Emergence/Miroslav Vitous
やっぱり私にとってはECM系統のアルバムコメントが一番書きやすいです。というのも、脱4ビート、脱定型のバンド編成、意外性のあるサウンドなどで、視覚化、文章化しやすいからでもあります。これに比べてオーソドックスなジャズのCriss Crossレーベルはやや四苦八苦しながらコメントを書いているのが、自分でも分かります。今日はミロスラフ・ヴィトウスのオーヴァーダビングなしのベース1本でのソロ録音。アルバム1枚、まるまるベースソロなので、退屈する人もいるかもしれないなあ、と思いつつ。アルコ弾きでこれほど高音が出せる、あるいは音程が安定しているベーシストって、なかなかいませんよね。
Emergence/Miroslav Vitous(B)(ECM 1312) - Recorded September 1985. - 1. Epilogue 2. Transformation 3. Atlantis Suite -Emergence Of The Spirit -Matter And Spirit -The Choice -Destruction Into Energy 4. Wheel Of Fortune (When Face Gets Pale) 5. Regards To Gershwin's Honeyman 6. Alice In Wonderland 7. Morning Lake For Ever 8. Variations On Spanish Theme's
邦題「アランフェス協奏曲」。ミロスラフ・ヴィトウスのオーヴァーダビング無しのベース一本によるソロ・アルバム。 6曲目以外は彼の作品(8曲目はインスパイアされたヴァリエーション)。テクニシャンである事をまざまざと見せ付けてくれます。1曲目から哀愁と空間のベース・ソロ。ピチカートとアルコの絶妙なバランスを見せる2曲目、4つのパートのある組曲で多少変化に富んでいるものの、やはり淡々とした感じもする11分台の3曲目、やや陽性な感じもある指がよく動く4曲目、やっぱりメジャー調でアメリカの雰囲気も感じる5曲目、「不思議の国のアリス」をしっとりと優しく演奏している6曲目、時々速いパッセージを交えながらよく歌っている7曲目、アランフェス協奏曲の出だしのエッセンスを取り入れて雰囲気を出す8曲目。
« Current Events/John Abercrombie | トップページ | European Jazz Sounds/ミハエル・ナウラ・クインテット »
「音楽」カテゴリの記事
- Celebration Vol.1/Wayne Shorter(2024.09.08)
- Twentyfour/Al Di Meola(2024.09.05)
- Transylvanian Dance/Lucian Ban, Mat Maneri(2024.09.04)
- Keel Road/Danish String Quartet(2024.09.03)
- Moondial/Pat Metheny(2024.09.02)
「ECMレーベル」カテゴリの記事
- Transylvanian Dance/Lucian Ban, Mat Maneri(2024.09.04)
- Keel Road/Danish String Quartet(2024.09.03)
- ECMとCriss Crossについてはまとめをしなければなんだけど(2024.08.14)
- Live In Munich/Jordina Milla & Barry Guy(2024.07.23)
- Outpost Of Dreams/Norma Winstone/Kit Downes(2024.07.22)
「ジャズ」カテゴリの記事
- Celebration Vol.1/Wayne Shorter(2024.09.08)
- Twentyfour/Al Di Meola(2024.09.05)
- Transylvanian Dance/Lucian Ban, Mat Maneri(2024.09.04)
- Moondial/Pat Metheny(2024.09.02)
- パープル/ミロスラフ・ヴィトウス(2024.08.18)
「ECM1301-1350番」カテゴリの記事
- Spheres/Keith Jarrett(2006.01.27)
- Chaser/Terje Rypdal(2006.01.28)
- Edition Lockenhaus Vol.1 & 2/Gidon Kremer(2006.01.29)
- Slide Show/Ralph Towner/Gary Burton(2006.01.30)
- Erendira/First House(2006.01.31)
コメント
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: Emergence/Miroslav Vitous:
» 続けてのECM聞きはMiroslav Vitousのベース・ソロ [中年音楽狂日記:Toshiya's Music Bar]
Emergence Miroslav Vitous (ECM) 本作は中古でゲットしたまま,ちゃんと聞いていなかったアルバムである。私は昔からMiroslav Vitousのアルコの過剰にギコギコした [続きを読む]
« Current Events/John Abercrombie | トップページ | European Jazz Sounds/ミハエル・ナウラ・クインテット »
工藤さん,こんばんは。今頃になって,このアルバムを聞きました。
正直言ってしまうと,私はVitousのアルコの音がどうしても好きになれないため,彼のベース・ソロのアルバムと聞いただけで,拒絶反応を示していたわけですが,本作を聞いて,これなら問題ないなぁと思ってしまいました。ピチカートのテクニックが素晴らしいですし,ピチカートならば,私でもOKなんです(笑)。しかも,このアルバム,ベース・ソロにしては結構聞きやすいアルバムでした。
本作については,私の食わず嫌いだったということになりますが,一般的にはそれでもハードルは高いんでしょうね。
ということで,TBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2015/08/16 20:59
>中年音楽狂さん
TBどうもありがとうございます。
彼の演奏は、なんであそこまで高温が出るの、という彼のアルコも私には魅力の一つです。ベース1本のアルバムもいくつか持ってますが、彼のものが一番印象的でした。
投稿: 工藤 | 2015/08/16 23:07