Tati/Enrico Rava
ベースレスのトリオでECMとくれば、もうやっぱりECM「らしい」サウンドがくるわけで、静かなバラードは多いですけれど、甘口ではありません。1曲目にスタンダードがきますが、淡々として吹いているにもかかわらず、どことなく緊張感が漂ってきます。名手ステファノ・ボラーニのピアノもよそで聴くピアノとは違って、ECMの世界の中にドップリとハマッてしまっているかのようで、しかも出てくるフレーズは静かながらタダモノではない雰囲気を感じさせます。あまり先鋭的すぎず、しかも知っている名前のミュージシャンでECMのサウンドに浸りたい方は、このアルバムから入ってみてもいいのでは。聴く人をある程度選ぶでしょうけれど。
Tati/Enrico Rava(Tp)(ECM 1921) - Recorded November 2004. Stefano Bollani(P), Paul Motian(Ds) - 1. The Man I Love 2. Birdsong 3. Tati 4. Casa Di Bambola 5. E Lucevan Le Stelle 6. Mirrors 7. Jessica Too 8. Golden Eyes 9. Fantasm 10. Cornetology 11. Overboard 12. Gang Of 5
全12曲中エンリコ・ラヴァ作は6曲(3、6-8、10-11曲目)。ポール・モチアン作も多め。比較的短い静かな作品が連なります。スタンダードを静かに耽美的に演奏する1曲目、ピアノとドラムスのデュオで静謐な感じの2曲目、優しいながらもはっきりしたメロディで語りかけるタイトル曲の3曲目、ステファノ・ボラーニ作の美しいメロディと幻惑されるピアノの4曲目、プッチーニの作品を静かで哀愁たっぷりに吹く(弾く)5曲目、浮遊感のあるメロディでちょっとスリリングな6曲目、けっこうアグレッシヴなやり取りの7曲目、控えめに語りかけてくる印象の8曲目、フリー・インプロヴィゼーションに近い感触の9曲目、やや弾む感じでダイナミックなノリの10曲目、フリーに近い展開の11曲目、しっとり優しいメロディの12曲目。(05年10月19日発売)
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