ヴォイス/上原ひろみ
発売日より少々遅れて入手しましたけど、もっと早く聴けばよかったと思うくらいに私好みで、内容も充実しています。過去にも上原ひろみのアルバムを高く評価してました。でも、今回のアルバムは私にとってそれらを上回るくらいに良かったです。ピアノの弾きまくりでベースがアンソニー・ジャクソンというと、どうしても過去のミシェル・カミロとダブった印象も持ってしまいます。でも、方向的には違うし、今回はサイモン・フィリップスのドラムスも、彼女の違った面を見せるのにひと役もふた役もかっています。これをプログレ・ファンクと言っていいのか、ということはあるにしても、ジャズ/フュージョンの枠をこえて、広く聴かれるアルバムになるのでは、と思います。面白かったのが、7曲目は9曲目よりクラシック的だったこと。さて、もう1度聴こう。(まだDVDは観てない段階です。)
ヴォイス/上原ひろみ(Telarc)
Voice/Hiromi Urhara(P)(Telarc) - Recorded November 9-11, 2010. The Trio Project Featuring: Anthony Jackson(B), Simon Phillips(Ds) - 1. Voice 2. Flashback 3. Now Or Never 4. Temptation 5. Labyrinth 6. Desire 7. Haze 8. Delusion 9. Beethoven's Piano Sonata No.8, Pathetique
9曲目がベートーベンのクラシック曲の他は上原ひろみ作曲。メンバーチェンジもあり変拍子も多く、よりプログレファンク的なサウンド。静かな出だしから8分の9拍子でドラマチックに展開していくタイトル曲の1曲目、ファンクから4ビートもあり、5拍子、4拍子と、どんどん変化のある2曲目、リズムのキメが多めで何となく浮遊感も垣間見える3曲目、マイナー系で落ちついたメロディアス系ファンクの4曲目、沈みがちながらも哀愁とビートの調和を見せつつ後半かなり盛り上がっていく5曲目、キメと予想を裏切るドラマチックな展開がせわしなくうれしい6曲目、早いパッセージのソロ・ピアノでクラシック的な情緒もあるような7曲目、8分の7拍子基調で哀愁漂う美しいメロディの8曲目、クラシックよりは普通にバラードとして聴ける9曲目。(11年3月16日発売)
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Hiromi(P, Key)
Anthony Jackson(Contrabass Guitar)
Simon Phillips(Ds)
Rec. November 9-11, 2010, NJ
(Telarc UCCT9015)
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いいですね!元気が出ます。彼女は見るからに元気いい子だけれど、それは
演奏ももちろんそう。
いつでも躍動感あふれていて、今が旬の新鮮で生きのいいピアノが味わえます。
1曲目のVoi ce イントロは静か。やがて緊張感のあるリズムとフレーズ。
う〜ん、カッコいいですね!バックのリズム隊が効いてます。
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こちらからもTBさせていただきます。
さすがに上原だけあって、この新生トリオも実に素晴らしかったです。
相変わらず高度な音楽をやっているわりには、それほど難解さは感じられなくて、本作にてさらにファン層が広がることは間違いないでしょうね。
投稿: nary | 2011/03/31 18:55
>naryさん
TBどうもありがとうございます。
今まで何回も彼女のアルバムをベストにしてしまったので、またか、と思われるかもしれませんけど、それ以上に今回のアルバムはインパクトがありました。果たして私的上位が年末まで続くかどうか、続いてほしいものです。
投稿: 工藤 | 2011/03/31 19:20
910さん、こんにちはmonakaです。
このアルバム、その勢いと、フレーズのすばらしさ、ついに作ったね見たいに上原をほめたいアルバムです。日本人のJAZZアルバムが世界に並んだ証拠ですね。
投稿: monaka | 2011/04/01 22:16
>monakaさん
以前から個人的には上原ひろみの評価は高かったのですが、それ以上のアルバムを出してくれてしまいました。彼女も一流のミュージシャンを使うようになったんだなあ、と思います。もちろん曲もいいですね。
投稿: 工藤 | 2011/04/02 06:19
工藤さん,おはようございます。TBありがとうございました。
私はこれまでの上原の活動には一定の評価をしつつ,全部が全部いいとは感じていませんでした。その程度のリスナーです。しかし,今回はリズムが私の好みということもあり,結構楽しめました。
ということで,こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2011/04/02 09:03
>中年音楽狂さん
TBどうもありがとうございます。
ジャズやフュージョンを超えてファンがいる彼女ですが、やはりその弾き方や音楽性から、全て受け入れられていたわけでもなかったようですね。
このアルバムではサイドに一流のメンバーと、いい曲との相乗効果で、より評価が高くなったような気がしてます。
投稿: 工藤 | 2011/04/02 11:58
このアルバムは本当に元気が出ますね。この時期にピッタリの1枚です。
彼女は天性の明るさとパワーがあります。素晴らしい。TBします。
投稿: madame | 2011/04/05 22:46
>madameさん
TBどうもありがとうございます。
この天真爛漫さがジャズやフュージョンの垣根をこえて、広くファンをひきつけているんでしょうね。
珍しく何度も聴き返しているアルバムになりました。カッコいいです。
投稿: 工藤 | 2011/04/06 12:28
こんばんは。
私もやっとブログにUPしました。
なかなか良いできだと思います。
地に足がしっかりついた演奏をしていると思います。
ベテラン2人を従えた演奏は堂に入っていますよね。
半分冗談ですが、グラミー賞狙らえるかも?です(笑)。
トラバさせていただきます。
投稿: いっき | 2011/04/09 21:55
>いっきさん
TBどうもありがとうございます。
今回はベテラン2人を従えて、というか三つ巴の演奏だったので、趣向もちょっと変わったし、以前にもまして素晴らしい演奏でした。
>半分冗談ですが、グラミー賞狙らえるかも?です(笑)。
私も何だかそんな気がしてきました(笑)。
投稿: 工藤 | 2011/04/09 22:45
輸入盤を待っていたこともあり、記事アップがだいぶ遅くなりました。
彼女は、前作くらいから良いと言えるようになった感じなんですが(汗)、まだまだどんどん良くなりそうで、今後が楽しみです。
TBありがとうございます。逆TBさせていただきます。
投稿: oza。 | 2011/05/24 06:41
>oza。さん
TBどうもありがとうございます。
輸入盤は遅かったけれど、結果的に値段が安くなって入るようで、良かったですね。
初期の頃は機械的とかいろいろ言われてますが、今回のアルバムはこっち方面が好きな人はたいてい、いい、という評価を下すんでは、なんてことを思っています。
投稿: 工藤 | 2011/05/24 08:46