Baida/Ralph Alessi
ECMレーベル新譜聴き2日目。ラルフ・アレッシの新作は、こっち方面ではおなじみのメンバーばかりの普通の編成のクァルテット。でも出てくる音はマニアックというか、ECM的というか、静かでありながら緊張感をはらんでいて、時にフリーに行きそうで行かなそうで、マンフレート・アイヒャーのプロデュースがけっこううまくいっているんじゃないかと思うサウンドでした。たぶん他レーベルで録音していたら、もっとうるさいというか外向的なサウンドになっていたんじゃないかなあ、と思います。それはそれで聴いてみたいと思うのですけれども。ある意味、出るとこは出ながらもこの温度感の低さは今の季節にもいいのでは、と思います。
Baida/Ralph Alessi(Tp)(ECM 2321)(輸入盤) - Recorded October 2012. Jason Moran(P), Drew Gress(B), Nasheet Waits(Ds) - 1. Baida 2. Chuck Barris 3. Gobble Goblins 4. In-Flight Entertainment 5. Sanity 6. Maria Lydia 7. Shank 8. I Go, You Go 9. Throwing Like A Girl 10. 11/1/10 11. Baida(Reprise)
(13/09/24)全曲Ralph Alessiの作曲。やや静かだけれど緊張感をはらんだ部分も多く、さすがこのメンバー。静かなヨーロピアンフリー的な緊張感のある1、11曲目、少し素っ頓狂なテーマと複雑に絡みながらも緩急自在に進むM-BASE的でもある2曲目、ミニマル的なバックで自由に演奏している3曲目、速い3連譜的な出だしから、静かになったりうるさくなったり、スリリングな4曲目、ゆったりとしながらも冷たい妖気をはらんでいる5曲目、しっとりとした3拍子ながら幽玄な雰囲気もある6曲目、元気で弾む感じも浮遊感も時に4ビートもある不思議な7曲目、静かに歩むようなところからスピリチュアルに盛り上がる8曲目、ゆらゆらと揺れるようなフレーズとバックが印象的な9曲目、ドラムスとのデュオからフリー的に絡み合う10曲目。
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Ralph Alessi(Tp)
Jason Moran(P)
Drew Gress(B)
Nasheet Waits(Ds)
Rec. October 2012, NY
(ECM 2321)
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こちらからもTBさせていただきます。
同一メンバーでやっている「Ralph Alessi/Cognitive Dissonance」もECMっぽいところがあったので、本作がECMからリリースされたのは自然な流れだったと思います。
アイヒャーがプロデュースしているからといって、過度に静的になっているわけでもなく、動的なものとのバランスのいい、またさすがにこのメンバーだけのことはある演奏が楽しめました。
投稿: nary | 2013/09/26 23:44
>naryさん
TBどうもありがとうございます。
よく自分のブログを検索してみたら、「Cognitive Dissonance/Ralph Alessi」は聴いていました。ちょっと前のことだったので、忘れてすいません。確かにこの路線の先にこのアルバムがあったっていう感じですね。ブレていないところはさすがです。ここでも彼らのやりたい方向でやっているという感じでした。
投稿: 工藤 | 2013/09/27 07:05
こんばんは。
ECM(マンフレート・アイヒャー)の音楽性と上手くマッチしてなかなか良いアルバムになっていますよね。
最近ニューヨーク・ダウンタウンな感じとECMのコラボが目立ってきているので私は注目しています。
実はアレッシの『Cognitive Dissonance』は聴いていないのですが、これも聴いてみたくなってきました。
トラバさせていただきます。
投稿: いっき | 2013/10/27 21:34
>いっきさん
TBどうもありがとうございます。
このアルバムはそう言えばニューヨークのアヴァター・スタジオでの録音になってますね。ティム・バーンもスタジオは違えどニューヨーク録音。ECMの最近の傾向なんでしょうね。何だか面白い方向に行きそうです。
ラルフ・アレッシはECMからも期待できるし、他レーベルからでも出しても安心、というようなところがあるような気がします。
投稿: 工藤 | 2013/10/27 22:05