私的2014年ジャズベスト3
いよいよ12月に入ってきて、私的2014年ベスト3を発表する時期になりました。今年は順不同ではなくて順位発表ができます。
「総合部門1位」Alive/上原ひろみ(P)(Telarc)
Alive/Hiromi(P)(Telarc) - Recorded February 5-7, 2014. The Trio Project Featuring: Anthony Jackson(B), Simon Phillips(Ds) - 1. Alive 2. Wanderer 3. Dreamer 4. Seeker 5. Player 6. Warrior 7. Firefly 8. Spirit 9. Life Goes On
全曲上原ひろみの作曲。このトリオのCDは3枚目。相変わらずスゴいトリオです。どの曲もドラマチックな展開。荘厳にはじまり、性急な感じの変化に富むリズムで突っ込んでくる緩急自在の1曲目、しっとりと静かにせまると思うと中盤4ビートの、ドラマチック感じが印象的な2曲目、7拍子基調で、やはり進行しながら変化していく3曲目、シンプルな8ビートで落ち着いた長調系の4曲目、変化していく安定したリズムの上を縦横無尽にピアノがかけめぐる5曲目、しっとりとはじまり、複雑なリズムを経て盛り上がって行くダイナミクスの大きい6曲目、クラシックのようにピアノが静かにはじまり、そのままソロ・ピアノで語りかける7曲目、シンプルにゴスペル的な進行をしていく8曲目、活発なリズムの曲でごキゲンな雰囲気で最期を飾る9曲目。(14年5月21日発売)
だいたい毎年のように上原ひろみがベスト3に入っていることが多いのですが、今回は前作「Move」に比べても深化していて、今年の最多ローテーションアルバムになってしまいました。国内盤で買ってますけど、予備に安い輸入盤を注文しているほどです。今年は部屋のスピーカーも2種類に増え、スーパーウーファーも購入して、そのリファレンスとしてかけているアルバムでもあります。売れているアルバムですが、いいものはいい、ということで。
「2位」Three Times Three/Antonio Sanchez(Ds and Add Key on 2)(Cam Jazz)(輸入盤) - Recorded October 27, 2013(on 1-3), December 4, 2013(on 4-6), December 16, 2013(on 7-9), Brad Mehldau(P on 1-3), Matt Brewer(B on 1-3), John Scofield(G on 4-6), Christian McBride(B on 4-6), Joe Lovano(Ts on 7-9), John Patitucci(B on 7-9) - 1. Nar-this 2. Constellations 3. Big Dream 4. Fall 5. Nooks And Crannies 6. Rooney And Vinski 7. Leviathan 8. Firenze 9. I Mean You
(14/10/25)CD2枚組で、3曲ずつ3つのトリオでの贅沢な演奏。アントニオ・サンチェス作が6曲(2-3、5-8曲目)で、他はジャズメン・オリジナル。1曲目はNardisで、このメンバーだからなのか、ちょっと普段と違って、そして盛り上がり。ピアノの個性的な演奏がカッコいい2曲目、盛り上がりつつも厳かな感じがするバラードの3曲目、太いボトムに支えられつつ浮遊感満点のギターが燃え上って行くのがいい4曲目、16ビート基調の5拍子のファンクが中盤で4拍子のアップテンポになる5曲目、アップテンポの4ビートもあるジョン・スコ感満載の6曲目、サックストリオも変拍子でやはり燃え上る感じの7曲目、この中ではやや静かで内省的と言えなくもないやり取りが展開する8曲目、いかにも彼らの演奏ですがモンクらしさもある9曲目。
トリオ、3組、3曲と格好から入るも、内容的にはアルバム3枚分ぐらい充実していて、これまたなかなかいいアルバムです。メンバーもよくこれだけ集められたなあ、という感じ。しかもイレギュラーな2枚発売ということができたのも、Cam Jazzが推しているミュージシャンだからじゃないかと思います。
「3位」Stories/Enrico Pieranunzi(P)(Cam Jazz)(輸入盤) -Recorded February 22 and 23, 2011. Scott Colley(B), Antonio Sanchez(Ds) - 1. No Improper Use 2. Detras Mas Alla 3. Blue Waltz 4. The Slow Gene 5. Which Way Is Up 6. Where Stories Are 7. Flowering Stones 8. The Real You
(14/05/31)4曲目がスコット・コリー作で、他は全曲エンリコ・ピエラヌンツィ作。アルバム的には時々ある激しめの曲がアクセントか。いきなり変拍子系のハードでアグレッシヴな展開になっていて、フリーへの接近も見せている1曲目、哀愁の渋いメロディでせまって、それでいて盛り上がるラテンリズムでの2曲目、活発に演奏していてもやはり美メロの素質は隠せないワルツの3曲目、やはりワルツ系でしっとり感と哀愁のたかい静かめの4曲目、変幻自在なフリー的な演奏が展開する、このアルバムの中ではちょっと異質な5曲目、しっくりと慈しむようにメロディを弾いていくバラードの6曲目、最初自由なんだけど淡白に展開していって、まとまりとやや盛り上がりのある7曲目、ゆったりとして牧歌的に語りかけるように演奏する8曲目。
これもスピーカーが増えた時のアコースティックサイドとしてよくかけていたアルバムです。激しさと美メロのバランスも良く、これまたかなり聴いていた1枚。今年はCam Jazzから2枚。
実は今年ECMを50枚以上買っているのですが、いつもECMでベスト3に入ってこないことが多いのは、爆発的にいい、というより静かにふつふつといい感じ、ってアルバムが多く、ベスト10までなら入るでしょうけど、年間3枚にはなかなか入らない、ということがあると思います。ちなみに、今年のECMベストは「Spark Of Life/Marcin Wasilewski Trio w/Joakim Milder」(ECM2400)です。
「次点」「ビッグバンド」「ボレロ/マンハッタン・ジャズ・オーケストラ」(Paddle Wheel)(国内盤)
クラシックの題材のビッグバンドアレンジ。賛否両論あるでしょうけど、やはりこのアレンジの安定感はタダ者ではないと思います。
「ハードコアフュージョン」「Chronosystem/Next Order」(Order Tone Music)(Bomba)(国内盤)
やはり私の好みとしてハードコアフュージョンがあるのですが、このバンドの集大成的1枚が出たということで、やはりへヴィー・ローテーションになってます。
あくまでも個人的ベストですけど、これが終わるといよいよ年末かあ、という気持ちになってきますね。
« Konstantia Gourzi/Music For Piano And String Quartet | トップページ | Anna Gourari/Visions Fugitives »
「音楽」カテゴリの記事
- CD処分にあたって書かなかったひとつの理由(2023.05.28)
- CD(レコード)を処分するかどうかの分水嶺(2023.05.26)
- 買い取られたCDを追っかけてみる(その2)(2023.05.21)
- Eventually/Jacob Young/Mats Eilertsen/Audun Kleive(2023.05.20)
- Leaving/Richie Beirach(2023.05.19)
「ジャズ」カテゴリの記事
- Eventually/Jacob Young/Mats Eilertsen/Audun Kleive(2023.05.20)
- Leaving/Richie Beirach(2023.05.19)
- Our Daily Bread/Trio Tapestry/Joe Lovano(2023.05.18)
- Vagabond/Dominic Miller(2023.05.16)
- 処分した中から何枚かの買い戻し(2023.05.10)
「フュージョン・ファンク」カテゴリの記事
- Intermission/Claudio Scolari Project(2023.04.30)
- Black Book/Greg Osby(2023.04.16)
- 3-D Lifestyles/Greg Osby(2023.04.15)
- Man Talk For Moderns Vol. X/Greg Osby(2023.04.14)
- Tapestry/Bob Belden(2023.04.09)
「上半期・年間ベスト」カテゴリの記事
- 私的2022年のジャズベスト3(2022.11.26)
- ’22年上半期私的ジャズベスト3(2022.06.25)
- 2021年の私的ジャズベスト3(2021.11.28)
- 2021年上半期私的ジャズベスト3(2021.07.01)
- (過去記事)1999年の私的ジャズベスト3(2021.02.04)
コメント
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 私的2014年ジャズベスト3:
» ★ すずっく2014 ★ [My Secret Room]
2004年の12月8日にイタリアンハードバップ!で始まった秘密のお部屋は、めでた [続きを読む]
» 2014年の回顧(その4):ジャズ編 [中年音楽狂日記:Toshiya's Music Bar]
今年の回顧シリーズも本日が最後である。昨日も書いたが,今年はCDの購入枚数はボックスものが結構あったので,かなりの枚数となっているが,点数という意味では従来よりも減ったはずである。ボックス・セットは所... [続きを読む]
« Konstantia Gourzi/Music For Piano And String Quartet | トップページ | Anna Gourari/Visions Fugitives »
今年もお世話になりました。
私は恒例のベスト10をあげました。
うーん、珍しくまったく重ならなかったですね。
来年もよろしくお願いいたします。
投稿: Suzuck | 2014/12/29 18:16
>Suzuckさん
ジャズは旧譜も交えてベストにあげる人もあって、重なる確率はあまり多くないでしょうけれども、Suzuckさんのベスト、興味深く拝見しました。
こちらこそ、来年もよろしくお願いします。
投稿: 工藤 | 2014/12/29 19:15
工藤さん,こんにちは。
私もようやく今年の回顧(ジャズ編)をアップしましたので,TBさせて頂きます。私にとっては今年はAntonio Sanchez盤がダントツって感じでした。自分のチョイスは結構直球だったかなぁって気もしますが,まぁ天邪鬼の私でもたまにはそういうことも...。
ということで,本年もお世話になりました。来年もよろしくお願いします。
投稿: 中年音楽狂 | 2014/12/30 11:48
>中年音楽狂さん
TBどうもありがとうございます。
そう言えば、私の方にもベスト3で2枚リーダー作と再度参加作でアントニオ・サンチェスが入っていますねえ。やっぱり今年はこの人、っていう感じでしょうか。いろんな人のいろんなベスト3を見るの毎年楽しみでもあります。
来年もよろしくお願いします。
投稿: 工藤 | 2014/12/30 12:38