私的2016年ジャズベスト3
今年もベスト3の季節がやってきましたが、年々購入枚数が減ってきて、頭も固くなってきたせいか、ミュージシャンが定番化する傾向にありますね。特に上原ひろみは新譜が出るたびにベスト3にあげていたような気が。正統派ジャズが主流ではないし。まあ、いろいろな方が年末ベストをやるので、あちこち見てまわるのも面白いかと思います。
Spark/上原ひろみ(P、Key)(Telarc)
Spark/Hiromi Uehara(P, Key)(Telarc) - Recorded October 9-12, 2015. The Trio Project Featuring Anthony Jackson(B) And Simon Phillips(Ds) - 1. Spark 2. In A Trance 3. Take Me Away 4. Wonderland 5. Indulgence 6. Dilemma 7. What Will Be, Will Be 8. Wake Up And Dream 9. All's Well
全曲上原ひろみの作曲。今回は9曲で72分と、長尺な曲が多いです。Aliveでけっこうスゴいことになってきたなあと思ったら、さらにその上を行く複雑さとプログレチックなジャズ/フュージョンになっています。やはり変拍子が多い。タイトル曲の1曲目からして複雑なリズムと展開、その上を舞うメロディックかつメカニカルなピアノと、これは耳をひきつけて離さないサウンド。それでいてけっこうドラマチックだなあという思いも。結成5年というThe Trio Projectは、こっち方面では追随するものがいないのではないか。さらにアクロバティックになっていますが、先の読めない素晴らしい展開には驚きます。3曲目のように落ち着いた曲もあって変化に富んでいるけど、やはり彼女達ならではのサウンドです。8曲目はソロ・ピアノの演奏。(16年2月3日発売)
The Unity Sessions/Pat Metheny(G, G Synth, Electronics, Orchestrionics)(Nonesuch)(輸入盤) - Released 2016. Chris Potter(Ts, Ss, Bck, Fk, G), Antonio Sanchez(Ds, Cajon), Ben Williams(B), with Giulio Carmassi(P, Flh, Whistling, Synth, Vo) - [Disc 1] 1, Adagia 2. Sign Of The Season 3. THis Belongs To You 4. Roofdogs 5. Cherokee 6. Genealogy 7. On Day One 8. Medley [Disc 2] 1. Come And See 2. Police People 3. Two Folk Songs(#1) 4. Born 5. Kin 6. Bise Up 7. Go Get It
(16/05/19)CD2枚組。[Disc 2]2曲目がオーネット・コールマンとの共作、[Disc 1]5曲目がギターとサックスのデュオでのスタンダードの他は、パット・メセニーの作曲。基本この4人(もしくは5人)で、多重録音もあるのだろうけれども、2曲目で、昔のパット・メセニー・グループをほうふつとさせるようなサウンドになったのはビックリしました。ライル・メイズのキーボードがなくても、もはや不足感はないです。この後の場面でもアコースティック・ギター、あるいは抑制されたエレクトリック・ギターの出てくる場面があり、その曲の抒情性に一役かっています。もちろん4曲目のように盛り上がる場面もあるし、6曲目はフリーではじまる小品。8曲目のギター・メドレーはある意味懐かしい。パットは何を出してもどんな曲でも話題作になります。
Nearness/Joshua Redman(Ts, Ss) & Brad Mehldau(P)(Nonesuch)(輸入盤) - Recorded July and November 2011. - 1. Ornithology 2. Always August 3. In Walked Bud 4. Mehlsancholy Mode 5. The Nearness Of You 6. Old West
(16/09/26)ライヴ録音。2、6曲目がブラッド・メルドー作、4曲目がジョシュア・レッドマン作で、他はジャズメン・オリジナルかスタンダード。6曲で73分収録と、1曲あたりの時間が長め。なかなかいい感じのデュオが展開しています。2人のデュオは素晴らしい。壊れそうな雰囲気もあり、アプローチも冒険的な感じなのに、それでも安定して2人で突き進んでいくチャーリー・パーカー作の1曲目、8ビートでのメロディアスなロック的展開をしていく、今っぽいサウンドの2曲目、セロニアス・モンクの曲を彼らの独自解釈で突き進める3曲目、ミステリアスな速めの展開であるものの、引き込まれていく4曲目、切ない美しさを持つ16分もの静かなバラードの5曲目、やはりポップス的なビートとメロディを持っている少し自由な感じの6曲目。
「次点」
Black Orpheus/Masabumi Kikuchi(P)(ECM 2459)(輸入盤)
Rising Grace/Wolfgang Muthspiel(G)(ECM 2515)(輸入盤)
Aziza/Dave Holland(B)/Chris Potter(Ts, Ss)/Lionel Loueke(G, Vo)/Eric Harland(Ds)(Dare2 Records)(輸入盤)
マイ・ルーム・フォー・クリスマス/ウィリアムス浩子(Vo)(Berkeley Square Music)
「特別編」
A Multitude Of Angels/Keith Jarrett(P)(ECM 2500-03)(輸入盤)
20年前の録音なので、ノミネート外となりましたが、やっぱりいいと思います。
「ジャズ/フュージョン以外のベスト」
Live At Wembley/BABYMETAL(Toysfactory)(Blu-rayまたはDVD)
今年のマイ・ブームとなってしまいました。
« Andras Schiff/Ludwig Van Beethoven/The Piano Sonatas | トップページ | Andras Schiff/Encores After Beethoven »
「音楽」カテゴリの記事
- Celebration Vol.1/Wayne Shorter(2024.09.08)
- Twentyfour/Al Di Meola(2024.09.05)
- Transylvanian Dance/Lucian Ban, Mat Maneri(2024.09.04)
- Keel Road/Danish String Quartet(2024.09.03)
- Moondial/Pat Metheny(2024.09.02)
「ジャズ」カテゴリの記事
- Celebration Vol.1/Wayne Shorter(2024.09.08)
- Twentyfour/Al Di Meola(2024.09.05)
- Transylvanian Dance/Lucian Ban, Mat Maneri(2024.09.04)
- Moondial/Pat Metheny(2024.09.02)
- パープル/ミロスラフ・ヴィトウス(2024.08.18)
「フュージョン・ファンク」カテゴリの記事
- Opera 8/Claudio Scolari Project(2024.05.10)
- The Third/Plastic Dogs(2024.05.06)
- ジルベルト・ウィズ・タレンタイン/アストラッド・ジルベルト(2024.03.19)
- ボルチモア/ニーナ・シモン(2024.03.17)
- 昨年3月にディスクユニオンに買い取りに出したCD等を振り返る(2024.03.02)
「上半期・年間ベスト」カテゴリの記事
- ’24年私的上半期のジャズベスト3(2024.06.22)
- ホームページ「ドラさんのジャズコーナー」で25年間続いた今年のベスト3(2024.01.25)
- 2023年私的ジャズベスト3(2023.11.24)
- 2023年上半期私的ジャズベスト3(2023.06.26)
- 私的2022年のジャズベスト3(2022.11.26)
コメント
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 私的2016年ジャズベスト3:
» 2016年の回顧:ジャズ編 [中年音楽狂日記:Toshiya's Music Bar]
今年の回顧もこれが最後である。恒例に従い,今年も最後はジャズで締めることにさせて頂こう。 今年もいろいろなアルバムが出た中で,私の中でECMレーベルの作品が大きな位置を占めていることは間違いないが,実... [続きを読む]
» ★ すずっく2016 JAZZインスト編 ★ [My Secret Room]
皆さまは、1年間どんなジャズを聴いてきましたか? こうやって選んだアルバムを見て [続きを読む]
» ★ すずっく2016 JAZZヴォーカル 編★ [My Secret Room]
押し詰まってきましたね。ブログ恒例のすずっく2016です。 ジャンルを超えて、と [続きを読む]
« Andras Schiff/Ludwig Van Beethoven/The Piano Sonatas | トップページ | Andras Schiff/Encores After Beethoven »
久しぶりに書き込みさせて頂きたく<(_ _)>
私はジャズギター作品をメインに漁盤してるのですが…
今年は不作の年?だったと悶々としていた所、こちらでムースピール盤とAZIZAを知る事ができ、大変informativeでした。
速攻で音源を聴きましたが、特にAZIZAは素晴らしかったです!
ちなみに、冒頭のSparkは突出して凄まじい作品であったと私も感じてます。前作も凄かったのですが、それ越えてくるとは…
私的には、Ari Hoenig の The Pauper & the Magicianも、忘れがたい魅力的な良作であった様に思います。
今後の記事も大変楽しみにしております。
ではでは!
投稿: betta taro | 2016/12/27 07:40
>betta taroさん
コメントと、いつも訪問いただきどうもありがとうございます。
今年はECMがまた50枚近くだしてくれてしまったので、他のアルバムはあまり多く買えませんでした。なのでその中でのセレクトという事になりますが、上原ひろみは内容も、ライヴでの観客動員数もすごいことになっているので、外せないかな、と思いました。
AZIZA、ムースピール盤はベスト3ではなくてベスト10にしておけば入っていた作品ですし、このあたりどっちを入れようか迷いましたので、あまり順位的な差はないのかもしれません。
今後ともよろしくお願いします。
投稿: 工藤 | 2016/12/27 09:29
工藤さん,おはようございます。
工藤さんに遅れること約1カ月,私もようやく今年のベスト盤(ジャズ編)をアップしましたので,TBさせて頂きます。
Pat MethenyはDVD/Blu-rayからの音源のはずなので,私は買いませんでした。と言いつつ,映像盤は買っていながら,見てもいないのですが(爆)。でもよくよく見ると曲順とか変えているみたいですね。
それにしてもECMのリリースのペースト,クォリティの高さには驚かされますね。私も推薦盤がECMだらけになってしまいました(笑)。Eicherだけでなく,Sun Chungのプロデュースも行けてますし,当分ECMは安泰でしょうが,財布に厳しいので,もう少しリリースを絞って欲しいっていうのが本音です。
と言うことで,本年もお世話になりました。よいお年をお迎え下さい。
投稿: 中年音楽狂 | 2016/12/30 07:53
>中年音楽狂さん
TBどうもありがとうございます。
ここ数年私は前年12月から11月までの12か月間でベストを決めてしまいます。年末は繁忙期になっていて慌ただしいので...。ただ例年12月リリースのアルバムが少ないので、あまり影響ないかとは思います。10枚ならぬ3枚だと、どうしても最大公約数的になってしまいます。
ECMの購入割合が、リリースの多さからいって4割ぐらいを占めているので、来年はこれを何とかしたいと思うのですが、何とかならないだろうなあ、と思います。もうこのペースは止まらないかと。クォリティが高いのが救いですね。
来年もよろしくお願いします。
投稿: 工藤 | 2016/12/30 08:10
今年もお世話になりました!
年間ベスト、ヴォーカルとインストでトラバいたしました。
インストは、次点までも含めると結構重なってますね。
ドラさまのベスト3に書き込みたいのですが、、
インストとヴォーカルをどうやって折り合いつけるか。。悩み中です。。
来年もよろしくお願いいたします。
投稿: Suzuck | 2016/12/30 15:36
>Suzuckさん
TBどうもありがとうございます。
インストは、そうですね、重なるの多いですね。ベスト10まで書き出しをしたとしたら、と思うのですが、当初ドラさんのところへの書き込み用だったので、毎年ベスト3で出してます。
来年もよろしくお願いします。
投稿: 工藤 | 2016/12/30 15:51