マンガ「ブルージャイアント(Blue Giant)」が面白い
ふとしたきっかけが元で、「ブルージャイアント(1-5)/石塚真一著」(小学館)をまとめ買いしました。ジャズを好きになった少年がテナーサックスをやって、徐々に成長しながら話が進んでいくのですが、ストーリーは5巻目にしてまだまだ出だしの部分かも。でも、ハマってしまいました。
音を出さずに音を表現できる音楽マンガってなかなかなくて。過去に読んだ中では「BECK(1-34巻)/ハロルド作石著」(講談社)、「坂道のアポロン(1-9巻)/小玉ユキ著」(小学館)の2つは、スゴい、と思いました。とは言いつつも両方ともアニメ化されているので、音も出てしまってはいるのですが。ただ、自分も若いころ、アマチュアのマンガ書きとして、音楽マンガをトライしてみたことがあるけれど、紙から普通、音は感じられないものです。BECKはロック、坂道のアポロンはジャズでした。
話はけっこう破天荒で、現実にはありえねーって設定でもあるのですが、独学でサックスを楽譜も音楽理論も知らないで始めた主人公が、ところどころ演奏場面で才気を発揮して、いろいろなことを吸収しながらだんだん大きくなっていくというもので、こういうのは、リアリティも大切だけど、本当に話の世界に没入させてくれる作者の方、タダものではないな、と思います。ジャズって狭い世界のことなのに、単行本5巻目で50万部突破ということは、一般ウケしているからでもありますね。普通音楽好きな漫画家はだんだんマニアックな世界にハマっていって、万人受けするようなストーリー展開は難しいのです。それをマニアックな世界も垣間見せながら、グイグイと物語も含めてひきつけてくれます。
ジャズ・ミュージシャンの世界は努力も必要だけれど才能のあるなしで決まってきてしまう部分も多い(それはマンガの中でも語られている)ので、それをマンガに置き換えて本当に作者が主人公の突き抜けた才能を描き切ることができるのか、このマンガ、追いかけてみたいと思います。
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石塚真一の熱血ジャズマンガ。
ジャズにハマってしまった高校生が、世界一のプレーヤーを目指してサックスを吹きまくる。
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910様 大変ご無沙汰しております。
この漫画、普段自分がジャズを聴きながら悶々と考える肝の部分にしっかり触れてくるので、私もかなりハマっています。少なくとも私以上にジャズ好きな作者なのかなとは思っています。
自分のところでもなんとかこの作品を紹介しようと考えていたところでした。もし書けたらトラバさせて下さい。それではまたよろしくお願いします。
投稿: ki-ma | 2015/03/21 01:31
>ki-maさん
こんにちは。
このアルバム、ミュージシャンサイドでも受けている人があるようで、決して底の浅いジャズマンガではないと思います。まあ、楽器の細かい部分その他突っ込みどころはあるそうですけど。
マンガゆえ、ネタバレ的なことをあまり書けないのですが、ki-maさんの紹介も読んでみたいです。よろしくお願いします。
投稿: 工藤 | 2015/03/21 13:56
わたしもばっちりはまってます。
早く、6巻がでないかな〜。
投稿: Suzuck | 2015/04/07 08:42
>Suzuckさん
紙のマンガから音が聴こえてくるようなところがスゴいですね。この作者は本当に世界一のミュージシャンになるまでを描き切れるかどうか、注目したいです。この技量ならできてしまうんだろうな、と思ったりして。
投稿: 工藤 | 2015/04/07 16:59