落差がなかなかスゴいことになっています。彼女のアルバムは比較的後から出てきたものが多いので、アルバムコメントの手直しも飛び飛びになっていますが、それでも個性あるアルバムがズラリ。今では売れるかどうかわからないものもあるし、まあ、それだけ実験的だったんだろう、と思わせるものが多いなあ、と特に今日のアルバムを聴いて思いました。


You Must Believe In Spring Songs By Michel Legrand/Karin Krog(Vo)(Seven Seas) - Recorded May 20-22, 1974. Palle Mikkelborg(Tp, Arr, Dir), Per Carsten(As, Fl), Bent Larsen(Fl, Afl, Bfl), Bies Peters(Oboe), Ole Koch-Hansen(P), Philip Catherine(G), Niels Henning Orsted Pedersen(B), Alex Riel(Ds), Kasper Vinding(Per), Lubov Rubinstein(Harp), Per Walther(Vln), Hans Hielsen(Vln), Finn Ziegler(Viola), Erling Christensen(Cello) - 1. You Must Believe In Spring 2. Ask Yourself Why 3. I'll Wait For You 4. Watch What Happens 5. Once Upon A Summertime 6. What Are you Doing The Rest Of Your Life?

邦題「ミッシェル・ルグランを歌う」。ルグラン曲集で、アレンジがマイルス・デイヴィスの「オーラ」で有名なパレ・ミッケルボルグ。2曲目のようにロック・イディオムを大胆に導入して、当時としては斬新だったのですが、今ではサウンドが古い感じも。ニールス・ペデルセンに曲によってエレキ・ベースを弾かせるのは、ちょっと...。スリリングではあるのですけど。それでも今聴くと、1曲目のビル・エヴァンスの演奏でもおなじみの曲は、割とオーソドックスで親しみと味のあるアレンジです。ちょっと崩して歌うロック的な感じがまた面白い、マイルス・バンドのような3曲目、哀愁のあるバラードにでも途中からロック的になる4曲目、前間奏部、実験的アレンジと感じられる5曲目、しっとりしたバラードでドラマチックに幕を閉じる6曲目。

2018/07/13

Gershwin With Karin Krog

Karingershwin
カーリン・クローグの過去盤聴きのちょっと間を置いて4日目。特集モノのアルバムが飛び飛びですがありまして、これはジョージ・ガーシュイン集。北欧の録音とは言っても、まだ’70年代前半の古い時期だけに、ドラマーのヨン・クリステンセンも割とオーソドックスな叩き方をするし、普通にジャズしている時期だったんですね。まあ、でもメンバーはなかなかいいですし、カーリンのヴォーカルはやはり印象が強いので、これ、ブラインドでも分かるんじゃないかな、というくらい。こういう感じもあるかと思うようなガーシュイン集ではありました。個人的にはもう少し時代を下がりたいですけど、彼女の場合、初期のころからけっこう好みです。


Gershwin With Karin Krog(Vo)(Philips) - Recorded December 19, 1973 and June 19, 1974. Bjarne Nerem(Ts), Egil Kapstad(P), Alild Andersen(B), Jon Christensen(Ds) - 1. Who Cares? 2. How Long Has This Been Going On? 3. That Certain Feeling 4. My Man's Going Now 5. Nice Work If You Can Get It 6. Embraceable You 7. They All Laughed 8. There's A Boat That's Leaving Soon For New York 9. Our Love Is Here To Watch Over Me 10. Someone To Watch 11. Summertime 12. I Loves You Porgy

全曲ガーシュイン曲集。10曲目以降はCD化の際に収録。ノルウェーのオスロでの録音で、北欧のミュージシャンで固めています。アリルド・アンデルセンとヨン・クリステンセンがリズム・セクションにいます。全体のサウンドは、サックスを含めジャズ度は高いけど、けっこう普通。北欧だからという感じはない。曲などの素材はいいのですが、カーリン・クローグにはどうしても「何か」を期待してしまいます。それでも気だるい感じの歌は味わいがあるし、ジャズ度がかなり高めのこういうガーシュイン集もいいかなあ、と思います。1曲目もヴォーカルから入って、途中からアップテンポの4ビートで、長めの間奏と絡みつくようなヴォーカル。バラードもあるけれど、けっこうクセの強いヴォーカルは例えば4曲目とかインパクトが大きいです。

2018/07/11

Open Land/Meeting John Abercrombie(DVD)

5053
久しぶりにECMのDVDが届いたので観てみました。内容はジョン・アバークロンビーのドキュメンタリーなんですが、大半がインタビューにあてられていて、英語でしゃべって字幕がドイツ語だったので、あまりはっきりよく分かりませんでした。それでもライヴ映像やジャムセッションの様子も少しながら入っていて、ピアノやギターをちょっと弾いてみている映像なども興味深いと思います。晩年の(彼は’17年没)彼を知りたい人にはいいんじゃないかなと思います。ただし、このDVDの中での音楽的な割合は低めなので、それを承知の上買ってみて下さいということで。いちおうECMから出たということで、買ってみました。追っかけしていたミュージシャンでもありましたし。


Open Land/Meeting John Abercrombie(G)(ECM 5053)(輸入盤DVD) - Released 2018.

(18/07/11)Arno Oehri & Oliver Primusのプロデュースの90分のドキュメンタリー。在りし日のジョン・アバークロンビーの映像がけっこう出てきます。大部分が語りによって占められているけど、英語の話と字幕はドイツ語。彼の音楽が使われているということで、著作権マークは’70年から’16年となっていますが、その曲が登場する割合も少なくても、なかなか効果的か。彼がギターをつま弾いている場面やツアーの途中の場面もあるので、彼を追いかけている人向けの映像か。彼の生い立ちや音楽とのかかわりなど、詳細に語られているようですが、英語が堪能でないと少々分かりづらいかも。Adam NussbaumやGary Versaceのインタビューやライヴ演奏も。人物の映像が大半だけど、ECMらしい風景などの映像もあり。

2018/07/10

Organizer/KIYO*SEN

Kiyosenorga
KIYO*SENの4枚目の新譜がエレック・レコードから出ました。でも、以前はこんなにロック的でハードな感じがしたかなあ、とこのアルバムを聴いた感想。サウンドイメージとしてはフュージョンよりはロックに近い感じです。しかし、そのようなサウンドにしても、変拍子を多用し、かなり複雑な演奏をしているのが分かります。それで今回はベーシストの全面起用、ということになっているのかなあ、との予想ですけど。なかなか聴くのに体力がいりますね。特にドラムスの音数はかなり多いですし。こういう曲でもライヴの再現性があるというのが見事です。やっぱりテクニシャンのユニットなだけありますね。


Organizer/KIYO*SEN(Elec Records) - Released 2018. Kiyomi Otaka(Org), Senri Kawaguchi(Ds), Guest: Yukiko Shibutani(B), Koichi Yabori(G on 8), Kelly Simons(G on 7), HIZAKI(G on 3), Hiromi Shimoda(Marimba on 5) - 1. FLY 2. Enamel Doll 3. Altered Destination 4. Tiki Tiki 5. Catty Angel 6. Life Various 7. POTOS 8. Come On Over 9. Higurashi

8曲目以外は大高清美作曲、8曲目が川口千里作曲。オルガンとドラムスの音数が、勢いのあるところでは半端なく多く、そして「手拍子させないぞ、ライヴ」をアルバム発売前にやっていたように、変拍子の場面もけっこう目立っていて、1曲目からその豪快なサウンドにのまれてしまいます。ベースが今回は何曲目とかは書いてないので、聴いた感じ全曲には全部参加しています。オルガンのモコモコしたフットペダルとは感触が違うので、どうやらそのよう。ロック系のベーシストかな。フュージョンとかファンクよりは、ヘヴィーなロックを聴いている感じです。まさにハードコア・オルガン・ロック&フュージョンといった趣き。聴くのに体力を要します。6曲目も浮遊感のあるバラードと思ったら、プログレ的盛り上がりを示している曲。(18年7月4日発売)

2018/07/09

Some Other Spring Blues And Ballads/Karin Krog and Dexter Gordon

Karinbluesand
カーリン・クローグの過去盤聴きの3日目。実はこのアルバムが彼女の初聴きで、しかも購入動機はデクスター・ゴードンが参加しているからだったと思います。曲によってのたくったような歌い方をするヴォーカルに衝撃を受けて、何度もこのアルバムを聴きました。今久しぶりに聴き返すと、そんなに過去の衝撃のようなものは出ないけど、これも歳を取ってきたからかな、と思います。その後彼女のアルバムを聴いていくにつれて、こういうインパクトはこのアルバムが一番大きかったことを知りますが、それでも好きなヴォーカリストです。実はデクスターゴードン、ブログではほとんど出てきませんが、10年くらい前までは国内盤で出たリーダー作はほぼ買ってました。


Some Other Spring Blues And Ballads/Karin Krog(Vo) and Dexter Gordon(Ts, Vo)(Polydor) - Recorded May 10, 1970. Kenny Drew(P, Org), Niels Henning Orsted Pedersen(B), Espen Rud(Ds) - 1. Some Other Spring 2. Blue Monk 3. How Insensitive 4. Blues Eyes 5. Jelly Jelly 6. Tribute To Jimmy Scott-I Wish I Knew 7. Everybody's Somebody's Fool 8. Shiny Stockings 9. Ode To Billie Joe 10. Some Other Spring (Alternate Take) 11. Blue Monk (Alternate Take) 12. Shiny Stockings (Alternate Take)

スタンダードとジャズメン・オリジナル集。9曲目以降はCDのみの収録。9曲目のみ別テイクではなくて未発表曲だけど、長いので見送りになったらしいです。当時からデクスター・ゴードン・ファンで、それを目当てに買ったら、カーリン・クローグにノックアウトされた作品。サックスはもちろん素晴らしく、歌もいい曲が多いのですが、例えば「ブルー・モンク」など歌を歌っているのか、くだをまいているのか判然としませんが、それでもこういう歌唱にハマって何度も聴き直したアルバム。オルガンの曲(4曲目)やゴードンのヴォーカル(5曲目)もあったり、2人の組み合わせと曲のマッチングがなかなか。6-7曲目はジミー・スコットに捧ぐとあり、「By Myself」の歌詞でも彼の名前が出てきているので、けっこう影響を受けてるという予想。

2018/07/08

Jazz Moments/Karin Krog

Karinjazzmo
カーリン・クローグの過去盤聴き2日目。昔’50年代(主に)白人女性ヴォーカルのCDを集めていた時期があったんだけど、大半はジャズというよりはヴォーカルアルバムという感じの聴きやすいもの。それはそれで結構楽しめましたが、そのうちほとんどを処分してしまいました。やはり、自分は多少なりともジャズ的なヴォーカルものとか刺激のあるものを聴きたくなっていたようです。このアルバムもそういう意味では刺激はある。あるんだけど、ちょっと個性が強いかな、という気もしています。でもそういうものの方が残っているということは...。まあ、個人的な好みの問題ではありますけれども。


Jazz Moments/Karin Krog(Vo)(Breaktime) - Recorded 1966. Jan Garbarek(Ts), Kenny Drew(P), Niels Henning Orsted Pedersen(B), Jon Christensen(Ds) - 1. I Got Your Number 2. Old Folks 3. All Of You 4. Baby Won't You Please Come Home 5. Glad To Be Unhappy 6. Dearly Beloved 7. I Can't Get Started 8. Just In Time 9. Body And Soul

割とオーソドックス系でスタンダード曲集。ケニー・ドリュー、ニールス・ペデルセン、ヤン・ガルバレク、ヨン・クリステンセンとくれば、聴かずにはおれません。この時期のヤン・ガルバレクは何となく屈折しているし、ヴォーカルはやっぱりけだるいし、ですが、普通のジャズ・ヴォーカルと違う雰囲気がいいです。ヴォーカル・アルバムといっても、曲によっては、けっこうバックの演奏が前面に出てきて、何となく、ヴォーカルの楽器的な歌い方もあったりで、ちょっとひきこまれます。 表現力はある方だと思うけど、聴き手を心地よくさせようという感じはあまりなさそうで、マイペースで見な演奏している感じです。ベースは特に、ペデルセンだからか、音数がけっこう多い。ピアノも多少冒険的なところもあり、全体的にはけっこう個性的かも。

2018/07/07

By Myself/Karin Krog

Karinbymy
今日からまた過去盤聴きに戻ります。カーリン・クローグを13枚の予定。なんでカーリン・クローグ(ノルウェーのヴォーカリスト)かというと、普通のヴォーカルアルバムもありますけど、実験的なものも多く、ECMでも何枚かサイド参加のような形で出てきているからです。昔はこの後に、ヘレンメリルをやろうかと思って、方向転換のため中断してしまいましたが。今日のアルバム、あるべきところに収まってなくて、2時間も探してしまいました。でも今までの長い間、最後まで見つからなかったCDというのは経験が無いので、いちおうの個人的記録更新かな。これも紙ジャケ、そして今は国内盤は廃版なんですね。なおのこと処分できないな。また’60年代までさかのぼります。


By Myself/Karin Krog(Vo)(Philips) - Recorded July 15-16, 1964. Egil Kapstad(P), Kurt Lindgren(B except 3, 9), Per Loberg(B on 3, 9), Jon Christensen(Ds) - 1. By Myself 2. Lover Man 3. Karin's Kicks 4. I Fall In Love Too Easily 5. Gee, Baby Ain't I Good To You 6. Mood Indigo 7. 'Deed I Do 8. I Guess I'll Hang My Tears Out To Dry 9. All Blues

カーリン・クローグのデビュー・アルバム。彼女の作曲は3曲目にあります。スタンダード曲集で、性質はそんなに低くはないけど、けだるいような歌い方はこの頃から健在です。うーん、この歌い方にひかれます。バックのピアノ・トリオはオーソドックスですが、録音はノルウェーのオスロ。ドラムはヨン・クリステンセンが参加。9曲目に「オール・ブルース」あり。 ノルウェーでのこの時期での録音というのも珍しいようだけど、既に歌手としての個性というか存在感は十分にあります。8分の6拍子で好きなジャズメンを並べているらしい歌詞も当時としては面白かったのでは。低めのスキャット(?)も入っています。他の曲でもスキャットで楽器の真似も少し。個性的なので印象度が個人的に高い。4ビートの曲もバラードでもいい感じ。

2018/07/05

Laid Black/Marcus Miller

Marcuslaidblack
マーカス・ミラーの新譜。Blue Noteに移籍したんですね。このアルバム、実は昨日の夜かけていたら、横にいた長男が1曲目の途中で勝手に切ってしまったのです。理由はベースの音が悪くなったからとのことで、自分はそんなことはあまり考えてはいなかったのだけど。長男はオーディオのリファレンスで彼の「フリー」というアルバムを使っていて、けっこう聴きこんでいる方。ただ、私はそんなに気にならなかった(実はこのアルバムだけ、切られてから再度オーディオ装置を以前からのものでこのアルバムを聴いています。)ので、オーディオ装置との相性もあるかもしれません。まあ、黙っていても彼のアルバムは売れますけれどね。

(追記)長男はオーディオのスピーカーケーブルとか、電源ケーブルを交換して、音の違いが分かる部類に入る人間です。


Laid Black/Marcus Miller(B, Vo, Key, Synth, Ds and Rhythm Prog, Back Vo, Bcl)(Blue Note)(輸入盤) - Released 2018. Marquis Hill(Tp on 1, 3-4, 6, 8), Alex Han(As on 1-4, 6-9), Brett Williams(Key on 1, 3-6, 8-9), Alex Bailey(Ds on 1-2, 9, Per on 3-4), Saleh Sue(Vo on 2), Patches Stewart(Tp on 2, 5, 8), Adam Agati(G on 2, 7), Trombone Shorty(Tb on 3), Louis Cato(Ds on 3-4, 6-8, Vo on 8), Jonathan Butler(Vo, G), Charles Haynes(Ds, Prog on 5), Mictch Henly(Key on 5), Kirk Whalum(Fl on 5, Ts on 8-9), Caleb McCampbell(Vocoder on 6), Cliff Barnes(P on 7), Julian Miller(Vo on 8), Brian Cubertson(Vo on 8), Honey Larochelle(Vo on 8), Richie Gajate - Garcia(Per on 8), Take6(Vo on 9), Russell Gunn(Tp on 9) - 1. Trip Trap 2. QUe Sera Sera 3. 7-T's 4. Sublimity 'Bunny's Dream' 5. Untamed 6. No Limit 7. Someone To Love 8. Keep 'En Runnin 9. Preacher's Kid

(18/07/04)2曲目以外はマーカス・ミラーの作曲。相変わらずベースが前面に出て活躍していて、ベースを盛り上げるためのファンクという形になっていると考えてもいいかも。その中でもヴォーカル曲?もあるし、けっこう売れセン狙いなのではないかなあ(実際売れると思う)。1曲目のサウンドは「TUTU」をほうふつとさせるようなサウンドカラーだし、やはりファンクの最前線は彼だと思います。ただ、Blue Noteに移籍して、ちょっとベースの音色(長男は少し落ちたと言っている)をはじめ、サウンドが変わったかな、と思わせるところも。相変わらず豪華なミュージシャンですけど、彼自身の様々な楽器を多重録音して聴かせているところも相変わらず。それにしても、ベースが主役になっているのにあまりクドくないのもテクニックか。

2018/07/04

The Music In My Head/Michael Franks

Michaelthemusic
このアルバム、出たのに気が付いたのは実は発売後で、しかも入手に時間がかかってしまいました。売れているミュージシャンはゆったりとアルバムを作れるからいいですね。レーベルはあまり有名ではないようだけれど、プロデュースや参加ミュージシャンはかなり豪華です。曲も相変わらずなんだけど、雰囲気はいいし、この感じがやっぱりたまりません。’70年代から(当時はこの言葉があったかどうか分かりませんが)AORのヴォーカリストとしては有名で、息の長い人です。写真を見るとお歳を召されたかなとは思いますけど、曲自体は相変わらずのマイペースだし、まだまだ続けてほしいですね。好きな人なので、アルバムコメントになってないかもですが...。


The Music In My Head/Michael Franks(Vo)(Shanachie)(輸入盤) - Released 2018. Chuck Loeb(G, Key on 1), Jimmy Haslip(B on 1, 7, 9), Eric Marienthal(Sax on 1), Manuel Quintana(Per on 1, 3, 5, 8), Veronica Nunn(Back Vo on 1, 5-7), Leslie Ritter(Back Vo on 1, 5), Gil Goldstein(P on 2, 4, 10), David Spinozza(G on 2-5, 8, 10), Jay Anderson(B on 2, 4, 10), Romero Lubanbo(G on 2, 10), Rogerio Bocato(Per on 2, 4, 10), Rachel Z(P, Key on 3, 5, 8), Scott Petito(B on 3, 5, 8), Ben Perowsky(Ds on 3, 5, 8), Bob Mintzer(Sax on 3, 5, 8), Charles Blenzig(P on 6), Sean Conly(B on 6), Billy Kilson(Ds on 6), Karel Ruzicka(Sax on 6), Larry Koonse(G on 7, 9), Otmaro Ruiz(Key, Synth on 7, 9), Jimmy Brankey(Dsm Oer on 7, 9), Gary Meek(Ts, Ss on 7, 9), - 1. As Long As We're Both Together 2. Suddenly Sci-Fi 3. The Idea Of A Tree 4. Bluebird Blue 5. To Spend The Day With You 6. Bebop Headshop 7. Where You Hid The Truth 8. The Music In My Head 9. Candleglow 10. Waterfall

(18/07/03)全曲マイケル・フランクスの作曲。7年ぶりの新作とのこと。相変わらずのヘタウマヴォーカルと、都会的なバックで、ちょっとゆったりしたフュージョン的な(ボッサ的な)曲と、アコースティック・ベースを使用したジャジーな曲とあります。曲によってプロデュース(アレンジ含む)が違い、チャック・ローブ(1曲目)、ギル・ゴールドスタイン(2、4、10曲目)、Scott Petito(3、5、8曲目)、Charles Blenzig(6曲目)、ジミー・ハスリップ(7、9曲目)と非常に豪華。AORサウンドを聴くならやっぱり彼ということになるのでしょう。今は亡きチャック・ローブもいるということは、長い時間をかけての録音なのかと思います。元々ヘタウマなので、ヴォーカルの衰えは感じさせず、曲自体も昔と変わらず良く、今でもカッコいいヴォーカリスト。

2018/07/03

Crews Maniac SoundのJackson5を修理に出す

130909crews
先週、2年ぶりぐらいにCrews Maniac SoundのJackson5を弾こうと思って、アンプにつないだら、うんともすんとも音が出ない。いちおうアクティヴ/パッシヴの切り替えがあるので、出ないはずはないんだけどな、と思って、長男にも調べてもらいましたが、お手上げの状態。電池を新しいのに替えても同じ。

電池カバーのところを開けて観ると、2個の9V乾電池はあっちに行ったりこっちに来たりと収まってはおらず、基板もガムテープで止めたのがはがれたような状態でした。おそらくそれでショートでもしたのかな?私は’13年9月に中古で入手しましたが、新品価格だと20万円台のベースなので、この配線関係はあまりにもお粗末だろ?と思いました。

月曜日の午後にメーカーに電話すると、近くのお店(渋谷)で修理をやっているとのことで、持って行きました。案の定、その場では直せなくて、2-3週間で要見積もり。パッと見で3万ぐらいかかりそうとのこと。弦交換とかオクターヴ調整などは、自分で何とか調整できるのですが、本当はリペアでやってもらうとかなり弾きやすくなることがあるので、やってもらった方がいいんだろうな。でもまず修理代をひねり出すのが先なので...。お店の人も、これは10年前よりもっと前に製造されたものの回路だそうで、今のものとはちがうとのこと。中古で買ったときも、外観の程度が良い割には、値段が安かったのはこういうせいだったのか、と思いました。うちにあるのは他で、Moonのジャズベタイプのものも古くて、何度か電池交換の時に配線の断線をやっていて、そのたびにハンダ付けをしてます。これも線が細くて、パッと見で、チャチな感じ。

基本的に、中古で買うことをモットーとしているので、こういうリスクは避けられないですね。あとは本数を、今の手持ち6本から絞って行くか。といいつつ、残りは気に入っているので、できれば手元にずっと置いておきたいし。結局は全部をまんべんなく弾けばいいのですが、ライヴで使うのは限られていて、いつも使うのは1本のみ。まあ、Jackson5が無事に修理が上がってくればいいなあ、とは思いますが。

(23日追記)3週間目の閉店時間に、こちらから連絡をしてみましたが、プリアンプの基盤は正常で、電池のところの断線だったとのこと。費用も5千円以下で済みました(ネックなどのセットアップはお願いしていません)。安くあがって良かったと思います。

2018/07/01

私的2018年上半期ジャズベスト3

Bradsaymour Izutu2018 Tompoints もう7月1日で、上半期のジャズCDを振り返る時期ですね。私のところでは昨年12月分から今年の6月分まで聴いたアルバムの中からベスト3を選んでみます。王道のジャズ割合が減ってきてますが。それはそれでいいとして。ECMに関しては、今年もNew Series含めて20枚以上出ていますけど、今回は傑作はパッと浮かんできませんでした。ジャズといってパッと頭に浮かんだのは、安定したトリオのブラッド・メルドー。オリジナルも既成曲もいい。ただし全員に受け入れられるかは、疑問かも。井筒香奈江さんのヴォーカル・アルバムはジャズとは言えないんじゃないかとも思えますけど、ディスクユニオンのジャズ東京ではかなり売れているそうです。気に入ってます。トム・ケネディは、ダウンロード中心でCDとしてはなかなか入手できなかったもの。時代の移り変わりの象徴と、内容で選びました。

 

Seymour Reads The Constitution/Brad Mehldau(P) Trio(Nonesuch)(輸入盤) - Released 2018. Larry Grenadier(B), Jeff Ballard(Ds) - 1. Spiral 2. Seymour Reeds The Constitution 3. Almost Like Being Love 4. De-Dah 5. Friends 6. Ten Tune 7. Great Day 8. Beatrice

(18/06/04)ブラッド・メルドー作が1-2、6曲目で、他はジャズメン・オリジナルやロック、スタンダード。タイム感が独特な感じもあるけど、相変わらず安定したトリオ。タイトルの通り、らせん状にぐるぐる回るような、ちょっと浮遊感と不安定感を伴いながら前に進んでいく1曲目、タイトル曲だけど、ちょっと不思議な千鳥足感と淡い感じで面白いゆったりめの2曲目、スタンダードでアップテンポの演奏がスリリングな3曲目、エルモ・ホープ作のスマートでオーソドックスな4ビートの4曲目、ブライアン・ウィルソンらの曲をうまくワルツでトリオで唄っている5曲目、これも独特なタイム感と哀愁のあるクラシック的にも発展する6曲目、ポール・マッカートニー作を8ビートで料理する7曲目、サム・リヴァース作で意外にスウィングする8曲目。

 

Laidback 2018/井筒香奈江(Vo) レイドバック(Jellyfishlb) - Recorded November 14 and 15, 2017. 藤澤由二(P)、小川浩史(B)、Guest: 中川昌三(Fl)、大久保貴之(Per) - 1. Songbird 2. Little Wing 3. サクセス 4. 美人薄命 5. 雨の鼓動 6. アネモネ 7. 部屋に吹く風 8. Light My Fire 9. You Are So Beautiful

グループでの10年ぶりのアルバム。今回は作詞井筒香奈江、作曲藤澤由二が4-6曲目にあり、初のアルバムでのオリジナルではないかと思います。また、今までのグループの2枚は洋楽だけだったのが、今回は和洋オリジナル混合になっているのも、そこが特色か。グループとしても別物のアルバムに仕上がっています。何よりも、けっこう音数を減らして、静かに淡々と歌う場面もあって、聴いて胸を締め付けられるような音使いが目立ち、井筒個人名義のアルバムのサウンドも引っ張っているような感じ。ジャズかと言うと、J-POP(ニューミュージック?)に近いものがありますが、3曲目は4ビートであり、またスタンダードも9曲目にあったりして、ジャズとしても多少は考えられるのでは。音楽としてはけっこう素晴らしい。(18年5月16日発売)

 

Points Of View/Tom Kennedy(B, Key)(自主制作) - Released 2017. Dave Weckl on 1-2), Bill Evans(Ss, Ts on 1-2), Charles Blenzig(P on 1-7), Karla Harris(Vo on 3), Wes Ritenour(Ds on 3, 7), Chuck Roeb(G on 3), Bob Franceschini(Ss, Ts on 3-6), Lee Retenour(G on 4), Obed Calvaire(Ds on 5-6), Nick Marcione(Tp on 5), Randy Brecker(Tp on 7)., Mike Stern(G on 8), Richie Morales(Ds on 8), Bob Malack(Ts on 8) - 1. I'll Remember You 2. The Dark 3. New July 4. Just Listen 5. Roints Of View 6. Koolz 7. I'll See You 8. Gaslight Square Blues

(18/02/11)5-8曲目がトム・ケネディ作曲で、1-4曲目は参加メンバーの曲、スタンダード他。なかなかスゴいメンバーややリラックスしつつも、ベースをはじめ、それぞれのソロもあちこちで堪能できます。エレクトリックベースが5曲、4-5、7曲目はアコースティック。ジャンル的にはややフュージョン寄りですが、あまり甘くもなく、特にリーダーのベースがそれとなくだけど、目立っている感じ。こういう洗練された渋さは、なかなか味わえないかも。特に3曲目(ギターはチャック・ローブ)の都会的な渋い曲調は、聴いていて大人の曲だなあ、と思わせます。自主制作で好きなように演奏することが、ベーシストのリーダー作としてはうまく作用している感じ。5曲目はややアップテンポの4ビート。こういうジャズ的要素も少しあります。

 

(次点)Music Is/Bill Frisell(G, Loops, B, Ukulele, Music Boxes)(Okeh)(輸入盤)

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