Live At The Village Vanguard/Uri Caine Trio
ユリ・ケインというピアニスト、おそらく知らない人の方が多いんじゃないかと思いますが、けっこうアルバムを出していて、ジャズだけでなく、クラシック方面でも、ワーグナー、バッハ、ベートーベン、マーラーなどを取り上げたりしています。しかし、その取り上げ方が尋常ではなく、クラシック的に演奏していたかと思えば、そこにジャズ、クレズマー、民族音楽などをぶち込んだりして、純粋なクラシックファンが怒るんではないかなあ、と思えるような爽快な?アルバムを何枚も出しています。
以前紹介したデイヴ・ダグラスのアルバムにも参加、また4年ほど前エレクトリック・ファンク系で「ザ・フィラデルフィア・エクスペリメント」というグループも組んでいて、まさに八面六臂の活躍です。彼のピアノはどうかというと、メロディを味わい深く奏でるというよりは、ハービー・ハンコックのようにメカニカルにバリバリと弾いていく方が得意なようで、そこで好き嫌いが分かれるところかもしれません。久しぶりのジャズでのリーダー作。
Live At The Village Vanguard/Uri Caine(P) Trio(Winter & Winter) - Recorded May 23-25, 2003. Drew Gress(B), Ben Perowsky(Ds) - 1. Nefertiti 2. All the Way 3. Stiletto 4. I Thought About You 5. Otello 6. Snaggltooth 7. Go Deep 8. Cheek To Cheek 9. Most Wanted 10. BushWack
ライヴでもオリジナルを10曲中6曲演奏。ピアノの演奏は素晴らしいですが、多面性があるような気も。1曲目、アップテンポの「ネフェルティティ」で斬り込んでくるあたりは、自信のあらわれかも。一転静かにしっとりとバラードを奏でたりする2曲目、キメの多いテーマだと思ったらアップテンポのまま突っ走っていく切れ味の鋭い3曲目、やや複雑なハーモニーのストライドピアノを見せた後に、トリオで古くて新しいようなサウンドを奏でる4曲目、ラテンのようなリズムの上をピアノの旋律が舞う5曲目、4ビートながら飛び跳ねるようなフレーズで盛り上がる6曲目、やや個性的なバラードの7曲目、アップテンポでスタンダードを鋭く演奏する8曲目、8ビート的でちょっと陰影もある9曲目、いろいろに変化しつつも疾走していく10曲目。(04年5月23日発売)
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コメント
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はじめまして。毎回楽しみに見させてもらってます。
ユリ・ケインのこれ、何の予備知識も無く買って非常に気に入ったので
他のCDも…と思ってたのですが、いろんな事をやってる方のようですね。
あせって他の買わなくて良かったかな?(笑)
それではこれからも更新がんばってください。
投稿: ANI | 2004/06/24 00:27
どうも、はじめまして。
ユリ・ケインでピアノ・トリオのCDというと、あとは「Blue Wail」
ぐらいで、クラシック(もどき)だったりローズで70年代
マイルスを彷彿とさせるようなサウンドだったりと、
全方位性があって、逆にいうととらえどころのないピアニスト
だったりします。サンプリング系の方々も多く利用している
ようです。
昔Bambooで出ていた初期2作(今はWinter&Winter JMT
Editionで、まだ出ているかどうか)が、けっこうトンガリ
具合が心地よかったでした。
もう少し、オーソドックスな方向の作品を取り上げるべく
努力だけは(笑)したいと思いますので、皆さん見捨てずに
よろしくお願いいたします。
投稿: 工藤 | 2004/06/24 18:00