Within A Song/John Abercrombie Quartet
ECMレーベル新譜聴き2日目。ジョン・アバークロンビーの新譜が出ました。ジョー・ロヴァーノとのクァルテットで、ベース、ドラムスもそうそうたるメンバー。最近はマンフレート・アイヒャーがプロデュースで前面に出ても、オリジナル指向でもなかったり、4ビートが入っても大丈夫だったりするので、これはミュージシャンがベテランなので力が強くなっているのか、アイヒャーが丸くなってきて、こういうサウンドもOKということになっているのかは分かりません。でも、最近、こういう傾向が出てきましたよね。なかなかいい感じでの演奏だし、4ビートの曲や有名な曲も楽しめるし、と、意外な印象だったでした。
(追記)オリジナルがメインでなくて、時々4ビートも入るECMの過去のアルバム(キース・ジャレット以外)の例として「Mostly Coltrane/Steve Kuhn」(ECM 2099)がありました。しかも、これもマンフレート・アイヒャー・プロデュースです。
Within A Song/John Abercrombie(G) Quartet(ECM 2254)(輸入盤) - Recorded September 2011. Joe Lovano(Ts), Drew Gress(B), Joey Baron(Ds) - 1. Where Are You 2. Easy Reader 3. Within A Song/Without A Song 4. Flamenco Sketches 5. Nick Of Time 6. Blues Connotation 7. Wise One 8. Interplay 9. Sometime Ago
(12/06/03)ジョン・アバークロンビー作が2、3曲目前半、5曲目だけで、他はスタンダードや、特に有名な人のジャズメン・オリジナル(4、6-8曲目)で、オリジナル割合が少ないです。4ビートでブンブンとドライヴするのは3曲目、6曲目の後半、8曲目の一部にあったり、静かな味のある温度感低めなサウンドだけでないので、ちょっといつものECMとは違うかな、という感じも。3曲目のようにややアップテンポの4ビートでこられると、このレーベルも自由になったなあ、という気も。6曲目前半はフリーに近い緊張感があって、やはりオーネット・コールマンを意識か。ジョー・ロヴァーノのふわふわ気味のサックスが心地良くハマりますが、今回は割と吹きまくっている場面もあります。9曲目は少し温かめなサウンドで、彼ららしい締めくくり。
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John Abercrombie(G)
Joe Lovano(Ts)
Drew Gress(B)
Joey Baron(Ds)
Rec. September 2011, NY
(ECM 2254)
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こんにちは。
トラバありがとうございます。
いまだに、、ふぬけな状態なわたしです。。
ECMに持っているイメージからすると、とても、普通なジャズ。(笑)でも、さすが、メンバーがメンバーなだけあって、誰にもまねできない独自の世界をつくってますよね。
アバクロもロバーノも伊達に歳とっちゃいませんわ。。
アバクロのPIT INNも聴きにいきたかったなぁ、と、欲張りすぎね。(笑)
投稿: Suzuck | 2012/06/04 17:22
>Suzuckさん
TBどうもありがとうございます。
>いまだに、、ふぬけな状態なわたしです。。
クリ・ポタの演奏はスゴかったですね。
最近、James FarmとかJim Hallとか、John Abercrombieとか、トム・ハレルとか、来日ラッシュですね。ここまでいっぺんに来ると、ちょっと困ってしまうという...。
このアルバム、最初はECMらしい曲調だったんだけど、だんだん自由になっていって、やはり彼らならではのサウンドになってしまってますね。ECMらしさから多少外れても、そのクォリティでは、かなりいいものがあるので、しばらく愛聴盤になりそうです。
投稿: 工藤 | 2012/06/04 18:11
こちらからもTBさせていただきます。
このメンバーなので相当面白いことになっているのではと期待していたのですが、予想に反してバラード集的なアルバムだったのでズッコケてしまいました(苦笑)。
もちろん曲調の範囲内では各人のプレイを堪能できましたが、最低でも3曲目のように、もっとガツンとくるような演奏を聴いてみたかったです。
投稿: nary | 2012/06/05 18:48
>naryさん
TBどうもありがとうございます。
最近ECMはよりクラシックとボーダーレスになってきて、静かなアルバム、増えてきてしまいました。その中では4ビートの曲もあるし、けっこう自由にやらせてもらっているのかな、とは思うのですが、確かにバラード集的ではありますね。
投稿: 工藤 | 2012/06/05 20:18
工藤さん,おはようございます。TBありがとうございました。
この作品の肝はLovanoにほかなりませんが,Abercrombieも渋さ炸裂って感じでこれはいいですねぇ。最近のECMレーベルの作品は,ジャズ系に関しては,一時期ほどの硬質な感じは薄れてきていると思えますが,Eicherも枯れてきたというか,そういう年齢になってきたってことですかねぇ。
もちろん,従来通りハイブラウな作品もありますから,そういうことではなく,工藤さんもおっしゃる通り,ミュージシャンとのつながりの中で,ミュージシャン側の自由度を高めているのかもしれませんね。
ということで,こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2012/06/09 10:20
>中年音楽狂さん
TBどうもありがとうございます。
最近ECMはベテラン勢が割と好きなように録音させてくれる感じで、好感度が高くなっています。それでいてECM的な渋さも併せ持っているという感じになって、今後もこういう方面でアルバムが出てくれると、楽しみではあります。ロヴァーノ、確かに客演ながら目立ってますよね。
投稿: 工藤 | 2012/06/09 11:21
はじめまして、万年ジャギ初心者&ジャギ盤リスナーのbetta taroと申します。
「JAZZとAUDIOが出会うと。。。」からとんできました。
Motian、ビルフリやアバクロ先生等のDiscographyは漁盤の羅針盤として昔から愛読してきましたm(_ _)m
やっと本題ですが、ECMレーベルながら本作はまっとうな4ビートを演奏しているのが売りとの事ですが、近年Speak to Me (2011)でも4ビートを演ってます。
これらの作品は、大昔のドン・トンプソンとのDUOでの4ビート演奏等とともに愛聴していますが…
アバクロ先生の力量から考えると、両盤ともセッションレベルでこなせる安易な演奏の様な気がしてなりません。
火事に会い愛用ギター等の貴重な資産を失った後のアバクロ先生の作品(ライブも…)では、コンセプトを熟慮した上での入魂作品が少ない気がして少々残念です。(私の思い込み違い???)
ではでは
PS 入魂作品の方が、ワンタイムセッションよりも高い価値があるのか?というと、いずれもそれぞれに聴きどころがあり単純な比較はできないとも思っております。
投稿: betta taro | 2012/06/10 09:53
>betta taroさん
どうも、はじめまして。
この盤でも4ビートは3曲の、しかも全部に出ているわけではないので、それを売りにするというところまではいってないかもしれません。ただ、ジャズメンオリジナルなどが多いというのは、ECMにしては珍しいかな。
ジョー・ロバーノの参加で、2人ともフワフワ感が目立つ(時にロバーノはシャープですが)サウンド作りは成功しているんじゃないかと思います。特にECMでのロバーノ参加作はいいものが多いような気がしてます。
安易な演奏なのかどうかは、聴く人の感じ方にもよるので、何とも言えないところですが...。
投稿: 工藤 | 2012/06/10 11:17
私の無粋なコメントにレスを頂き恐縮しております。
あれこれ書いてしまいましたが、ドン・トンプソンとのDUOや、Marc Copland名義のアバークロンビー参加盤とともに、本盤を現在ヘビーローテーションで聴いて楽しんでいます。
安易な演奏… という言葉は不適切でした。取り下げさせて下さい。
アバークロンビーが自然体で演奏できる現在の境地を知るには、大変参考になる一枚だと思います。
凝ったコンセプト盤と比較する事自体がナンセンスで、本番はそれらとは異なった意味で、大変質の高い滋味にあふれる佳作だと思っております。
どうも、失礼いたしましたm(_ _)m
投稿: betta taro | 2012/06/13 22:10
>betta taroさん
コメントどうもありがとうございます。
ジャズは表現の多様性があったりして受け手側の方も感じ方は様々なので、私はこう感じた、っていう聴き方はもちろんアリなのだと思います。
ただ、ヘビー・ローテーションということで、このアルバムを気に入ってらっしゃるようで、それはそれで良いことではないでしょうか。もちろん、もう聴かない、って意見の方もいてもおかしくないですし...。
またコメントをお寄せ下さい。
投稿: 工藤 | 2012/06/13 22:27
工藤さん、こんばんは。
TBありがとうございます。
このアルバムに対してどうしても辛口になってしまうのは、ミュージシャンに対してというよりも、当時私が抱いていたアイヒャーに対する違和感が要因ではないかと思っています。あれれ、約束が違うのでは?というのが当時の率直な感想です。
リリースから数年経った今、あらためて聴き直すとまた違った印象を受けるかもしれませんね。
投稿: 奇天烈音楽士 | 2016/07/18 22:53
>奇天烈音楽士さん
TBどうもありがとうございます。
今だと、これはこれで割と普通かな、という感じもしますけど、やはり他人の曲で4ビートありというのは、キースのスタンダーズ以外には少なかったので、珍しさもあったのかもしれません。まあ、これだけのミュージシャンなので、演奏の自由度が高かったのかも。でも温度感的にはやはりECMかなあ、という気もしてます。
投稿: 工藤 | 2016/07/18 23:00