2月のおススメ盤(工藤)

矢野沙織も、もうこのアルバムでリーダー作が8作目(ベスト盤も入れると9作目)ですね。若いのに才能が認められているのか、売れています。彼女のアルバム、けっこう好きなのですが、今回は売れセンの曲集をオルガンの入ったバンドで、という割には、あまりオルガンのアクが強くなく、聴きやすい方にベクトルが振れている気がしてます。ジャズファンに絞らないマーケットで売上枚数が伸びるんじゃないかと思ってはいます。ただ、ボーナストラックに入った11曲目がクセもので、曲調が全然違うんですね。果たしてどちらが彼女のやりたかったことか、迷う部分ではありますね。でも彼女のサックスを聴いたり、演奏を聴く分には満足度はけっこう高いと思います。


BeBop At The Savoy/矢野沙織(As)(Savoy)(国内盤)
BeBop At The Savoy/Saori Yano(As)(Savoy) - Recorded November 10 and 11, 2009 (Track 11 on October 6, 2009), Jim Rotondi(Tp on 1-2, 6-7, 10), Randy Johnston(G on 1-10), Pat Bianchi(Org on 1-7, 9-10), Fukushi Tainaka(Ds on 1-7, 9-10), Hideo Ichikawa(P on 11), Tomio Inoue(B on 11), Hideo Yamaki(Ds on 11), Satoshi Onoue(G on 11), Yoshiaki Sato(Accordion on 11), Whacho(Per on 11), Neko Saito(Vln & Arr on 11) - 1. The Kicker 2. Sweet Cakes 3. Blues Walk 4. You'd Be So Nice To Come Home To 5. S'Wonderful 6. Lullaby Of Birdland 7. Olive Refractions 8. Stardust 9. Five Spot After Dark 10. How High The Moon [Bonus Track] 11. Laura Peacock~太陽の船のテーマ

スタンダードやジャズメン・オリジナルのオンパレードで、ボーナス・トラックに矢野沙織のオリジナルがあります。オリジナルはメンバーも違ってオルガンは入っておらず、曲調もシリアスなのですが、ボーナス・トラックの路線で行くか、これを省いた方が統一性が取れて良かったかも。メインの曲は有名な曲が連なって、メンバーも悪かろうはずはないので、けっこうオルガンジャズを楽しめます。ただし、オルガンのアクはあまり強くなく、曲もサウンドも聴きやすい仕上がり。コアなジャズファンよりは矢野沙織ファン、ジャズ周辺の音楽ファンに広く受け入れられるんではと思います。サックスとしては文句のつけようがないし、トータルでの演奏もけっこういいです。ただ11曲目のようなマニアックな路線も今後は期待したいところです。(10年1月20日発売)

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appleJam1 月のトレジャー・ディスクを聴く(工藤)

今回のappleJamのおススメ盤は、インストの曲が多いロック、あるいはアルバムタイトルのようなちょっと野性的なファンク、といったサウンドのアルバムです。私もこういうアルバムにしては珍しく、Jim KeltnerとJohnny Vidacovichの名前は知っています。前者は確かビル・フリセールと、後者はジョン・スコフィールドと共演歴があったと思いました。ジャズ色はないですが、ファンク的なロックという点では私も好みの感じのサウンドです。


Dirty Power/Shane Theriot(G, B, Per) (2009 USA Shose Records) - Richie Haward(Ds), Jim Keltner(Ds, Per), Sonny Landreth(Slide G, Effects), "Zigaboo" Modeliste(Ds), Hutch Hutchinson(B), Johnny Vidacovich(Ds), Doug Belote(Ds), Johnny Neel(Org, Key, Voice, Harmonica, Wuritzer), David Torkanowsky(Org), Adam Nitti(B), Kirk Joseph(Sousaphone), "Big Sam" Williams(Tb), Roderick Raulin(Sax), Mark Braud(Tp) - 1. Old Men 2. Dirty Power 3. Four On The Floor 4. Bring It 5. Mr. Ed 6. Buckshot 7. Memphis 8. Buckshot (Reprise) 9. The Pygmy Love Dance 10. Kirk's Little Backpack

全曲Shane Theriotの作曲ないしは共作。ミュージシャンは曲によっていろいろ入れ替わります。やっぱりロックというか、ファンク的というか、そういうサウンドで、ニューオリンズのロックとはこういうものか、ということが分かります。インストの曲ばかりで、7曲目にヴォイスが入りますが、効果音的な使われ方です。確かにリーダーのShane Theriotはテクニックで聴かせるタイプではないけれど、また曲はブルースでもないですが、こっち方面のサウンドが好きな方が聴いたら、けっこうイケるんでは、と思わせる演奏ですね。時々ホーンも入りますが、アクセント的な使い方かも。ただ、それらの曲はホーンのソロもなかなかいい感じです。曲はロック的でギターはストレートな感じでも強いですが、ちょっとひねくれた部分もあるような気がします。けっこう感性に訴えかける力の強いギタリスト。個人的には10曲目の細かいビートの上を哀愁の旋律のテーマが走るファンクの曲が、現代ファンクにも共通点があり、一番フィットしました。

ジャズCDの個人ページ(工藤)

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工藤さんの1月のオススメ盤を聴く(bb白岩)

最近は何だか周辺が工事、工事の賑やかなことになっています。まずは道路を挟んで真向かいの空き地にもっか三階建ての医院が建つことになっての工事中。少し前に亡くなった、往診専門だった初代先生の息子さんが(といっても多分私と同じ世代)それまでは勤務医だったのが新規に医院を建てて、いずれはもっか医大生の息子さんに継がせるのだそうだ。こういった話は街の噂ですぐに住民が知ることになるけど、時代は進んでもそういう意味では地域のコミュニケーションって凄いと思う瞬間。以上はあくまでも小耳に挟んだ話なので正確な話かどうかは不明ですが。次は毎日のように歩いている哲学の道の銀閣寺側の一定のエリアで、新規に桜並木の植樹工事が始まっていて、並木道の踏み石もエリア内は一端すべてが剥がされ山積み状態です。今まで以上に豪華な桜並木になるのか。次は市立美術館の敷地内で本格的な工事が年末から始まっていて一体何が出来るのか、いつもそばを通るとき、聞こう聞こうと思っていて、忙しそうなのでやめてます(笑)。ちなみにはす向かいの国立近代美術館も館内の工事で三月まで閉館中です。閉館直前までやっていたイタリアのボルゲーゼ・コレクションは最終日は行列が出来ていました。今。、確か東京でやっているはずで、とにかくボルゲーゼのコレクションがイタリアに出るのはこれが初めてだそうでそれは凄いことだと思いました。

以上、店のHPで書く日記が休眠中なのでこっちの枕が長くなって??しまいました。m(_''_)m


Kurt Rosenwinkel Standard Trio /Reflections
Word Of Mouth Music(輸入盤)

Kurt Rosenwinkel - g
Eric Revis - b
Eric Harland - ds

1. Reflections
2. You Go To My Head
3. Fall
4. East Coast Love Affair
5. Ask Me Now
6. Ana Maria
7. More Than You Know
8. You've Changed

今回は非常に趣味の好いギタートリオで、仕上がりもとても上品なタッチです。ローゼンウィンケルは今回初めて聴くのですが、未知の人の作品を聴く場合いつもその中で最も自分のフィーリングに合う曲を探してその曲から集中的に聴くのが習慣です。今回はそれがショーター・チューンの#6. Ana Mariaでした。 雨後のハイウェイを巡航速度でひたすら走る四駆マシン的な馬力のある安定感がそこにはあって、しかもフロントウィンドウにも適度な水滴~ウェット感が伴っている感じ。瑞々しいほどのこの潤い感覚は季節的には五月新緑の若葉を遠景に観る気分。ギタートーンは適度に硬く、しかし耳にほどよく残るリヴァーヴがフェンダーのヴィンテージ・チューブアンプの響き。でも見た訳ではないのでそれはあくまでも勝手な想像ですが。さらには秋も深まった森の奥深くにあたかもその場所に実際に居るかのような光景が浮かんでくる#3.Fall。おっと、これもショーター・チューンですが、人によっては同じfallという言葉から盛大に流れ落ちる滝の水を思うかも知れず、たまたま私は落ち葉が柔らかく敷き詰められている秋の森をイメージしてしまいました。とにかくこの曲、ドラムのイントロから始まるその瞬間からまるで母国語のように自分にフィットしてしまいます。と、抜群にフィットする2曲があったもののあとの曲は集中して聴こうと思うのにそれがすぐに道ですれ違った人の話し声みたいな感じですぐに後ろに消えていきます。こういう現象が起きるとき、それはきっと自分には向いていない音なんだと思うようにしています。同じ人の演奏なのになんでこうも差が生まれるのかが不思議ですが。ということで今回はなんとなく歯切れの良くない試聴感が残ってしまったのですが、曲間で一切の伴奏を止めてカデンツァっぽく独奏するひとときなんかは耳をそばだててしまいます。完全なギターソロ作品を出したら絶対聴いてみたいと思いました。今回はそのような感想です。

bb白岩(appleJam)

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1月のおススメ盤(工藤)

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。

ちょっと今、プライベートな事情であまりCDを聴く時間がないのですが、昨年11月に聴いたアルバムが良かったので、紹介させていただきます。2月以降は平常ペースに戻る予定ですが、今度は仕事が繁忙期を迎えるという、なかなかジレンマな状態が続きます。


カート・ローゼンウィンケルの新譜。今回はギター・トリオで、スタンダードやジャズメン・オリジナル中心のバラード集。まあ、バラード集というのは通販のサイトで見たフレーズなのですが、おおむねその通りでした。ただ硬派な曲も演奏しているので、全編甘い、というわけではありません。曲がゆったりしていて安心して聴けますが、ギターのアドリブはけっこうスゴいことをやっている場面もあり、やはりこの人のギターはスゴいな、というのを改めて実感してしまいました。アップテンポの曲がないし、トリッキーな部分もほとんどないので、真剣に聴くことも、聴き流すこともできるサウンドだと思います。


Reflections/Kurt Rosenwinkel(G) Standards Trio(Word Of Mouth Music)(輸入盤) - Released 2009. Eric Revis(B), Eric Harland(Ds) - 1. Reflections 2. You Go To My Head 3. Fall 4. East Coast Love Affair 5. Ask Me Now 6. Ana Maria 7. More Than You Know 8. You've Changed

(09/11/23) スタンダードやジャズメン・オリジナル集で、しかもバラード集。カート・ローゼンウィンケル作は再演の4曲目のみ。ただ、セロニアス・モンク作が2曲(1、5曲目)、ウェイン・ショーター作が2曲(3、6曲目)とやや硬派な選曲にもなっています。いつもは時代の先を行くようなフレーズが目立つのですが、ここでは割とオーソドックス(それでも意表をつくような場面もあります)な温かみのある、安定したサウンドです。ギター・トリオだけれどもこれで十分な音数とメロディ、アドリブで、技術の確かさもあります。単純にバラードだけではなくて1、4曲目の後半のように4ビートになって速いパッセージが時にあって、魅力的な演奏を聴かせてくれます。6曲目はミディアムのボッサ。ゆったりした曲が多めながらピリッとしてるのがいい。

ジャズCDの個人ページ(工藤)

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appleJam1月のトレジャー・ディスク(bb白岩)

新年あけましておめでとうございます。2010年元旦の歩き初めは初雪舞う中、丁度日の出の時間に家を飛び出しました。真如堂経由で哲学の道を銀閣寺側終端から若王子(永観堂方面)の終端までフルコースを歩いて、さらにその足で初詣の人々で賑わっている平安神宮の前から疎水端をぐるっと一周して帰りは二条通経由で家まで帰ってきました。こんだけ歩いて万歩計は約9900歩。磐田市在住の時は天竜川の河原を浜まで歩いて、その後御前崎方面につながっている遊歩道を延々と歩いてそして帰りは浜に降りて砂浜を噛みしめまた天竜川の河原を歩いて帰る…で約17000歩を歩いていました。それを思うと京都って街は結構コンパクトな街なんだなと痛感します。

それはさておき新年一発目のお薦め盤もまたニューオリンズ盤です。かつて90年に足を踏み入れたニューオリンズの街の、比重の高い濃密な空気を吸って以来息を吐き出していないような気もします(笑)。見る女性はみんな綺麗で男たちもみんなカッコよくて、じーさんやばーさんまで特別にカッコいい老人に見えたあの日はきっと自分にも特別な日だったのだと思います。そのニューオリンズで私が一番クールだと感じている若手ギタリストがこのシェーン・テリオです。一曲ごとにめまぐるしくメンバーが異なるのであえてここでは省略しましたが実際これを聴くとき、あとのメンバーが誰であるかをほとんど忘れてテリオのギターに聴き入ってしまいます。


パーフェクト・ギター!という言葉が瞬時に浮かんでくる作品
Shane Theriot Dirty Power (2009 USA Shose Records)

例えば完全インスト・チューンにおいて6本の弦で自分は何を表現するのか。ギタリストによってはまず何より自身の神がかった早弾きテクニックを披露する人もいれば、カッティング技術こそが自慢だという人もいるでしょう。でもファンとしては繰り返し聞きたくなる歌心がそこにないと最初の驚きがさめた時点でもうそのCDは聞かなくなります。しかしこのテリオの場合、文句なし三拍子+α揃った完全なるギタリストという手応え。販売店的にはつかみの部分で人の心を持ってってしまうタイプの#2.Dirty Power と、誰もが愛して止まないニューオリンズ最高峰のスライド・ギタリスト、サニー・ランドレス入りの#5.Mr.EDが真っ先のお薦め曲ですが、じっくりと聴けば聴くほどアルバム全曲が底抜けに素晴らしいこと、文字通りの圧巻作品です。

bb白岩(appleJam)

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appleJam12月のトレジャーディスクを聴く(工藤)

いよいよ’09年も終わろうとしています。もっと早くこれを聴いてアップしたかったのですが、年末が忙しくて今日になってしまいました。仕事もそうですが家もあわただしく、毎年このまま正月も過ぎていく気がしています。さて、今回のアルバム、どんな感じでしょうか。アルバムジャケットだけみると、わあ、黒くてコテコテの演奏が詰まっていそう、と思うのですが。


Rise Up !/Lonnie Smith(2009 USA Palmetto Records PM-2138) - Dr.Lonnie Smith(Org, Vo), Donald Harrison(As), Peter Bernstain(G), Herlin Riley(Ds), Additional Musicians: Jo Lawry(Vo), James Shipp(Per), Matt Baltsaris(G) - 1. A Matterapat 2. Come Together 3. Pilgrimage 4. Dapper Dan 5. And The World Go Round 6. People Make The World Go Round 7. Tyrone 8. Sweet Dreams 9. Voodoo Doll

9曲中5曲がロニー・スミスの作曲で、「カム・トゲザー」などの曲も入っています。彼のアルバムは最近ではCriss Crossから出ていて、それはピーター・バーンスタインとビリー・ドラモンドとのトリオでした。内容は良かったのですが、今頃’93年録音を出してきたので、どうしてかな、と思ったものでした。こちらのアルバムは’08年5月の録音と書いてありますので、今でも彼は健在なんだな、と安心しました。昔はオルガンジャズってあまり得意ではなかったですけど、だんだん好きになりつつあります。

このアルバムではドナルド・ハリソンのサックスが入っていることと、非4ビート路線の曲ばかり集めているところに特色があります。ビートが引き締まっているファンク曲も多く、オルガンのベース・ペダルのユルさを引き締めています。曲ごとにいろいろな曲調がありますし、アレンジも入っていて2曲目のカム・トゲザーも意表をついたアレンジ(ヴォーカルも意表をついてます)、6曲目の曲が昔CTIのアルバムで聴いたことのある曲(すいません、ミュージシャンを失念!)で、懐かしさもあるとともに、やっぱり意表をついたアレンジ。

と思ったら、3曲目の出だしが牧歌的な明るいバラードでそのまま盛り上がっていく曲もあったりして、なかなかオルガンジャズにしては洗練されたイメージの曲が多いです。5曲目のコーラス(?)かな?、曲に厚みが出てきていいし。いい意味で、ジャケ写のイメージとは違っていました。また、8曲目のマイナーな曲調もなかなか個性的。

このアルバム、ネットの友人が発売時に聴いていたのですが、発売時には気がつかず。今回聴いて良かったでした。

ジャズCDの個人ページ(工藤)

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工藤さんの12月のオススメ盤を聴く(bb白岩)

The Monterey Quartet: Live At The 2007 Monterey Jazz Festival
(Monterey Jazz Festival Records)

Dave Holland(B)
Gonzalo Rubalcaba(P)
Chris Potter(Ts)
Eric Harland(Ds)

Recorded September 22, 2007.
1. Treachery
2. Minotaur
3. Otra Mirada
4. Step To It
5. Maiden
6. 50
7. Veil Of Tears
8. Spoken Introduction
9. Ask Me Why

モンタレーの50周年記念の録音では私もテレンス・ブランチャード盤がお気に入りでここにupしましたけど、今回の工藤さんのオススメ盤はまずクリス・ポッターの凄さにいきなりKOされてしまいました。最初のクリポタの必殺パンチは冒頭1. Treacheryでのゴンサロ・ルバルカバに続くソロ、その火を噴くような熱いソロ・ワークは真冬でかじかんでいた身体が一気に沸点に達する感じ。というかこの曲でのルバルカバのモーダルなソロもかなりクールです。途中如何にも変則ビート・チューンらしいカットの同一ポジション連打のソロが、これだけの手練れでもくねった波に乗るのは大変なんだと感じさせます。いやはやほんとにこれは凄い盤です!続く2. Minotaurはいきなりのアフリカン・リズムで、イントロに登場するチャーミングなスネア?とそれに続くタムと耳にはティンバレスにも聞こえるパーカッション群が場のムードを一気にモザンビーク辺りに塗り替える気分。(行ったことはないけど) 同じ#2.でシーンが変わったあとに登場するホランドのベースとピアノの妖しげな絡みも実にアメイジング!もとよりここでのクリポタもツボにはまりまくりです。個人的なお気に入りは5. Maiden で、ド頭のベースソロだけでも値千金の中、中盤に展開するルバルカバのイマジネイティヴかつ知的な深みのあるソロがなんとも美的。一瞬の緩急をつけた短いフレーズのソロを紡いでいく姿にはまさにうっとり、惚れ惚れします。ということでこの盤は頭の先からつま先まで丸ごと全部気に入りました。全体を覆う適度な緊張感も最高です。

bb白岩(appleJam)

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appleJam12月のトレジャーディスク(bb白岩)

あっという間に2009年も残り少なくなってしまいました。全く師走という感じがしないのは今年も同じ、それでもクリスマスはやってきてそして除夜の鐘とともに年が明けるんですよね。とにかく健康でありさえすればOKかなという、今年はそんな気持ちです。そんな12月のappleJamのお薦め盤は、渋い方のハモンドB3サウンド。普段はファンキーなオルガンが好きな自分ですが、ロニー・スミスの強烈な個性はそういった日常感覚を気持ちよくぶっ飛ばしてくれる気がします。


漆黒の闇に見る一条の薄明かり、そんな妖しくも美しい匠同士の競演!
Lonnie Smith / Rise Up !
2009 USA Palmetto Records PM-2138

Dr.Lonnie Smith - hammond b3,vocal
Donald Harrison - alt sax
Peter Bernstain - guitar
Herlin Riley - drums

リーダーのロニー・スミスはもとより共演者全員のカッコ良さが特筆の一作。常以上にタール状の音塊として耳に届くオルガン・サウンドは、あたかも闇深い地底から響くかのようです。その鬼のように渋いオルガンに加えてドナルド・ハリソンのアルト・サックスもまた格別。さらにはピーター・バーンスタインのギターがここでは半端でないノリをしているのも特筆。#1.A Matterapat、チャーミングなリフを伴ったイントロ・・・ううう、これはまた60年代のブルーノートそのまんまです。ドナルドはドナルドでもルー・ドナルドソンのアルトと間違えてしまいそうですが、それを言うとピーターのギターもまるで別人ギタリストかと思う瞬間が有ります。続く#2.Come Together は地底ソングっぽい重心の低さが印象的で、オルガンのリフがまた新鮮。締めくくりの#9.VooDooDoll で演出する超常感は、光というものがそこに存在せずにただただ空間だけが拡がっているという、そんなイメージを私は感じてしまいます。加えて四人が放つガス状の雲海がじわじわと足下からわき出す感覚があってそれもナイスです。普段の環境で聴くよりかは、地下の穴蔵的ジャズ・バーで聴きたいアルバム。

appleJam(bb白岩)

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12月のおススメ盤(工藤)

夏ごろに発売されてからもう時間が経ってしまいましたが、実はこのアルバム、私的’09年のベスト3に入れました。こういう現代ジャズは好き嫌いがあるのですが、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのクリス・ポッターと名の知られた共演者のライヴなので、悪かろうはずはありません。と言うよりも、このあたりというラインを軽々とクリアしてしまって、その上を行っているようなサウンドが好きです。

豪華なメンバーのライヴですけど、曲調などを考えると、臨時かつ変則編成のデイヴ・ホランド・クァルテットと考えていいようですね。このバンドも現代ジャズの側面のうち、特に「変拍子」が強調されています。私もそれほどリズムに強い方ではないので、どこが何拍子とかまでは理解できないですけど、一般の人には不思議なビート感として理解されるんではないかと思います。演奏する方はかなり大変だと思うのですが、元々デイヴ・ホランドのバンドは変拍子が多かったので、そこで鍛えられたか、それに強い人選だったか。もちろん演奏内容は最高です。個人的今年のベスト3に入るかどうか、ですね。


The Monterey Quartet: Live At The 2007 Monterey Jazz Festival/Dave Holland(B)/Gonzalo Rubalcaba(P)/Chris Potter(Ts)/Eric Harland(Ds)(Monterey Jazz Festival Records) - Recorded September 22, 2007. - 1. Treachery 2. Minotaur 3. Otra Mirada 4. Step To It 5. Maiden 6. 50 7. Veil Of Tears 8. Spoken Introduction 9. Ask Me Why

(09/11/01)8曲目にあたる部分は曲ではないですが、他の8曲は2曲ずつメンバーの作曲。ライヴだし、さすがにこのメンバーの演奏はエキサイティング。まさにオール・スターでの演奏です。変拍子が多く、聴く方にとってはカウントしきれないような変拍子も、軽くクリアしてライヴで自然に演奏してしまうあたり、このメンバーのレベルの高さを証明しています。ちなみにゴンサロ・ルバルカバ以外は、在籍時期は違えどデイヴ・ホランド・クインテットに参加した面々。こういう演奏は得意なはずです。ドラムスのエリック・ハーランドのプッシュには定評があり、時々あおりまくっています。でも3、5曲目のようなバラードはしっとりとしていて、それでいてスゴいフレーズもあって一筋縄ではいかなそうで、なかなかです。意外に聴きやすいです。

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appleJam11月のトレジャー・ディスクを聴く(工藤)

今月はロックのテイストのあるブルースの登場。ギター、ヴォーカルのVince Agwadaはソリッドのエレクトリックギターを持っているので、ロック・フュージョン方面かな、と思いましたけど、ヴォーカルを聴くとブルースのノリの人かなと思います。曲ごとにメンバーが替わっていて、何曲も参加している人もいたり、1曲だけの人もいたりと、曲ごとに変化に富んでいるけど、基本はブルース。収録時間も13曲77分とめいっぱい。こっち方面が好きな方にはたまらないアルバムになっているんではないでしょうか。やっぱりロックっぽいけどブルースがメイン、というのが聴きどころかも。


Eyes of the City/Vince Agwada(G, B, Ds, Vo, Prog)(2008 USA Rocketnoodle Music) - J.R. Fuller(B), Darryl Coutts(Org), Brian Jones(Ds), Mark Beringer(B), Vince Willis(P), Hank Ford(Ts), Kenny Anderson(Tp), Bill McFarland(Tb), Ron Prince(Wah Wah G), Noel Neal(B), Sumito Ariyoshi(P), Brady Williams(Ds), Russ Green(Harmonica), Sugar Blue(Harmonica), Mike Stering(B), Peaches Staten(Fratois), Miguel De La Cerma(Key), Roosevelt Purifoy(P), Herb Walker(G), Cecil Savage(B) - 1. It's A Shame 2. Blooze 3. Does It Really Matter? 4. Car Wash Blues 5. I'm Coming Home 6. Rain 7. Confidence 8. Tubed Out 9. Hard To Cry 10. Come On In 11. Ellie 12. Bottle 13. Eyes Of The City

13曲全77分というのと、ミュージシャンや編成が曲ごとに替わっているということで、制作にけっこう時間をかけたのでは、と思わせます。大編成だと3曲目のピアノと3管が入っている曲、また10曲目は主にプログラミングと多重録音で仕上げた曲があり、それ以外にも3-5人編成の曲が多いようです。メインはソリッドのエレクトリック・ギターで弾くギターと彼のヴォーカルでしょうけど、ロック色が強いながらもソウル&ブルースの人かな、と思います。そういう意味ではけっこう「濃い」タイプでしょうね。3曲目は4ビートノリの部分もあって、ジャズっぽい部分もあるけど、やはりこれもブルースの一部ととらえた方がいいのかも。4曲目は3連12ビートのスローブルース。この曲には日本人のピアニストが参加しています。でも6曲目のようにブルース進行ではないバラードもあったり、8曲目は彼の多重録音メインですが、懐かしいハードロック調の曲があったり、11曲目はロック&ポップス的なインストだったり、12曲目はやはり懐かしいロック的だったりと、曲によっては多彩なサウンド。13曲目だけはアコースティック・ベースだけどやや落ち着いたポップ的な印象。オーソドックスなジャズファンの人は聴かないかもしれませんが、ロック、ブルースにも興味ある人だったら面白いアルバムなんじゃないかな、と思いました。

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