ジャズ批評121号(9月号)特集「ブルーノート65周年」
ジャズ批評121号(隔月刊9月号)を夕方購入。なんと大特集「ブルーノート65周年」と書いてあります。ジャズ批評には’99年に出たジャズ批評ブックス「決定版ブルーノートブック」という500ページにもわたる素晴らしい本が出ているのになぜ今さら、という感じがしないでもありません。
雑誌が薄くなった上に特集ページも少ないのに、なぜ「大特集」なのか。まさか最近発売された東芝EMIのブルーノートの廉価盤1,500円シリーズに時期的に照準を合わせてみたのでしょうか。特集部分は100ページほどですが、各方面にアンケートを取って、その結果でそれぞれの人気盤のレビューを書いただけ、のようにしか見えないのです。わずか21人の批評家のアンケートで「マイ・フェイバリット・アルバム」「ブルーノートの好きな曲・演奏」「ブルーノートの好きなジャケット」「ブルーノートの顔(象徴するミュージシャン)」「ブルーノート・フォー・ビギナーズ(はじめてジャズを聴く人に)」各ベスト5枚が選ばれています。
6月号からの方向転換で季刊から隔月刊になり、定価も3分の2ほどになって軽くなりましたが、内容まで軽くなったような気がしています。方針を変更することは新しいお客さんが増える可能性もありますが、新しいお客さんが増えないままに、昔からのお客さんが離れていってしまう、という可能性だってあるわけです。もちろん私は、今後もジャズ批評誌を応援し、買い続けるつもりですけれど、それでも毎回1冊が限度で、それ以上のことはできません。
寺島靖国氏が105ページから3ページに渡って、前号の「ジャズ批評」を批判していますが、私も半分以上は同感の気持ちもあります。これがジャズの最先端だ、と突っ張ってみたところで、商業ベースでは本や掲載されているCDのセールスが悪ければ、意味がないのです。実際、新しいジャズが好きな方だと思っている私でも、ほとんど知っているミュージシャンがなかったくらいですから。120号をもとにそこに掲載されているCDを端から買い集めてみようという方はわずかだったんではないでしょうか。
某ジャズ雑誌のように広告と、レビューや記事のバーター取引もどうかと思いますが、それでもそこには一定の需要があります。商業誌にとって一番コワいのは内容が良くても需要がなくなること、というのはかつてのOutthere誌(今は廃刊)が証明しています。もっともこの雑誌も後半に行くにつれて、内容も迷走状態になっていったように感じますが。何としてもジャズ批評誌には頑張ってもらいたいところです。
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コメント
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どうも、ご無沙汰しております。
ちょっと遅ればせながらのレスです。
ジャズ批評 たしかに前号との落差に唖然としちゃいました。
ジャズ批評誌には、個人的に埋もれた逸材の紹介
埋もれた名盤の紹介に終始して欲しいのですが
今号は、ちょっと内容薄すぎと感じてしまいました。
さて、ほとんどオーディオネタなのですが、山口孝さん
(と言う方)が、「ジャズオーディオウェークアップ」なる本を
出されました。
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/3f8dbfcd161750104291?aid=&bibid=02472590&volno=0000">http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/3f8dbfcd161750104291?aid=&bibid=02472590&volno=0000
個人的には、非常におもしろかったし、今後の座右の書に
なる勢いなのですが、ちょっと視点を変えたジャズの聞き方
を紹介している本と言う感じで読めると思うので、
機会があれば書店で立ち読みしてみてください。
投稿: おぉ | 2004/08/31 22:53
どうもお久しぶりです。
上記のことを書いてから1週間が経ちましたが、ブルーノート特集ってことで、案外売れてるのかもなあ、という気もしてます。ただ、やっぱり感想は、ジャズ批評ブックス「決定版ブルーノートブック」との内容の落差がかなりあることです。季刊の時の方がよかったかなあ、と思います。次号の特集は何か分かりませんけど、次号に期待します。
オーディオ・ジャズ本(と言うのかな?)を教えてくださってありがとうございます。今度、書店でチェックしてみます。
投稿: 工藤 | 2004/08/31 23:16