Currents/Wolfert Brederode Quartet
ECMレーベル新譜聴き3日目でいちおうひと区切り。このアルバムも、サックスではなくてクラリネットながらも、まあ、普通のクァルテットの編成。それがマンフレート・アイヒャーの手にかかってしまうと、温度感の低い、沈み込んだ感じの、脱4ビートのECMサウンドのジャズとして録音されてしまうという、典型的な例ですね。ヨーロッパではこういうサウンドが一般ウケしているらしくて、マヌ・カッチェのECMのアルバムもポップチャートまで賑わせている国もあるというから、やっぱり日本のジャズを取り巻く環境と違うんだな、と思います。日本でこういうレーベルがあったら、続かないだろうなあ、と思いつつ。深さを感じさせます。
Currents/Wolfert Brederode(P) Quartet(ECM 2004)(輸入盤) - Recorded June 2006. Claudio Puntin(Cl), Mats Eilertsen(B), Samuel Rohrer(Ds) - 1. Common Fields 2. Empty Room 3. As You July Me 4. High & Low 5. With Them 6. Frost Flower 7. Scarabee 8. Desiderata 9. Soil 10. Ebb 11. Barcelona
(07/11/27)3曲目がスザンヌ・アビュールとの共作の他は、全曲Wolfert Brederodeの作曲。比較的オーソドックスなクァルテットの編成ですけれども、4ビートが出てこずに、温度感は低めで、流れるように進んでいくところなど、現代欧州ジャズのある面を切り取ったようなサウンド。あくまでも沈んでいくような指向性のクァルテットは、まさにマンフレート・アイヒャーの哲学に沿った演奏とも言えます。5-6分の比較的短めの演奏が多い中、1曲目は8分あって、まるでピアノの連続するアルペジオがミニマル的な要素も持っているような感じ。それでいて、冷ややかに(広義の)ジャズしています。7-8曲目はメロディアスでやや盛り上がりもある曲。海の底にいるようなサウンドの曲も。沈潜の美がありますが、聴く人を選ぶかも。
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