長男のスーパースワンと私のScepter1001の音分析
長男がはじめて私のオーディオに興味を持ったのが、ちょうど10年前の2月。それから大学4年の今に至ります。高校の時は軽音部でベースを弾き、大学の時は3年最初まで空手とオーディオ研究会の掛け持ち、その後はオーディオ研究会に専念してました。そんな長男が某所で書いていたスピーカーの音の分析が興味深かったので、本人の承諾を得て、転載します。ちなみに長男は、大学で電気電子光通信関係専攻です。そして私はこの測定の時に分かったのですが、8,000Khz以上が聞こえないし、多少難聴でもあるので、自然に聴ければいい派です(笑)。以下転載:
スワンのアダプターリングについて…
学校でスペアナとにらめっこして、家帰ってスピーカーのスペクトラムとにらめっこする生活。ADコン作ってるんだし仕方ないね。
アダプターリング付きのスワンの周特を測ったので連日ですが上げます。
周特測定には、WaveGenとWaveSpectraというフリーソフトを使います。なかなか優秀なソフトで、20〜20kの音圧特性なら素人には十分な精度で測れます。仕組みは単純で、WaveGenでSweep信号を出してやって、WaveSpectraでフーリエ変換、ピークホールドで周波数特性を記録する形です。
こいつをPCにいれてやって、PCのラインアウト(WaveGen)→アンプ→スピーカー→マイク→PC(WaveSpectra)という構造を作ってやればスピーカー(とその間にあるマイク)の周波数特性がわかります。
まずはアダプターリングなしの時のスワンの特性です。
横軸は20〜20kHzになってます。
要はこの特性が横一直線になればいわゆる周波数特性のいいスピーカーになるわけですが、20Hzからしっかり出ているものの、70〜80Hzに大きなディップが生じていたり、50と110Hzにピークが生じていたりして、デコボコな周特になってます。聴覚上もたまに聞こえない低音があって不満でした。高域が20kまで行かずに落ちているのはおそらくマイクのせいでしょう。
これが今回のアダプターリング(金色のリング)付きのスワンの周特です。
前の測定と比べて、音圧が揃ってないのは気になるところではありますが、音圧を変えても特性には大差なかったので問題ないでしょう。
20Hzの量は減ったものの、大きなディップもなく、かなりきれいに出てます。
確かにクセはなくなったとは思っていましたが、ここまで良くなっているとは思いませんでしたね。
考えられる要因としては
・空気室の容量がリングの厚み分だけ増えた
・バッフルリングを追加した事によるバッフル効果の低減
・バッフルリングによるフレーム強化
でしょうか。
空気室の容量は約2.2リットル(130mm×130mm×130mm)から、アダプターリング分(直径103mm×厚み13mm)だけ増えて約2.3リットルになってます。
空気室容量が変わるとユニット正面から出る音と、ホーンから出る音の重なる周波数が変わります。
ネットに出回っている計算式は
クロスオーバー周波数=10×スロート断面積÷空気室容量
です。
スロート断面積はホーンの一番狭いとこの面積で、スワンの場合42cm^2です。
すると、
リング無しの場合190Hz
リング有りの場合180Hz
になります。
…あまり関係ないようですね。
バッフル効果についてはあまり詳しくはないんですが、波の性質上、角があるとそこを起点にして反射波が生じるとかなんとか。
ただこれだと高域の暴れが少なくなる理由にはなりますが、低域のディップの消滅の説明にはならないですね。
他にはリングをしっかり固定するために鬼目ナットを使ったので、ホーンをより駆動できるようになった、とかだったりするんでしょうかね。一応、低域ディップは「部屋がスワンのショートホーンの延長としてしっかり機能した」ということで説明がつく気がします。(ちなみにスワンは低音用の大きなホーンを途中でぶった切った、ショートホーンを採用し、部屋を疑似的な延長ホーンとして機能させるため(タンノイのオートグラフ等と同じ)、部屋の環境にはかなり影響受けます)
とはいえホーンの後ろ側の環境はあまり変えてないというのと、鬼目ナットにそこまで効果があるとは思えないのでイマイチ納得はいかないですが…
案外他にはマイクの位置が奇跡的に定在波の影響の少ない所で測った、とかいうただの「気のせい」だったり、過去の測定では左右逆相でだしてたりするかもしれませんね。
また後日マイクの位置を変えて測定してみようと思います。
次に父が気に入ってるスピーカー、Scepter1001です。こいつは30cmウーファーを持っている古い3wayスピーカーで、公称値だと25Hz〜40kHz出ます。そこそこ評判のいいスピーカーで、直線性もまぁまぁあるハズのこいつでも50Hzが落ちてます。スワンと違ってディップが生じる理由もないので、50Hzがおそらく部屋の定在波でしょう。スワンと違うのは設置位置の違いと、方式の違いによるものかな?高域もスワンと同じように落ちているので高域はおそらくマイクの特性でしょう。デコボコもリングなしスワンと比べるとマシですね。
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