Into The Silence/Avishai Cohen
ECMの新譜が5枚届いてはいるのですが、仕事やプライベートなことなど、身辺がバタバタしていてなかなかCDを聴く時間がありませんでした。その中でも本来なら2月初旬には手に入っていたはずのこのアルバムを先に聴きたいと思ってました。ECMの快進撃が止まらない。チャールス・ロイドのように、よそに移籍したミュージシャンもありますが、割と新人だけではなくて、ある程度実績のあるミュージシャンがどんどんECMからアルバムを出すようになっています。それがECM的なサウンドになっていてなかなかいい。かと言って、個性を消すようなことはしない。これも、そんなアルバムだと思います。あのトランペットのアヴィシャイ・コーエンが、こういうアルバムを出すようになったか。
Into The Silence/Avishai Cohen(Tp)(ECM 2482)(輸入盤) - Recorded July 2015. Bill McHenry(Ts), Yonathan Avishai(P), Eric Revis(B), Nasheet Waits(Ds) - 1. Life And Death 2. Dream Like A Child 3. Into The Silence 4. Quiescence 5. Behind The Broken Glass 6. Life And Death - Epilogue
(16/02/24)全曲アヴィシャイ・コーエンの作曲。時にワン・ホーンで、時にサックスも交え、ECMならではの情景的なサウンドでのアプローチ。トランペットが登場していない部分も、絵になっています。彼が今までやってきた中では一番静かなアルバムになったのではないかと思います。それでも2、3曲目の途中など、フリー的に盛り上がる演奏の部分も。彼はテクニックがウリだけど、こういう情感あふれる曲でも作曲面や演奏面で見事に表現しています。どの曲がどうと言うより、アルバムの最初から最後まで物語になっているような印象を受けました。マイルス・デイヴィスとの比較も言われていますが、あえてそこは考えなくても。静かなアプローチが多めなのはやはりプロデューサーのアイデアか。じっくりと聴きたいアルバム。
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Avishai Cohenの初ECMリーダー作です。
2003年にリリースされたデビュー作が衝撃的で、その作品が↓
The Trumpet Player (http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/34243841.html)
その後の動向が気になってたらしばらく新譜の情報がなく、出てもあまり食指を動かされない作品だったりとちょっと動向不透明だったので、本人のhp(http://www.avishaicohenmusic.com/new-page/)では8..... [続きを読む]
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工藤さん,こんばんは。TBありがとうございました。
ECMレーベルからリリースするミュージシャンが増えたのは事実ですが,こんな人まで...って感じのミュージシャンも含まれているようにも思えます。ミュージシャン側も一度はManfred Eicherにプロデュースしてもらいたいと思っているかのようです。やはり一本筋が通っているというのは重要ということですよね。
いずれにしても,おっしゃる通り,こっちが思っているAvishai Cohenという人のイメージとは随分違うようにも思えますが,それでもしっかりしたアルバムになっていて,これはレベルが高いと思わせました。
ということで,こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2016/03/13 20:42
>中年音楽狂さん
TBどうもありがとうございます。
このアルバム、リーダーがアヴィシャイ・コーエンってことを知っていてもなかなかいいアルバムだと思いますが、彼を初めて聴く人にも、そう思わせるだけのものを持っているんじゃないかなあ、と思います。ECMの中でもいいアルバムに属しているかと思います。彼までECMかあ、という感じもしてますけど、こういうアルバムだったら許せてしまいます。
投稿: 工藤 | 2016/03/13 21:15
910さま、こんばんは。
やっぱり、アイヒヤーマジックの効果が絶大なのでしょうか。。
耽美的な静けさと強靭さを持つアヴィシャイ・コーエンの個性が花開いている感じがしました。
全体に不思議な掴み所のない浮遊感があり、終演後の印象は響きや余韻、余白を感じるECM仕様ですね。
トラバいたしますね♪
投稿: Suzuck | 2016/03/14 18:33
>Suzuckさん
TBどうもありがとうございます。
トランペットの名手ではあるけれども、ECMで出したらどんな音になるのかという不安も、聴く前は少々ありました。聴いたらいいじゃありませんか。ECMでも、個性を生かしたままの素晴らしいサウンドだな、と思いました。
投稿: 工藤 | 2016/03/14 19:20
正直なところ、Avishai Cohenの大きな魅力のひとつを欠いた作品ではあると思います。
ただし、その分別の魅力が引き出されているのも事実ですが...。
で、本作の評価は賛否両論にはなっているのもよくわかります。
個人的にも、最初ちょっと ・・・ でしたが、別の魅力が出ていることを認識して、評価変わってます。
ecmの威力、魔力は絶大だとあらためて感じた作品ということになります。
TBありがとうございます。逆TBさせていただきます。
投稿: oza。 | 2016/04/13 06:51
>oza。さん
TBどうもありがとうございます。
確かに、私も「The Trumpet Player」でひかれましたが、その良さというのはここでは消えていますよね。それでも、作曲能力も含めて、またこういう面もあるんだなあと、改めて感心した次第です。ECMに来ると、みんな変化があらわれるというのも、少々気にはなるんですが...。
投稿: 工藤 | 2016/04/13 06:59