私的2018年上半期ジャズベスト3
もう7月1日で、上半期のジャズCDを振り返る時期ですね。私のところでは昨年12月分から今年の6月分まで聴いたアルバムの中からベスト3を選んでみます。王道のジャズ割合が減ってきてますが。それはそれでいいとして。ECMに関しては、今年もNew Series含めて20枚以上出ていますけど、今回は傑作はパッと浮かんできませんでした。ジャズといってパッと頭に浮かんだのは、安定したトリオのブラッド・メルドー。オリジナルも既成曲もいい。ただし全員に受け入れられるかは、疑問かも。井筒香奈江さんのヴォーカル・アルバムはジャズとは言えないんじゃないかとも思えますけど、ディスクユニオンのジャズ東京ではかなり売れているそうです。気に入ってます。トム・ケネディは、ダウンロード中心でCDとしてはなかなか入手できなかったもの。時代の移り変わりの象徴と、内容で選びました。
Seymour Reads The Constitution/Brad Mehldau(P) Trio(Nonesuch)(輸入盤) - Released 2018. Larry Grenadier(B), Jeff Ballard(Ds) - 1. Spiral 2. Seymour Reeds The Constitution 3. Almost Like Being Love 4. De-Dah 5. Friends 6. Ten Tune 7. Great Day 8. Beatrice
(18/06/04)ブラッド・メルドー作が1-2、6曲目で、他はジャズメン・オリジナルやロック、スタンダード。タイム感が独特な感じもあるけど、相変わらず安定したトリオ。タイトルの通り、らせん状にぐるぐる回るような、ちょっと浮遊感と不安定感を伴いながら前に進んでいく1曲目、タイトル曲だけど、ちょっと不思議な千鳥足感と淡い感じで面白いゆったりめの2曲目、スタンダードでアップテンポの演奏がスリリングな3曲目、エルモ・ホープ作のスマートでオーソドックスな4ビートの4曲目、ブライアン・ウィルソンらの曲をうまくワルツでトリオで唄っている5曲目、これも独特なタイム感と哀愁のあるクラシック的にも発展する6曲目、ポール・マッカートニー作を8ビートで料理する7曲目、サム・リヴァース作で意外にスウィングする8曲目。
Laidback 2018/井筒香奈江(Vo) レイドバック(Jellyfishlb) - Recorded November 14 and 15, 2017. 藤澤由二(P)、小川浩史(B)、Guest: 中川昌三(Fl)、大久保貴之(Per) - 1. Songbird 2. Little Wing 3. サクセス 4. 美人薄命 5. 雨の鼓動 6. アネモネ 7. 部屋に吹く風 8. Light My Fire 9. You Are So Beautiful
グループでの10年ぶりのアルバム。今回は作詞井筒香奈江、作曲藤澤由二が4-6曲目にあり、初のアルバムでのオリジナルではないかと思います。また、今までのグループの2枚は洋楽だけだったのが、今回は和洋オリジナル混合になっているのも、そこが特色か。グループとしても別物のアルバムに仕上がっています。何よりも、けっこう音数を減らして、静かに淡々と歌う場面もあって、聴いて胸を締め付けられるような音使いが目立ち、井筒個人名義のアルバムのサウンドも引っ張っているような感じ。ジャズかと言うと、J-POP(ニューミュージック?)に近いものがありますが、3曲目は4ビートであり、またスタンダードも9曲目にあったりして、ジャズとしても多少は考えられるのでは。音楽としてはけっこう素晴らしい。(18年5月16日発売)
Points Of View/Tom Kennedy(B, Key)(自主制作) - Released 2017. Dave Weckl on 1-2), Bill Evans(Ss, Ts on 1-2), Charles Blenzig(P on 1-7), Karla Harris(Vo on 3), Wes Ritenour(Ds on 3, 7), Chuck Roeb(G on 3), Bob Franceschini(Ss, Ts on 3-6), Lee Retenour(G on 4), Obed Calvaire(Ds on 5-6), Nick Marcione(Tp on 5), Randy Brecker(Tp on 7)., Mike Stern(G on 8), Richie Morales(Ds on 8), Bob Malack(Ts on 8) - 1. I'll Remember You 2. The Dark 3. New July 4. Just Listen 5. Roints Of View 6. Koolz 7. I'll See You 8. Gaslight Square Blues
(18/02/11)5-8曲目がトム・ケネディ作曲で、1-4曲目は参加メンバーの曲、スタンダード他。なかなかスゴいメンバーややリラックスしつつも、ベースをはじめ、それぞれのソロもあちこちで堪能できます。エレクトリックベースが5曲、4-5、7曲目はアコースティック。ジャンル的にはややフュージョン寄りですが、あまり甘くもなく、特にリーダーのベースがそれとなくだけど、目立っている感じ。こういう洗練された渋さは、なかなか味わえないかも。特に3曲目(ギターはチャック・ローブ)の都会的な渋い曲調は、聴いていて大人の曲だなあ、と思わせます。自主制作で好きなように演奏することが、ベーシストのリーダー作としてはうまく作用している感じ。5曲目はややアップテンポの4ビート。こういうジャズ的要素も少しあります。
(次点)Music Is/Bill Frisell(G, Loops, B, Ukulele, Music Boxes)(Okeh)(輸入盤)
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