ジャズ・レーベル完全入門/後藤雅洋著
「ジャズ・レーベル完全入門/後藤雅洋著」(河出書房新社)税込み1,785円
ジャズのレーベル別ガイドブックであり、各レーベルの説明のほか、各レーベルでオススメのアルバムをリストアップして、それぞれのアルバムにレビューが付けられています。私なんかもアルバムコメントという形ではけっこうな枚数をホームページ上で紹介していますが、プロである後藤さんと、アマチュアである私との間には決定的な差があります。
それは何かというと、私はあくまでもアルバム1枚としての内容紹介、時には各曲がこんな感じだった、という紹介程度のもので、それを寄せ集めてくればある程度の形にはなるにしても、Web上で目的のアルバムの内容を拾い読みする程度の内容の濃さしか持ち合わせていません。
それに対して後藤さんは、アルバムごとに、各レーベルにおける紹介するアルバムの位置付け、その演奏するミュージシャンにおけるアルバムの位置付けをはっきりと書きつつ、読み物として、つまり魅力的な面白い文章でレビューをされている、という点に違いが出てきます。通常は自分の興味あるアルバムのレビューしか読まないのに、この本のアルバム(実に27レーベル、511アルバムとのこと)を順を追って読んでいこうとさせる、文章力がありました。本を読んでいて知らないうちにモダンジャズの主要な部分を俯瞰することさえできます。だからプロは大変なのだし、スゴイのだな、と思わせます。
現在進行形のレーベルでもたいていが’70年代のアルバムまでで(たまに’80年代や最新で’90年代初頭までは紹介されていますが)、ある程度評価の定まっているアルバムの紹介です。個人的にはブルーノート、プレステッジ、リヴァーサイドなど、掲載されているジャズ全盛期の有名レーベルは、紹介されているアルバムの半分以上は聴いているので、全部読もうという気にさせたし、知っているアルバムが多いことで親しみを持てました。
定番作品が多く紹介されているので、これからジャズを聴こうとする人にもある程度ジャズを聴いている人にもこの本はオススメなんじゃないかと思います。
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