今年は、上半期のCDを聴くのが遅れてしまい、上半期私的ベスト3はやめようかとも思ったのですが、何とか聴きたいものは聴いて、たどり着けました。ベスト3とはいっても、その中での順位は今年もつけてません。
ソロ・ピアノ部門
Creation/Keith Jarrett(P)(ECM 2450)(輸入盤) - Recorded April - July, 2014. - 1. Part I 2. Part II 3. Part III 4. Part IV 5. Part V 6. Part VI 7. Part VII 8. Part VIII 9. Part IX
(15/05/08)ソロのインプロヴィゼーションのライヴで、東京が4曲(2、5-6、9曲目)、トロントが1曲目、パリが3曲目、ローマが3曲(4、7-8曲目)。複雑なフレーズはあまり前面に出てこないですが、じっくりと音を連ね、美しく荘厳なサウンドを作り上げています。プロデューサーはキース・ジャレット本人。ソロは’05年に出てからは、’08年、’11年とあまり出てこなかっただけに、この’14年の録音は貴重な音源かも。多くの曲は穏やかな世界が広がっていて、これはもはや悟りの境地かも、と思えるような静かながら奥深い雰囲気が漂います。6-9分台と時間的にもだいたい同じ長さぐらいの曲が並びます。明るい曲も哀愁漂う曲も綾織り系の曲もあるけれど、いろいろな道をたどってきて、ここにたどり着いたのでしょうか。
ソロのインプロヴィゼーションのライヴで、短め、かつ難解な部分がほとんどないということで、気に入りました。70歳のキースの誕生日に発売されました。
ピアノ・トリオ部門
Now This/Gary Peacock(B) Trio(ECM 2428)(輸入盤) - Recorded July 2014. Marc Copland(P), Joey Baron(Ds) - 1. Gaia 2. Shadows 3. This 4. And Now 5. Esprit De Muse 6. Moor 7. Noh Blues 8. Christa 9. Vignette 10. Gloria's Step 11. Requiem
(15/05/29)ゲイリー・ピーコック作が7曲(1-3、6、8-9、11曲目)、マーク・コープランド作が2曲(4、7曲目)、ジョーイ・バロン作が5曲目、スコット・ラファロ作が10曲目。ロマンチックなピアノのコープランドなので、いつもよりは自由(フリー)な展開があったとしても割とメランコリックに、抒情的に進んでいきます。6曲目の少しゆったりした中でのフレーズは見事かも。コープランドの曲でも鋭いところもあります。トリオとして強力な布陣ですが、多少枯れつつも、トンガった感じも出しているところがさすが。ピーコックは、年齢的にも衰えを感じさせず、いい感じの曲を書き、演奏をしています。作曲名はあるけれど、大部分が即興で成り立っている曲が多そう。そのバランスはなかなか。10曲目も何となくオリジナルのようです。
ゲイリー・ピーコックも80歳ほどになるのだけど、まだまだ現役でいける、と思います。トリオのメンバーもいいし、他で大物のトリオが聴いた中では少なかったこともあって、このアルバムを選びました。
コンボ部門
The Meridian Suite/Antonio Sanchez(Ds, Key, Vo) & Migration(CAM Jazz)(輸入盤) - Recorded December 15-17, 2014. Seamus Blake(Ts, EWI). John Escreet(P, Key), Matt Brewer(B), Special Guests: Thana Alexa(Vo), Adam Rogers(G) - 1. Grids And Patterns 2. Imaginary Lines 3. Channels Of Energy 4. Magnetic Currents 5. Pathways Of The Wind
(15/07/11)全曲アントニオ・サンチェスの作曲。5曲で55分と1曲平均が長く、曲と曲は続いてますが、壮大だしドラマチックで、賑やかな場面もあれば静かな場面も。変拍子の場面はけっこうあります。変拍子基調もあって時にストップもしたりしながら、盛り上がってこれでもかと来る1曲目、じっくりと進んで前半バラードでありつつ徐々に盛り上がる一部歌詞付きの2曲目、時に爆発しそうに激しく、そしてメカニカルに進んでいくけっこうカッコよいドラムスの3曲目、短いけれど、フリー的展開で激しくぶつかり合う4曲目、静かになりつつもまたドラマチックに進んでいき、21分台もの壮大な物語が進んでいく、そして終わりを迎える5曲目。やはり、パット・メセニー・グループに長く在籍していたことが、曲つくりに大きく影響があるか。
このアルバム1枚分物語性を持っているようなアルバム、なかなか衝撃的ではありました。なかなか他では聴くことのできないアルバムではないか、と思います。
次点
Imaginary Cities/Chris Potter(Ts, Ss, Bcl) Underground Orchestra(ECM 2387)(輸入盤) - Recorded December 2013. Adam Rogers(G), Craig Taborn Steve Nelson(Vib, Marimba), Fim Ephron(B-Guitar), Scott Colley(B), Nate Smith(Ds), Mark Feldman(Vln), Joyce Hammann(Vln), Lois Martin(Viola), David Eggar(Cello) - 1. Lament 2. Imaginary Cities 1 (Compassion) 3. Imaginary Cities 2 (Dualities) 4. Imaginary Cities 3 (Disintegration) 5. Imaginary Cities 4 (Rebuilding) 6. Firely 7. Shadow Self 8. Sky
傾向的にアントニオ・サンチェスと似てなかったら、こちらがベスト3に入っていたかもしれないです。それにしても今年はECM比率がたかいな(笑)。
(追記)私の好みとするジャズは、いわゆるオーソドックスな4ビートジャズではないので、その点はご注意を。
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