A.R.C./Chick Corea/Dave Holland/Barry Altshul
初期のECMはフリーにこだわりつつも、いろいろな方向へ種をまいていきます。このアルバムで、チック・コリアがリーダーになって、そしてデイヴ・ホランドのベースと、これまたECMの今後を見るような編成で臨んでいます。この時期はまだ2人とも若手の域だったのですが、実力は持っていて、このアルバムを絶賛する人もいたと聞きます。それでもフリー・ジャズで演奏するのはレーベルとしては冒険だったのではないかなあ、なんてことを思ってはいます。最初の頃の方向性が定まらなかったものが、このあたりにきて、いくつかの柱としての、まだ少しぼんやりしながらも見えてきた、と言えるんじゃないかと思います。
A.R.C./Chick Corea(P)/Dave Holland(B)/Barry Altshul(Per)(ECM 1009) - Recorded January 11-13, 1971. - 1. Nefertitti 2. Ballad For Tillie 3. A.R.C. 4. Vadana 5. Thanatos 6. Games
当時のフリージャズの影響が強く見え隠れするアルバムで、正面から勝負をしている感じです。1曲目に「ネフェルティティ」。解体・再構築路線のソロピアノのイントロを経て、カッチリしたタイム感のトリオでの4ビートから曲が展開してフリーに突入して 、再びテーマに戻ります。2曲目は3者による作曲なので、おそらくフリー・インプロヴィゼーションの世界。短いテーマから徐々に発展していって、フリージャズの世界に入りこんでいくタイトル曲の3曲目。デイヴ・ホランド作の4曲目は、自由ながらも美しさを感じさせる出だしからフリーに展開していきます。ゆっくりとフェードインしてまたフェードアウトしていくゴリゴリのフリージャズの5曲目、やはり当時のフリージャズ度が高い6曲目。今なら聴く人を選ぶアルバムかも。
(注)国内盤SACD発売済み(タワレコ限定ハイブリッド)
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西独盤を2枚持っている。35年前に買った「道路の写真」のジャケット。それが後年な盤(でもLC番号はついていない)と知って買い足した最初のジャケット「三角形」のもの。LPレコードは刻印含め同じ。その頃のレコード盤にはレコード番号だけで、マトリクス番号は刻印さ...... [続きを読む]
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TBさせて頂きました。
長い間、これがECMサウンドと思っていましたが、正面から聴くと、ECMサウンドのクリアさで米盤なんかのパンチのある音を聴いているような、不思議でも魅力的な音だと思いました。
He now ...の次に好きなチックのアルバムです。このメンバーでも再演して欲しいですね。
投稿: ken | 2015/02/03 08:06
>kenさん
TBどうもありがとうございます。
ジャズ経験があまりないうちにこのアルバムを聴いてしまったので、このフリージャズ感を理解するまでにけっこうかかってしまいました。最初はトホホだったけど、だんだん良くなってきました。
投稿: 工藤 | 2015/02/03 11:17