2009年7月 4日 (土)

7月のおススメ盤(工藤)

ちょっと前にECMレーベルから出たミロスラフ・ヴィトウスの「Remembering Weather Roport」もキャッチーなタイトルでしたが、そちらはオリジナル割合も高かったです。キース・ジャレットのスタンダーズ以外でミュージシャン特集を、しかもジョン・コルトレーンの曲が大半を占める特集CDって、ECMでは珍しいです。確かカーラ・ブレイ集やアーネット・ピーコック集はあったような気も。しかも、内容もいくぶんECM的とはいえ、4ビート、フリー、アップテンポ、8分の6拍子でモーダル、などなど、普通のジャズファンが聴いてもイケるんでは、と思わせます。13曲目のソロピアノ曲「トランス」の再演で、スティーヴ・キューンのたくさんあるうちの本質のひとつを垣間見せますが。なかなかいいCDにめぐりあいました。それでも、あくまでもECMでコルトレーンの曲をやってみました、という位置付けにはなるんじゃないか、と思います。


Mostly Coltrane/Steve Kuhn(P) Trio w/Joe Lovano(Ts, Tarogato)(ECM 2099)(輸入盤) - Recorded December 2008. David Finck(B), Joey Baron(Ds) - 1. Welcome 2. Song Of Praise 3. Crescent 4. I Want To Talk About You 5. The Night Has A Thousand Eyes 6. Living Space 7. Central Park West 8. Like Sonny 9. With Gratitude 10. Configuration 11. Jimmy's Mode 12. Spiritual 13. Trance

(09/07/01)ジョン・コルトレーンの作品とそのゆかりの曲の演奏が中心。スティーヴ・キューンの作曲も9、13曲目に。オリジナルがメインではないのはキース・ジャレット以外では珍しい。テンポが曖昧な進行の曲、静かなサウンドの曲が多いですが、2曲目の中盤部ではしっかり4ビートの演奏だし、5曲目は時にアップテンポの4ビートの元気な曲。8曲目はベースゆったり、曲は元気です。10曲目は激しいフリー。ジョーイ・バロンのドラムスも、なかなか鋭さを見せています。それにしてもリーダーの影響か、曲によっては耽美的なバラードの情景。ジョー・ロバーノのテナー・サックスも、コルトレーンとはタイプが違うはずなのに、不思議とマッチしていますし。でも12曲目はモーダルな8分の6拍子で、コルトレーンを彷彿とさせます。

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2009年6月28日 (日)

appleJam6月のブラボーな盤を聴く(工藤)

今月のbb白岩さんのおススメ盤はアコーディオンとピアノとのデュオということで、どんな音楽か、楽しみにしていました。ジャズ度という点では非常に薄いかもですが、例えばゲイリー・バートンとかアル・ディメオラとかがアストル・ピアソラの曲をよく演奏したりして、それほどには違和感はなかったりします。もっとも彼女達の場合には、オリジナルが多いわけなんですけど。なかなかいい雰囲気で異国情緒を楽しめるアルバムではありますね。しかも女性の2人組でジャケット写真もそれなりに楽しませてくれます。でも、こういう2人がフィンランド発とは、とちょっと驚きました。


Juhola Mi Retorno Duo / Mila Viljamaa(P, Harmonium) & Johanna(Accordion)(TEXCD) - Recorded December 2006.Guest: Sara Puljula(B on 6), Pekka Kuusisto(Vln on 5 and 11) - 1. Kadonnut Kuu 2. Lyyrinen Aikuisuus 3. Unsi Kuu 4. Seppo 5. Tango Hississa 6. Horros 7. Tango 4 8. Tahdet Meren 9. Spontaani 10. Karpasn Paratiisi 11. Coral

アストル・ピアソラ作が11曲目で、Unto Mononen作が8曲目の他は、2人のフィンランドの女性ミュージシャン2人どちらかの作曲。乾いた感じがあるにしても、そこにあるのはタンゴの世界というか、哀愁豊かな世界が広がっています。北欧でこういうサウンドの演奏をしているミュージシャンというのも珍しいですけど、例えばブラインドでこれをアルゼンチンあたりの最近のアルバムです、と言っても、よっぽどこのジャンルを聴き込んでいる人でないと分からないくらい。あるいは曲によってはヨーロッパ(フランスあたり?)のエスプリを感じさせる雰囲気もあります。5-6曲目と11曲目にゲストが入りますが、それがちょうど良いアクセントにもなっています。まあ、2人だけでアルバムを通しても良さはあまり変わらないとおもいますが。しかし、息の合ったデュオですね。日曜の午後の少しアンニュイなティータイムにこういう音楽をかけながら、というのはどうでしょう。ちょっと5-6曲目あたりはシリアスな方向にベクトルが振れるかな。なかなか雰囲気のある世界です。

ジャズCDの個人ページ(工藤)

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2009年6月21日 (日)

工藤さんの6月のお薦めを聴く(bb白岩)

John Scofield / Piety Street
Emarcy B0012656-02

John Scofield - guitars
Jon Cleary - vocals, piano, organ
George Porter, Jr. - bass
Ricky Fattar - drums
John Boutte - vocals
Shannon Powell - tambourine, drums

1. That's Enough (3:45)
2. Motherless Child (5:24)
3. It's A Big Army (5:31)
4. His Eye Is On The Sparrow (4:15)
5. Something's Got A Hold On Me (4:41)
6. The Old Ship Of Zion (4:26)
7. 99 And A Half (4:08)
8. Just A Little While To Stay Here (5:59)
9. Never Turn Back (4:41)
10. Walk With Me (5:11)
11. But I Like The Message (3:29)
12. The Angel Of Death (6:42)
13. I'll Fly Away (3:44)

ジョンスコ自身のノートの「本格翻訳6」によるデフォ状態の訳文を参考までに掲載しますと~~

元来、私は、ブルースレコードを作りたかった。私は、ニューオリンズに行き、ソウルミュージックの発祥地で記録したかった。計画段階におけるあるポイントで、私は、世界に本当に12バールのブルース曲の別のCDが必要であったかどうかと思いはじめました。ゴスペルミュージックはR&Bへの二卵性双生児であり、私はずっと大ファンであるので私が最も好きな断片のいくつかを記録すると決めました。私はどのようなフォーマルなreligioinも抱擁しないけれども、誰がこれらのメッセージのパワーを否定することができますか?ドロシー愛情Coates、 R.Hハリス、マヘリア・ジャクソン、ジェームズ牧師クリーブランド、およびハンク・ウィリアムズ等によるこれらの曲のオリジナルのレコーディングは私のすべての時間の好きなパフォーマンスのいくつかです - 期間!希望的に、あなたは、私達が私達のバージョンによってこの音楽公正をしたと思うでしょう。

まさにジョンスコにすれば今の自分自身を形成したと感じる源流的音楽素材を思いの丈、それもそういった米国ルーツ音楽の発祥地に我が身を置いて演じ収録してみたかったのだと思います。共演者の顔ぶれも先日来日したばかりのジョン・クリアリーを始め今をときめくニューオリンズを代表する実力者揃い。特にジョン・ブッテのヴォーカルにこだわったのは恐らくブッテほどジャズ~ブルース~ゴスペル~R&Bといった全てのルーツマテリアルをバランス良く内包したシンガーは他に無いこと、強く意識した結果だと感じます。普段ニューオリンズ・サウンドがお好きな方にはもとよりメインストリーム・ジャズしか聴かないといった人にも強く訴求する成分で一杯。如何にも魂から魂に伝承され打てば響くという感じのコール&レスポンスがそこには生まれそう。個々の曲がどうこう以前に、この思いつきを見事に極上エンターテインメント作品として仕上げた彼らに喝采を。今この瞬間私は目の幅涙状態。それはまさに至福の時間でもあります。引っかかり気味に充分にタメを効かせて弾くジョンスコに多くのブルースギターファンが自分自身の姿もそこに見ると思います。

bb白岩(appleJam)

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2009年6月 7日 (日)

appleJam6月のブラボーな盤(bb白岩)

京都に戻ってから、北白川のせせらぎとウグイスの鳴き声を自室で聴くこのシチュエーション。子供時代まだちょっと先の夏休みが楽しみでわくわくしてた頃の自分を思い出します。電波事情が悪くてNHK教育が全く映らないのがショックでしたが教育ch以外は主に衛星しか見ないのでまぁ何とか。実はN響定期公演なんか毎回もの凄く楽しみで、それはBSでもやるのでOKというところです。

今回選盤したヨハンナ・ユホラは自分自身今回初めて知った人ですが、シーン的には相当以前から愛好家が沢山ある模様です。それも世界的に人気があるとのこと。この盤では競演のピアノも凄くフィットして大いに気に入ってます。

フィンランドのアコーディオンの妖精、盟友とのコラボは構造の異なるキーボード同士の共演
Duo Mila Viljamaa & Johanna Juhola Mi Retorno
2007 Finland TEXCD76

当店独自のレア盤CD頒布会(appleJam 7大クラブ)は各コースともマンネリになるのを避けるために時々毛色の変わった作品を混ぜること少なからずありますが、今回このユホラの作品は絶対クラブ展開したかった盤。たまたま移転とぶつかったため今回は移転後に普通に展開するのみに変更しましたけどもしこれをBlues Clubでお届け出来ていれば会員様の満足度も相当に高かったと感じます。また一方でこれのどこがブルースなのというツッコミも覚悟しておかなければいけませんけど(笑)。

ミュゼも彷彿とするユーロムード満点のアコーディオンは母国フィンランドのみならず世界的にも大人気!ユホラと並ぶ人気のキーボード奏者ミラ・ヴァルヤマーとのデュオによる今作はその瑞々しさも特筆です。自分では#2.Lyyrinen Aikuisuus の透明感と三次元的な空間の拡がりが凄く気に入ってますが、大抵はきっと#3Unsi Kuuにおけるパリムード満点のアコーディオンの方が人気も高そう。何にしても両者ともイメージが豊かなアーティストであることは確実、各セッションで互いに会話している感じ、情景が具体的なひとつの流れの中で浮かんでは消えします。2曲で参加しているヴァイオリンも値千金。あとピアノがECMっぽいジャズ・フィーリングをしているのが特筆で、この二人によるデュオ活動は2001年からということ。日本にも既に二度もこのデュオで来日しているそうで、とても息のあった堅実なコンビです。ドラムもベースもないのにメリハリがあるのはピアノが果たしている役割も大きいこと感じます。爽快な気分になりたいとき迷わずお薦めします!

bb白岩(appleJam)

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2009年6月 1日 (月)

6月のおススメ盤(工藤)

白岩さん、お引越しおめでとうございます。2ヶ月更新があいてしまいましたが、3月に聴いたアルバムでこれ、というのをとっておきました。私から出す、最初で最後のニュー・オリンズ・ミュージックのアルバムだと思います。しかも、ジョン・スコフィールドのアルバムです。うれしいではありませんか。

ジョン・スコフィールドは今までストレートなジャズからファンク、ジャムバンド路線に至るまで幅広く演奏を繰り広げていたので驚きませんけれど、今度はニュー・オリンズ(ジャズではなくて)の路線です。ジャンルで言うとかの地のポップスというか、そこではよくあるサウンドの曲作り。ジャズにもフュージョンにもカテゴライズしにくいので、今回はロック・ポップスに入れましたけど、もっとカントリーっぽい(田舎っぽい?)路線ですね。新たなファン層を広げそうですけれども、従来のジャズファンからはどういう反応がでるか、楽しみです(笑)。私は彼を追いかけているので気にはなりませんけれども。


パイアティ・ストリート/ジョン・スコフィールド(G)(EmArcy)
Piety Street/John Scofield(G)(EmArcy) - Recorded 2008. Jon Cleary(P, Key, Vo on 1-4, 7-8, 9-13), George Porter, Jr.(B), Ricky Fataar(Ds), John Boutte(Vo on 5-6, 9, 14), Shannon Powell(Tambourine, Ds on 10), The Hard Regulators(Back Vo, Claps): Jon Cleary, John Boutte, Ricky Fataar, Mark Bingham, John Scofield, George Porter, Jr. - 1. That's Enough 2. Motherless Child 3. It's A Big Army 4. His Eye Is On The Sparrow 5. Something's Got A Hold On Me 6. The Old Ship Of Zion 7. 99 And A Half 8. Just A Little White To Stay Here 9. Never Turn Back 10. Walk With Me 11. But I Like The Message 12. The Angel Of Death 13. I'll Fly Away 14. One Of These Old Days [Bonus Track]

ジャズでもフュージョンでもなく、ニューオリンズのポップスやR&Bという感じのアルバム。トラディショナルや他の人の曲が多く、ジョン・スコフィールド作は2曲(3、11曲目)のみ。8ビートだったり3連12ビートだったりするちょっといなかっぽいサウンドと言えばいいのか。ジョン・スコのテクはあまり前面に出ずに(それでも十分にスゴいですが)、時にノリ良く、時にゆったりとした曲に合わせて、かなり肩の力を抜いてギターを演奏している雰囲気です。ヴォーカル曲ばかりなので、脇役という感じもしています。ニュー・オリンズにはこういう雰囲気のアルバムって実に多いのですが、それを彼がやってしまうなんて、けっこう意外だったりします。ボーナズトラックを入れて14曲で64分台。ポップスとしては適度な長さとヴァリエーションです。(09年2月25日発売)

ジャズCDの個人ページ(工藤)

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2009年5月31日 (日)

工藤さんの3月のおススメ盤を聴く(bb白岩)

ということでまた再びここに戻って参りました。ブログ等、ネットがらみでこのように遊んでいますと今これを書いている場所が京都であることほとんど意識しません。まるで休止する前の3月の書き込みからずっと繋がっている感じです。そうはいっても現実には周辺の環境激変で、引っ越し後の2週間くらいは連日不規則な睡眠と様々な緊張から背中が真っ赤になるという生涯二度目の経験をしました。初めて背中にそのようなアレルギー反応みたいなのが出たのは上と喧嘩して23年居た会社をそろそろ辞めようと決めたときでしたけど(笑)。つまりは今回それに匹敵するストレスを受けたということか・・・と改めて37年ぶりに実家に帰ることや他様々な要因から来る障壁みたいなものを実感した次第です。btw、音楽の良いところは聴くだけでいつもと同じ平常心や思考回路に復帰出来る点。今回も音楽を聴いているときの集中心だけは周囲で何が起きていようともペースを乱されることはなかった。なんちゃって(笑)。

本日の課題は移転による休止前、3月のときの作品ですがバーンスタインは初めて聴いたときから自分にも凄くフィットする人なので今回も存分に楽しませて頂きました。


Monk/Peter Bernstein(G)(Xanadu)(輸入盤) - Released 2008.

Peter Bernstein(G)
(Doug Weiss(B)
Bill Stewart(Ds)

1. Let's Cool One
2. Pannonica
3. Work
4. Brilliant Corners
5. In Walked Bud
6. Monk's Mood
7. Well You Needn't
8. Bemsha Swing
9. Played Twice
10. Ruby, My Dear
11. Blues 5 Spot
12. Reflections

モンクを素材とした作品は昔から何度もジャズ以外にもフィンガーピッカーのアコースティック・ギター・シーンで聴いたことがありますが、いずれも共通しているのは静という概念の中に自らの一音一音をつま弾いていく感じの繊細さに包まれた演奏が多いという印象。今回のバーンスタインのカバーチューンも同様で、恐らくは演奏開始の直前奏者全員が息を詰めて呼吸を合わせる瞬間が瞼に浮かぶ感覚が大。そして一端演奏が始まった瞬間音が音を追いかけていく感じがリアルで例えば私が最も気に入った曲#5.In Walked Budではバーンスタインが半歩から一歩先をいく背中にリズム隊の両者が見事に歩幅を合わせてステップしていく感じ。そこに残ったフットプリントをなぞると全く同じ音が足下から再現されそうな、そんな幻想も併せて感じます。今回若干疲れた身体で聴くこのトリオ、最高の癒しにもなった気がして大満足の1枚。ジャズがヒーリングにもなること久しぶりに感じました。

appleJam(bb白岩)

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2009年3月31日 (火)

ショップ移転のお知らせです。m(_"_)m

工藤さんがインフォメーションして下さいました通り、当ストアの活動拠点を磐田から京都に移すことに致しました。温暖な静岡の風土と遠州深南部というフレーズも凄く気に入って居たのですが、長い人生の中では思わぬライフプラン変更ってやつにも出くわします。私は自分では現実主義者のつもりで決して運命論者ではないのですが、それでも先日京都に所用で戻ったときに感じた、タクシーの車窓から見えた川端沿いのしだれ桜が、ようお帰りBABY、ここがアンタの街だよBABYといって、何時になく親しげに話しかけてきたような錯覚を覚えたのは次にそういう(帰郷という)展開を桜たちが知っていたからなのか??などとこっちに戻ってきてあと思い出したりしていました。何にせよ、また新たに京都のショップとして、しかし路線は全く同じで活動を再開しますのでどうぞよろしくお願い致します。ここにはきっと6月頃に戻ってこれると思います。では再会の日を楽しみにしています!

bb白岩(appleJam)

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お知らせ

bb白岩さんのお店、appleJamのホームページをご覧になられた方はもうご存知かと思いますが、白岩さんのネットショップの拠点を、4-5月中に、現在の静岡県磐田市から京都へ移転される予定です。

その間、いろいろとお忙しいことと思われますので、白岩さんからのお申し出により、ここの更新を2-3ヶ月休止することとなりました。

それまで、面白いおススメ盤をあたためておくことにします。皆さんもなにとぞご了承ください。よろしくお願いします。

ジャズCDの個人ページ(工藤)

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2009年3月29日 (日)

appleJam3月のブラボーな盤を聴く(工藤)

最初の数曲を聴いているとモロにニューオリンズジャスの要素があるのですが、数曲ごとにテーマが5つあって必ずしも懐かしい関係のサウンドではなく、聴き続けていくと最後は新しくなる幅広いサウンドであることが分かります。例えば2曲目でも、ニューオリンズ系にしては、ドラムスの音数の多い叩き方は現代風だな、とか、あまりオーセンティックなスタイルにはこだわっていないのかなと思える作りです。そこが逆に面白いと思いました。5つのテーマを持ちつつ、リーダーの好きなようにテーマに沿って演奏していく、そういうところがなかなかいいですね。


Brice Miller A Day in the Life/(2008 USA Miller Mac Media)

テーマ別に構成されたアルバム全章
New Orleans Street Beat - #1. Exactly Like You 2. Palm Court Strut 3. I'll Take You There
Rebirth of the Funky SOUL - #4. All Of Me 5. Night Train 6. Watermelon Man
Urban Swing - #7. Comin' Home 8. St. James Infirmary 9. Street Corner Blues
Gotta Be.. All That Newlins' Funk - #10. All That/Roll Wit It 11. Movin' & Groovin'
Ambient Ecstasy - #12. [Late Night]Odyssey

Brice Miller - trumpet
FEATURING:
Theryl "The Houseman" deClouet
Kevin O' Day
Ronnell Johnson
Peter Harris
Kirk Joseph
Davis Rogan
Andrew Baham
Mahogany Brass Band

1枚のアルバムの中に、ニューオリンズのスタイル、ファンキー・ソウル、アーバン(都会的な)・スウィング、ニューリンズ(?)・ファンク、アンビエント・エクスタシーと、テーマを設けて数曲ずつそのテーマに沿った演奏が繰り広げられています。ただ、歴史を正確にたどっているということではなくて、テーマに沿ってもリーダーのBrice Millerのやりたいようにやっている感じが強く、たとえニューオリンズがテーマでも、現代的なエッセンスも感じることかできます。ちなみに1-3曲目はベースパートはチューバです。

モダン・ジャズ好きにとっては4-6曲目あたりがジャズの要素が強く(アコースティック・ベース使用)、けっこううれしいところ。それでもニューオリンズの陽気さは隠せず、ヴォーカルも入ったりしていますが、懐かしさと今っぽさが入り混じった要素がまたけっこういいです。スタンダードの4曲目もビートは4ビートではなくて、弾むようなリズムだし、5曲目は8ビート、6曲目は16ビートです。7-8曲目のアーバン・スウィングの曲も’70年代のエレクトリック・ファンクを想像させるようなちょっと懐かしめのファンクのサウンド(ここはエレキ・ベース)にラップが入り、8曲目はファンクのヴォーカル曲。9曲目はベースはシンセベースでかなり今風なビート。

10-11曲目は勢いのある、または明るいニューオリンズ・ファンク、12曲目は文字通りアンビエントな世界、ただしパーカッシヴですが。このアルバム1枚で、けっこうニューオリンズの地域のジャズの歴史を追いかけた感じになります。

ジャズCDの個人ページ(工藤)

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2009年3月16日 (月)

appleJam3月のブラボーな盤(bb白岩)

かつて一度だけニューオリンズに行ったことがありますが、シカゴでもあるいはメンフィスでも感じることがなかった特別な感覚をそこで味わいました。空気の濃度がまるで違う感覚。まるで濃縮ジュースの中を浮遊している感じ。ストリートでパフォーマンスしている若い女性のサックス奏者も、あるいは肌を全部金色に染めて彫刻と化して立っている青年も、それらすべて実際の空間の中に居てさえも一種のスクリーンに映った光景を目にしているかのような感覚でした。それはほんとに不思議な感覚でした。きっと一回しか行か(け)なかったことで余計にその記憶が色濃く脳内器官に鮮明な記憶としてしまいこまれているのかも知れませんが、今日upするブライス・ミラーなんかの音を聴くと一瞬でその時の感覚が体に蘇ってきます。


同じ新旧取り混ぜでも今までのとは何かが違う、新感覚ニューオリンズ・トランペット特にUrban Swing編以降の章での大胆なヒップセンスはコンポーザーとしても注目!
Brice Miller A Day in the Life
(2008 USA Miller Mac Media)

テーマ別に構成されたアルバム全章
New Orleans Street Beat - #1-3
Rebirth of the Funky SOUL - #4-6
Urban Swing - #7-9
ALL THAT - #10-11
Ambient Ecstasy - #12

Brice Miller - trumpet
FEATURING:
Theryl "The Houseman" deClouet
Kevin O' Day
Ronnell Johnson
Peter Harris
Kirk Joseph
Davis Rogan
Andrew Baham
Mahogany Brass Band

ニューオリンズで今まで新世代と言われてきたトランペッターの代表格、ジェームス・アンドリュースやカーミット・ラフィンズ辺りとスタイル的には似ているにも関わらず、このブライス・ミラーはさらに根本的に何かがもっと新しい、そんな印象を強く受ける作品です。アルバムをいくつかの章に分けて、それぞれ全く異なったアプローチで自己を表現している点で、この人は単に奏者という以上にクリエイターの素質もあることを感じます。またそれがはっきりとチャプターごとにテイストが異なるのが実に面白いです。伝統的な音から実験的な音までレンジはワイド。最近の若手トランペッターでは特にシャマー・アレンに注目していますが、これでまた新たに追いたい人が一人増えました。キャリア等詳細は不明ですが著名なブラスバンド出身か?共演のKirk Johseph のスーザフォンが活躍する#3. I'll Take You Thereと曲自体大好きな#8.St.James Infirmary が印象深いですが、特に後者はそのアレンジ・センスに希有な個性を感じます。今後の期待度大!の人。

bb白岩(appleJam)

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