Sargasso Sea/John Abercrombie/Ralph Towner
ECMというと、意外な組み合わせを意外な楽器編成で楽しめるアルバムが多いこともありますが、このアルバムもそのひとつ。ジョン・アバークロンビーとラルフ・タウナ―の組み合わせを誰が事前に想像できたでしょうか。渋めだし、それでもECM的なサウンドにはピッタリかなあ、という組み合わせ。デュオでもアバークロンビーはエレキ・ギターも使ってみせていますし。2人名義のものは、フリー・インプロヴィゼーションか、簡単な打ち合わせだけでの演奏なのかな、とも予想させます。意外な組み合わせで、意外な効果のあるアルバムを作ってくれたなあ、という印象が強いですね。面白い1枚です。
Sargasso Sea/John Abercrombie(G)/Ralph Towner(G, P)(ECM 1080) - Recorded May 1976. - 1. Fable 2. Avenue 3. Sargasso Sea 4. Over And Gone 5. Elbow Room 6. Staircase 7. Romantic Descension 8. Parasol
渋いギタリスト2人の演奏で、全曲彼らのどちらか、あるいは2人でのオリジナル。やはり空間を大事にしたアルバムです。エレクトリック/フォークのジョン・アバークロンビーと、12弦/ガットのラルフ・タウナーのそれぞれの個性も注目です。渋くて深みのある演奏が繰り広げられていく1曲目、浮遊感覚があってややスリリングなやり取りが聴かれる2曲目、インプロヴィゼーションで作られたと思われる、空間的で緊張感のあるタイトル曲の3曲目、しっとりと静かに紡ぎ出されていく4曲目、過激なエコーの効いたエレキギターとの音のぶつかり合いが面白い5曲目、スピーディーながら冷めたところもあるスリリングな6曲目、語り合う感じで哀愁漂う7曲目、ピアノも交えてドラマチックにフレーズが綴られていく8曲目。
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コメント
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今朝はこれを聴きながら、改めて1976年にこれが出たのは凄いことだなあ、と思いました。ごく自然にジャズの枠を出ている感じ、新しいジャンルを確立しているのだけど、あたりまえのようにある。
だから今でも全く古びていないのでしょうね。
http://kanazawajazzdays.hatenablog.com/entry/2011/01/21/081448
投稿: ken | 2016/10/21 07:17
>kenさん
コメントどうもありがとうございます。
アコースティックと、時にエレクトリックのギター2本の形式のジャズ(?)というのも、当時としては珍しかったんじゃないかと思います。その空間がまたけっこう良く、やはりこういうところがECMならではかな、と思います。
投稿: 工藤 | 2016/10/21 08:42