Mostly Coltrane/Steve Kuhn Trio w/Joe Lovano
ECMレーベル聴きで新譜2日目。一段落です。ミロスラフ・ヴィトウスの「Remembering Weather Report」もキャッチーなタイトルでしたが、そちらはオリジナル割合も高かったです。キース・ジャレットのスタンダーズ以外でミュージシャン特集を、しかもジョン・コルトレーンの曲が大半を占める特集CDって、ECMでは珍しいです。確かカーラ・ブレイ集やアーネット・ピーコック集はあったような気も。しかも、内容もいくぶんECM的とはいえ、4ビート、フリー、アップテンポ、8分の6拍子でモーダル、などなど、普通のジャズファンが聴いてもイケるんでは、と思わせます。13曲目のソロピアノ曲「トランス」の再演で、スティーヴ・キューンのたくさんあるうちの本質のひとつを垣間見せますが。なかなかいいCDにめぐりあいました。それでも、あくまでもECMでコルトレーンの曲をやってみました、という位置付けにはなるんじゃないか、と思います。
Mostly Coltrane/Steve Kuhn(P) Trio w/Joe Lovano(Ts, Tarogato)(ECM 2099)(輸入盤) - Recorded December 2008. David Finck(B), Joey Baron(Ds) - 1. Welcome 2. Song Of Praise 3. Crescent 4. I Want To Talk About You 5. The Night Has A Thousand Eyes 6. Living Space 7. Central Park West 8. Like Sonny 9. With Gratitude 10. Configuration 11. Jimmy's Mode 12. Spiritual 13. Trance
(09/07/01)ジョン・コルトレーンの作品とそのゆかりの曲の演奏が中心。スティーヴ・キューンの作曲も9、13曲目に。オリジナルがメインではないのはキース・ジャレット以外では珍しい。テンポが曖昧な進行の曲、静かなサウンドの曲が多いですが、2曲目の中盤部ではしっかり4ビートの演奏だし、5曲目は時にアップテンポの4ビートの元気な曲。8曲目はベースゆったり、曲は元気です。10曲目は激しいフリー。ジョーイ・バロンのドラムスも、なかなか鋭さを見せています。それにしてもリーダーの影響か、曲によっては耽美的なバラードの情景。ジョー・ロバーノのテナー・サックスも、コルトレーンとはタイプが違うはずなのに、不思議とマッチしていますし。でも12曲目はモーダルな8分の6拍子で、コルトレーンを彷彿とさせます。
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こちらからもTBさせていただきます。
最近は年相応に丸くなった感のあるキューンですが、さすがにECMへのレコーディングだとアプローチを変えてきますね。
久しぶりに良いキューンを聴くことができました。
ただし大人し目の曲が多いし収録時間も長いので、わたし的には聴いてて中だるみする部分もありました。
でもアルバムの後半は特に素晴らしかったです。
投稿: nary | 2009/07/05 19:58
>naryさん
TBどうもありがとうございます。
私はこのアルバム、かなりいいと思ったんですけれども、筋金入りのジョン・コルトレーンのファンの方からすれば、なんじゃこれは、ってことにならなければいいなあと思ってます。上半期のベスト3に入れてしまったこともありますし(笑)。
ECMとして、スティーヴ・キューン(3ヶ月間ぐらいコルトレーン・バンドに参加していたらしいです)として、コルトレーンの曲の演奏をした、という点では、だいぶ面白い企画だとは思うのですが。
投稿: 工藤 | 2009/07/05 20:20
工藤さま、、一発で、トラバ入りました。
これは、わたくしてきには非常にお気に入りです。
違うアルバム書きかけていたのですが、、こちらが先になりました。。
投稿: すずっく | 2009/07/08 18:17
>すずっくさん
TBどうもありがとうございます。1発で入っておめでとうございます。
このアルバム、ECMファン以外にも聴きやすいんじゃないかと思うし、このメンバーであの演奏ですからね、ちょっと静かかもしれませんけど、私も非常に気に入ってしまいました。
投稿: 工藤 | 2009/07/08 22:03
工藤さん,当方ブログへコメント,TBありがとうございました。
私の記事にも書きましたとおり,私はこのアルバムはかなりの傑作だと評価しました。今年聞いたジャズ・アルバムの中でも屈指の出来だと思っています。大げさだとは思いますが,素晴らしい作品を作ってくれたSteve Kuhnに感謝したいです。
こちらからもTBさせて頂きました。
投稿: 中年音楽狂 | 2009/07/15 11:15
>中年音楽狂さん
TBどうもありがとうございます。
今のところ、けっこう高評価な方から割と高評価な方までの分布で、いいとこいってるなあ、と喜んでおります。好みは人それぞれだけれど、やっぱりこういう良いアルバムに出会えると、うれしいですね。
今日アップしたジャマラディーン・タクーマのアルバムもコルトレーン集でしたが、あちらはエンターテイメントのベクトルが高いように感じました。ファンクだからかな?
投稿: 工藤 | 2009/07/15 17:21
910さん、こんな作品を見逃していたのはなんとも残念です。ロバーノとの組み合わせも意外、コルトレーンを選んだのも意外。やはりキューンは凄い。
TBしますね。
投稿: madame | 2010/01/23 23:56
>madameさん
TBどうもありがとうございます。
スティーヴ・キューンの多面性、このアルバムではいい方へ出ていましたよね。マンフレート・アイヒャーの力も大きかったかも。普通はこのレーベル、オリジナルばかりやらせるんですけどね。と、これをもう一度聴いてみようと思ったのですが、どこにしまったか、分からなくなってしまいました(笑)
投稿: 工藤 | 2010/01/24 11:04
皆さんのベストを見てからの購入だったので、だいぶ遅くなってからの購入になりました。
聴き始め、Coltraneの呪縛に苛まれなかなか真価を聴き取れなかったのですが、呪縛が解けたとたんに圧倒されました(笑)
TBありがとうございます。逆TBさせていただきます。
投稿: oza。 | 2010/03/28 07:44
>oza。さん
TBどうもありがとうございます。
これを、コルトレーンのジャズとして聴くか、コルトレーンに捧げられたジャズとして聴くかだけでも評価は分かれそうですね。
私はECMの範疇でのジャズとして聴いたので、すんなり入っていけました。というより、コルトレーン、持っているけど最近は聴いてなかったです。また引っ張り出して聴いてみよう。
投稿: 工藤 | 2010/03/28 09:57