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2014年6月の記事

2014/06/30

Moskow/Joachim Kuhn/Alexey Kruglov

Joachimduo
ヨアヒム・キューンの新作が出ていました。といっても最近はあまり追いかけてなかったので、これは3月発売のものです。自分の場合、彼の演奏で一番好きだったのは、ジャン=フランソワ・ジェニー・クラーク(B)とダニエル・ユメール(Ds)とのトリオだったので、ベースが亡くなっている現状としては、なかなか追いかけられず、また、あちこちで多作の人なので、それまたなかなか追いかけられず、となってしまいました。でも、ポール・ブレイも高齢だし、その次のフリーの現役世代としては、彼が第一人者かなと。この新しいアルバムの演奏、けっこう良かったです。ただし、フリーとしてですが。1曲目が穏やかなのですが、全体的にパワフルな、それでいてカチッとしているフリー。お腹いっぱいになります。


Moskow/Joachim Kuhn(P)/Alexey Kruglov(As)(ACT)(輸入盤) - Recorded November 5, 2012. - 1. Poet 2. Because Of Mouloud... 3. Waltz For You 4. Reserching Has No Limits 5. Desert Flower 6. Homogeneous Emotions 7. Colourful Impressions 8. Phrasen

(14/06/29)ヨアヒム・キューン作が3曲(2、5、8曲目)、Alexey Kruglov作が3曲(1、3、7曲目)、オーネット・コールマン作が2曲(4、6曲目)。フリーを基調にするも情緒的な場面もあって、メロディアスにも聴かせます。しっとりとしたサックスとピアノの哀愁のある、盛り上がりもあって聴かせるバラードの1曲目、叙情的ながらフリーのフレーズを爆発させもする、絡み合うデュオの2曲目、ワルツでも硬派なアプローチをとっている3曲目、オーネットが題材でも思いっきりフリーで攻める4曲目、浮遊感がありつつ緊張感をもって2人が割とゆったり対峙する5曲目、静かに入って徐々にフリーで盛り上がる6曲目、ガーンという出だしで重厚さがありそれぞれのフリーが同居する7曲目、これでもかとフリーで盛り上がっていくパワフルな8曲目。

2014/06/28

About Now/Mark Egan

Markabout
マーク・イーガンの新譜が出たので購入しました。実は5月末発売だったのですが、到着が遅れたり、聴く順番が後回しになったりで、やっと聴けました。キーボード・トリオでシンプルだけど、曲によっては多重録音でベースラインとベースでのメロディが同居したり、特にベースでのメロディを弾く方にまわるとなかなか印象的ではあります。ズバリ、ベースなのにメロディの人、というイメージ。収録時間が43分ほどと短めだったのがちょっともったいないかな、とも思いますが、昔から彼を追いかけていて、こういうリーダー作なら彼らしくていい感じだなあ、と思います。さりげなく作ったって感じなんですけど。


About Now/Mark Egan(B)(Wavetone)(輸入盤) - Released 2014. Mitchel Forman(Key), Danny Gotlieb(Ds) - 1. Sailing 2. Slinky 3. About Now 4. Cabarete 5. Graceful Branch 6. Mckenzie Partage 7. Little Pagoda 8. Tea In Tiananmen Square 9. Puerto Plata

(14/06/27)全曲マーク・イーガンの作曲。トリオ編成だけれども、多重録音でエレクトリック・ベースをかぶせている曲もあり。複弦のフレットレス・ベース(10弦?)のフレットレスでメロディをとりながらゆったりと聴かせる多重録音の1曲目、ファンク的で、淡々と進むと思うとメカニカルなキメがカッコ良い2曲目、マイナー調のメロディが印象的で盛り上がりのあるタイトル曲の3曲目、リズミカルでラテン的なテーマとアドリブで進む4曲目、多重録音でフレットレス・ベースがメロディアスに奏でて行く5曲目、今っぽいブルース進行が印象的な、ゆるいファンク的でもある6曲目、ベースがメロディの静かなバラードの7曲目、メロディがベースの多重録音のマイナーファンク的な8曲目、小品だけどリズミカルなマイナーラテンという感じの9曲目。

2014/06/26

Alana's Fantasy/Justin Robinson

1371
Criss Crossレーベル新譜聴き4日目で一段落。ベーシストのドゥエイン・バーノが、’13年12月に急逝していた、というのを知りました。ここでは彼のラストレコーディングになってしまったそうです。今回出た4枚のCriss Cross新譜の中では、スタンダードやジャズメン・オリジナルも多く、一番オーソドックスなジャズに聴こえましたが、それでバーノに対するトリビュートになっていたんですね。ただ、そういう情報がなくてもフロントの2管はけっこう吹きまくっている場面もあるし、ピアニストもあまり知らない名前ながらけっこう幅広く、ピアノを聴かせてくれて、演奏的にもなるほど、と思わせてくれます。スペースの関係で既成曲の方はコメント書かなかったですけれども。


Alana's Fantasy/Justin Robinson(As)(Criss Cross 1371)(輸入盤) - Recorded November 4, 2013. Michael Rodriguez(Tp), Sullivan Fortner(P), Dwayne Burno(B), Willie Jones 3rd(Ds) - 1. Little Melonae 2. Eazy E 3. Alana's Fantasy 4. Jeremy Isaiah 4. When We Were One 6. Eronel 7. Libra 8. Answering Service 9. Just One Of Those Things 10. For Heaven's Sake

(14/06/25)サブタイトルに「A Tribute To Dwayne Burno」とあり、亡くなったDwayne Burnoのラストセッションとのこと。Justin Robinson作は3曲(2-4曲目)で、他はスタンダードやジャズメン・オリジナル。割とオーソドックスな4ビート・ジャズのスタイルですが、ロビンソンとマイケル・ロドリゲスは場面によりけっこう吹きまくっていて、フレーズにエネルギーを感じさせます。ピアニストはバラードからジャズ、メカニカルっぽいフレーズまで、けっこう幅広く対応しています。今っぽい音使いのややアップテンポのハードバップで、浮遊感と勢いを感じさせる2曲目、ゆったりとしたバラードの少し内省的な出だしから中盤4ビートで盛り上がるタイトル曲の3曲目、少し意表をつくテーマのメロディと、メカニカルなアドリブの展開が興味深い4曲目。

2014/06/25

Anacapa/David Binney

1370
Criss Crossレーベル新譜聴き3日目。今回のCriss Crossは4枚とも方向性が違って(ってまだ4枚目は聴いてませんけれども)、面白いです。特に今日のデヴィッド・ビニーが異端だったんじゃないかな。せめてクレジットに誰が何曲目に参加か書いてもらえれば(英文ライナーにはどの曲で誰がソロを取っているか書いてあるのもありますが)。ギターは全曲ではなくて数曲ずつの参加にとどまっているようですし(追記-たぶんほとんどの曲で2人参加しているんでは)。こういうエレクトリックの要素も強いファンクジャズは王道のジャズファンには鬼門かもしれませんけど、けっこう面白いことは面白いです。これも現代ジャズの要素ですしね。デヴィッド・ビニーのソロが多いのも収穫かも。

(追記)改めてど真ん中でよく聴いてみると、基本的に2ギター、2ドラムスのバンドのようです。


Anacapa/David Binney(As, Ts, Ss, Vo, Synth, B)(Criss Cross 1370)(輸入盤) - Recorded Fabruary 13, 2014. Wayne Krantz(G), Adam Rogers(G), John Escreet(P, Key), Matt Brewer(B), Obed Calvaire(Ds), Dan Weiss(Ds, Tabla), Sergio Krakowski(Pandeiro), Louis Cole(Vo), Nina Geiger(Vo) - 1. She Loves, Introduction 2. The Golden Zone 3. Massive Humanity 4. Distant City 5. Anacapa 6. Waiting For The Blast 7. Imagination Sets Us Free 8. Heart Shaped Mind 9. Santo Spirito 110. She Hates, Outro

(14/06/24)全曲デヴィッド・ビニー作曲。Criss Crossでは珍しいエレクトリックの要素が大きい現代ファンクジャズ。多重録音をやっているものもあるだろうし、同一楽器で2人担当のものもあるけれど、音が混とんとしている部分もあって、交替参加なのか共演なのか今ひとつ不明(基本的には2ギター、2ドラムスの変則的な編成のようです)。複雑な曲の構成、時に変拍子やそれぞれの楽器の入り組んだソロなど、エレクトリックも含んだ現代ジャズのこっち側を垣間見た感じ。3曲目はモロにビートがロックだし。4、6-7曲目にはコーラス的なヴォイスが入っていて、好みが分かれるところ。10分以上の曲が4曲(4-5、7、9曲目)あり、けっこうお腹いっぱいになるファンクです。タイトル曲の5曲目は盛り上がりがあってドラマチック。

2014/06/24

Progression/Opus 5

1369
Criss Crossレーベル新譜聴き2日目。このOpus 5も、3枚目のアルバムとなりました。現代ジャズとして聴くと、メンバーの割には現代ハードバップという感じのサウンドでとらえられるのですが、現代ハードバップとして聴いていると、けっこうその範疇の中では先鋭的に聴こえます。やっぱりこのメンバーだもの、普通にはやらないですよね。4曲目もワルツというタイトルがついていても、本当に3拍子かな?なんか7拍子に聴こえるところもあるような気がするけど気のせいかな、とか。または浮遊感のある曲が多いのですが、譜面に仮にしてみたとして調性がどうなっているのか、複雑なのではないか、とか気になる部分ではあります。腕利きの演奏は聴いていてスカッとします。


Progression/Opus 5(Criss Cross 1369)(輸入盤) - Recorded September 4, 2013. Alex Sipiagin(Tp, Flh), Seamus Blake(Ts), David Kikoski(P), Boris Kozlov(B), Donald Edwards(Ds) - 1. Snow Child 2. Fear Of Rooming 3. Climbing 4. Walk A Waltz 5. Geraldine 6. Inner Balance 7. For Instance, Take This

(14/06/23)Donald Edwards作が3曲(1、5、7曲目)、Seamus Blake作が2曲目、Alex Sipiagin作が3曲目、Boris Kozlov作が2曲(4、6曲目)。3作目。メンバーの割には現代ハードバップという感じの安定した演奏。でも複雑そうな曲です。半分ほどの曲でキーボードを使用。複雑なテーマのアップテンポの4ビートで、後半のメンバー同時演奏が迫力ある1曲目、8分の6拍子基調で浮遊感のあるテーマとアドリブが印象的な2曲目、流れるミステリアスな感触があって自由度も高そうな3曲目、けっこうメカニカルで凶暴なワルツの4曲目、浮遊感がありつつもバラード的に展開、盛り上がる5曲目、しっとりとしたバラードながらやや盛り上がりもあり、今の味付けの6曲目、メインはアップテンポで、時にミディアムにもなり突進していく7曲目。

2014/06/23

Gone But Not Forgotten/Johnathan Blake

1368
Criss Crossレーベル新譜聴き1日目。新譜の発売予定日から1か月が過ぎてようやく入手。毎回入手が遅れるので、これは何とかならないかなあ、と思うのですが。このアルバム、ジョナサン・ブレイクのCriss Cross初リーダー作で、しかもピアノレスのクリス・ポッターとマーク・ターナーをフロントにしたアルバム。発売前から気になってました。2人の違いは、手持ち楽器をアルト・フルートやソプラノ・サックスに持ち替えた時は別にして、思ったほどには個性の違いが分かりづらい感じではあります。あえて似せて吹いているのかな、という気も。それでも例えば8曲目のターナーの浮遊感あふれるフレーズなどで、やっぱりポッターとの2人の個性は違うんだなあ、ということを実感した次第です。選曲もけっこう渋好みで、マニア受けしそうなアルバムですね。


Gone But Not Forgotten/Johnathan Blake(Ds)(Criss Cross 1368)(輸入盤) - Recorded February 20, 2014. Chris Potter(Ts, Afl), Mark Turner(Ts, Ss), Ben Street(B) - 1. Cryin' Blues 2. Firm Roots 3. Maracas Beach 4. All Across The City 5. Broski 6. Born Yesterday 7. Circle Dance 8. New Wheels 9. Anysha 10. The Shadower 11. Two For The Blues

(14/06/22)Johnathan Blake作は2曲(6、10曲目)で、他は新旧のジャズメン・オリジナル。ちょっと地味な選曲が多めな印象。中には4曲目のジム・ホール作、7曲目のポール・モチアン作もあり。ピアノレスの2ホーン。ホーンは2人とも有名で、かつ個性的な演奏を聴かせてくれます。ピアノレスのせいか、やりたい放題に吹きまくっているという感じ。2人のホーンはそんなに対照的というほどでもないけれど、その温度感やフレージングで比較的分かりやすいと思います。マーク・ターナーがよそではフレージングも含め、静かな印象が強いのですが、ここではそれなりにけっこう吹きまくっています。8分の6拍子でちょっと懐かしさと郷愁感のある、やや重めの6曲目、渋めのテーマとドラムソロがメインの流れのあるこだわりの10曲目。

2014/06/21

Heinz Holliger/Robert Schumann/Aschenmusik

2395
ECMレーベルで、New Seriesが1枚届いたので、これを先に聴いてしまいます。ドカドカたくさん出るときは出るのに、今月入手したECM盤は3枚だけ。まあ、まったく出ない月もあるし、こればかりは出る方に合わせるしかないのですが。今回のアルバムはシューマンのアルバムで、中盤にハインツ・ホリガー作のシューマンを題材にした現代音楽をはさみこんでいるという、ECMお得意のカップリングをしたアルバムです。こうすると何だか水の間に油がはさまっているような感じもしないでもないのですが、ヨーロッパでは意外にこういうアルバムが売れているのかもしれませんね。


Heinz Holliger/Robert Schumann/Aschenmusik(ECM New Series 2395)(輸入盤)Recorded July 2012 and November 2013. Heinz Holliger(Oboe, Oboe A'dmore), Anita Leuzinger(Cello), Anton Kernjak(P) - Robert Schumann: 1-6. Sechs Stucke In Kanonischer Form Fur Oboe D'amore, Violoncello Und Klavier Op.56 7-9. Drei Romanzen Fur Oboe Und Klavier Op.94 Heinz Holliger: 10-15. Romancendres Fur Violoncello Und Klavier Robert Schumann: 16. Intermezzo Aus Der FAE-Sonate In A-Moll, WoO 2 17-19. Sonate Nr.1 Fur Pianoforte Und Violine In A-Moll, Op.105

(14/06/21)ロベルト・シューマンは19世紀ドイツの作曲家、Heinz Holligerは20世紀生まれのスイスのオーボエ奏者、現代音楽家。シューマンを前と後に置き、真ん中にホリガーの現代音楽を置くというECMお得意の手法で両方聴かせています。前半が1840年代、後半が晩年の1850年代という配置がしてあって、作曲の時系列的にはなってます。ホリガーの曲はシューマンの楽譜を妻のクララが焼き捨てたことを題材にした曲で、関連性あり。

2014/06/19

Inventio/Jean-Louis Matinier/Marco Ambrosini

2348
ECMレーベル新譜聴き2日目。今月はなぜかECMの新譜が少ないです。昨日紹介したキース・ジャレットとチャーリー・ヘイデンのCDのように、ものすごく売れることが予想されるアルバムもありますが、今日紹介するアルバムは、日本のジャズファンがほとんど名前を知らないミュージシャン、しかも内容的にはインプロヴィゼーションもあるだろうけど実際にはジャズではなくて、ヨーロッパの民族音楽とかクラシック/現代音楽とのボーダーレスになっている作品です。でもこの方がECMらしい感じもしています。まあ、売れ行きはレーベルファンが買うだけで、量的にはあまり売れない感じもしてますが。こういう世界もいいですね。


Inventio/Jean-Louis Matinier(Accordion)/Marco Ambrosini(Nyckelharpa)(ECM 2348)(輸入盤) - Recorded April 2013. - 1. Wiosna 2. Tasteggiata 3. Basse Dance 4. Szybko 5. Presto From Sonata G-minor (BWV1001) 6. Inventio 4 (BWV775) 7. Taiga 8. Qui Est Homo 9. Praeludium From Rosary Sonata No.1 10. Oksu 11. Hommage 12. Kochanie Moje 13. Balinese 14. Tasteggiata 2 15. Sicilienne

(14/06/18)Jean-Louis Matinier作が7曲(1、4、7、10-13曲目)、Marco Ambrosini作が2曲(3、14曲目)、2人のミステリアスかつ現代音楽的インプロヴィゼーションが2曲目。バッハの曲も2曲(5-6曲目)にあります。9曲目がHeinrich Ignaz Franz Biber、15曲目がAndre Astierとやはりクラシックの曲なので、そちらにも傾きますが、やはり聴いてみると彼らのペースのサウンド。フランス人のアコーディオンとイタリア人のニッケル・ハルパの奏者の演奏。アレンジは大半が2人で手掛けてますが、2曲ずつそれぞれでやっています。インプロヴィゼーション的な部分もあるのでしょうが、ヨーロッパの民族音楽的な淡い哀愁の雰囲気が中心にあります。ある程度静かなサウンドが基調のように見えて、情熱的な面も見せてくれています。

2014/06/18

Last Dance/Keith Jarrett/Charlie Haden

2399
ECMレーベルの新譜が2枚届いているので、まずこれらを先に聴いていきます。最近、ECMでは録音してしばらく経ったものを出してくることがあり、これもそのひとつ。しかも、以前出したアルバムの別テイクを収録しているなんて初めてのことかもしれない。もう出せるうちは何でも出しておこうかという気持ちなのかもしれませんが、この勢いで未CD化の廃盤もどんどん出してくれるとありがたいなあ、とも思うのですが。これはキース・ジャレットとチャーリー・ヘイデンのデュオでの語り合いのアルバムですけれども、同時期録音の2枚目とはいえ、聴いていて落ち着くので、けっこう何度もかけそうです。


Last Dance/Keith Jarrett(P)/Charlie Haden(B)(ECM 2399)(輸入盤) - Recorded March 2007. - 1. My Old Flame 2. My Ship 3. 'Round Midnight 4. Dance Of The Infidels 5. It Might As Well Be Spring 6. Everything Happens To Me 7. Where Can I Go Without You 8. Every Time We Say Goodbye 9. Goodbye

(14/06/17)全曲スタンダードやジャズメン・オリジナルで、以前出た「Jasmine」(ECM 2165)と同じ時期の’07年録音です。また7、9曲目はそのアルバムの別テイク。相変わらず2人でのリラックスしたサウンドで、淡々と進んでいきます。76分収録。やはりここでもバップ色は薄く、自然にメロディがあふれ出てくる感じです。同時期の録音でも、別テイクがあっても残りものという感じがしないのは、やはりこの2人の熟練のなせる技かもしれません。曲調も前作と同じで割とゆったりしたバラードが多いです。このアルバムに何を求めるかにもよるけど、温かみとか、リラックスとかを強く感じることができて、じっくり聴くもよし、BGMにしてもよしかも。3曲目はちょっと聴くと原曲が分からない感じ。4曲目のみややアップテンポでの4ビートです。

2014/06/17

Monterey Jazz Festival: Forty Legendary Years

Montereyjazz
ちょっと予定を変更して、ジョシュア・レッドマン関係の参加作を。と言っても、彼はCD3枚組で1曲にしか録音されていませんけれども。これは40年間ほどに渡る「モンタレー・ジャズ・フェスティヴァル」のオムニバスなので、ホームページで追っかけているミュージシャンが多くて、4曲に7人参加していて、それだけいっぺんに直るのも多かったので、つい先に聴いてしまいました。発表当時全曲未発表というのも貴重でしたし、歴史的ミュージシャンを含め、けっこういろいろなミュージシャンが出ていて、資料的にも当時買って正解だったな、と思いました。デイヴ・ブルーベックとかビリー・ホリディとか’58年の演奏の記録もありますし。


Monterey Jazz Festival: Forty Legendary Years(Malpaso/Warner Bros) - Recorded October 1958 - September 1996 (Disc 2の2曲目のパーソネル)Recorded September 19, 1975. Bill Evans(P), Eddie Gomez(B), (Disc 3の6曲目のパーソネル)Recorded September 16, 1995 Bob Berg(Ts), Chick Corea(P), John Patitucci(B), Gary Novak(Ds), (Disc 3の7曲目のパーソネル)Recorded September 20, 1995. Joshua Redman(Ts), Peter Bernstein(G), Peter Martin(P), Christopher Thomas(B), Brian Blade(Ds), (Disc 3の8曲目のパーソネル)Recorded September 22, 1996. Craig Handy(Ts), Herbie Hancock(P), Dave Holland(B), Gene Jackson(Ds) - (Disc 1) 1. Star Spangled Banner 2. For All We Know 3. Fine And Mellow 4. Blueport 5. Blue Daniel 6. Straight No Chaser 7. Chalsea Bridge 8. Don't Let It Happen Here 9. Younger Than Spring 10. I Wish I Knew 11. Manteca (Disc 2) 1. Round Midnight 2. Up With The Lark 3. Tribute To Ralph Gleason 4. I Needs To Be Bee'd With 5. Goin' To Chicago 6. Along Came Betty 7. Fried Bananas 8. What Are You Doing The Rest Of Your Life? 9. Little Sunflower (Disc 3) 1. Thnk Of One 2. If You Could See Me Now 3. My Shining Hour 4. I've Got The World On A String 5. Keep Hold Of Yourself 6. I Loves You, Porgy 7. Home Fries 8. Canralope Island

CD3枚組。1958年から1996年までのライヴの集大成で、全曲未発表。有名人がずらりと並んでいますが、おさえておきたかったのは、1曲だけのビル・エヴァンスの演奏です。1973年のライヴでエディ・ゴメス(B)とのデュオ。まあ、他にも十分楽しめますが、カラフルな人材の演奏がけっこう楽しみ。2枚目の2曲目のビル・エヴァンスは軽やかな感じで、調子が良かったことをうかがわせ、ライヴの臨場感をとらえています。3枚目6曲目はチック・コリアがガーシュイン作をしっとりと演奏していて、サックスのボブ・バーグが存在感のあるフレーズを吹いています。7曲目のジョシュア・レッドマンは当時のレギュラーメンバーで、マイペースな演奏を聴かせています。8曲目のハービー・ハンコックはクァルテットでアコースティックに聴かせています。

2014/06/16

Freedom In The Groove/Joshua Redman

Joshuafreedom
ジョシュア・レッドマン過去盤聴き3日目で、リーダー作は一段落。そして他のミュージシャンの新譜が届いたので、彼はまた間を置いて、今度は共演・サイド参加作をやる予定です。今日のリーダー作、76分も収録とあったのでスゴいなあ、と思っていたのですが、11曲目のラストの曲だけホレス・シルヴァー作のボーナス・トラックでした。これだけ2ホーン(トランペット?)になっているのだけど、別な時期に別なミュージシャンで録音したと思われますが、詳細な録音データがないので、それならわざわざ収録しなくてもいいのに、と思いました。その方が統一感がとれますしね。’90年代後半はこういうのを入れるのが売れるという風潮だったのでしょうか。全曲オリジナルでもなかなかいいですよ。


Freedom In The Groove/Joshua Redman(Ts, As, Ss)(Warner Bros) - Recorded April 10-13, 1996. Peter Bernstein(G), Peter Martin(P), Christopher Thomas(B), Brian Blade(Ds) - 1. Hide And Seek 2. One Shining Soul 3. Streams Of Conciousness 4. When The Sun Comes Down 5. Home Fries 6. Invocation 7. Dare I Ask? 8. Cat Battles 9. Pantomime 10. Can't Dance 11. Strollin' [Bonus Track]

11曲目以外全曲オリジナル(76分収録)。1曲目のテーマは個性とセンスが光っている非4ビート系のファンク。作曲にはジャズ以外の音楽の影響も強い。独自な世界の曲もありますが、オーソドックスなジャズファンにも受けそうな曲も多いです。フュージョンやポップス的なコード進行の2曲目、弾むような個性的なリズムから4ビートでグングン進んでいく3曲目、朗々と歌い上げるバラードの4曲目、アドリブはシンプルだけどテーマが入り組んだフレーズの5曲目、テンポあいまい系のゆったり渋めから8分の6拍子で進む6曲目、少し淡い感覚のボッサの7曲目、カッコいいラテン的テーマとアドリブから4ビートになる8曲目、しっとりやや不思議系で途中から盛り上がるバラードの9曲目、ややシンプルなファンクといった感じの10曲目。

2014/06/15

Spirit Of The Moment - Live At The Village Vanguard/Joshua Redman Quartet

Joshuaspirit
ジョシュア・レッドマン過去盤聴き2日目。リーダー作の4作目なんですが、収録時間が157分もあるうえ、ワールドカップと重なってしまって、この土日、なかなか聴けずじまいでした。結局は結果を知っている試合の再放送を、画面だけつけて音楽を聴く、という不謹慎な方法でコメントの手直しをしてしまったのですが(笑)。それでもなかなか終わらない。まだ彼が新人に近い時期にこれだけの収録時間のライヴCDを作ってしまうのも見事だし、演奏はもっと見事ですね。まだこの時期はややオールドスタイルでの演奏もウリの時期でしたけれど、それだけではおさまらない演奏を聴かせています。’95年の録音。


Spirit Of The Moment - Live At The Village Vanguard/Joshua Redman(Sax) Quartet(Warner Bros) - Recorded March 21-16, 1995. Peter Martin(P), Christopher Thomas(B), Brian Blade(Ds) - 1. Jig-A-Jug 2. My One And Only Love 3. Count Me Out 4. Second Show 5. Remember 6. Dialogue 7. St. Thomas 8. Herbs And Roots 9. Wait No Longer 10. Neverend 11. Just In Time 12. Mt. Zion 13. Slapstick 14. Lyric 15. Georgia On My Mind [Bonus Track]

当初2CDプラスシングルCD[Bonus Track]での発売(トータル157分)。長尺の曲が多いライヴ。ジョシュア・レッドマン作は全15曲中9曲(1、3-4、6、8-10、13-14曲目)。「セント・トーマス」(7曲目)は長いソロあり。演奏スタイルも懐かしいようなブルース的な1曲目、アップテンポのピアノレス(テーマ部以外)でグングン進んでいく3曲目、ソプラノでの8分の6拍子でモーダルに盛り上がっていく4曲目、ややテンポ感が薄い明るいバラードの6曲目、引っ掛かりのあるリズムの現代ジャズの雰囲気で中盤アップテンポの4ビートになる8曲目、やや渋めでメロディアスな進行の9曲目、哀愁漂うバラードが渋い10曲目、少しユーモラスな感じもある活発なアップテンポの13曲目、静かな場面からアグレッシヴに盛り上がっていく14曲目。

2014/06/13

Joshua Redman

Joshuaredoman
ジョシュア・レッドマン過去盤聴き1日目。まずはリーダー作から、とは言うものの、コメントの手直しの必要のあるのは今日の1枚目と、4-5枚目のみで、他のアルバムはすでに手直ししてあるか、コメントが長くなって以後のものです。また、共演・サイド参加作が6枚の予定。これをずっと続けるというわけでもなく、新譜が届いたら、そちらを優先しつつの断続的な紹介になると思います。しかし、ジョシュアはデビューした時からスゴかったということが、このアルバムからも分かります。もうけっこうな貫禄がありますね。また最近のように現代ジャズの感触があまり強くない時期で、ストレートにのびのびと吹いているのも、当時の時代だし、好感触でもあります。


Joshua Redman(Ts)(Warner Bros.) - Recorded September 15, 1992. Kevin Hays(P), Christian McBride(B), Gregory Hutchinson(Ds) - 1. Blues On Sunday 2. Wish 3. Trinkle Tinkle 4. Echoes 5. I Got You (I Feel Good), 6. Body & Soul 7. Tribalism 8. Groove X (By Any Means Necessary) 9. Salt Peanuts 10. On The Sunny Side Of The Street 11. Sublimation

ジョシュア・レッドマン作は6曲(1-2、4、7-8、11曲目)。デビュー作からいきなりすごい新人あらわる、という感じ。誰風という感じにとらえがたく、すでに個性十分。他の曲はジェームス・ブラウン(5曲目)、スタンダードなど5曲。いろいろなことにチャレンジしています。少しオールド・スタイルのようなミディアムの4ビートで、懐かしめのサウンドを奏でている1曲目、やや盛り上がりのあるバラードで、メロディが印象に残るブルージーな雰囲気もある2曲目、テーマがタイトでアップテンポ4ビートの中を堂々と吹きっぷりのいい4曲目、少し浮遊感のあるラテンリズムと4ビートとキメまじりのカッコ良い7曲目、ブルース的でありながら今っぽいフレーズでくる8曲目、どっしりしつつややアグレッシヴな感じのサウンドと起伏も少しある11曲目。

2014/06/12

ホームページのコメント手直しあと1,000枚

ホームページのコメント手直しが、時々カウントの間違いだったり掲載忘れだったりして増えたり減ったりすることはあるのですが(笑)、現時点であとちょうどあと1,000枚にまで減りました(同一アルバムで重複のミュージシャンも複数と数える)。最近は過去盤聴きは新譜が少ない時だけやっていて、かつブログを更新できる時にしかできないので、’99年からはじめて15年経つというのに、逆に言うとまだ1,000枚、残っています。ホームページをはじめた当初は短いコメントでどんどんWeb上にアップしていく方向だったため、ホームページをはじめた’97年9月から、コメント手直しをする、または新しくちょっと長めのコメントを書いていく’99年までの間に、かなりの枚数がアップされています。ただ、すでに’99年までにアップしたものの3分の2以上は直っているとは思うのですが。

また、ビル・エヴァンスのリーダー作とサイド参加作で110枚残っていますが、同じ曲を割と繰り返し録音するピアニストだったために、これはコメントまでは再度手を加えなくてもいいだろうなあ、とも思ってみたり、ハービー・ハンコックやトニー・ウィリアムスなどのマイルス・バンド参加作などは、他のブログなどでもけっこう取り上げられているので、これまた手をつけなくてもいいかなあ、とも思ってみたり。そうすると、残りは850枚ほどに減るんですよね。

残り1,163枚とブログに書いたのが’11年12月15日で、もうそれから2年半が過ぎています。この間に、数十枚の手直しがもれていたCDが見つかり、数字的にはいったん増えてはいるんですけど。せめてもの救いは、特集を組んでいる重複ミュージシャンの存在で、1枚聴くと2-3枚分直っていく、というパターンもあるので、それを糧に、これからもホームページのコメント手直し、続けて行きたいと思っています。有名盤もあるし、無名盤もあると思うのですが、そのあたりはマイペース、というか自分のペースで、読者ウケとは関係ないところでやっていくことにはなるのですが...。

2014/06/11

Wish/Joshua Redman

Joshuawish
パット・メセニー共演・参加作過去盤聴き10日目で、パットは一段落。そして、ジョシュア・レッドマンの2枚目リーダー作を最後に持ってきたのは、次にはジョシュアの過去盤聴きに行こうかな(あと9枚あります)、と思ってのことでした。まあ、あくまでも予定なので分からないですが。しかし、当時のジョシュアは若いけれど風格はありますねえ。太めのサックスのサウンドで、しかもスムーズに小回りの効くフレーズも繰り出せるところなんかはいいですね。そこにパット、チャーリー・ヘイデン、ビリー・ヒギンズのバックとなれば、話題にならない方がおかしいくらいですし。パットの全面的参加作、今回紹介しきれなかったものも含めてけっこうありますが、どれもいいと思います。


Wish/Joshua Redman(Ts)(Warner Bros.) - Recorded 1993. Pat Metheny(G), Charlie Haden(B), Billy Higgins(Ds) - 1. Turnaround 2. Soul Dance 3. Make Sure You're Sure 5. We Had A Sisiter 6. Moose The Moche 7. Tears In Heaven 8. Whittin' 9. Wish (Live) 10. Blues For Pat (Live)

9-10曲目はライヴ。ジョシュア・レッドマン作が3曲(2、4、9曲目)、パット・メセニー作が2曲(5、8曲目)、チャーリー・ヘイデン作が2曲(6、10曲目)。他はジャスメン・オリジナル(1曲目)やロック・ポップス(3、7曲目)。スゴいメンバーを従えています。ジョン・コルトレーン色が薄く、割と太い音色のテナーが魅力。ジャズのまっただ中のパットの演奏もいい感じ。オーネット・コールマン作を独自のスタイルでそつなくこなす1曲目、8分の6拍子で渋いメロディアスな演奏を聴かせる2曲目、アコースティック・ギターが泣かせる3、7曲目、アップテンポの4ビートでマイナー調が渋くて密度が濃い4曲目、アップテンポの4ビートでサックスとギターの絡みやソロがいい8曲目、大らかでメロディアスなバラードから盛り上がるタイトル曲の9曲目。

2014/06/10

The Elements: Water Give Of Life/David Liebman

Davewater
パット・メセニー共演・参加作9日目。このアルバムはコメント手直しをはじめる半年ほどまえの発売だったのですが、逆言うとホームページをはじめてから1年弱でのコメントのため、結局ほぼ手直しとなってしまいました。当時はパットは、ゲスト参加の時は全曲参加か1曲だけ参加かのどちらか、という条件をつけていたようで、それで全曲参加の共演作が多かったのだと思います。このアルバムもそのひとつ。デイヴ・リーブマンとではどうかなあ、と思っていたのですが、派手さはないにしても、なかなかフィットした参加作になっています。どちらもテクの点ではかなりのものですしね。けっこう味わいがあります。


The Elements: Water Give Of Life/David Liebman(Ss, Ts, Wood Fl)(Arkadia) - Recorded January 1997. Pat Metheny(G), Billy Hart(Ds), Cecil McBee(B) - 1. Water 2. White Caps 3. Heaven's Gift 4. Bass Interlude 5. Reflecting Pool 6. Storm Surge 7. Guitar Interlude 8. The Baptismal Font 9. Ebb And Flow 10. Water Theme (Reprise)

デイヴ・リーブマン作は1-3、5-6、8-10曲目とほぼ全部で、4曲目はベースの、7曲目はギターのインタールードの小品。メセニー度は高いですが、全体のサウンドはデイヴ・リーブマン色が強い感じ。クラシック・ギターとソプラノ・サックスで寄り添うように進んでいくタイトル曲の1曲目、最初は穏やかだけどだんだん熱くなってくるややファンク的綾織り系の2曲目、ちょっとトンガリ系のテーマから4ビート的なギターソロに向かう3曲目、ウッド・フルートからソプラノに至るエキゾチック(東洋的?)なメロディの5曲目、アドリブ部分が時に4ビート的にも展開していくジャズ的な6曲目、デュオでの渋いバラードを聴かせる8曲目、アップテンポの4ビートのオーネット的なフリー進行の9曲目、1曲目のRepriseとして表情を変えて変える10曲目。

2014/06/09

I Can See Your House From Here/John Scofield & Pat Metheny

Johnicansee
パット・メセニー共演・参加作8日目。今日のアルバムはジョン・スコフィールドとパット・メセニーの共演盤という、今では考えられないようなセッションです。当時すでに大物の風格を漂わせていますが、2人ともギターを持たせるとギター好きなギター小僧になってしまう、というイメージがあり、ここでもそのギター度は120%と言っていいぐらいにあります。特に伝統的なジャズにこだわらない方だったら、このギター、他ではなかなか聴くことができないような素晴らしい(ラフな雰囲気ではありますが)サウンドになっていて、おススメです。久しぶりに聴いてみて、やっぱり自分はこういう世界が好きだったんだなあ、と改めて思います。


I Can See Your House From Here/John Scofield(G) & Pat Metheny(G)(Blue Note) - Recorded December 1993. Steve Swallow(B), Bill Stewart(Ds) - 1. I Can See Your House From Here 2. The Red One 3. No Matter What 4. Eberybody's Party 5. Message To My Friend 6. No Way Jose 7. Say The Brother's Name 8. S.C.O. 9. Quiet Rising 10. One Way To Be 11. You Speak My Language

ジョン・スコフィールド作が6曲(1、3-4、6、10-11曲目)、パット・メセニー作が5曲(2、5、7-9曲目)。まさかと思われる大物2人の共演アルバム。2人のギターフレーズだけでもお腹いっぱいになる説明不要の素晴らしい演奏です。セッション的でけっこうラフな感じだけれども、そこがまたいい感じ。その中でもそれぞれの曲は、ある程度曲調に変化が出ています。勝手気ままに演奏しているようでもあったり、相手の奏法をマネするような部分もあったりと、なかなか楽しい雰囲気。そしてここでもベースとドラムスの特異な?音使いが印象に残りますが、そこがまたこのセッションの個性になっているのも面白い。4ビート的な曲もありますが、ファンク的なビートの曲もあります。5曲目のようにアコースティックでしっとりした曲もあり。

2014/06/08

Reunion/Gary Burton

Garyreunion
パット・メセニー共演・参加作7日目。もうだいぶ以前にアルバムコメントを手直ししたものが大半なので、前にも書きましたけどだいぶ歯抜けですが、それでもけっこう面白いアルバムが残ってます。今日のはゲイリー・バートンのGRPでのアルバムで、ぱっと・メセニーとの再開セッション。ECM時代に何枚かパットがゲイリーのバンドに参加していたので懐かしかったのですが、当時は(特に最初は)パットも地味な感じでした。このアルバムではもう自由奔放に弾かせてもらっているようで、そういう意味ではパットの作品と言えなくもないくらい面白いです。バックのミュージシャンもなかなかの人たち揃いなので、悪かろうはずもないのですが。


Reunion/Gary Burton(Vib, Marimba)(GRP) - Recorded May 6-10, 1989. - Pat Metheny(G), Mitchel Forman(P, Key), Will Lee(B), Peter Erskine(Ds, Per) - 1. Autumn 2. Reunion 3. Origin 4. Will You Say You Will 5. House On The Hill 6. Panama 7. Chairs And Children 8. Wasn't Always Easy 9. The Chief 10. Tiempos Felice (Happy Times) 11. Quick And Running

パット・メセニーとゲイリー・バートンの再開アルバム。Polo Prtiという人の曲が3曲(1、10-11曲目)、パット・メセニー作が3作(5、8-9曲目)、ミッチ・フォアマン作が2曲(2-3曲目)、ヴィンス・メンドーサ作が2曲(4、7曲目)など。以前はゲイリー・バートンのサウンドという趣きが強かったですが、パットお得意のフュージョンサウンド)をバックに抑制が少し効きながら昔より出番が増えて、かなり存在感のあるギターです。3、5、8曲はしっとりした曲もいい感じで、昔のアルバムを彷彿とさせるような曲もありますが、その時のそれぞれの地点から演奏を交歓しあっている、とも思います。そういう意味では単なる「リユニオン」ではなくて、このアルバム自体としてけっこう楽しめるアルバムに仕上がっています。11曲目はなかなか圧巻。

2014/06/07

Beyond The Missouri Sky/Charlie Haden & Pat Metheny

Charliebeyond
パット・メセニー共演・参加作6日目。やっとここから共演・参加作として意味のあるアルバムばかりになってきます。時系列で紹介しないのは、すでに過去に紹介しているアルバムもあって歯抜けになっているからでもありますが、そういうアルバムばかり後半になるように考えていました。チャーリー・ヘイデンとパット・メセニーのデュオ(多重録音の部分もありますが)のアルバムとくれば、けっこういい出来なんじゃないか、と思う人も多いでしょうし、18年前の録音になりますが、このアルバムを聴いた方も多いでしょう。いや、やっぱりいいですね、としか言えないのですが。ただ、ジャズというカテゴリーでいいのかどうか、4ビートもバップイディオムもないので、そこはちょっと考えてしまいますが、いいものはいい、ということで。


Beyond The Missouri Sky/Charlie Haden(B) & Pat Metheny(G, All Other Instruments)(Verve) - Recorded 1996. - 1. Waltz For Ruth 2. Our Spanish Love Song 3. Message To A Friend 4. Two For The Road 5. First Song 6. The Moon Is A Harsh Mistress 7. The Precious Jewel 8. He's Gone Away 9. The Moon Song 10. Tears Of Rain 11. Cinema Paradiso(Love Theme) 12. Cinema Paradiso(Main Theme) 13. Spiritual

邦題「ミズーリの空高く」。チャーリー・ヘイデン作が3曲(1-2、5曲目)、パット・メセニー作が2曲(3、10曲目)で、他はスタンダード、映画音楽、トラディショナル他。ジャズというよりも、ベースとギターの空間を聴いているという感じ。しかも抽象的ではなくメロディアスなデュオ。チャーリー・ヘイデンのお得意デュオ試合ですが、2人の歩み寄りが見事。曲によってはかなり哀愁が漂っていて、本当に渋い。パットが多重録音でシンセサイザーやスネアなどを重ねているのも、いい味付けに感じます。収録時間も69分と、長めです。割とゆったりとした曲ばかりなので、BGMとして聴くのも、じっくり聴くのもちょうどいい感じの穏やかなサウンド。メロディが深く心にしみこんできます。その中で7曲目は明るく、やや活発なサウンドになっています。

2014/06/06

Passagio Per Il Paradiso/Pat Metheny

Patpassaggio
パット・メセニー参加作5日目。これも一人多重録音で、しかも全曲パットの作曲なので、本当だったらリーダー作の範囲ではないかなあ、とも考えますが、映画のサウンドトラックという立場もあるし、リーダー作としては出回っていないようなので、参加作にしました。静的な面の素のパットを聴くことができるような気がしてます。しかし、ここまで曲を作って多重録音をやってと、けっこうな手間だったんじゃないかと思うのですが、最近ではオーケストリオンなど、もっと手間のかかることをやっているので、まあ、本当に音楽に生きている人だなあ、と思います。かくして1ミュージシャン、1ジャンルの人になっていったのでした。


Passagio Per Il Paradiso/Pat Metheny(All Instruments)(Geffen) - Released 1996. - 1. Theme From "Passaggio Per Il Paradiso" 2. Marta's Theme 3. The Roards Of Marche 4. Marta's house Story 5. Wolf Story 6. Marta's Stag Story 7. Learning On The Road 8. Private Eye 9. Marta On The Bus, Marta In The Fields 10. Remembering Home, Meeting The Kids 11. Renato's Theme 12. Finale (It's Always Worth The Trouble) 13. Don't Forget (Renato's Theme)

演奏者が最初わからなかったのですが、ジャケットを見て、前と後ろに全曲パット・メセニーによる作曲(しかも1人多重録音による演奏)と小さい文字で書いてありました。ただ、これは映画音楽らしいゆったりとした音楽といった感じで、いつもの演奏とは趣きが違います。でも、素朴で雄大な感じ、映画の雰囲気を出すためか、やや陰影のある感じなどがサウンドを印象付けていて、やぱりパットの作曲ではないだろうか、ということが何となく分かる演奏です。当時のパット・メセニー・グループのライル・メイズが参加したとしても、ある面でこんなサウンドが出せるんじゃないだろうか、などと考えてしまいました。12曲目は12分台と長いけれど、他は1分台がら5分台の短めの曲。それでも1曲1曲が独立して聴けて、物語性もある感じ。

2014/06/05

Under Fire (Original Sound Track)

Underfire
パット・メセニーのサイド参加作4日目。ただし、これもサイドというよりは、オーケストラにゲスト・ソロイストとして参加しているので、かなり前面に出てきます。彼の数作あるサントラでは録音がいちばん早かった方ではなかったかと思います。ほぼ同時期に「コードネームはファルコン」のサントラも手掛けていますが、そちらはライル・メイズも含めたパット・メセニー・グループとしての参加でした。まあこのアルバムでは、安定したアコースティック・ギターのソロを味わうにはいいんじゃないかと。ただ、ジャズ・フュージョン色としては、ない方だと思いますが。サントラでもそれぞれの曲が曲として完結していて、インタールード的なものはないので、アルバムとしてもしっかりしています。


Under Fire (Original Sound Track)(Warner Bros.) - Released 1983. Pat Metheny(G), Jerry Goldsmith(Cond, Comp) - 1. Bajo Fuego 2. Sniper 3. House Of Hammocks 4. Betrayal 5. 19 De Julio 6. Rafael 7. A New Love 8. Sandino 9. Alex's Theme 10. Fall Of Managua 11. Rafael's Theme 12. Nicaragua

パット・メセニーが全12曲中8曲(1-4、7-9、11曲目)で、オーケストラをバックにアコースティック・ギターのみを弾いています。作曲はジェリー・ゴールド・スミス。 曲調も哀愁を帯びたものが多く、映画のサントラとしてだけではなくて、アルバムとしての完成度も高めなので、これだけでも聴く価値はあるかも。適度なしっとり感とオーケストラの重厚感や郷愁などがブレンドされていて、味わいの深い音楽になっています。映像を想起させる演奏ですね。パットのギターがソロを弾いて前面に出ているので、パットファンも聴いてみて損はない1枚。まあ、アコースティック(クラシック・ギターか)なこと、いつもの手クセフレーズはほとんどなくて、メロディを中心に奏でていることなどありますが、それでも彼の価値を損なうことはないと思います。

2014/06/04

Steve Reich/Different Trains/Kronos Quartet & Steve Reich/Electric Counterpoint/Pat Metheny

Steveelectric
パット・メセニーのサイド参加作3日目。と言いつつ、今日のアルバムは現代音楽であり、作曲された曲をアルバムの後半で、パットが多重録音で組み上げて行った演奏なので、サイド参加作、というのは適当ではないかもしれないです。ミニマル・ミュージックってハマる人はハマるようだけど、自分にとってはあまりよく分からなかったと言うか何と言うか。特にこのアルバムを’89年の発売の時に聴いた時はそうでした。ただ、強調される繰り返しが、脳に作用してかどうか、だんだん快楽になってきそうな感じではあります。まあ、パットが参加してなければ、とも思うし、同時期にECMでもスティーヴ・ライヒのアルバムは買っているし、とそのあたりのことははっきりしないのですけれども。


Steve Reich/Different Trains/Kronos Quartet & Steve Reich/Electric Counterpoint/Pat Metheny(G)(Elektra/Nonesuch) - Recorded August 31 - September 9 [Different Trains], September 26 - October 1, 1987.[Electric Counterpoint] Different Trains: 1. America - Before The War 2. Europe - During The War 3. After The War Electric Counterpoint: 4. Fast 5. Slow 6. Fast

スティーヴ・ライヒは20世紀生まれアメリカの現代音楽家でミニマル・ミュージックの創始者。彼の作品集。前半はクロノス・クァルテットによる弦楽四重奏によるヴォイスも交えた機関車の走行音を思わせるサウンド。なかなか聴きごたえがあります。後半3曲がパット・メセニーの一人多重録音による演奏ですが、反復する音符の洪水が押し寄せてくるという感じ。かなり集中して音を重ねていったと思われます。その緻密な作業は彼ならでは。

2014/06/03

Jaco/Jaco Pastorius, Pat Metheny, Bruce Ditmas, Paul Bley

Jacojaco
パット・メセニー参加作過去盤聴き2日目。参加作で古い’70年代のものは先に手をつけたものが多いので、これ1枚になります。ただ、彼の参加作としてもいちばん古い方じゃないかな。しかも、ジャコ・パストリアスが縦横無尽に弾きまくっている場面も多く、今となっては貴重なCDかもしれません。それにポール・ブレイがエレクトリック・ピアノだし、どういうメンバーで演奏しているんだ、とこれまた貴重な記録です。パットもワウをかけたギターで時代を感じさせるサウンドでもあるし、このアルバムはラフなセッションといった感じで記録されたのでは、と思います。また再発をしないかなあ、とも思うのですけど。

(追記)実はホームページのジャコ・パストリアスの英語の綴り、タイトル含めて10数年間も数か所間違っていました。お恥ずかしい(笑)。今回目についたところは全部直したつもりですが...。


Jaco/Jaco Pastorius(B), Pat Metheny(G), Bruce Ditmas(Ds), Paul Bley(Key)(DIW) - Recorded June 16, 1974. - 1.Vashkar 2. Poconos 3. Donkey 4. Vampira 5. Overtoned 6. Jaco 7. Batterie 8. King Korn 9. Blood

ジャコ・パストリアスのタイトルでクレジットも彼がいちばん先ですが、ポール・ブレイ作(2、4、6曲目)、カーラ・ブレイ作(1、3、5、7-8曲目)、アーネット・ピーコック作(9曲目)のオリジナルばかりということで、ベテランのポール・ブレイが中心か。ただし、演奏的にはジャコを聴くアルバムかと思います。長い曲もあるけど1分前後の曲も4曲あって、インタールード的に使っているのかも。当時からジャコ・パストリアスのフレットレス・ベースのテクニックにはすごいものがありました。ソロなどは独自性もありますし。パット・メセニーのギターはワウを聴かせたフレーズが目立ち、ちょっと時代を感じさせます。1、5-6曲目など、リズムに関してはファンク的、3曲目は4ビート。トータルで36分台で少しラフだけど、当時の貴重な記録です。

2014/06/02

The Sign Of 4/Derek Bailey/Pat Metheny/Gregg Bendian/Paul Wartico

Derekthesignof
さて、パット・メセニーのサイド参加作に行きたいと思います。これまた虫食いにコメント手直しが残っているので、時系列よりはランダムに、やっていこうかと思います。さてこのアルバム、通常のパットのファンには縁遠いようなサウンドなので、先に紹介します。まあ、デレク・ベイリーとの共演、ということでその内容を把握してしまう人も少なからずいらっしゃるとは思いますが。あまり多くは売れなかったCDだと思うのですが、某大手通販では適価で中古がけっこうありました。まあ、これも「Zero Tolerance For Silence」と同じ運命をたどっているのでは、と思いますが。聴くか聴かないかはお任せします。CD3枚分たっぷりと時間はありますが(笑)。


The Sign Of 4/Derek Bailey(G)/Pat Metheny(G)/Gregg Bendian(Per)/Paul Wartico(Per)(Knitting Factory Works) - Recorded December 13-14, 1996. - Disc1: A Study In Scarlet Disc2: 1. Evidently 2. Untidy Habits 3. The Rule Of Three 4. Strange Story 5. The Aurora 6. Tracks 7. A Break In The Chain 8. One Object 9. Euclid 10. Fortune Disc3: 1. Poisoned Arrows 2. Trichinopoly 3. Ransom 4. Antecedents 5. In Quest Of A Solution

3枚組で3千円ちょっとだったので、パット・メセニーの名で買った人がいると思いますが、怒っているの人もいるのでは。完全なフリーミュージック(フリージャズでなく)なので。デレク・ベイリーとの共演(というよりクレジットの順番からはパットの客演か)なので、演奏は、まあ、非イディオム系中心のフリー・インプロヴィゼーションです。と言いつつ、ハードながらパットは彼の持ち味でのソロ(といっても分かりにくいですが)を繰り広げている感じがします。これはこれで楽しめる人がいるとは思いますけど、CD3枚組ですからね(笑)。ある意味「Zero Tolerance For Silence」的なコワさがあるかも。それにしても、これを出してしまったニッティング・ファクトリーもスゴい。今では見かけない盤だと思いますが、通常のパットのファンはスルーか。

2014/06/01

Stories/Enrico Pieranunzi

Enricostories
このところ新譜がなかなか届かないので、とうとう手持ちの最後の1枚になってしまいました。また過去盤聴きに行こうかどうか。エンリコ・ピエラヌンツィの新譜です。ただここ数枚を見て気がついたのですが、彼、録音して数年してからCDを発売してますね。これも’11年の録音。まあ、演奏内容が良ければ、そういうことはあまり気になりませんけれども。激しさと美メロとを併せ持つ、そしてトリオとしても完成度が高いということで、けっこう周りではこのアルバム、評判になっていますし。入手の関係で遅れましたが、本来だったら5月上旬発売のもの。それでも聴けて良かったアルバムの1枚になりました。


Stories/Enrico Pieranunzi(P)(Cam Jazz)(輸入盤) -Recorded February 22 and 23, 2011. Scott Colley(B), Antonio Sanchez(Ds) - 1. No Improper Use 2. Detras Mas Alla 3. Blue Waltz 4. The Slow Gene 5. Which Way Is Up 6. Where Stories Are 7. Flowering Stones 8. The Real You

(14/05/31)4曲目がスコット・コリー作で、他は全曲エンリコ・ピエラヌンツィ作。アルバム的には時々ある激しめの曲がアクセントか。いきなり変拍子系のハードでアグレッシヴな展開になっていて、フリーへの接近も見せている1曲目、哀愁の渋いメロディでせまって、それでいて盛り上がるラテンリズムでの2曲目、活発に演奏していてもやはり美メロの素質は隠せないワルツの3曲目、やはりワルツ系でしっとり感と哀愁のたかい静かめの4曲目、変幻自在なフリー的な演奏が展開する、このアルバムの中ではちょっと異質な5曲目、しっくりと慈しむようにメロディを弾いていくバラードの6曲目、最初自由なんだけど淡白に展開していって、まとまりとやや盛り上がりのある7曲目、ゆったりとして牧歌的に語りかけるように演奏する8曲目。

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