ブラッド・メルドー・トリオ@サントリー・ホール
7月27日(金)の夕方は、MixiのマイミクのTOYOさんのお誘いで、ブラッド・メルドー・トリオを観てきました。メンバーはラリー・グレナディア(B)とジェフ・バラード(Ds)とのトリオ。
ホールに入って思ったのは、あの広いホールなのに、こっち側(客席)を向いているPAのスピーカーがない、ということでした。しかも3人のステージ上のポジションはかなり寄り添ったかたち。はじまってみて分かったんですが、生音を聴かせるコンサートだったんですね。まあ、モニターの返しはありましたが。あのホールはさすがに音がいいですね。個人的にはジャズはオン・マイクでPAでならして聴くのは好きなんですけど、あえてこうしたのには理由があるのでしょう。生音に慣れないせいか、これで好き嫌いが出てくる可能性もあります。なので、座っている席によっては、聴こえる音に違いも出てくるかも。
曲目は、はっきりとは今の段階では把握してませんけど、最新作「ODE」からの曲は少なかったかなかったかで、多くは既成曲(ロックの曲が多かったように思う)で、したがって変拍子も、何曲目かが7拍子のほかは、あまり目立ってなくて、普通の拍子の曲が多かったように思います。
サウンドというか内容は、内向的、繊細、そして、ヴォリュームが小さいためじっくり聴こうとして、その緊張感などを感じました。そして、明らかにこのトリオは、そのコンビネーションといい、各自のテクニックといい、ピアノ・トリオとしては前人未到の域に達していると思います。ドラムスもサウンドバランスに合わせて、かなり小さい音で叩く場面も。ソロ・ピアノで長めの演奏が2曲、トリオではじまりトリオで終わる曲のところにはさまれてましたけど、これまた素晴らしく、クラシックの演奏を聴いているような雰囲気にもなりました。それがゆえに、ちょっと気楽にのれる出来る雰囲気でもなく(何たって4ビートジャズはアンコールの最後の曲だけ)、感銘を受ける人は(私はこっち側だと思う)受けるし、そうでない人も一定数出てくるんじゃないのかな、とも思いました。
前々日が韓国公演で、日本公演はこの日と28日大阪、29日名古屋。さすがにキース・ジャレットのような存在感、というより実質的には世代交代をしていて、彼らの右に出るトリオは今、ないんじゃないかな、とも思いましたけど、その選曲やサウンドのこれからのことを考えると、今回があの広いホールの観客を集められるギリギリのラインだったのかな、とも思います。これからもっとマニアックな方へ行くのか、それともポピュラリティを獲得して、より多くの人が集まれるようにするのか、バランスが難しいんじゃないかと思います。ただ言えることは、当日あの場所で彼らの音楽を聴いて、インパクトは大きかったということです。
当日のセットリストがFacebookページに出ていたので、転記します。
SET LIST Suntory Hall
Great Day Paul McCartney
Friends Brian Wilson
Sanctus Brad Mehldau
And I love her Lennon/McCartney
Ten tunes Brad Mehldau
My Valentine Paul McCartney
Untitled Brad Mehldau
Holland Sufjan Stevens
Cheryl Charlie Parker
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» Brad Mehldau観戦記本編 [中年音楽狂日記:Toshiya's Music Bar]
昨日の前段から改めて7/27,サントリー・ホールにおけるBrad Mehldauトリオの演奏について書いてみたい。当日ののセットリストは下記の通りである。 Great Day(Paul McCartn [続きを読む]
工藤さん,こんにちは。TBありがとうございました。
今回のライブについては,彼ららしい演奏だったとは思いますが,選曲に起因するメリハリの欠如を強く感じていました。クォリティは高くても,同じようなものを食べさせられてはさすがに飽きるというのと同じです。
彼らのライブが常にこうであれば,私も納得するでしょうが,NonesuchからのVanguardのライブの1日分の音源と比べても違いがあり過ぎます。美感は同じでも,スリリングな感覚に乏しかったのが残念でした。
もちろん,楽しめなかったということではありませんが,納得していない私です。
ということで,こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2012/07/29 13:43
>中年音楽狂さん
TBどうもありがとうございます。
ネットとか掲示板で見ても、賛否両論分かれているような感じですね。自分としては、こういうおとなしめな演奏も好きなのですが、確かにメリハリという点では、気になるところではありますね。
ドラムスも、トリオのヴォリュームを意識してか、けっこう音を抑えた演奏の場面が目立ちましたし。ジャズでのああいう叩き方、目ではじめて見ましたです。
またいつ来るか分かりませんけど、次回どうなるかですが、ホールが変わらないと、この傾向は続くかもしれませんね。
投稿: 工藤 | 2012/07/29 16:19
こんばんは♪
暑いですね〜
メルドー行って来られたのですね。
閣下さまの記事も読みましたが アルバム『ODE』からの曲はなかったのですね。
ライブ、コンサートというとアルバムの曲を中心に演奏されるのかなぁ と思っていましたが こういうのも良いですね。
閣下さまは 少し不満だったようですが(^_^;)好きなだけに期待されていたのでしょうね。
゙つぶやぎで発見したのですが 日本の某女性ピアニストさまもいらしていたようで...良かったとつぶやいていらっしゃいましたょ♪
投稿: Marlin | 2012/08/01 00:11
>Marlinさん
レス遅れて申し訳ありません。
生音でのトリオの演奏、これはこれでけっこう良かったのでありました。キース・ジャレット以外のトリオ(これも最近はやってないようですが)では、最高ではないでしょうか。
某女性ピアニストが観に行った件、私もつぶやき見ました。やぱりプロも一目置くピアニストなんですね。
投稿: 工藤 | 2012/08/09 07:20