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2006年3月の記事

2006/03/31

Mozart/Scelsi/Part/Bartschi/Busoni/Werner Bartschi

1377

Werner Bartschiのピアノ曲のアルバム。モーツァルトの曲を最初と中ほど、最後に置いて、その中に現代音楽家の演奏を入れていくという、New Seriesお得意のパターンのアルバム。こういうパターンのアルバムはその後にけっこう出てくるのですが、このアルバムはその最初の方のアルバムではなかったかと思います。有名な作曲家で買わせて、それと同時に現代音楽の方に目を活かせる、という意図が当たっているかどうかは分かりませんが、何枚も聴いていると、もう慣らされた感があります。しかも現代音楽の方も、あまり難しいものは、ここではないということで、割とすんなりと聴けるんではないでしょうか。

 

Mozart/Scelsi/Part/Bartschi/Busoni/Werner Bartschi(P)(ECM New Series 1377)(輸入盤) - Recorded July 1988. - 1. Wolfgang Amadeus Mozart: 1. Fantasie C-moll KV475 Giacinto Scelsi: 2-5. Vier Illustrationen Zu Den Verwandlungen Vishnus Arvo Part: 6. Fur Alina Wolfgang Amadeus Mozart: 7. Adagio H-moll KV540 Werner Bartschi: 8. Fruhmorgens Am Daubensee Frruccio Busoni: 9. Toccata Wolfgang Amadeus Mozart: 10-12. Sonate B-Dur KV333

(04/04/04)18世紀オーストリアの有名な作曲家モーツァルトの曲を最初、最後、中ほどにちりばめ、そこに各種20世紀現代音楽家の作品を当てはめていくピアノ作品。モーツァルトの作品は、いかにもクラシックという感じの、聴いたことがあるようなメロディアスな曲が多いです。現代音楽作品の方はあまり難解なものは多くなく、そのサウンドは情景的かも。彼自身の作曲の曲も8曲目にあります。ペルト作品は小品ですが静謐。

Waitin' And Waitin'/Bobby Broom Trio/Quartet

1135
Criss Crossレーベル順番聴き5日目。3月もレーベルも、これでまたちょっとひと区切り。今日はギター・トリオと、それに数曲でテナー・サックスを加えたクァルテットのアルバム。個人的にはいいなあ、と思うんですけれども、ボビー・ブルームというギタリスト、このレーベルではサイド参加作を含めてたった3枚の録音、Amazonなどで検索してもあまりリーダー作を出していないんですね。おまけに彼のもう一枚のリーダー作、No Hype Blues(Criss Cross 1109)は廃盤ではなくても、在庫なし、再生産の予定もなしで入手困難盤になってしまいました。ちょっと地味かなとも思えるところが損をしているのでしょうか。


Waitin' And Waitin'/Bobby Broom(G) Trio/Quartet(Criss Cross 1135)(輸入盤) - Recorded December 28, 1996. Ron Blake(Ts), Dennis Carrol(B), George Fludas(Ds) - 1. Without A Song 2. Hot House 3. Always 4. The End Of A Love Affair 5. Burt's Blues 6. Speedball 7. Waitin' And Waitin' 8. Mo'

(06/03/27)Bobby Broom作は全8曲中3曲(5、7-8曲目)。ベースはエレキベース。コード奏法があったり、メロディも分かりやすく、親しみやすいアルバム。数曲(2、5-7曲目)にサックスも参加。旋律を聴いているとメロディアスで聴きやすく、スタンダードの料理方法もゴキゲンな1曲目、サックスと陽気にノリも良く曲を進めていく2曲目、ソロ・ギターからはじまって3人でミディアムで明るい3曲目、しっとり感の強いスローなバラードでやや淡色系のギターを聴かせる4曲目、あまりブルースっぽくない進行だけれどちょっとメカニカルな感じがいい5曲目、リー・モーガン作の燃えるような4ビートの6曲目、内省的なメロディで温度感が低いバラードのタイトル曲の7曲目、アップテンポでギターの流麗なフレーズを聴かせる8曲目。

2006/03/30

Andina/Dino Saluzzi

1375 なぜかECMにはソロの作品も多いのですが、これはバンドネオンのソロ・アルバム。珍しいですね。しかも、表現されているのは主にインプロヴィゼーションの世界なのに、いわゆるジャズではない。それに、アルゼンチンタンゴの世界を表現しているのでもなく、もっと淡く、時に無機的なメロディやサウンドが流れてきます。これこそがまさにECMワールドたるゆえんではないでしょうか。やっぱりこのレーベルにハマるかハマらないかで、これを楽しめるかどうかが決まります。通常のジャズファンにとっては、やっぱり異質な音楽に映るのかもしれませんが。

 

Andina/Dino Saluzzi(Bandoneon, Fl)(ECM 1375) - Recorded May 1988. - 1. Dance 2. Winter 3. Transmutation 4. Remoteness 5. Tango Of Obilivion 6. Choral 7. Waltz For Verena 8. Andina 9. Memories

全曲ディノ・サルーシの作曲。ほとんどの曲がバンドネオンのソロ。でもいわゆるアルゼンチンタンゴではありません。複雑なフレーズの場面もありますが、空間を生かした哀愁を帯びたメロディーが印象に残ります。やはり無機的な冷めた感触もある「ダンス」な感じの1曲目、冬景色を思わせるような切なげな響きやゆったりしたサウンドの2曲目、やや温かみがあってドラマチックでクラシック的なサウンドの3曲目、メロディ中心で素朴で牧歌的な4曲目、「タンゴ」のタイトルですが、もっと淡い寒色系のサウンドの5曲目、なぜか賛美歌を聴いているような雰囲気の6曲目、優しい透明感のあるワルツの7曲目、タイトル曲の8曲目、スペイシーな淡色系の空間が広がるタイトル曲の8曲目、さらに包み込むような小品の9曲目。

Penn's Landing/Clarence Penn Quartet

1134
Criss Crossレーベル順番聴き4日目。今日はクラレンス・ペンのアルバムです。ピアノレス・クァルテット、しかもオリジナルばかりということで、このレーベルにしてはけっこうハード。’60年代のモーダルな雰囲気がけっこう出ているような気もしますが、現代ミュージシャンはカッチリとしたテクニックの人が多く、やっぱり現代的かつモーダルな雰囲気とでも言うんでしょうか。好き嫌いの分かれそうなサウンドではあります。個人的にはこういう自由で、かつフリーとは一線を画すようなサウンドは好み。時々意表をつくような編成やサウンドのアルバムを提供するので、B級レーベルとは言われながらも、けっこう好きなレーベルではあります。


Penn's Landing/Clarence Penn(Ds) Quartet(Criss Cross 1134)(輸入盤) - Recorded December 29, 1996. John Swana(Tp, Flh), Ron Blake(Ts), Rodney Whitaker(B) - 1. C.P.Time 2. Re: Evaluation 3. April's Fool 4. Penn's Landing 5. One For Tony 6. Quick Fix 7. Barbara Anastasia

(06/03/26)Clarence Pennの作曲は7曲中3曲(1、4、7曲目)。ピアノレスの2管クァルテット。しかも曲はメンバーのオリジナルばかりでちょっとハード。けっこうモーダル。割と自由なフォーマットで渋めなアップテンポの進行の、60年代のジャズをほうふつとさせる1曲目、Ron Blake作のちょっと軽めなテーマながらもやっぱり自由度が高く、ウォーキングのベースソロが前半で長い2曲目、やはりRon Blake作の、スローでしっとりとしたバラードの3曲目、サックス・トリオでやはり’60年代のジャズのサウンドのようなタイトル曲の4曲目、Rodney Whitaker作のトニー・ウィリアムスに捧げられた、雰囲気のある5曲目、John Swana作のアップテンポのテーマから突進する6曲目、哀愁のあるメロディが印象的なややスローテンポの7曲目。

2006/03/29

Orchestra/Eberhard Weber

1374 手直しされていないアルバムは飛び飛びなので、5日連続でやるとだいぶ進んだ気がします(笑)。ただ、目標達成までは、順番に毎月10枚ずつ手直しできたとしても、まだあと1年弱かかることを思うと、道のりは遠いです。さて、今日はエバー・ハルト・ウェーバーというベーシストの、2曲を除けばソロ(一部の曲に多重録音あり)のアルバムです。エフェクターをかけた5弦アコースティックベースで、怪しげな音を発しながらメロディ楽器のように弾いていくところなどは、やっぱりワン・アンド・オンリーの世界。やっぱり聴く人を選ぶんだろうなあ、と思いつつ、ハマってしまっている自分がいます。

 

Orchestra/Eberhard Weber(B, Per, Key)(ECM 1374) - Recorded May and August 1988. Herbert Joos(Flh), Anton Jillich(Flh), Rudolf Diebetsberger(French Horn), Thomas Hauschild(French Horn), Wolfgang Czelusta(Tb), Andreas Richter(Tb), Winfried Rapp(BTb), Franz Stagl(Tuba) - 1. Seven Movements 2. Broken Silence 3. Before Dawn 4. Just A Moment 5. Air 6. Ready Out There? 7. Too Easy To Leave 8. One Summer's Evening 9. A Daydream 10. Trio 11. Epilogue

全曲エバーハルト・ウェーバーの作曲。エフェクターの効いたアコースティック・ベースの音が印象的。「オーケストラ」と いっても、ブラス・セクションを使ったのは2曲(1、7曲目)で、他の 9曲はソロ。結局、彼自身が「オーケストラ」。12分台の大作の1曲目は、哀愁漂う、時にアルペジオのような、時にメロディを弾くベースが前面に出てきて、他のベーシストのアプローチと違ったサウンド。7曲目は3分の作品ながら重厚なアンサンブルが聴けます。2-6、8-11曲目まではベースソロですが、時にアルコで、時にピチカートで、やはりメロディアスな個性的なサウンドを奏でています。ソロでも曲によって表情が違うのが面白い。4曲目はスピーディな小品、6曲目はスラップ奏法での曲。何曲かではシンセサイザーとの多重録音。

Two Of A Kind/Eric Alexander Quartet/Quintet

1133
Criss Crossレーベル順番聴き3日目。エリック・アレキサンダーは、今でもけっこう人気者ですが、やや高音域を中心に使うシャープなフレーズがその人気の元なのかな、と思ってしまいます。せっかくバリトン・サックスのセシル・ペインとの共演なのですから、できれば全曲で共演をやって欲しかったな、とも思いますが、やっぱり契約上の関係か何なのでしょうか。ただ、クァルテットでのワン・ホーンの演奏もけっこういいので、結果としてはこれで良かったのだとも思えますが。このレーベル、表面上は地味ですが、いろいろなメンバーの組み合わせでアルバムを出してくるところなど、ニクい演出です。


Two Of A Kind/Eric Alexander(Ts) Quartet/Quintet(Criss Cross 1133)(輸入盤) - Recorded December 15, 1996. Cecil Payne(Bs), David Hazeltine(P), John Webber(B), Joe Farnsworth(Ds) - 1. Happy Song 2. Pentimento 3. Mr. Harris 4. I Can't Get Started 5. Cecil's Slide 6. Angel Eyes 7. Beautiful Things 8. Kick-A-Poo

(06/03/25)エリック・アレキサンダー作は1、3、7曲目。4-5、8曲目でセシル・ペインも参加して、作曲は5、8曲目。メロディアスながらアップテンポの現代的な楽曲で、彼らしいやや高音域中心のシャープなサックスを聴ける1曲目、David Hazeltine作のやや中間色爽やか系のボッサが心地良い2曲目、やや引っかかりのあるリズムと4ビートの部分があって、少し速いテンポでけっこう渋い世界が展開している3曲目、バリトン・サックスも低音が心地良いバラードの4曲目、なかなかエキサイティングな部分もあるブルース進行の5曲目、意表をついてアップテンポでテーマもソロもハード・ブロウイングでせまってくる6曲目、8分の6拍子でちょっと盛り上がり気味の7曲目、2管ホーンのテーマもソロも印象的なアップテンポの8曲目。

2006/03/28

Triplicate/Dave Holland Trio

1373

デイヴ・ホランドのリーダー作。スティーヴ・コールマンとジャック・ディジョネットとのピアノレス・トリオのアルバムで、M-BASEのコールマンに大きくスポットが当たっているのは、この時代の特徴ですね。シンプルな編成なので、聞き流してしまいがちで、彼らがどんな変拍子をやっているのか、かえって分かりにくくなっているのですけど、相当高度なことをやっていそうです。こういうトリオで、よくアルバム1枚分もつな、と感心したものですが、曲ごとに変化をつけているので飽きさせません。今聴いても、やっぱりややこしいことを、この3人は涼しい顔をしてやっているな、と思います。好きなアルバム。

 

Triplicate/Dave Holland Trio(B)(ECM 1373) - Recorded March 1988. Steve Coleman(As), Jack DeJohnette(Ds) - 1. Games 2. Quiet Fire 3. Take The Coltrane 4. Rivers Run 5. Four Winds 6. Triple Dance 7. Blue 8. African Lullaby 9. Segment

ベテラン勢を相手に頑張るスティーヴ・コールマン参加のピアノレス・トリオのアルバム。3人とも変拍子は得意なミュージシャンです。9曲中4曲はデイヴ・ホランド作。スティーヴ・コールマンの作品が1曲目にきていることで、彼の重要性をうかがい知る事ができます。静かでメロディが印象的な2曲目。デューク・エリントン作の3曲目とチャーリー・パーカー作の9曲目の演奏は結局彼らの土俵の中に引き込んでしまう個性的な演奏。静かな局面から徐々に盛り上がっていく4曲目、ラテン・ビートで変拍子の6曲目、テーマが印象的なジャック・ディジョネット作の7曲目。8曲目もトラディショナルということなのですが、彼らの曲のように聞こえます。通して聴くと自由度の高いこのトリオの個性が際立ってきます。

Circle Line/Ralph Lalama Quartet

1132
Criss Crossレーベル順番聴き2日目。このラルフ・ララマというサックス吹きの人、日本では名前と風貌で損をしている感じで、無名に近い人ですが、このレーベルではワン・ホーン・クァルテットでの録音が多く、やっぱりサックスとして自信を持っていることがうかがわせます。まずメロディが前面に出てきて、それでバリバリと吹ききることもあり、バラードの曲もありと、最近はやりのメカニカルな感じもほとんどありません。独自路線を歩んでいる人なのか、と思えます。このアルバムも、ギターとの相性も良い感じです。3曲目の「ジャイアント・ステップス」、難曲なのに、それを意識させないアレンジとサウンドなのには少々驚きました。


Circle Line/Ralph Lalama(Ts) Quartet(Criss Cross 1132)(輸入盤) - Recorded December 13, 195. Peter Bernstein(G), Peter Washington(B), Kenny Washington(Ds) - 1. CIrcle Line 2. My Ideal 3. Giant Steps 4. You Are Too beautiful 5. Fiesta Espangol 6. Dark Chocolate 7. Homestretch 8. Without A Song

(06/03/25)1、6曲目のみRalph Lalamaの作曲で、他はジャズメン・オリジナルやスタンダード。ギターを含むクァルテットなので、興味あるサウンドです。アップテンポで複雑なテーマをギターと共に吹き(弾き)きる、ソロもなかなかスリリングなタイトル曲の1曲目、ギターが抜けてトリオでリラックスした演奏を聴かせる2曲目、難曲をテンポはやや速めながらやっぱりリラックスしたアレンジで聴かせている3曲目、ややスローで朗々とサックスが歌っているメロディアスな4曲目、アップテンポでサンバのおいしいところの展開が聴けるノリの良い5曲目、ミディアムでやや渋めのサウンドの、いぶし銀とも言える6曲目、ジョー・ヘンダーソン作のアップテンポでせまりまくる7曲目、明るくノリつつ、ソロのメロディでこの人らしさのある8曲目。

2006/03/27

The Lamp And The Star/Alex Cline

1372

Alex Clineのリーダー作。ヴォイスが多めだったり、ヴァイオリンやチェロなども使ったり(しかもチェロはハンク・ロバーツ)して、フリー・インプロヴィゼーションのような映画音楽のような、不思議なサウンドを奏でています。まさにボーダーレス、ここに極まれり、という感じもしないでもないですが、そういう表現、ここまででずいぶんと使っているので、もはや文章的にはマンネリともいえるのではないかとも思いますが。神秘的な部分もあり、ある種のジャズ的にも聴こえたり、ありそうでなさそうな展開が、興味を引きます。ただ、ちょっと地味かなとも思え、果たしてこのアルバム、日本ではどのくらい聴かれているのか、気になります。

 

The Lamp And The Star/Alex Cline(Per, Voice)(ECM 1372)(輸入盤) - Recorded September 1987. Aina Kemanis(Voice), Jeff Gauthier(Vln, Viola, Voice), Hank Roberts(Cello, Voice), Wayne Peet(P, Org), Eric Von Essen(B), Nels Cline(Voice), Susan Rawcliffe(Didjeridu) - 1. A Blue Robe In The Distance 2. Eminence 3. Emerald Light 4. Alter Stone 5. Accepting The Chalice

(03/08/15)全曲Alex Clineの作曲。ヴォイスやヴァイオリン、パーカッションなどの楽器の使用で、ジャズらしからぬ特色のあるサウンドが展開しています。静かにはじまって現代的な映画のバックに流れていくようなちょっと暗い弦とヴォイスの響き、中間色系の幻想的なピアノ、後半のややアグレッシヴな展開、そして静かな弦とヴォイスと、徐々に流れが動いていく16分台の1曲目。やや遠くから聴こえてくるヴォイスや弦と時折り盛り上がるドラムスやパーカッションの対比が面白い2曲目、独特の浮遊感から、ピアノが入ってゆったりとした流れを感じさせる3曲目、漂っていくヴォイスや弦を、パーカッションなどが派手に盛り上げる展開をみせる12分台の4曲目、出だしがスペイシーでミステリアスなヴォイスや弦が響く5曲目。

Distant Star/Bill Charlap Trio

1131
Criss Crossレーベル順番聴き1日目。このレーベル、ホーン入りのアルバムがけっこう多いのですが、その中にピアノ・トリオの作品も混ざっています。やっぱり欧米ではこういうバランスが主流なのかな、と思わせますが、このビル・チャーラップ、派手だったりゴリゴリ押しまくったりすることはなく、どちらかというと繊細で内側を向いているようなピアノ。でも、聴いているうちに心の中にしみこんできます。とは言うものの、タイトル曲の5曲目がフリー・インプロヴィゼーションで疾走するような感じなので、けっこう多方面にアンテナを張ったような演奏ができる人かもしれません。


Distant Star/Bill Charlap(P) Trio(Criss Cross 1131)(輸入盤) - Recorded December 17, 1996. Sean Smith(B), Bill Stewart(Ds) - 1. Along The Way 2. While We're Young 3. Last Night When We Were Young 4. Here I'll Stay 5. Distant Star 6. Bon Ami 7. '39 Worlds Fair 8. Starlight 9. The Heather On The Hill

(06/03/25)タイトル曲の5曲目が3者の作曲(フリー)で、8曲目のみBill Charlapの作曲。スタンダードやジャズメン・オリジナルが多いですが、派手でないながらも、味わいのある世界を展開。内省的で繊細、浮遊感のある4ビートジャズという感じの1曲目、ワルツで、丁寧に音を紡ぎだしながらもやや盛り上がりのある2曲目、彼ならではのしっとりとしたバラードプレイが冴える3曲目、メロディアスで、ベースやドラムスもそれなりに映える4曲目、アップテンポを感じさせるスリリングな小品の5曲目、ジム・ホール作でやや地味ながら落ち着いたメロディと進行の6曲目、カラフルさとミステリアスな部分が同居するような盛り上がる7曲目、夜空の星を感じさせるちょっとスリリングな8曲目、ソロ・ピアノで落ち着いたバラードを奏でる9曲目。

2006/03/26

Cosi Lontano...Quasi Dentro/Markus Stockhausen/Gary Peacock

1371 今日はマーカス・シュトックハウゼンとゲイリー・ピーコックの双頭バンドの、フリー・インプロヴィゼーションのアルバムです。ECMというレーベルカラーのせいか、あるいはメンバーの個性なのか、たまに盛り上がるやや元気な場面はあるにしても、大部分は緊張感のある間を生かしたインプロヴィゼーションの世界になっています。このあたり、ヨーロピアン・フリーが好きな人には受け入れられると思いますが、やはりフリーには違いないので、聴く人を選ぶアルバムです。下記のアルバムタイトルや曲のタイトルからだけでも、どんな感じの音か分かりそうですね(笑)。

 

Cosi Lontano...Quasi Dentro/Markus Stockhausen(Tp, Flh, Synth)/Gary Peacock(B)(ECM 1371) - Recorded March 1988. Fabrizio Ottaviucci(P), Zoro Babel(Ds) - 1. So Far... 2. ...Forward... 3. ...Late... 4. ...Across Bridges... 5. ...In Parallel... 6. ...Breaking... 7. ...Through... 8. ...Almost Inside...

超空間的双頭バンド。静寂の時間の方が長いフリーの世界なので、音数より間の方が気になるアルバム。全員作曲者に名を連ねているので、やはり全曲フリー・インプロヴィゼーションの世界か。禅問答ではないけれど、フェード・インしてフェード・アウトしていくような曲名。1曲目は前半ドラムスが中心で、その後他の楽器が漂う世界。高めの音域のベース・ソロが炸裂する2曲目、ゆったりと研ぎ澄まされたホーンが伸びる、間の3曲目、珍しくベースやホーンがリズミックで速めの展開の4曲目、ホーンが静かにメロディを奏でて、他のメンバーも緊張感のある5曲目、パルス的に音に反応していく、間のある6曲目、やはりスペーシーで研ぎ澄まされたサウンドの7曲目、静寂に近い中を各楽器がゆったりとソロをとっていく8曲目。

チェンジング・パートナーズ/ハーヴィー・メイソン・トリオズ2

Harveychange
ジャズの国内盤新譜も先月分は少なかったので、これでひと区切り。この企画は’03年にもあって、その1枚目の方がゲストのミュージシャンの顔ぶれが豪華だったのですが、このアルバムもなかなかの顔ぶれだと思います。やっぱりハーヴィー・メイソンだからできたのかも。彼、録音やライヴの時にミキサーに頼らずに、スネア、タムタム、シンバル、バスドラなどのサウンドバランスを自分で加減してたたき出してしまうことができる、ということを昔何かで読んだことがあるのですが、昔はフュージョン畑中心だったにしろ、名人級の腕前を持っていることは間違いないようで、多彩なゲストに負けずに、彼のドラムスを聴くことができるアルバム、とも言えます。


チェンジング・パートナーズ/ハーヴィー・メイソン(Ds)・トリオズ2(Videoarts)
Changing Partners/Hervey Mason(Ds) Trios(Videoarts) - Released 2006. Chick Corea(P), Joey Calderazzo(P), Dave Grusin(P), Makoto Ozone(P), Eric Scott Reed(P), Gonzalo Rubalcaba(P), Jacky Terrasson(P), Stanley Clarke(B), Dave Carpenter(B), James Genus(B), Orlando Leflemming(B), Darek Oles(B), Buster Williams(B) - 1. All Of You 2. Change Partners 3. That Night 4. Mean Old Man 5. You Don't Know What Love Is 6. There Will Never Be Another You 7. Waltz For Dave 8. Sweet And Lovely 9. Prelude To A Kiss 10. Bebop Betty

小曽根真(P)(1、6曲目)、ジャッキー・テラソン(P)(2、5曲目)、デイヴ・グルーシン(P)(3曲目)、エリック・リード(P)(4曲目)、チック・コリア(P)(7曲目)、ゴンサロ・ルバルカバ(P)(8曲目)、ジョーイ・カルデラッツォ(P)(9-10曲目)、ジェームス・ジナス(B)(1-2、5-6曲目)、デレク・オーレス(B)(3曲目)、バスター・ウィリアムス(B)(4曲目)、デイヴ・カーペンター(B)(7曲目)、スタンリー・クラーク(B)(8曲目)、オーランド・フレミング(B)(9-10曲目)。ハーヴィー・メイソン作はラストのみで、他はスタンダードか、メンバーでのジャズメン・オリジナル。1作目よりは小ぶりですが、それでも豪華なメンバーをとっかえひっかえ演奏する2作目。問答無用のなかなかいい演奏。カッチリとして、なおかつ味わい深いジャズのピアノの1、6曲目、独特のメロディ感覚とその崩し方が特徴的な2、5曲目、メンバーのダレク・オレス作の切ない世界のバラードが印象深い3曲目、ストライド・ピアノの出だしで、本題にに入るとややおっとりしたピアノが印象的な4曲目。ビートの上をフレーズが滑っていくような自由度の高い8曲目、バラードもテンポの良い曲も都会的な9-10曲目。チック・コリアは7曲目に参加で、自作曲のワルツを静かな出だしから徐々に盛り上がって演奏しています。(2月22日発売)

2006/03/25

ライヴ!・イン・ノースランド/加藤真一、佐藤允彦、岩瀬立飛

Livenorth
ちょっと旧録音になるけれども、’00年の録音で比較的新しい。あまりメジャーではないけれど、ジャズファンにとっては、ちょっとマイナー好みのアルバムを発売してくれる会社がいくつかあって、このローヴィング・スピリッツもそのひとつ。こういうライヴを発売してくれて、邦人のライヴの良さを実感させてくれるレーベルって、うれしいですね。発売しているCDの全部を追いかけているわけではないけれど、私、佐藤允彦さんのファンでもあります。こういうライヴだと、トンガリ度は少し抑えめですが、それでもムクムクともたげてくる自由への飛翔というのか、フリーというのか、そういうのがたまに見え隠れするのが嬉しいですね。


ライヴ!・イン・ノースランド/加藤真一(B)、佐藤允彦(P)、岩瀬立飛(Ds))(Roving Spirits)
Live ! In Northland/Shinichi Kato(B), Masahiko Sato(P), Tappi Iwase(Ds)(Roving Spirits) - Recorded November 23 and 24, 2000. - 1. Go No Sen 2. Autumn Leaves 3. All The Things You Are 4. A Song For Jack 5. Korpokkur 6. Clouds In Green 7. You Are In My Thoughts 8. Vacant Lot 9. If I Were A Bell

’00年録音の北海道でのライヴ。加藤真一の曲が9曲中5曲(3-8曲目)で、実質彼がリーダーか。佐藤允彦が参加しているのでハードな場面も、逆に聴きやすい場面もあります。佐藤作の緊張感のある小品のシャキッとする1曲目、何の曲かと思わせながらテーマ、ソロと比較的自由に展開していく「枯葉」の2曲目、ピアノ・ソロでイメージが膨れるような、なかなかテクニック的にも素晴らしいスタンダードの3曲目、ボッサ的でベースソロも多めのちょっとゴキゲン系な4曲目、ちょっとエキゾチックだったりカリプソ的だったり変化に富む5曲目、しっとりとテンポのない味わいのあるバラードの6曲目、明るくてキラキラしたイメージを持つ7曲目、ロックビートでちょっと明るめの8曲目、やや豪快なアップテンポのジャズの9曲目。(2月22日発売)

Passio/Arvo Part

1370

アルヴォ・ペルトのアルバム。同時代を生きてきた現代音楽家のはずなのに、邦題は「ヨハネ受難曲」。しかも少し前の宗教音楽のようなサウンドでせまってきます。その荘厳な演奏が、盛り上がったり静かになったりして続き、私はキリスト教徒ではないけれど、その宗教的な要素というのは、かなり感じることができます。それでいて、これぞNew Seriesという内容。やはり彼がNew Seriesの最初でなければいけなかった理由が、いくつかの彼のアルバムを聴いてきて分かるような気がします。ここでもヒリヤードアンサンブルが、歌で活躍しています。こういう宗教的な題材から、現代音楽まで対応できる素晴らしいグループ。

 

Passio/Arvo Part(ECM New Series 1370) - Recorded March 1988. The Hilliard Ensemble: Michael George(Bass), John Potter(Tenor), Lynne Dawson(Soprano), David James(Countertenor), Rogers Covey-Crump(Tenor), Gordon Jones(Baritone), Elizabeth Layton(Vln), Melinda Maxwell(Oboe), Elisabeth Wilson(Cello), Catherine Duckett(Basson), Christopher Bowers-Broadbent(Org), The Western Wind Chamber Choir, Poul Hillier(Cond) - 1. Passio Domini Nostri Jesu Christ Secundum Joannem

(02/08/03)邦題「ヨハネ受難曲」。70分台の大曲です。アルヴォ・ペルトは現代作曲家ですが、ここではもっと以前の音楽を聴いているような不思議な雰囲気になります。宗教的な題材だからなのか、沈んだ荘厳な雰囲気が全体を支配していて、派手になることなく、時間の流れに沿ってその雰囲気のまま進んでいく感じがあります。もちろん歌詞の方は聖書からとられているようなので、その意味は けっこう重いと思いますが。

2006/03/24

ラプソディ・イン・ブルー/ミシェル・カミロ

Michelblue
新譜の方にちょっと目を向けてます。このアルバム、ガーシュインの作品の、ミシェル・カミロと交響楽団との共演で、ラストの曲のみソロ・ピアノ。ただ、演奏はジャズ的に聴こえる部分はあるにしても、楽譜に忠実に演奏しているとも考えられ、カテゴリーをジャズにしようかクラシックにしようか迷う部分がありました。聴いた結果、クラシックとしましたけれど、こういう融合音楽は、ジャンル分けが難しいですね。演奏はクラシックのピアニストはこういうノリでは演奏しないな、と思うところも見受けられました。気分的には爽快な部分もありましたけれど、やっぱり個人的には、彼の「ジャズ」が聴きたいなー、とも思います。


ラプソディ・イン・ブルー/ミシェル・カミロ(P)(Telarc)
Rhapsody In Blue/Michel Camilo(P)(Telarc) - Recorded February 2-4, 2005. Ernest Martinez Izquierdo(Cond), Barcelona Symphony Orchestra - 1. Rhapsody In Blue Concert In F: 2. Allegro 3. Adagio - Andante Con Moto 4. Allegro Agitato 5. Prelude No.2

バルセロナ交響楽団との演奏。全曲ジョージ・ガーシュインのクラシック曲で、正確にはジャズの要素も入っているクラシックとでも言うべきか。特に1曲目のタイトル曲はいろいろなミュージシャンが取り上げていて有名。全曲ピアノの部分も書き譜のはずなのですが、その躍動感やリズムの取り具合から、アドリブではないかと思わせるところが少なからずあって、ジャズ側から聴いた彼の演奏を魅力的なものにしています。やぱりラテン的な要素は隠せない感じです。ジャズ・ブルース的な要素が果たして原曲にあったのかどうか。他の曲はもっとクラシック的ですが、クラシックのピアノ奏者ならばこうは弾かないだろうな、というところもあって、そういう意味では面白いかも。ラストの曲はソロ・ピアノでややしっとり加減の演奏。(06年2月22日発売)

Der Mann In Fehrstuhl/The Man In The Elevator/Heiner Goebbels

1369

Heiner Mullerの詞(詩?)に、基本的にはHeiner Goebbelsが曲をつけたもの、とありますが、ハイナー・ゲッペルスだったら、New Seriesになるのではないかなあ、とも思うのですが、参加ミュージシャンにジャズ畑やアヴァンギャルドの人がごっそり入っていて、それで、ジャズになったのかなあ、と思います。基本的にはドイツ語の語りなので、興味が持続するかなあ、と思ったのですが、随所に入るジャズの音楽のフレーズが、なかなか印象的ではあります。ボーダーレス(という言葉を何度も使ってすいませんが)のECMならではの、面白い折衷音楽が出来上がったと思います。誰がどこを演奏しているかを探すのも面白い。

 

Der Mann In Fehrstuhl/The Man In The Elevator/Heiner Goebbels(P, Synth, Prog)(ECM 1369)(輸入盤) - Recorded March 1988. Arto Lindsay(Vo, G), Ernst Stotzner(Vo), Don Cherry(Vo, Tp, Doussn'Gouni), Fred Frith(G, B), Charles Hayward(Ds, Metal), George Lewis(Tb), Ned Rothenberg(Sax, Bcl), Heiner Muller(The Author) - 1. In Einem Alten Fahrstuhl/In An Old Elevator 2. Es Geht Um Einen Auftrag/It Concerns A Task 3. Funf Minuten Vor Der Zeit/Five Minutes Too Early 4. Drei Stufen Auf Einmal/Three Steps At A Time 5. No Taboleiro De Baiana 6. Ein Schneller Blick Auf Die Uhr/Quick Glance At My Watch 7. Allein Im Fahrstuhl/Alone In The Elevator 8. Wilde Spekulationen/Wild Speculations 9. Der Chef/The Boss 1-. Sein Selbstmord/His Suicide 11. Fita Nos Meus Olhos 12. Ich Verlasse Den Fahrstuhl/I Step From The Elevator 13. Ohne Auftrag/Without Any Task 14. Mitleid In Peru/Compassion In Peru 15. Trockener Schlamm Mit Fahrspuren/Caked Mud With Vehicle Tracks 16. Heimweh Nach Dem Fahrstuhl/Homesick For The Elevator 17. Kalter Schweiss/Cold Sweat 18. Etwas Wie Heiterkeit/Something Like Serenity 19. Diese Frau Ist Die Frau Eines Mannes/This Woman Is The Wife Of A Man 20. Auf Einem Grasuberwachsenen Bahndamm/On A Railway Embankment 21. Worin Besteht Mein Verbrechen/What Is My Crime

(03/09/02)Heiner Mullerの詞(詩?)に、基本的にはHeiner Goebbelsが曲をつけたもの。ジャズやアヴァンギャルドの世界では有名なミュージシャンが多く参加しています。出だしに詞の朗読の場面もありますが、ヴォーカルのあるロック風の演奏の場面が多くあって、そのサウンドはアヴァンギャルドな部分はあっても、親しみやすい方だと思います。42分の中に21曲が詰め込まれていて、しかも連続しているので、ロックの叙事詩を聴いているような雰囲気。いきなりビートが効いてノリノリになったかと思えば思索的な、あるいは先鋭的なサウンドになってみたりと、その表現は多彩。たまにジャズ的なフレーズが出てきますが、特にジャンルを限定せずに音楽や歌を楽しむ(?)、というのが正しい聴き方かもしれません。

2006/03/23

エンジェル・オブ・シャンハイ/ボブ・ジェームス

Bobangeles
たまには気分転換で新譜を。このアルバム、ボブ・ジェームスと韓国のギタリスト、ジャック・リーとの共同プロデュースになっているんですね。収録した場所も上海。西欧の人にはオリエンタルなエキゾチックさがウケるんではないだろうか、とも思いますが、日本では女子十二楽坊が大ヒットしましたからね。女子十二楽坊のアルバムは買ったわけではないけれど、曲はよく流れていたので聴きました。今回のボブ・ジェームスの新作、メロディやアレンジ的には彼らしい部分も多いのですが、その全面に取り入れた中国的なサウンドが、自分にとってはちょっと気になる部分ではありました。


エンジェル・オブ・シャンハイ/ボブ・ジェームス(Key)(Videoarts)
Angels Of Shanghai/Bob James(Key)(Videoarts) - Released 2006. Jack Lee(G), Nathan East(B, Vo), Harvey Mason(Ds, Per), Lewis Pragasam(Ds, Per), D.J. Zest(Loop Prog)The Ahgels: Ma Jia Jun(Er-ru:二胡), Liu Zhen(Er-ru:二胡), Li Li(Pipa:琵琶), Xie Tao(Guzheung:古筝), Zhao Qi(Dizi:笛), Guest: Karen Han(Er-ru:二胡) - 1. Celebration 2. Gulangyu Island 3. Endless Time 4. Theme 'Onara' From 'Daejangkeum' 5. Dream With Me 6. Angels' Theme: The Invention Of Love 7. The Magic Paintbrush 8. Melodia: A Quiet Place For Two 9. Butterfly Lovers 10. Dialogues: The Universal Language 11. Angela With Purple Bamboo

中国の上海録音。全11曲中9曲がボブ・ジェームス作ないしは共作。基本的なメロディはいつもどおりですが、中国系の楽器が多く、エキゾチックな香り。西欧では新鮮だと思いますが、日本でこういう中国系混交フュージョンが受け入れられるか、微妙。中国側の作曲は4、9曲目。ギターのジャック・リーのソロはオーソドックスなコンテンポラリー・ミュージック系(1曲目)。中国色がより強いながらも淡々とピアノソロがある2曲目、ネイザン・イーストのヴォーカルが聴けるバラードの3曲目、打ち込み系のようなリズムの5曲目、しっとり系のワルツの6曲目、中国系のメロディとの折衷が心地良い7曲目、二胡とピアノのデュオでしっとりくる8曲目、彼らしい凝ったアレンジが光る10曲目、そして「アンジェラ」の再演の11曲目。(06年2月22日発売)

Proensa/Paul Hillier

1368

ポール・ヒリヤーが、11-13世紀頃の中世騎士世俗歌曲を、今に再現して、歌っています。当時の断片などを再構築しているようですが、こういう古楽のアルバムも、ECMではいくつも出しています。おそらく、クラシック界では初めての音源になるものも多かったのではないでしょうか。しかもECM流の解釈も加えて、ということで、表現的にも何か新しいものが出てきているかもしれません。古楽を探求したい方向けかも。ちなみにヒリヤード・アンサンブルは彼の名前から来ているのでしょうが、割と早い時期に脱退していて、気が付いた頃には彼の名前だけがグループ名で残っていた、ということのようです。

 

Proensa/Paul Hillier(Voice)(ECM New Series 1368)(輸入盤) - Recorded February 1988. - Stephen Stubbs(Lute & Psaltery), Andrew Lawrence-King(Harp & Psaltery), Erin Headley(Vielle) - 1. Farai Un Vers 2. Reis Glorios 3. Aissi Cum Es Genser Pascors 4. L'autrier Una Sebissa 5. Be M'am Perdut 6. Can Vei La Lauzeta 7. Pos Tornatz Sui 8. Be.m Degra De Chantar

(03/11/18)南フランスのドルバドゥール歌曲、いわゆる11-13世紀頃の中世騎士世俗歌曲というものらしいです。現代に正確に再現できるものではないらしいけれども、ヴォイスや歌、そして古楽器を使って、当時の雰囲気を出しています。素朴な楽器の響き、そして素朴ではあるけれども、その憂いを帯びた力強い歌を聴くことができます。どちらかと言うと歌が主で、楽器は控えめな伴奏、または合いの手を入れる感じです。

2006/03/22

Aero/Masqualero

1367

MasqualeroのECM2作目。ここではArild AndersenとTore Brunborgが作曲面で引っ張っているので、この2人がグループの中心なのでしょうか。1枚目の時にも書いたけど、通常のクインテット編成なのに出てくる音はECMなので、まさにこのためにできたグループといえなくもないです。ただ、最初から最後まで静かかというとそうでもなくて、曲によっては過激な部分もありますが。ジャジーな感じも少しあったり、盛り上がりがあったり、と、それでも通常のジャズっぽい4ビートにはならないところは、マンフレート・アイヒャーの統制なのかなあ、とも思ったり。ピアノのヨン・バルケが抜けて、ギターが入っています。

 

Aero/Masqualero(ECM 1367)(輸入盤) - Recorded November, 1987. Arild Andersen(B), Jon Christensen(Ds), Tore Brunborg(Ts, Ss), Nils Petter Molvaer(Tp), Frode Alnaes(G) - 1. Aero 2. Science 3. Venise 4. Printer 5. Balet 6. Return 7. Bee Gee

(03/08/14)Arild Andersenの曲が4曲とTore Brunborgの曲が3曲。比較的オーソドックスなクインテットの編成なのに出てくる音はECMサウンド。曲によってはけっこう過激にジャズしていますが。いきなり冷めていて浮遊感が漂っているタイトル曲の1曲目で、なるほど、と納得する演奏。やや激しい部分もあって、彼らにしてはジャジーな演奏の2曲目、ベースのソロではじまって、寒色系かなと思える絡み合うアンサンブルやソロが展開する3曲目、ちょっとハードなユニゾン中心のテーマをもち、ジャズが展開していく4曲目、持続音の上をパーカッションが淡々と続き、後半は曲らしい展開を見せる5曲目、ギターがハードながらメロディアスに聴かせてくれる心地良い6曲目、淡い感触でしっとりとしたメロディが紡ぎ出される7曲目。

2006/03/21

Private City/John Surman

1366 ECMもこのあたりまで来ると、かなり独自性のあるECMワールドが広がっていて、どこがジャズなの?というサウンドのアルバムも平気で出してきます。このアルバムも、フレーズはアドリブかもしれませんが、シンセサイザーやホーンの多重録音をバックに、哀愁感覚満点のメロディを吹いていて、映画音楽を連想させるような曲もあったりします。それでも、このアルバムのメロディ、過去に何回も聴いたので割と覚えていて、その印象度の強さがやっぱりこのレーベルなんだろうか、とジャズ度はほとんどないにしても、ひきこまれてしまいます。

 

Private City/John Surman(Bcl, Recorders, Ss, Bs, Synth)(ECM 1366) - Recorded December 1987. - 1. Portrait Of A Romantic 2. On Hubbard's Hill 3. Not Love Perhaps 4. Levitation 5. Undernote 6. The Wanderer 7. Roundelay 8. The Wizard's Song

多重録音のソロ作品。1曲目と3曲目はバレエのために書かれた曲。ジャズ色はないですが、ECMらしい思索的な、深く、静かな曲も多いです。薄暮の憂いの中からバス・クラリネットのメロディが浮かび上がってくる、ヨーロッパ的哀愁を感じる1曲目、リコーダーで異国情緒を感じさせるようなサウンドの2曲目、やはり青系統のサウンドイメージのあるたゆたうような3曲目、バスクラリネットの多重録音が幻想的な4曲目、ソプラノサックス1本でスペイシーな世界の5曲目、ゆったりしていてクラシック的なアンサンブルもある哀愁路線の6曲目、ちょっと浮遊感をもたらしながらアンサンブルが心地良い7曲目、ミニマル的なアルペジオをバックに、高めの音域を中心にバリトン・サックスがメロディを奏でていく、盛り上がりのある8曲目。

2006/03/20

The Paul Bley Quartet/John Surman, Bill Frisell, Paul Motian

1365 ECMレーベルらしい音っていうのは、ひとりひとり違うと思いますが、私はECMにのめり込むきっかけとなった中の1枚、そして基準の1枚にこのアルバムがあります。フリーにかなり近いんだけれども、いちおう作曲された曲で、しかも今となってはベテランたちの演奏。静謐かと思ったらハードなインプロヴィゼーションも混ざり込んでいて、特にビル・フリゼールのギターが曲によってはロックを聴いているんではないかと思うくらいの場面もあります。このアルバムと、同じメンバーでの1枚目「フラグメンツ」を聴いた’80年代の終わり頃、かなりショックだったなあ。こういう世界も覗いてみませんか?

 

The Paul Bley Quartet(P)/John Surman(Ss, Bcl), Bill Frisell(G), Paul Motian(Ds)(ECM 1365) - Recorded November 1987. - 1. Interplay 2. Heat 3. After Dark 4. One In Four 5. Triste

同じメンバーでの第2作目。やっぱりこのメンバーならではの音。5曲中、ポール・ブレイ作は1、5曲目。前作に続き、静謐な、しかもものすごい緊張感の中での緊密なインタープレイが展開されます。時にハード。1曲目は何と20分もの曲で、確かにタイトル通り「インタープレイ」となっていますが、フリー的に、しかも均整のとれたサウンドでバランス良くドラマチックに展開していくさまは見事。立ち止まりそうになることもありながらその冷たい構成美。ジョン・サーマン作の、リズムのある程度ある中を時にメロディが舞い飛んでいる2曲目、ビル・フリゼール作の、ハードなギターと静謐さをブレンドして各楽器に展開していく3曲目、ポール・モチアン作の各パートが内面をえぐっていくような4曲目、美しいソロピアノで語りかける5曲目。

2006/03/19

De La Nuit ... Le Jour/Tamia/Pierre Favre

1364

タミアとピエール・ファヴルのデュオ作品。なぜかNew Seriesに入っていますが、ECMだったらある種の即興演奏として、ジャズの方に入れてもいいのではないかとも思えます。ただ、記譜されている音楽の可能性もあり、そこら辺の見極めは難しい。出てくるのはボーダーレスな世界なんですけれどもね。これも購入時だけしか聴いてなかった可能性が強く、今再び聴いてみても、こういう音楽があったのか、と改めて思います。音的には静かなところが多く、地味な感じはしますけど、これぞECMということなのかもしれません。ある意味民族的なヴォーカルも心地よく響いてきますし。ある意味不思議な感じもする音楽。

 

De La Nuit ... Le Jour/Tamia(Voice)/Pierre Favre(Per)(ECM New Seires 1364)(輸入盤) - Recorded October 1987. - 1. Ballade 2. Wood Song 3. Maroua 4. De La Nuit ... Le Jour 5. Mit Sang Und Klang 6. Yemanja

(03/11/18)2人のどちらかのオリジナルまたは共作。ボーダーレスではありますが、New SeriesよりもECMでいいくらいの内容。パーカッションやメロディ楽器(キーボード?)の上を漂っていく、時にエキゾチックな、時に心に入り込み、時に突き刺さるヴォイスの構図。不思議な世界観。哀愁を誘うメロディの部分もあります。パーカッションも激しい部分は少ないけれど、個性的なサウンド。タイトル曲の4曲目はけっこう幽玄の世界。

2006/03/18

Johann Sebastian Bach/Das Wohltemperierte Klavier, Buch 1/Keith Jarrett

1362

キース・ジャレットが正面切って、クラシックに挑んだ最初の作品ではなかったかと思います。それまでもクラシックで自分の曲を作曲したりしたことはありましたけど。しかもバッハの平均律クラヴィーア曲集 第1巻。もう逃げも隠れもできない状態でこのアルバムを出したのは、当時としては画期的ではなかったかと思います。当時はクラシック(バロックも含めて)にあまり経験がなかったので、聴けているうちには入らなかったかもしれませんが、最近は数百枚の経験を経ているので、さて、どうかなあ、というところ。実際はどうなんでしょう、「キースの音楽にも聴ける」と当時書いてありますが、それは正しかったのか、どうか。

 

Johann Sebastian Bach/Das Wohltemperierte Klavier, Buch 1/Keith Jarrett(P)(ECM New Series 1362/63) - Recorded February 1987. - Praludien Und Fugen 1-12 BWV 846-857: 1-2. C-Dur 3-4. C-Moll 5-6. Cis-Dur 7-8. Cis-Moll 9-10. D-Dur 11-12. D-Moll 13-14. Es-Dur 15-16. Es/Dis-Moll 17-18. E-Dur 19-20. E-Moll 21-22. F-Dur 23-24. F-Moll Praludien Und Fugen 13-24 BWV 858-869: 25-26. Fis-Dur 27-28. Fis-Moll 29-30. G-Dur 31-32. G-Moll 33-34. As-Dur 35-36. Gis-Moll 37-38. A-Dur 39-40. A-Moll 41-42. B-Dur 43-44. B-Moll 45-46. H-Dur 47-48. H-Moll

邦題「J.S.バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻」。バッハは18世紀ドイツの有名な作曲家。ここではジャズのクラシック化でなくて、純粋にクラシックとしての演奏をしています。クラシック /バロックは私自身の評価軸がないためコメントがうまくできないのですが、聴いていて心が安らぎます。元々完成度のけっこう高い楽曲なので、人気が高いのもうなずけます。 不思議なのは楽譜どおりに弾いているのに、キースの音楽にも聴けること。

2006/03/17

Blues Cruise/Chris Cheek

Chrisblues
ちょっと寄り道しています。ブラッド・メルドー・トリオ(今となっては旧トリオとでも言うべきか)がサイドにまわって、クリス・チークのアルバムをクァルテット編成で出す、ということをわりと最近やりました。今時こんなに有名になって、わざわざフレッシュ・サウンド・ニュー・タレントあたりでサイドメンで参加、という人も珍しいとは思いますが、聴いた感じ、あくまでもサイドにまわったちょっと控えめな演奏、という感じがしました。でもやっぱりメルドーに注目してしまうのはファンだからか。クリス・チークもいいミュージシャンだとは思いますが、このアルバムで、かなり目立っていた、という感じでもなかったような気もします。聴き込みが足りないのかな?


Blues Cruise/Chris Cheek(Ts, As, Ss)(Fresh Sound New Talent)(輸入盤) - Recorded March 16 and 17, 2005. Jorge Rossy(Ds), Brad Mehldau(P, Key), Larry Grenadier(B) - 1. Flamingo 2. Low Key Lightly 3. Coo 4. Squirrelling 5. Song Of India 6. Falling 7. Blues Cruise 8. John Denber 9. The Sweetheart Tree

(06/03/12)クリス・チーク作は全9曲中5曲(3-4、6-8曲目)。ブラッド・メルドー・トリオが丸ごとサポートしている点で特筆。ただ、あくまでもサポートという感じ。キーボードもあり。ボッサ的で明るいサウンドを持っている、ちょっとウキウキしそうな1曲目、デューク・エリントン作のしっとり加減がいい味わいのバラードの2曲目、ミディアムで、ちょっとミステリアスなテーマを持ったキーボード使用の3曲目、8分の6拍子で温かさとちょっと渋さを表現する4曲目、静かなヨーロッパの民謡のような素朴なワルツの5曲目、8分の6拍子の色調を変えながら進む6曲目、キーボード利用でちょっとゆったりめなブルースのタイトル曲の7曲目、ロック・ポップス的な8ビートの8曲目、ヘンリー・マンシーニ作の映画音楽的な雰囲気の9曲目。

Still Live/Keith Jarrett

1360

キース・ジャレットのスタンダーズのライヴで、初のCD2枚組。このあたりまでは、まだ手持ちのアルバムが少なかったせいもあり、何度も聴いたアルバムの中の1枚でもあります。ピアノではじまって、曲を他の2人が合わせていく、というフリー・インプロヴィゼーション的な流れは、けっこう新鮮に映っていて、キースがスタンダードを演奏したというだけではなくて、新しい演奏方法をピアノ・トリオで見出した、と思ったものでした。「Still Live」とは言いながら、その後も何枚もアルバムを出していくので、ECMとしても幅が広がったろうし、聴く方も次の1枚が出ることも楽しみのひとつになってしまいました。

 

Still Live/Keith Jarrett(P)(ECM 1360/61) - Recorded July 13 1986. Gary Peacock(B), Jack DeJohnette(Ds) - 1. My Funny Valentine 2. Autumn Leaves 3. When I Fall In Love 4. The Song Is You 5. Come Rain Or Come Shine 6. Late Lament 7. You And The Night And the Music, Extention 8. Intro, Someday My Prince Will Come 9. Billie's Bounce 10. I Remember Clifford

邦題「枯葉」。CD2枚組。だんだん曲のヴァリエーションも増えてきて、好みのスタンダードも多くなってきたので、特にこのアルバムは何度も聴いた一枚。1曲目は自然発生的なアルペジオから盛りあがってなだらかに引いていきます。これでもか、という感じの流麗かつ強引な、タイトル曲の2曲目、穏やかにしっとりと歌い上げる3曲目、16分もテンションが持続する4曲目、比較的オーソドックスなサウンドの5曲目、メロディアスに優しく語りかけてくる6曲目、前半はアップテンポのスタンダード、そして後半一転してオリジナルになる7曲目、厳かなオリジナルのイントロからおなじみの曲にスッと入って盛りあがる8曲目、これまたゴキゲンなジャズの9曲目。10曲目は静かな3分半ほどのバラードで幕を閉じます。(01年3月28日発売)

2006/03/16

Nafas/Rabih Abou-Khalil

1359

ラビ・アブ=ハリルはけっこう有名なレバノンのウード奏者ですが、ECMでのリーダー作はこれ1作だったと思います。中近東的な民族音楽。こういうアルバム、あるいは異文化との折衷音楽はECMではけっこうあるのですが、この時期では、インドはすでにあったけど、中近東的なものは、まだほとんどなかったような気もしています。全曲彼が演奏しているわけではなくて、中にはパーカッションのみの曲もあったりしますが、そう言うものを含めて、かの地の音楽がけっこう印象深く、中に入ってくる感じがします。日本では分かりませんけど、ヨーロッパではこういう音楽を欲する一定の層がいると見ていいでしょうね。

 

Nafas/Rabih Abou-Khalil(Oud)(ECM 1359)(輸入盤) - Recorded February 1988. Selim Kusur(Nay, Voice), Glen Velez(Frame Ds), Setrak Sarkissian(Darabukka) - 1. Awakening 2. Window 3. Gaval Dance 4. The Return 1 5. The Return 2 6. Incantation 7. Waiting 8. Amal Hayati 9. Nafas 10. Nandi

(03/07/23)レバノン人のウード奏者による演奏。やはり中近東的な純民族音楽。彼の曲は半分ほどで、他のメンバーによる曲もあります。1曲目はパーカッションのみによる小品ですが、同じフレーズが続いてリズミカル。2曲目は4人の連名の曲なので民俗音楽のフリー・インプロヴィゼーションといったところですが、曲としてまとまりがあります。パーカッションのみで繰り広げられる3曲目、エキゾチックな哀愁が目の前に広がっていく組曲になっている4-5曲目、やや激しい民族的なビートにのって時々味のあるメロディが舞う6曲目、じっくりと地に足をつけたようなビートとメロディの7曲目、やはりエキゾチックで起伏のある展開をする8曲目、タイトル曲ながら小品の9曲目、そして再びパーカッションのみで締めくくる10曲目。

L'indicible/ジャン・フィリップ・ヴィレ・トリオ

Jeablindi
新譜は当分、ECMレーベルの手直しが終了するまで凍結する、といったんは宣言したのですが、やっぱり聴く音楽に変化がないとつまらないということで、再度予定を変更して新譜を聴くことにしました。勝手ながらすいません。以前澤野工房が取り扱っていたフランスのSketchレーベルが倒産、澤野工房が買い取ったので、このアルバムも澤野工房のレーベルからの発売。ただ、以前はこの澤野工房のシールを貼ったものは、聴きやすいピアノ・トリオのアルバムばかりを出していたので、今日紹介するような、ちょっと内省的でフリーの局面も少し入っている内容だと、通常の澤野ファンは混乱してしまうかもな、とも思います。ただ、ジョアンニ・ミラヴァッシに通じるようなピアノの哀愁もところによってはあるので、そこが判断の分かれ目かも。


L'indicible/ジャン・フィリップ・ヴィレ(B)・トリオ(澤野工房)
L'indicible/Jean-Philippe Vilet(B) Trio(Atelier Sawano AS055) - Recorded January 4-6, 2005. Edouard Ferlet(P), Antonie Banville(Ds) - 1. Ascendant Vierge 2. Le Tambour De L'escargot 3. A Plus D'un Titre 4. Sablier 5. Ping-Pong 6. Valse A Satan 7. Les Idees Vagues 8. Le Reve Parti 9. Vierge

オリジナルのみで、ジャン・フィリップ・ヴィレの作曲が6曲、Edouard Ferletの作曲が3曲。澤野工房で出すには冒険的か。反復するベースのアルコの多重録音(?)でのクラシック的な1曲目、内省的な温度感の低い研ぎ澄まされた旋律とヴォリュームの起伏のある2曲目、7拍子系でシリアスな哀愁も漂っているテンポが速めでシャープな曲調の3曲目、硬質で自由なアプローチでせまりくる4曲目、パーカッシヴでフリーに近いような感触もあるが適度にメロディもある5曲目、沈み込んだ切なさと温度感の低さがバランスを保っている6曲目、具象と抽象の間を行くようなサウンドが心地良い7曲目、一部に繰り返される旋律と、なぜか日本的な旋律を想起させる8曲目、1曲目と同じような雰囲気で幕を閉じていく10曲目。(06年2月16日発売)

2006/03/15

Gary Smulyan With Strings/Gary Smulyan

1129
Criss Crossレーベル順番聴き5日目。今日はGary Smulyanというバリトン・サックスの人のウィズ・ストリングス集。日本では無名に近い人ですけれど、かなり実力があるミュージシャン。このレーベルからも何枚もアルバムを出しています。そして、何とこのレーベルからストリングス入りのアルバムが。基本編成としては、少なめの人数で効果があるように、ボブ・ベルデンのアレンジがなかなか良いです。ヴァイオリンにマーク・フェルドマンやレジーナ・カーターの名前も。それでもわずか1日でこのアルバムを録音してしまうのはこのレーベルらしいかも。ちょっとおとなしい感じがしますが、けっこうバリトン・サックスの露出度は高く、縦横無尽に吹きまくる場面も。


Gary Smulyan With Strings/Gary Smulyan(Bs)(Criss Cross 1129)(輸入盤) - Recorded December 23, 1996. Mike LeDonne(P), Peter Washington(B), Kenny Washington(Ds), Bob Belden(Arr, Cond), Mark Feldman(Vln), Laura Seaton(Vln), Jon Kass(Vln), Regina Carter(Vln), Cenovia Cummins(Vln), Ron Lawrence(Viola), Erik Friedlander(Cello), Tomas Ulrich(Cello), Clay Ruede(Cello) - 1. The Bad And The Beautiful 2. Lush Life 3. Thanks For You 4. It Happens Quietly 5. Don't Follow The Crowd 6. We've Got A Sure Thing 7. Beware My Heart 8. The Moment Of Truth 9. Yesterday's Gardenias 10. Two For The Seesaw

(06/03/12)レーベル初のウィズ・ストリングス作で、スタンダードが中心。あまり有名な曲が多くないようですが、ボブ・ベルデンのアレンジでしっとりとしたストリングスをバックに、バリトン・サックスが重心の低いメロディを奏でていきます。バラードで映画音楽のようなアプローチを見せている1、7曲目、ここでは一番有名な曲かもしれませんが、やはりサックスが語りかけるような2曲目、クァルテットの部分で4ビートのピアノ・ソロもあるやや元気な3曲目、ややアップテンポでフレーズが飛ぶ4曲目、曲調はゆったりでも吹きまくる5曲目、やはり4ビートで縦横無尽のサックスの6曲目、バリトン・サックスでも軽快な曲調はここまで出る8曲目、語りかけるようにメロディが舞う9曲目、アンドレ・プレヴィン作のやや渋めのボッサの10曲目。

Twilight Fields/Stephan Micus

1358

ステファン・ミクスのアルバム。同じようなアルバムが続くかに見えますが、ここでは大小の植木鉢を叩いて、音階を出している、という特徴があります。ある種の安降るかの音楽のようにも、あるいはミニマルミュージックのようにも聴こえますが、このアルバムの特徴は分かりやすいですね。そして、メロディ楽器には主に尺八が使われているようですね。3曲目については56個の植木鉢のみが使われていて、それで音階を出しているのも興味深いです。同じような旋律が繰り返し使われて、脳内がトランス状態になりそうな感じもします。数ある彼のアルバムの中でも、特色のあるアルバムになっているので、聴いてみるのもいいのかも。

 

Twilight Fields/Stephan Micus(Shakuhachi, Flowerpots, Per, etc)(ECM 1358)(輸入盤) - Recorded November 1987. - 1. Part 1 2. Part 2 3. Part 3 4. Part 4 5. Part 5

(02/02/09)ステファン・ミクスの一人多重録音。「フラワー・ポット」は植木鉢で、写真を見ると大小たくさんの植木鉢を音階が出るように並べていて、それを叩いて心地良いハーモニーを演出しています。その他の楽器でHammered Dulcimers, Bavarian Zither, Nayというものが出てきますが、どんなものか少々不明。どれかは管楽器ですが...。ただ、基本はその植木鉢で、曲によって使用個数や出てくる音階が違うようなので、並べ替えて使用してるのかも。そしておなじみ尺八は、1曲目のように西洋の音階だったり、2、5曲目のように日本的な旋律が流れてきたりと、その表情はさまざまです。特に2曲目は全体が日本的なので面白い?。3曲目は植木鉢だけでの演奏で、56個も使用。5曲目はスペイシーな15分台の曲。

2006/03/14

Introducing Jim Rotondi/Jim Rotondi Quintet

1128
Criss Crossレーベル順番聴き4日目。ジム・ロトンディの初リーダー作とのことで、聴くのを楽しみにしてました。往年のハードバップを思い出すようなサウンドとフレーズで、まさにバップイディオムを駆使して吹いている感じがします。そこがけっこう陽性な感じがしていいのですが、硬さが抜けていないのかな、と思うことも少々。ただ、エリック・アレキサンダーが相棒だし、他のメンバーもなかなか。特にラリー・ゴールディングスがピアノとハモンドオルガンとを、曲によって使い分けているのが変化に富んでいていい感じです。しかし、何でこういうアルバムで「イントロデューシング」とかつけるんでしょうか。的確だけれども、もう少しいいアルバムタイトルがありそうですが(笑)。


Introducing Jim Rotondi/Jim Rotondi(Tp, Flh) Quintet(Criss Cross 1128)(輸入盤) - Recorded December 22, 1996. Eric Alexander(Ts), Ewayne Burno(B), Billy Drummond(Ds), Larry Goldings(P, Org) - 1. Ninny Melina 2. Voodoo 3. Make Believe 4. Little Flower 5. A Peck A Sec 6. Too Soon To Tell 7. Indian Summer 8. On The Que Tee

(06/03/11)Jim Rotondiの作曲は3曲(2、4、6曲目)。ラリー・ゴールディングスのピアノとオルガンの持ち替えもいい。ハードバップの現代版というようなサウンドの香りを伝えてくれる感じ。その典型的でメロディアスなバップサウンドを届けてくれるのが1曲目。オルガンで渋いけれども8ビートでタテノリのソロを聴かせてくれる2曲目、けっこうノリが良く明るいオルガンサウンドのスタンダードの3曲目、穏やかでゆったりしたワンホーンのバラード(ピアノ)の4曲目、ハンク・モブレー作をアップテンポで、当時の雰囲気プラス今のフレーズも少し交える5曲目、リズミカルなテーマと4ビートとで陽気にせまる6曲目、この曲が唯一のボッサでややホッとする7曲目、オルガン入りのフレディー・ハバード作でちょっと凝ったテーマの8曲目。

Acceleration/Hans Koch, Martin Schutz, Marco Kappeli

1357 なぜか輸入盤が連続していますが、これもたぶん中古盤をかなり以前に購入したものだと思います。やっぱりここら辺のは、メンバーも日本ではマイナーだし、内容も聴く人を選ぶかなあという感じではあります。コメントからは削除してしまいましたが、曲によっては現代音楽の雰囲気に近いものもあります。また、ジャズメンのイメージとしては、曲(サウンド)の作り方から、ルイ・スクラヴィスを連想してしまいました。実際に聴いてみると違うのかもしれませんが。個人的にはこういった組み立て式変幻自在なフリー・インプロヴィゼーション(と言っていいのかどうか(笑))は、けっこう好きですが。

 

Acceleration/Hans Koch(Cl, Bck, Ts, Ss), Martin Schutz(B, Cello), Marco Kappeli(Ds, etc)(ECM 1357)(輸入盤) - Recorded June 1987. - 1. Shy Csardas 2. Im Delirium 3. Midori 4. Loisaida 5. Glas(s)no(s)t 6. Tatzelwurm 7. Nitrams Rock 8. Acceleration Controlee 9. GG-U-GG-U-RR-U-GG

全曲Hans Kochの作曲。ジャズよりも、フリー・インプロヴィゼーションに近い香り。書かれた譜面による演奏もあるような気も。クラシック的な蒼さを持つチェロの出だしにはじまり、クラリネットがゆったりと絡んでいく1曲目、ドラムスもラテンやワルツ的に活躍する、躍動的な感じもする2曲目、深遠の底から音が浮かび上がって時に盛り上がってくる3曲目、クラリネットのみの月夜が隠れたような小品の4曲目、無機的と思ったら有機的でミニマルな音の連なりに聴こえる5曲目、変則ビートに、メロディのみに、あるいはフリーになったり変幻自在の6曲目、ビートの上を飛び回るバスクラリネットの7曲目、サックスとドラムスが緩急自在に絡み合ったり4ビートになる変化球のような8曲目、目まぐるしいメカニカルな小品の9曲目。

2006/03/13

Cracked Mirrors/Harry Pepl/Herbert Joos/Jon Christensen

1356 ’98年以前にもたまたま中古盤を店頭で見かけた時は輸入盤で買っていたので、これはその1枚だろうと思います。’80年代後半から’90年代後半にかけては国内盤で積極的にECMレーベルが出されていた時期になりますが、日本では無名だったり、演奏内容が一般向けでなかったりしたものは、やっぱり国内盤にはなりませんでした。これも日本では無名だし、実際にフリー寄りの演奏が多くて聴く人を選んでしまうため、国内盤からはもれてしまったのかもしれません。でも、ヨーロッパではこういう演奏も受け入れる層がある程度あるんだそうで、日本とヨーロッパのECMのアルバムに対する嗜好の違う面も、国内盤になるかならないかで分かるので、そういう意味では興味深い分析ができそうです。

 

Cracked Mirrors/Harry Pepl(G, G Synth, P)/Herbert Joos(Flh)/Jon Christensen(Ds)(ECM 1356)(輸入盤) - Recorded February 1987. - 1. Wolkenbilder 1 2. Reflections In A Cracked Mirror 3. Schikaneder Delight 4. Die Alte Mar Und Das Mann 5. More Far Out Than East 6. Wolkenbilder 2 7. Purple Light 8. Tintelfisch Inki

全8曲中、6曲がHarry Peplの、2曲(1、6曲目)がHerbert Joosの作曲。フリー・インプロヴィゼーションぽい部分と牧歌的な部分とがあります。曲によってローランド・ミディ・ギター・システムがシンセのような広がりを出しています。 1、6曲目はシンセサイザーやエレキギターも使用して、幽玄かつフリー・ジャズ的な要素を持っている先鋭的な感じもする曲。6曲目の方がゆったり。細かいリフやリズムと大きく流れるシンセなどでやはりフリーっぽい感じの強い2曲目、優しいメロディがホーンで流れるバラードの小品の3曲目、ややスペイシーで自由度はけっこうある4曲目、テンポのかなり速いメカニカルなフリーの5曲目、ギターのギザギザした上を舞い飛んでいるメロディ(?)の7曲目、ピアノ中心でしっとり系のメロディの8曲目。

Song For My Mother/Walt Weiskopf Nonet

1127
Criss Crossレーベル順番聴き3日目。このレーベル、お金がないのか1日で1枚分録音を済ませるのがほとんどで、編成もセクステット(6人編成)までが多いのですが、このアルバムはノネット(9人編成)で、レーベルとしても2枚目です。ある程度裕福になってきたのでしょうか。編成が大きくなるとビッグバンドサウンドに近くなることが多いのですが、ここではフルートを厚めにかぶせたアンサンブルの曲が多いのが影響してか、ソフトな肌触りのアンサンブルになっています。こういうところが、メロディアスなテーマと相まって、なかなかいい感じのサウンドを醸し出しています。とは言うものの、ソロになるとアンサンブルをバックにしつつ、いつものペースで突っ走っている曲もありますが。


Song For My Mother/Walt Weiskopf(Ts, Fl, Afl) Nonet(Criss Cross 1127)(輸入盤) - Recorded December 20, 1995. Anders Bostrom(Fl, Afl), Jim Snidero(As, Fl, Afl), Scott Robinson(Bs, Bcl, Fl), Joe Magnarelli(Tp), Conrad Herwig(Tb), Joel Weiskopf(P), Peter Washington(B), Billy Drummond(Ds) - 1. Outsider 2. Three Armed Man 3. Barebones 4. End Of The Year So Soon 5. Song For My Mother 6. High Noon 7. You Won't Forget Me 8. Where Is Love 9. Turncoat

(06/03/11)Walt Weiskopf作は全9曲中7曲(1-6、9曲目)。9人編成はこのレーベル2枚目。薄いベールに覆われたようなソフトなアンサンブルが魅力。その雰囲気のアンサンブルがけっこう聴けてメロディアスな雰囲気がなかなかの1曲目、ちょっと切ないような響きが魅力的な2曲目、マイナーのアップテンポの7拍子のテーマの曲で、アドリブも快調に飛ばしている3曲目、ゆったりめで淡い感触のサウンドのバラードの4曲目、メランコリックなワルツで情感がありながらそのまま盛り上がる感じのタイトル曲の5曲目、ちょっとモッチリした感じのボッサの6曲目、ビッグバンド的色彩の多少あるスタンダードの7曲目、しっとりとメロディを奏で上げるバラードの8曲目、アップテンポで、アンサンブルをバックにソロが活躍する9曲目。

2006/03/12

Yr/Steve Tibbetts

1355

スティーヴ・ティベッツのリーダー作。異色なギタリストではあるけど、定期的に録音が1枚分上がると、おそらくは持ち込み音源として発売されます。この時期、立て続けに出してますね。それでも、独自に曲を作りながら、もうずっとECMからアルバムを出し続けていますね。この時期のエレキ・ギターもある路線も、ある意味適度に過激で、好きではあります。ただ、少々地味な存在のため、他の有名なミュージシャンと比べると、ちょっと聴く回数が少なかったな、と少々反省してます。エスニックな感じはあるけれど、このグループもある意味無国籍的ではありますね。久しぶりに聴いて、良かったでした。

 

Yr/Steve Tibbetts(G, Kalimba, Synth)(ECM 1355)(輸入盤) - Released 1980. Marc Anderson(Ds, Per), Bob Hughes(B), Steve Cochrane(Per), Marcus Wise(Per), Time Weinhold(Per) - 1. Ur 2. Sphexes 3. Ten years 4. One Day 5. Three Primates 6. You And It 7. The Alien Lounge 8. Ten Yr Dance

(01/06/23)ロックノリ方面かなと思うギターと、曲によってエレキベースに、タブラ2人を入れた計4人のパーカッションがエキゾチックな雰囲気を作っています。展開はそのまま行くと思うと急に変わる曲も。盛り上がりを見せる8分の7拍子を中心とした1曲目、ギターやカリンバにパーカッション達が絡んでいく2曲目、おおらかなロック的なメロディやコード進行を合わせ持つエスニックな3曲目、爽やかなアコースティック・ギターの風が吹く4曲目、エスニック・ロックとも言うべき味わいを持つ大らかでドラマチックな5曲目、ギターが飛びまわるコード一発風しかも時々ゆったりタイプの6曲目、生ギターを生かしたアメリカンロック路線の7曲目、ネアカな8曲目と続きます。編成は内向的だけれどサウンドは外を向いています。

Four Track Mind/Seamus Blake Quintet/Sextet

1126
Criss Crossレーベル順番聴き2日目。今日は才気あふれるシーマス・ブレイクです。同じサックスで、マーク・ターナーも参加しているので、その対比も面白い。ただ、曲に関しては、7曲目みたいにシンプルに楽しめるものもありますけれど、けっこうテーマとかが複雑で、頭でっかち、という印象も少々あります。まあ、これが現代ジャズの特徴といえば特徴なんですが。特に1曲目のエフェクターをかけたエレキピアノでのジャズロックのタイトル曲が、私にとっては新鮮に響きました。まあ、普通にやってもらってもそれなりのものが出来上がるとは思うのですが、それにさらにひとひねりもふたひねりも加えるところは彼らしいかも。


Four Track Mind/Seamus Blake(Ts) Quintet/Sextet(Criss Cross 1126)(輸入盤) - Recorded December 14, 1994. Mark Turner(Ts), Tim Hagans(Tp), Kevin Hays(P, Key), Larry Grenadier(B), Billy Drummond(Ds) - 1. Four Track Mind 2. Dittee 3. Jali 4. Miss James 5. Face The Question 6. In A Warring Absence 7. Gospel

(06/03/06)全7曲中6曲がSeamus Blake作曲(6曲目を除く)。エフェクターのかかったエレキピアノにジャズロックのリズムで、メカニカルなテーマ、ミディアムのテンポとブレイクするアドリヴが心地良いタイトル曲の1曲目、自由にホーンがアップテンポで絡み合うリフがスリリングで、そのままアドリブのソロになだれ込んでいく2曲目、8分の6拍子ながら、テーマは広大な風景が開けるようなゆったり感、アドリヴはややアップテンポになる3曲目、再びエレキピアノを使用して、ソプラノサックスのメロディが優しいバラードの4曲目、ミステリアスなテーマのハーモニーとリズムから、アドリブではオーソドックスになる5曲目、ちょっと仰々しいテーマからドラマチックに変幻自在の6曲目、その名の通り3連譜でブルージーに進む7曲目。

2006/03/11

Justin Time/Orrin Evans Ortet

1125
Criss Crossレーベル順番聴き1日目。確かオクテットって8人編成じゃあなかったっけかなあ、と思いつつ、メンバーを数えてみても5人。しかも5人で演奏しているのは2-3曲程度で、あとは2-4人の編成の曲が多いです。なんだあ、リーダーの名前に引っかけたシャレかあ、と気がついたのは、アルバムも聴き終わってからのこと。このオリン・エヴァンスけっこう特徴的なピアノを弾く人で、しかもけっこう器用です。ブルージーにもモンク風にも、洗練された感じにもなります。ただ、器用すぎるのかな、という気も少々していますけれど。まあ、スタンダードやジャズメン・オリジナルの解釈が面白かったので、印象には残りました。

Justin Time/Orrin Evans(P) Ortet(Criss Cross 1125)(輸入盤) - Recorded December 26, 1996. John Swana(Tp), Tim Warfield(Ts), Rodny Whitaker(B), Byron Landham(Ds) - 1. Dorm Life 2. Yummy 3. It Had To Be You 4. My Shining Hour 5. Mom 6. Autumn Leaves 7. If I Were A Bell 8. Tune Up 9. Justin Time

(06/03/06)Orrin Evans作は9曲中4曲(1-2、5、9曲目)。オクテットは8人ですが、Orrinにひっかけるシャレ。全員が参加する曲が少なめ。セロニアス・モンク的な引っかかりと現代ジャズの折衷のサウンドの1曲目、ちょっとモッタリしつつも温かみのある、時にメカニカルなメロディでミディアムの進行の2曲目、非常にゆったりしてムーディーなサックスのバラードの3曲目、明るいけれど破天荒なピアノとサックスのデュオを聴ける4曲目、ミステリアスでちょっと沈んだメロディを奏でるバラードの5曲目、ピアノ・トリオでブルージーな「枯葉」を演奏する6曲目、出だしに話もあってトリオで進むアップテンポの7曲目、やはりトリオでキラキラした感じのバラードの8曲目、クインテットでスリリングなアップテンポのタイトル曲の9曲目。

Ecotopia/Oregon

1354

オレゴンの、コリン・ウォルコットが亡くなった後にトリロク・グルトゥが加入したアルバム。タブラなどパーカッションが無国籍的からインドの本式に代わってますが、サウンド全体がほとんど変わってないので、イメージとしてはそんなに変化のある感じはしないです。オレゴンも興味深いグループでしたけど、結局ECM時代しか追いかけていなかったなあ、とちょっと反省してます。他レーベル移籍後に出たんですけど、当時は買っていたCDの枚数がハンパではなく、泣く泣くあきらめた、といういきさつが。それにしても、メロディの良い曲が多いですね。それだけでも聴き直す価値は大きいと思います。

 

Ecotopia/Oregon(ECM 1354) - Recorded March 15-17, 1987. Trilok Gurtu(Per), Paul McCandless(Oboe, English Horn, Ss, Synth), Glen Moore(B), Ralph Towner(G, P, Synth, Drum Machine) - 1. Twice Around The Sun 2. Innocente 3. Wbai 4. Zephyr 5. Ecotopia 6. Leather Cats 7. ReDial 8. Song Of The Morrow

(00/12/31)メンバーが、亡くなったコリン・ウォルコットからインド人のトリロク・グルトゥに交代。パーカッションの部分のサウンドが変化していますが、いわゆる自然指向(シンセなどは入っていますが)のようなサウンドは基本的には変わっていません。8曲中5曲はラルフ・タウナーのオリジナル。自然派のきれいなメロディの曲が多いのですが、3曲目の小品のようなフリー・インプロヴィゼーションもあったりします。1曲目は打ち込みのドラムもある10分台の曲。メロディアスで哀愁漂う2曲目。4曲目も地味ですが美しい。ややエキゾチックな5曲目も打ち込みのドラムか。彼ら流のジャズと言えなくもないややシリアスな6曲目、哀愁のあるメロディでリズミカルな7曲目。そしてシンセサイザーをバックにスペイシーな8曲目。

2006/03/10

The Razor's Edge/Dave Holland Quintet

1353

デイヴ・ホランドのリーダー作。スティーヴ・コールマンに、ロビン・ユーバンクス、マーヴィン・”スミッティ”・スミスというM-BASEの面々が集まっての演奏なだけに、追いきれない変拍子とか、独特なサウンドとか、当時私がM-BASE一派を追いかけていただけに、今でも懐かしく思います。その後各ミュージシャンはいろいろな方向に行ってしまい、このあたりの時期が絶頂期だったのだろうな、と思います。結局、ホランドもこの前々作の「Jumpin' In」あたりからこっち方面に来だして、すっかり融合してしまった感じがあります。唯一M-BASE派でないケニー・ホイーラーも、いい演奏を聴かせてくれていますし。

 

The Razor's Edge/Dave Holland(B) Quintet(ECM 1353) - Recorded February 1987. Steve Coleman(As), Kenny Wheeler(Tp, Flh, Cor), Robin Eubanks(Tb), Marvin "Smitty" Smith(Ds) - 1. Brother Ty 2. Vedana 3. The Razor's Edge 4. Blues For C.M. 5. Vortex 6. F Four Six 7. Wights Waits For Weights 8. Figit Time

デイヴ・ホランドのM-BASEとの交流が最高潮に達した演奏。ロビン・ユーバンクスの参加で、ホーンのアンサンブルが豊かになり、グループとしてのサウンドがまとまりと凄みを見せています。拍子については追いきれていませんけれど、オーソドックスなジャズのように聴ける曲もありますが、実は変拍子の曲が多いです。ダグ・ハモンド作の1曲目などがその最たるもの。アンサンブルの妙が聴ける2曲目。複雑な、ラテンぽい3曲目。オーソドックスな4拍子のブルース(ソロは個性的)の4曲目。個人的にはスティーヴ・コールマン作の5、7曲目が面白いと思います。静かな6曲目、急速調の曲でドラムソロが面白い8曲目と、個人的にはスティーヴ・コールマン参加のデイヴ・ホランド作品では一番好きなアルバム。

 

2006/03/09

Guamba/Gary Peacock

1352 このあたりになってくるとそろそろLPよりCDを意識した作りになってくるのではないかと思うのですが、まだ’87年だと両方出ている頃で、収録時間も44分と短め。それにしても、ベーシストで一番内省的なミュージシャンは、やっぱりゲイリー・ピーコックではないかな、と思わせるほどに演奏が温度感が低く、内面を向いているようなサウンドです。聴く人を選ぶけれど、ハマる人はハマる世界ではないかな、と思います。ピーター・アースキンの参加も異色ですが、この後に彼も何枚かECMからリーダー作を出していますし、サウンド的にはECMらしい世界で表現しています。ある種幽玄な部分もある音楽。

 

Guamba/Gary Peacock(B)(ECM 1352)(輸入盤) - Recorded March 1987. Jan Garbarek(Ts, Ss), Palle Mikkelborg(Tp, Flh), Peter Erskine(Ds, Ds Computer) - 1. Guamba 2. Requiem 3. Calima 4. Thyme Time 5. Lila 6. Introducing 7. Gardenia

4曲目以外はゲイリー・ピーコックの作曲。ホーンの2人にヨーロッパの実力派 が参加、低い温度感です。テクニシャンでもあり、思索的でもあるゲイリー・ピーコックのベースは、限界がないような気も。1曲目のタイトル曲は内省的ながらも表現が豊かなベース・ソロの曲。ゆったりとしていて、ちょっとエキゾチックで浮遊感のあるホーンが印象的な2曲目、ベースではじまってしっとりとしたミュート・トランペットとゆっくり進むような3曲目、この曲のみピーター・アースキンとの合作で、4人でやや激しいフリー・インプロヴィゼーションの4曲目、冷たい情景があらわれては消えていき、中盤盛り上がってドラマチックで13分台もの5曲目、テンポの良いリズムの上を舞うようなホーンの6曲目、ゆっくりと語り合っているような風景の7曲目。

2006/03/08

Second Sight/Marc Johnson's Bass Desires

1351 当時としては今ほど大物扱いではなかったと思いますが、それでも忙しいミュージシャンばかりの集まったグループで2枚目のアルバムが出てしまいました。とは言うものの、このアルバムのあとは同じメンバーではやっぱり活動できなかったみたいです。

聴いたときのインパクトでは1枚目の「Bass Desires」の方に軍配が個人的には上がります。ただ、やはり2枚通して聴いておきたい気持ちもあります。メンバー(特にギターの2人)がここまで個性的なケースというのも非常に珍しいわけで。

 

Second Sight/Marc Johnson's Bass Desires(B)(ECM 1351) - Recorded March 4‐6, 1987. Bill Frisell(G), John Schfield(G), Peter Erskine(Ds) - 1. Crossing The Corpus Callosum 2. Small Hands 3. Sweet Soul 4. Twister 5. Thrill Seekers 6. Prayer Beads 7. 1951 8. Hymn For Her

このメンバーで何と2枚目が出ました。今回は全曲各メンバーのオリジナル。濃厚な曲から、ロックのビートを持った曲まで、スリリングな演奏が展開されています。 2人のギターの聴き比べがなんといっても面白い。ややマイナー系統でメロディも哀愁が漂っているんだけれども不思議感覚のサウンドもある1曲目、静かで幽玄なギターの響きが何とも言えないバラードの2曲目、スローで静かだけれども明るい雰囲気のある3曲目、珍しくECMでシンプルなロックンロールを演奏する4曲目、ハードなテーマやギターのフレーズを持って突き進んで行く5曲目、リーダーらしく割と快活なベース・ソロでの6曲目、さりげないメロディがけっこうアヴァンギャルドに聴こえる7曲目、スペイシーでゆったりとした曲でエンディングを迎える8曲目。

2006/03/07

Lookout For Hope/The Bill Frisell Band

1350 ビル・フリゼールのECMレーベル最後のリーダー作で、3枚目の作品。確か私のビル・フリ体験の最初のアルバムだったかと思います。1曲目の薄暗くて妖しげ、しかもギターがけっこうハードな印象が強くて、当時かなりのヘヴィーローテーションでした。後に明るいアメリカーナ路線に徐々に移行していきますが、その片鱗も何曲かで聴くことができます。グループ(チェロが入っている変則クァルテット)のまとまりもいい感じですが、曲ごとにいろいろ雰囲気を変えていて、けっこうアヴァンギャルドな曲もあります。初期作品の中では今でもけっこう好きなアルバムです。

 

Lookout For Hope/The Bill Frisell Band(G)(ECM 1350) - Recorded March 1987. Hank Roberts(Cello), Kermit Driscoll(B), Joey Baron(Ds) - 1. Lookout For Hope 2. Little Brother Bobby 3. Hangdog 4. Remedios The Beauty 5. Lonesome 6. Melody For Jack 7. Hackensack 8. Little Bigger 9. The Animal Race 10. Alien Prints

個性的なメンバーが集まり、バンドのサウンド もまとまっています。エレキギターの新しい音とフォークギター、バンジョーやチェロ等が混ざり合って、多様性があります。セロニアス・モンクの曲が1曲 (7曲目)ありますが、負けず劣らず個性的なサウンド。暗めで哀愁と妖しさの同居する、ギターもちょっと激しくて印象深いタイトル曲の1曲目、ほのぼのとした、時に表情を変えるサーカス・ミュージックのような2曲目、エキゾチックなバンジョーとチェロの小品の3曲目、スローテンポのファンクでギターが幻想的に飛び回る4曲目、フォークギターでアメリカンな5曲目、浮遊感の高いフレーズの6曲目、チェロのソロからだんだん盛り上がっていく8曲目、アヴァンギャルドでフリーな小品の9曲目、ゆったりとしつつ自由に飛翔している10曲目。

2006/03/06

Making Music/Zakir Hussain/Hariprasad Chaurasia/John McLaughlin/Jan Garbarek

1349 ECMレーベルはEnjaレーベルと同じように、どちらが先かは分かりませんけれど、けっこう民族音楽に傾倒している部分があります。ここではインドのタブラ奏者、ザキール・フセインをメインにしつつも、何とジョン・マクラフリンまで参加させてしまう手腕の見事さがあります。フルートのHariprasad Chaurasiaはおそらくインド系、そこにヤン・ガルバレクまで参加させて、インドと西欧の折衷サウンド、しかしけっこうインド寄りのサウンドを創り上げてしまっています。そういう意味ではなかなか冒険的とも言えるし、こうやって市場を開拓してきたのだな、と思わせる部分があります。が、あまりそんなことを気にしないで聴きたい音楽です。

 

Making Music/Zakir Hussain(Tabla, Per, Voice)/Hariprasad Chaurasia(Fl)/John McLaughlin(G)/Jan Garbarek(Ts, Ss)(ECM 1349) - Recorded December 1986. - 1. Making Music 2. Zakir 3. Water Girl 4. Toni 5. Anisa 6. Sunjog 7. You And Me 8. Sabah

ザキール・フセインはインド出身で 、全8曲中7曲を作曲または共作。そこにジョン・マクラフリンのハイテクなギターが絡みます。ヤン・ガルバレクがちょっと西洋音楽に引き戻して。明るい感じのインド音楽とも言える、大らかでメロディアスからスピーディーなフレーズの世界が展開する12分台のタイトル曲の1曲目、マクラフリン作の静かで明るいバラードの2曲目、ミディアムのテンポでこれぞインド的なサウンドの3曲目、静かに包み込むようなフルートとギター、サックスが印象的な4曲目、明るさと憂いとが同居する空間の後にタブラとヴォイスでのソロがある5曲目、各楽器が交互に静かに奏で、合奏になっていく6曲目、タブラとギターだけでインプロヴィゼーションをする小品の7曲目、ラストにちょっとタイトに締める8曲目。

2006/03/05

Edition Lockenhaus Vol. 4 & 5/Gidon Kremer

1347

エディション・ロッケンハウスの第4、5集。前にも書きましたけど、このアルバムの入手できなくなるのは比較的早かったですが、1-2、4-5集に関しては後にBOXセットで出ているので、まだ聴くことはできると思います。第3集は、別途、後に別番号で単独で出ていますし。まだ私の集めていた頃(’03年頃)には、このオリジナルジャケットで1-5集まで揃えることができました。いずれにしても、1-2、4-5集に関しては、ギドン・クレーメルの参加がミソになっているようですね。現代音楽なので、購入当時しか聴きませんでしたが、今数百枚聴いたうえで聴くと、当時とは違った感想が出てくるかもしれません。

 

Edition Lockenhaus Vol. 4 & 5/Gidon Kremer(Vln)(ECM New Series 1347/48)(輸入盤) - Recorded 1985 - 1986. - Yuzuko Horigome(Vln), Kim Kashkashian(Viola), David Geringas(Cello), Thomas Zehetmair(Vln), Nobuko Imai(Viola), Boris Pergamentschikow(Cello), Annette Bik(Vln), Veronika Hagen(Viola), Thomas Demenga(Cello), Philip Hirschhorn(Vln), Julius Berger(Cello), James Tocco(P) - Dimitri Schostakowitsch: 1-3. String Quartet No.14 Op.142 4. String Quartet No.13 Op.138 5. Two Movements For String Quartet Erwin Schulhoff: 6-9. Sextet 10. Duo For Violin And Cello 11. Jazz Etudes

(03/11/18)オーストリアでのLockenhaus Festivalの録音。1枚目は20世紀の作曲家Dimitri Schostakowitschの弦楽四重奏団の曲を3種類。2枚目はやはり20世紀の作曲家Erwin Schulhoffに焦点をあてて、こちらは弦楽のセクステット、デュオ、そしてピアノのソロと編成は多彩。 オムニバス的なCDにもかかわらず、ギドン・クレーメルは1-9曲目に参加。ラストのピアノ曲はジャズ、ブルース、タンゴなどを意識したクラシック曲。

 

2006/03/04

Blue/Terje Rypdal & The Chasers

1346 テリエ・リピダルのギターは、デビュー当初からロックやプログレなどの持ち味があったわけですけれど、ここでもやっぱりそういった方面の持ち味を、全面的に発しています。曲によってはベースはエレクトリック、ギターだけでなくキーボード(シンセサイザーか?)を駆使して空間的に彩りを添えつつ、スペイシーでロックな味わいを前面に出している演奏です。かなりスペイシーなので、そういう面がやっぱり北欧サウンドなのかな、とも思わせますが。やっぱりこう聴いてくると、ECMレーベルはジャズからけっこう逸脱していて、それが強烈なレーベルカラーとなってファンを増やしていることが予想されます。

 

Blue/Terje Rypdal(G, Key) & The Chasers(ECM 1346)(輸入盤) - Recorded November 1986. Njorn Kjellemyr(B), Audun Kleive(Ds, Per) - 1. The Curse 2. Kompet Gar 3. I Disremember Quite Will 4. Og Hva Synes Vi Om Det 5. Last Nite 6. Blue 7. Tanga 8. Om Bare

全8曲中6曲がTerje Rypdalの作曲で、他の2曲がフリー・インプロヴィゼーション(2、4曲目)。編成だけ見るとオーソドックスなギタートリオですが、 おそろしく空間的なサウンド。その中をいかにもエレキギターという音が時々(あのトーンがいいですね)駆け巡ります。これが北欧の響きなのでしょうか。 導入部ともいえる空間的なロックの小品の1曲目、スローで重たい一発モノのロック・サウンドの2曲目、かなりスペイシーな、北の果てを感じさせるバラードの3曲目、持続するキーボードをバックに時おりフレーズが舞い降りるような4曲目、ドスンドスンとゆったりとしたバックで舞い飛ぶギターの5曲目、ロック・バラードの趣きを持つタイトル曲の6曲目、レゲエのリズムをバックにたゆたう7曲目、静かなオーケストラのような8曲目。

2006/03/03

Book Of Ways/Keith Jarrett

1344 キース・ジャレットのソロ・ピアノはあまりにも有名なのですが、ここではクラヴィコードというチェンバロ(ハープシコード)よりもさらに古い楽器を使用してのインプロヴィゼーションです。音だけ聴いているとクラシックやバロック音楽とも思えないことはないのですが、彼特有の「今」のフレーズなども出てきて、それだけではないことを思わせます。ただ、ジャズとしては知っている限り唯一「クラヴィコード」を使用しているインプロヴィゼーションということで、果たしてジャズというジャンルでいいのかどうか(笑)。やっぱり彼の他の基本となるアルバムを聴いてから押さえた方が良いアルバムかもしれません。

 

Book Of Ways/Keith Jarrett(Clavicord)(ECM 1344/45) - Recorded July 1986. - Disc1 Book Of Ways 1-10 Dics2 Book Of Ways 11-19

キース・ジャレットがクラヴィコード(チェンバロと似たような楽器で、もっと古い時代、16-19世紀のもの)に挑戦した、ソロアルバム。この楽器の音を出すのは難しいのだそうですが、キースの何にでも挑戦する意欲に脱帽。でも、この楽器特有の響かせ方をしていると、ピアノやチェンバロのようにテクニカルに歌わせるということができずに、どちらかと言うとモッタリした感じのフレーズになります。音色も歴史を感じさせる古楽器の音色。それでも中世のバロック音楽を思わせるような、癒される感じの曲や、時にバッハのように、時に日本情緒も感じるような、そして時にキース独自のピアノで演奏したようなやや激しいフレーズや、8ビートの牧歌的な雰囲気でと、表現が制限されていてもいろいろなサウンドを聴けます。

13442 (追記’23年7月14日)新たに紙パッケージの印字がエンボス仕様のCDが発売されています。

 

2006/03/02

Volver/Enrico Rava/Dino Saluzzi Quintet

1343

エンリコ・ラヴァとディノ・サルーシによるクインテット編成のアルバム。トランペット、バンドネオン、ギター、ベース、ドラムスと、個性的なクインテットですが、ジャケット写真のように、雄大な大地を思わせるようなサウンドが流れていきます。盛り上がる部分もあったり、フリージャズを想起させる場面もあったりと変化に富んでいますけど、基本的には、ゆったりと静かな場面が多めなのかな、と思います。ラヴァの哀愁度満点のトランペットと、サルーシの少し乾いたバンドネオンが組み合わさって、不思議なクインテットの演奏を聴くことができます。ECMは実にいろいろな世界を垣間見せてくれるところですね。

 

Volver/Enrico Rava(Tp)/Dino Saluzzi(Bandoneon) Quintet(ECM 1343)(輸入盤) - Recorded October 1986. Harry Pepl(G), Furio Di Castri(B), Bruce Ditmas(Ds) - 1. Le But Du Souffle 2. Minguito 3. Luna-Volver 4. Tiempos De Ausencias 5. Ballantine For Valentine 6. Visions

(03/07/26)曲は主にメンバーのオリジナルで、やはり双頭バンドであることをうかがわせます。エンリコ・ラヴァ作の1曲目は静かにメロディを奏でながら、懐かしくてほのぼのとした、優しい世界に引っ張りこんでくれます。ディノ・サルーシ作の2曲目はテーマはラテンタッチで哀愁を漂わせながらも元気でノリが良く、途中で表情を変えながらもエネルギーがある場面が多い11分台の曲。サルーシが合作での、バンドネオンのソロで淡い優雅さを感じさせてくれる3曲目、サルーシ作のやはり淡色系の感触でゆったりと、ビートも自由に展開していく4曲目、ギターのHarry Pepl作のけっこう激しいフリー・ジャズの様相を示す5曲目、ラヴァ作の静かにはじまりしっとり系のメロディもあったり自由な部分もあったりの、10分台の6曲目。

2006/03/01

Red Twist & Turned Arrow/Christy Doran, Fredy Studer, Stephan Wittwer

1342

クリスティ・ドランはじめ3人の名義による2ギター(1人はシンセサイザー兼任)、1ドラムスの編成による演奏。フリー的に聞こえる部分もあれば、ロックっぽく聴こえる部分もあって、なかなか一筋縄ではいかないな、と思いますが、こういうアルバムも作ってしまうのがECMです。そして、いろいろ作った中から有名になったものは残っていく、というパターン。残念ながらこのアルバムはあまり評判になったということは聞かなかったので、そのまま消えていったのかもしれません。でも、ストリーミングでは聴くことができますし、ジャズということにこだわらなければ、割と面白いサウンドのアルバムではないかと思います。

 

Red Twist & Turned Arrow/Christy Doran(G), Fredy Studer(Ds, Per), Stephan Wittwer(G, Synth)(ECM 1342)(輸入盤) - Recorded November 1986. - 1. Canon Cannon 2. 1374 3. Quasar 4. Belluard 5. Backtalk 6. Messing 7. D.T.E.T.

(99/08/10)ギタリスト2人が半々の曲を提供。基本的には2ギター1ドラム(パーカッション)の編成。ロックっぽい部分やパーカッシヴな部分も多く、ベースもないので(ベースは時々シンセで演奏と思います。)不思議なサウンド。1曲目はロックビート?にのってギターのアドリブが繰り広げられます。フリーインプロヴィゼーションのようにパーカッシヴに展開する2曲目、いくつかのパターンが繰り返しあらわれて変化していく3曲目、ドラム、ロックギターのようなソロから変幻自在に変わっていく4曲目、急速調の4ビート?の5曲目、2本のギターが妙に息が合っている変則アヴァンギャルドなカントリーとでも言うべきか?の6曲目。フリーインプロヴィゼーションのような、不協和音とパーカッションが心地よく聞こえる7曲目。

 

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