Goodbye/Bobo Stenson/Anders Jormin/Paul Motian
ECMレーベルというと、ほとんど4ビートジャズをやらないレーベルで有名ですが、ここでもビート感が出てくるような曲は少ないです。しかもリズムがあっても4ビートにはならない。それに対して、美旋律という言葉でとらえると、けっこうこのアルバムの美旋律度は高いです。冷たい感触だし、ビート感もないということで、一般のジャズファンに受け入れられるかどうかは疑問ですけれど、いわゆるECMファンにはけっこうウケるんではないかと思います。このアルバムも美旋律度が高いのは前半で、10曲目から13曲目までは小品が固まっていて、美旋律度もあるけれどミステリアスな感じが強く、最後の14曲目だけはオーネット・コールマンの曲を、自分を曲げずにやや受け入れている、という感じです。それでもECMの中ではおとなしい方なので、世間ではどう評価されるか、楽しみです。
Goodbye/Bobo Stenson(P)/Anders Jormin(B)/Paul Motian(Ds)(ECM 1904) - Recorded April 2004. - 1. Send In The Clowns 2. Rowan 3. Alfonsina 4. There Comes A Time 5. Song About Earth 6. Seli 7. Goodbye 8. Music For A While 9. Allegretto Rubato 10. Jack Of Clubs 11. Sudan 12. Queer Street 13. Triple Play 14. Race Face
全14曲中ボボ・ステンソンの作曲は12曲目のみで、他のメンバーの曲が6曲あり。ジャズメン・オリジナルや他の作曲家の曲も多め。氷の中でひたすらに美しい演奏が続くような感じで、それは1曲目から実感できます。そして、ビート感も薄く、なだらかに流れていくような感触。好みは分かれるでしょうが、こういう耽美的な世界がまだあったかという感じ。3曲目のようにメロディと哀愁がはっきりしている曲も。何とトニー・ウィリアムス作のやはり美しさが光ってやや盛り上がる4曲目、ドラマを見ているような6曲目、しっとり感がけっこうあるスタンダードのバラードで、タイトル曲の7曲目、クラシックが原曲でも他と違和感のない8曲目、ミステリアスな響きを持つ10-13曲目、オーネット・コールマン作のジャズしている14曲目。(05年9月14日発売)
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