Memory/Vision/Evan Parker Electro-Acoustic Ensemble
最近クレジットを見ていると、「エレクトロニクス」と書かれたパートを時々見ます。「ターンテーブル」の方はまだ分かるにしても、エレクトロニクスって何ぞや。「コンピュータ」との違いは? 下記に2枚のエレクトロニクス参加のアルバムがあるのですが、かつてのハービー・ハンコックのようにターンテーブルのスクラッチがバリバリのファンクという雰囲気では全然なく、ユルくアコースティック楽器と人工音(エレクトロニクスだと思う)が混ざり合ったようなサウンド。融合している感じで、境い目ははっきりとしません。
このアルバムはベースもドラムスもいないので、なだらかなのでジャズというジャンルに入れてもいいのかどうか。確かにフリー・インプロヴィゼーションという枠には当てはめることができるし、エヴァン・パーカーの循環奏法(音を途切れさせずに管楽器を吹く奏法)なども見事なのですが。
Memory/Vision/Evan Parker(Ss, Tapes, Samples) Electro-Acoustic Ensemble(ECM 1852)(輸入盤) - Recorded October 2002. Philipp Wachsmann(Vln, Electronics), Agusti Fernandez(P, Prepared P), Burry Guy(B), Paul Lytton(Per, Electronics), Lawrence Casserley(Signal Processing Instrument), Joel Ryan(Computer, Sound Processing), Walter Prati(Electronics, Sound Processing), Marco Vecchi(Electronics, Sound Processing) - 1-7. Memory/Vision
(03/11/19)オスロでのライヴ録音。曲名が入っていなくて全体の70分を1曲としているようですが、CDの中は7曲に分かれています。編成の大部分がエレクトロニクスを取り扱い、テープやサンプリングもある中に生音の楽器が入るという非常に前衛的なパターンなのですが、そこを支配する音は非旋律的な音響効果とも言える音が連なり、分かりやすいメロディがあまり出てきません。それでも次から次へといろいろなサウンドがドラマチックに、ある場面では淡々と出てきて、不思議な陶酔感覚をもたらしてきます。さすがにあまり分かりやすくないとはいえ、静かな場面で弦楽器やピアノなどのメロディらしきものが出てきたときは、少々ホッとすることも。この持続力と緊張感は、このバンドでないと出せないサウンドかも。
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