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2009/11/12

春犬でゅお/中村尚子&梶川朋希

Haruinuduo2
今日は「インディーズのジャズCDを応援するページ」で2ヶ月ぶりにコメントしましたので、そのアルバムを取り上げてみたいと思います。


「春犬でゅお」中村尚子(P)&梶川朋希(G)(BQ Records) - Released 2009. - 1. ブルー・アンド・オレンジ 2.チャイム 3.ぽつねんと 4.かげろう 5.バランス 6.ひかりのくに

先にメンバーとアルバムの曲の紹介をしておきます。ここでは5枚目の紹介となる春犬バンドのリーダー、中村尚子と、ハードコア・フュージョン・バンドのリーダー梶川朋希(「Back In Time/TKB」を紹介済み)とのアコースティック・デュオ作品。全曲中村尚子の作曲で、「かげろう」(4曲目)「ひかりのくに」(6曲目)は前作「新緑の中に雨が降っている」からの再録音、「チャイム」は春犬バンド・セカンドの「遠い国」からの再録音、「ぽつねんと」はサード「Afterimage」からの再録音で、他の2曲が初レコーディングとなっています。収録時間も40分弱で、価格(税込み1,575円)からいっても少しミニ・アルバム的かも。

テーマからアドリブに流れていく以外は、ジャズのイディオムをほとんど感じさせず、やはりメロディ的に日本的情緒の流れを感じてしまいます。ピアノとアコースティック・ギターのデュオの雰囲気がいい感じ。

1曲目は哀愁の漂うマイナー基調の、そして力強さもある5拍子の曲で、ピアノとギターが同化しながら積極的に絡んでいく感じが何とも言えずいい感じ。キメもあざやか。このアルバムの中ではやぱりトップにふさわしい曲。2曲目は学校のチャイムの音やそれとともに流れる下校の音楽などを連想しつつ、穏やかに温かみのある時間が流れていくバラード。

3曲目、しっとりとしたやや陰りのあるメロディが紡ぎ合わされて、静かに進んでいく綾織り系のサウンドが何ともいい感じ。4曲目は「かげろう」の名にふさわしいちょっと神秘的なメロディやサウンドがありつつも、時に積極的なフレーズがまざって、繊細な流れが続いていきます。

5曲目は哀愁の深いギターの比較的速いパッセージも印象的なマイナーのバラードで、落ち着いた中に情念も見え隠れします。6曲目はやはり短調系のバラードなのですが、日本的な味わいをすごく感じさせる点で、なるほどなあ、と思わせるメロディです。自分の子供の頃も、ふと振り返るとこういう色調の心が強かったのではないか、と思えるくらい。

ジャズとして、というよりは音楽として聴いて、深く心に届くんじゃないかな、と思わせるサウンドです。

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コメント

工藤さんお久しぶりです。「春犬」聞かれましたか。私も中村尚子さんにゲスト出演していただいて以来、「春犬」の諸作を聞くようになりましたが、おっしゃるとおり、「ジャズとして、というよりは音楽として聴いて、深く心に届く 」作品と感じています。 番組ラストでは、ずーずーしくもセッションをお願いして共演させていただいたのですが、テクニック的なものよりもニュアンスや、自分の中の世界観をどう表出するのかということに心を砕かれているように感じました。なかなか「磁力」の強いピアノを弾く方だと思います。

>雲さん

お久しぶりです。コメントどうもありがとうございます。

聴いた最後の言葉(コメント)って、自分ではあまり考えもせずに思ったことをそのまま書いてしまって記憶の彼方に行っていたのですが、中村さんにもここを取り上げていただいて、雲さんにも感想をいただいて、あとから文章にすることの重みを感じてしまいました(笑)。

他の日本人女性ピアニストの方でも日本的な懐かしい部分も持ち合わせている人はいますが、中村さんのように、それが前面に出ている人はなかなかいないと思います。それがいいんですよね。今回梶川さんとの異色のデュオの予想だったですが、見事にお2人が同化された演奏だったでした。

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