Wisteria/Steve Kuhn Trio
ECMレーベル新譜聴き3日目。このアルバムを最初に聴けばよかった、と思うぐらい「ECMレーベルとしては」衝撃的なアルバムでした。確か過去に、録音中、リッチー・バイラークがバップの演奏をやったために彼のアルバムがすべて廃盤になったのではなかったか。それが、マンフレート・アイヒャーのプロデュースの元に今までこのレーベルで4ビート色(バップ色)の強いアルバムが出た、ということに驚きを隠せません。キース・ジャレットのスタンダーズは昔からあるけれど、彼のピアノはあまりバップ色が強いという感じでもなく、ベースのゲイリー・ピーコックも4つを刻み続けるタイプではなかったですから、モロにジャズを聴いているというよりは、やはりキース・ジャレット・トリオのスタンダーズを聴いている、という感じでした。このアルバム、ピアノをはじめ内容がけっこう良かったんですが、録音の音圧が低くて、いつもよりは5dbほど上げて聴きました。
Wisteria/Steve Kuhn(P) Trio(ECM 2257)(輸入盤) - Recorded September 2011. Steve Swallow(B), Joey Baron(Ds) - 1. Chalet 2. Adagio 3. Morning Dew 4. Romance 5. Permanent Wave 6. A Likely Story 7. Pastorale 8. Wisteria 9. Dark Glasses 10. Promises Kept 11. Good Lookin' Rookie
(12/06/04)タイトル曲の8曲目はアート・ファーマー作。スティーヴ・キューン作は6曲(1-3、6-7、10曲目)、スティーヴ・スワロウ作が2曲(9、11曲目)、カーラ・ブレイ作が5曲目。2-3、7、10曲目が「Promises Kept」の再演曲だけど、そのアルバムも再演曲が多いので、元がどうなっているか。スワロウはエレキ・ベースだけども、1曲目から4ビートのジャズでのバップっぽい演奏なので、レーベル的に意外な感じ。3曲目も4ビート。というより、多くの曲が4ビートです。ボッサ的なリズムで味わいのある2、4曲目をはじめ、ECMとしては、かなりやりたい放題の演奏をマンフレート・アイヒャーが、彼のプロデュースなのに許してくれています。それでも7-8曲目のようなしっとり感も。キューンのピアノは文句なしで、けっこういい雰囲気。
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» STEVE KUHN TRIO / WISTERIA [JAZZ & BOSSA]
なんてロマンチックで、美しいメロディーなのか。素晴らしいですね。
届いて2週間、開けることなく。この前に聞いた2枚のピアノトリオ、どうもピンと来なくて。
レビューする気にもなれずに、このアルバムも放っておいたもの。
こんなに素晴らしいなら、もっと早く聴けば良かった。それほど良いです。
バックは、Steve Swallow (b)、Joey Baron (ds)、この二人ならではの音です。
..... [続きを読む]
» 出来のいいピアノ・トリオだが,ECM色は希薄なSteve Kuhnの新譜。でもこれはよい。 [中年音楽狂日記:Toshiya's Music Bar]
Wisteria Steve Kuhn(ECM) ECMレーベルのSteve Kuhnのアルバムにはいいものが多く,Joe LovanoとやったMostly Coltraneも最高な作品だったと思う。 [続きを読む]
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910さん、確かにキースのスタンダーズの雰囲気もありますね。とにかくキューンならでは、キューンにしては、という両面があるのが新鮮です。
とてもいいですね。繰り返し聴いてます。
TBありがとうございます。こちらもTBします。
投稿: madame | 2012/06/05 22:22
>madameさん
TBどうもありがとうございます。
あえて言っちゃうなら、エレキ・ベースのトリオにも関わらずキース・トリオよりももっとバップ色が強い曲が多めだったかな、という感じです。いつもはキューン、耽美派の側面でECM録音だったのに、今回は大化けしたなあ、なんて印象も持ってます。気に入りましたです。
投稿: 工藤 | 2012/06/05 23:20
工藤さん,こんばんは。TBありがとうございました。
この作品,一聴してECMらしくないところにまず驚いてしまったのですが,それでも彼らの美学が感じられる作品になっていたのはさすがです。Kuhnも結構な歳ですが,衰えませんね。大したものですし,見習いたいです。
ということで,こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2012/06/05 23:25
>中年音楽狂さん
TBどうもありがとうございます。
やはりこのトリオですから、キューンはじめやってくれると思ってました。ただ、ECMなのに予想を外れて4ビートの曲が多かったのも、うれしい誤算ではありました。これで録音の音圧がもっと高ければ、とも思いましたが、それがヴォリュームを上げれば済むことですし。けっこう話題作になっていると思います。
投稿: 工藤 | 2012/06/06 00:03