「Jazz The New Chapter - ロバート・グラスパーから広がる現代ジャズの地平」
「Jazz The New Chapter - ロバート・グラスパーから広がる現代ジャズの地平」(シンコー・ミュージック)を先月買いました。以前から、特に’90年代以降のジャズの体系的な説明をしている本や雑誌がなく、そういうのが出てほしいと思っていたし、自分も結局現在進行中のジャズを聴きながら、あまりにもジャズの幅が広いので、最近はミュージシャンやレーベルに的をしぼりつつ今までジャズを聴いてきました。
通常のジャズ本と違うのは、ジャズのはじまりからの歴史がほとんど語られておらず、書かれているスタートラインがだいたい’80年代あたりになっていること。そして、今のジャズが他のジャンルの音楽とボーダーレスな影響を受けていることが書かれていること、など、特異な構成になっています。ロバート・グラスパー(すいません、私、聴いたことありません)を中心に据えているのは、ジャズに対する多面的な見方のうちのひとつかもしれませんが、そこからいろいろ枝葉のようにのびてきて、現代ジャズのアーチストや、約300枚のアルバムの紹介など、なかなか読みごたえはありました。持っているアルバムはあまり重なりませんでしたけれどもね。ただ、意外にM-BASE関係の影響が今に受け継がれてるんだな、というのは、当時M-BASE好きだった関係で、うれしい情報でした。本はページを追って読んでもいいし、読みたい部分をパラパラとめくって読むにも手ごろな本でもあります。
自分も現代ジャズを聴いているつもりで、その感性は’90年代から’00年代はじめごろまでで止まっているのかもしれず、実際に、ECMやCriss Crossのレーベル聴き以外は、あまり新しいミュージシャンを聴こうとは思わなくなってきたし。アルバムの枚数を聴いてきたってだけで、威張れるものではありませんし(笑)。これは自分自身の年齢(50代)ということにも関係しているんでしょうけれども。だから、ここに出ているミュージシャンのアルバムを端から聴いてみようという気もないですが、今のジャズとその周りにあるものを俯瞰してみるのにはこの本がいちばん手っ取り早いかな、と思います。
こういう本がもっと出るといいなあ、と思いつつ、従来のジャズの語法に固まった書き手からは出てこないと思うので、なかなか難しいところではありますが、次回作にも期待しています。
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