The Windmills Of Your Mind/Paul Motian
ポール・モチアンの最新リーダー作。この人は不思議な人で、ドラマーとしてのウデは現時点ではどうかなあ、と思う人もいるのですが、独特なサウンドを作り上げてしまって、彼のファンもある程度いる(私もそうです)のです。集まるメンバーも、今回はビル・フリゼールがいて、彼と、ヴォーカルのぺトラ・ヘイデン(チャーリー・ヘイデンの娘)とで不思議なサウンドのアルバムを作り上げてしまいました。ペトラもジャズのヴォーカリストではないようで、ジャズ色がけっこう薄いんだけれども、穏やかなインプロヴィゼーションはおそらくあって、曲はスローテンポの曲ばかり。それを淡々と弾き、歌い、結果として印象に残るアルバムに仕上げているんですね。
The Windmills Of Your Mind/Paul Motian(Ds)(Winter&Winter 910182-2)(輸入盤) - Recorded September 2010. Bill Frisell(G), Petra Haden(Vo), Thomas Morgan(B) - 1. Introduction(1) 2. Tennessee Waltz 3. The Windmills Of Your Mind 4. Let's Face The Music And Dance 5. Lover Man 6. It's Been A Long, Long Time 7. Little Foot 8. Easy Living 9. I've Got A Crush On You 10. Bacjup 11. I Loves You Porgy 12. Trieste 13. If I Could Be With You 14. Wednesday's Gone 15. I Remember You 16. Introduction(2)
(11/04/14)1、16曲目と、7、10、12、14曲目がポール・モチアンの作曲のインストルメンタル。他はスタンダードで、インストルメンタルの曲もあります。淡々としたサウンドで、時に哀愁のあるメロディを、シンプルになぞるような形で慈しむように演奏し、歌っています。50分台で16曲入っているので、あまり奇をてらったりせずに、素直に歌っているところに好感が持てます。このメンバーなので、スローなテンポの曲ばかりで、語り合うように進んでいくところがいいし、ぺトラ・ヘイデンのヴォーカルで、あまりジャズっぽくなく田舎のポップスのバラードを聴いているような雰囲気にさせられます。知っている曲が多く、安心もできるのでは。この独特なスカスカ感はビル・フリゼールとモチアンによるところが大きいですけど、満足感も高めです。
« Jazz & Lyrik/Peter Ruhnkorf | トップページ | ラヴ・プレイ/マイク・マイニエリ »
「音楽」カテゴリの記事
- Ludwig Van Beethoven/The Piano Concertos/Alexander Lonquich/Munchener Kammerorchester(2024.12.07)
- Fun One/Oz Noy(2024.12.04)
- Solid Jackson/M.T.B.(2024.12.03)
- Better Angels/Peter Bernstein(2024.12.02)
- The Old Country/Keith Jarrett/Gary Peacock/Paul Motian(2024.12.01)
「Winter&Winterレーベル」カテゴリの記事
- Pariah's Pariah/Gary Thomas(2023.01.16)
- Found On Sordid Streets/Gary Thomas(2023.01.15)
- Concerto Koln: Diabelli Variations [Ludwig Van Beethoven]/Uri Caine(2022.07.11)
- Gustav Mahler: Dark Flame/Uri Caine(2022.07.10)
- Rio/Uri Caine(2022.07.09)
「ジャズ」カテゴリの記事
- Fun One/Oz Noy(2024.12.04)
- Solid Jackson/M.T.B.(2024.12.03)
- Better Angels/Peter Bernstein(2024.12.02)
- The Old Country/Keith Jarrett/Gary Peacock/Paul Motian(2024.12.01)
- ’24年の私的ジャズベスト3(2024.11.21)
コメント
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: The Windmills Of Your Mind/Paul Motian:
» アメリカ音楽を愛する人へ [「いっき」のJAZZあれこれ日記(ブログ)]
今日もジャズ喫茶「いーぐる」の「年末ベスト盤大会」で聴いて気にいった1枚。 ポー [続きを読む]
» The Windmills of Your Mind / Paul Motian [My Secret Room]
「今まで食べたことないもの」のシリーズの1つかと。。 去年リリース時には、チェッ [続きを読む]
すっかりご挨拶が遅くなってしまいましたね。
本年もよろしくお願いいたします。
TBありがとうございました。
こちらからもTBさせていただきます。
モチアン、亡くなってしまいましたね。残念です。
今はたくさん出したアルバムを聴いて偲んでいます。
若手もたくさん育てました。
その中の一人、ベースのモーガンが良い演奏をしていると思います。
素朴で寂れていて郷愁感がなんとも言えません。
こういうアメリカンサウンドが好きです。
なかなか良いアルバムだと思いました。
投稿: いっき | 2012/01/08 13:01
>いっきさん
本年もよろしくお願いします。
TBもどうもありがとうございます。
私もモチアン、’80年代後半ごろから追っかけしてたので、これからが聴けないので残念ではありますが、それでも今までけっこうアルバムを残してくれています。それらを聴いていこうかと。
ジャズを突き抜けてしまって、独自で多彩なサウンドがやはり良かったでした。
投稿: 工藤 | 2012/01/08 14:51
こんばんは。
リリース時に気になっていたものの、、どうも、ヴォーカル入りかぁ、、と、いつもの悪いくせで、、。
ことしになって買ったのですが、これはわたし的には大変ツボです。
で、 I've Got a Crush on Youはビルフリとペトラのデュオはド壷でした。
不思議な世界ですよね。。
こういう世界は、モチアン先生がいないと。。。
本当に残念です。
投稿: Suzuck | 2012/04/12 18:20
>Suzuckさん
TBどうもありがとうございます。
ペトラさんとビル・フリのデュオアルバムというのを以前に買っていて、そんな雰囲気かあ、と、モチアン追っかけでもあって手が出てしまいました。
ただWinter&Winterとしてもこのアルバムは流れからすると独特だったようで、他とはまた違ったサウンドになっているようです。でも、やっぱりモチアン・サウンドではありますね。
投稿: 工藤 | 2012/04/12 22:12