The Othello Syndrome/Uri Caine Ensemble
ユリ・ケインのクラシックのアレンジシリーズはWinter&Winterレーベルではもうけっこう出していて、単なるクラシックのジャズアレンジにとどまらず、もろにクラシック寄りのアルバムもあるし、このアルバムのように、ジャズの方面に近い、しかもオーソドックスなものからモーダル、フリー、ファンク、ゴスペル、ラップまでぶち込んでいるものもあります。巧みにクラシックとジャズの間を行き来するので、けっこうアレンジは凝っていると思うのですが、いわゆるジャズを楽しむ、的なものよりも、原曲のヴェルディのオペラをいかに解体し、ぶち壊すか、という方面に注意がいくのでは、と思います。メンバーもラルフ・アレッシ(Tp)、グエン・レ(G)、クリス・スピード(Cl)などがいて、興味深いです。
The Othello Syndrome/Uri Caine(P, Key) Ensemble(Winter&Winter 910 135 Music Edition)(輸入盤) - Recorded February 2005, June 2007 and January-March 2008. Ralph Alessi(Tp), Stefano Bassanese(Electronics), Sadiq Bey(Voice on 6, 12, 14), Jim Black(Ds on 9, 13), Zach Danziger(Ds), Joyee Hammann(Vln), John Hebert(B on 9, 13), Nguyen Le(G), Tim Lefebvre(B), Josefine Lindstrand(Vo on 4, 9, 13), Marco Paolini(Voice on 6, 8), Julie Patton(Voice on 4, 14), Bunny Sigler(Vo on 1, 4, 7, 10, 15), Bruno Fabrizio Sorba(Electronics), Chris Speed(Cl on 9, 13), Achille Succi(Cl), Dhafer Youssef(Vo on 1, 14) - Othello's Victory 2. Fine Song 3. Drinking Song 4. Love Duet With Othello And Desdemona 5. Introduction To Act 2 6. Iago's Credo 7. Shi's The Only One I Love 8. Iago's Web 9. Desdemona's Lament 10. Am I A Fool? 11. The Lion Of Venice 12. Othello's Confession 13. The Willow Song/Ave Maria 14. Murder 15. The Death Of Othello
(08/10/07)ヴェルディは19世紀イタリアの作曲家。それを基にユリ・ケインが派手にアレンジ(時に作曲?)して、クラシックとジャズの折衷音楽的に、オーソドックスなものからモーダル、フリー、ファンク、ゴスペル、ラップに至るまで、いろいろな角度から「オテロ」を演奏しています。原曲はオペラなので、ヴォーカルないしはヴォイスの入る曲が多いです。オーケストラのように聴こえるのはおそらくエレクトロニクスで、編成からいくと弦としてヴァイオリンが一人なので、クラシックを想像させつつもジャズの要素が強い場面が変幻自在に入り込んできます。かなりめまぐるしくサウンドがくるくる変化していくので、75分の長丁場、ジャズファンでも飽きないかもしれません。それにしても引き出しがいろいろある人だ。聴く人は選ぶかも。
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コメント
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910さん、こんにちは、monakaです。
Uriの大ファンでマーラーのにはビックリしました。
このアルバム荒らしいのでしょうか、知りませんでした。
二の足を踏みながら聴くと参ってしまうのは同じでしょうか。
投稿: monaka | 2008/10/10 22:18
>monakaさん
これは基本的にはオペラです、って言っても、歌ありインストありヴォイスありラップありで、けっこう変化に富んでいます。
折衷音楽であって、クラシックの単なるジャズアレンジではないことはいつもの彼のペースですが、人材配置がヴァイオリンとエレクトロニクス以外はクラシックの方からではなさそうです。
う~ん、説明が難しいですけど、ユリ・ケインが好き、という人は聴いてみても(多少冒険ですが)いいかもです。
投稿: 工藤 | 2008/10/10 23:27