Sunrise/Masabumi Kikuchi Trio
ECM新譜が2枚届いたので、その1日目。このアルバム、Amazonとトラブルがあり、発注替えで価格を元の価格にさせたものの、入荷時期未定(今日現在)なので、多少価格が高くなるもAmazonに見切りをつけてHMVに注文を切り替えたものです。大手通販ではこれがポール・モチアンのラストレコーディングと書いてあるのもあるけど、それは間違いで、「ライヴ・アット・バードランド」(ECM)が’09年12月録音、「ファーザー・エクスプロレーションズ/チック・コリア」が’10年5月録音です。このアルバム、強いて言えば、菊地とECMのコラボレーション的完成をみた、という感じで、なかなか良いと思います。ただ、割と最近の菊地作品としては、ちょっと音数が多いのが緊張感をそいでいるかな、という気もしないでもないですけれど。また、彼のファンなら分かりますがフリー的要素が強いです。話題作なので、ちょっと申し添えておきます。
Sunrise/Masabumi Kikuchi(P) Trio(ECM 2096)(輸入盤) - Recorded September 2009. Thomas Morgan(B), Paul Motian(Ds) - 1. Ballad 1 2. New Day 3. Short Stuff 4. So What Variations 5. Ballad 2 6. Sunrise 7. Sticks And Cymbals 8. End Of Day 9. Uptempo 10. Last Ballad
(12/03/27)全曲3人のインプロヴィゼーションで、日本人ミュージシャンのECMジャズ初リーダー作。そして、ポール・モチアンのレコーディングでもあることもうれしい。ECMらしい、空間表現の多いジャズで、時に少し速めのパッセージもはさんで、なかなかECMファンには惹きつけるものをもっています。ただ、それ以前の菊地雅章の録音をいろいろ知っている身としては、音数の少なさに比例して、エグりとるような緊張感を聴く人に感じさせることは、この場では比較的薄いかもしれません。少し饒舌か。それでも、音数の少ない場のトリオでの表現としては、なかなかのものを持っているし、ここでも鋭さはあると言えますが。ある意味、こういう環境下での演奏としてはかなりいいかもしれません。トリオとしてはなかなかのまとまりです。
« Live At The North Sea Jazz Festival/Al Di Meola | トップページ | All Our Reasons/Billy Hart »
「音楽」カテゴリの記事
- Celebration Vol.1/Wayne Shorter(2024.09.08)
- Twentyfour/Al Di Meola(2024.09.05)
- Transylvanian Dance/Lucian Ban, Mat Maneri(2024.09.04)
- Keel Road/Danish String Quartet(2024.09.03)
- Moondial/Pat Metheny(2024.09.02)
「ECMレーベル」カテゴリの記事
- Transylvanian Dance/Lucian Ban, Mat Maneri(2024.09.04)
- Keel Road/Danish String Quartet(2024.09.03)
- ECMとCriss Crossについてはまとめをしなければなんだけど(2024.08.14)
- Live In Munich/Jordina Milla & Barry Guy(2024.07.23)
- Outpost Of Dreams/Norma Winstone/Kit Downes(2024.07.22)
「ジャズ」カテゴリの記事
- Celebration Vol.1/Wayne Shorter(2024.09.08)
- Twentyfour/Al Di Meola(2024.09.05)
- Transylvanian Dance/Lucian Ban, Mat Maneri(2024.09.04)
- Moondial/Pat Metheny(2024.09.02)
- パープル/ミロスラフ・ヴィトウス(2024.08.18)
「ECM2051-2101番」カテゴリの記事
- Bernd Alois Zimmermann/Canto Di Speranza(2008.12.07)
- Eleni Karaindrou/Dust Of Time(2009.02.25)
- Ambrose Field/Being Dufay/John Potter(2009.02.26)
- Heinz Holliger/Romancendres/Clara Schumann(2009.06.07)
- Hortobagyi/Kurtag Jr./Lengyelfi/Kurtagonals(2009.07.22)
コメント
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: Sunrise/Masabumi Kikuchi Trio:
» モードな日々 Sunrise / Masabumi Kikuchi [JAZZ最中]
菊池雅章のアルバムがECMから出ることになって、これは買うだろうなとおもいながら、やはり買いました。
というのは菊池雅章さんのアルバムはまるで持っていないし、ほとんど聴いていないのです。
中古屋さんで一枚、ECMから出るのをしってソロ・アルバムを買った...... [続きを読む]
» 菊地雅章トリオの新譜を聴いて。 [「いっき」のJAZZあれこれ日記(ブログ)]
今日はウェブ・マガジン 「com-post」 でクロス・レビューしていた話題のア [続きを読む]
» [ECM2096] 菊地雅章: Sunrise (2009) ECMとのこと、そして冥界からの便り [Kanazawa Jazz days]
改めて、このアルバムを聴いている。EastwardやVoicesと変わらぬピアノ。この人がアコウスティック・ピアノに向かっている時の音はあまり変わっていない。ピアノの音を聴かせているのではなく、沈黙を聴かせている。だからECMは向かない、と思った。残響の処理で、すっ...... [続きを読む]
« Live At The North Sea Jazz Festival/Al Di Meola | トップページ | All Our Reasons/Billy Hart »
910さん、こんにちはmonakaです。
まるで買ったことの無い菊池雅章ですが、ECMとあって買ってみました。とても聴きやすくなおかつECM的でしたが、どう書いてよいのか、時間がかかりました。TBさせていただきます。
投稿: monaka | 2012/04/08 18:10
>monakaさん
TBどうもありがとうございます。
ECMの菊地さんという枠組みで聴いているとけっこういいんですよね。菊地さん本来の路線かどうか、ということを考えない方が、スーっと入ってくるものがあると思います。
投稿: 工藤 | 2012/04/08 19:08
こんばんは。
これは悪くはないと思うのですが、どうもいまひとつ来ませんでした。
ECMと菊地の折衷というのが良かったのかどうか?
私はフリー即興というフォーマットにも疑問を感じます。
ただ、まだあまり聴いていないのでもう少し聴きこんでみようとは思っています。
TBありがとうございました。
私もTBさせていたきます。
投稿: いっき | 2012/04/13 22:45
>いっきさん
TBどうもありがとうございます。
菊地さん、というとらえ方ではなくてECMのアルバムという形では割といいものがあるとは思うのですが、菊地色が薄れているような気がしてます。やはり出るまでに3年を要していたり、いろいろ紆余曲折があったんじゃなかろうか、と変な想像をしてしまいました。まだ出ていないソロの録音を聴いてみたい気もしてますが、果たして出るかどうか。
投稿: 工藤 | 2012/04/14 00:01
私はコレを聴いたときは、アコウスティックな菊地さんは、ほとんどはじめて。ふーん、いいなあ、って感じ。
今は
>ただ、それ以前の菊地雅章の録音をいろいろ知っている身としては、音数の少なさに比例して、エグりとるような緊張感を聴く人に感じさせることは、この場では比較的薄いかもしれません。
コレに膝で手を打つ、感じですねえ。ほんとうに
投稿: ken | 2016/01/21 20:58
>kenさん
TBどうもありがとうございます。
やっとECMから出たか、と思って、けっこういいんだけど、自分の文章を読み返してみると、ちょっといつもと違うかなあ、というようなことも少し書いてありますね。それ以前のテザードムーン(だったかな?)とか、ああいうのを期待していたようなふしはあります。
投稿: 工藤 | 2016/01/21 21:17